楢篠賢司の『人間とは』

人間とは何かを研究しています。現在は経済学を自分のものにしたいと目下勉強中です。

ケインズが捉えた社会 Ⅱ

2010-05-30 07:55:17 | Weblog
 ケインズが「雇用、利子および貨幣の一般理論」を発表したのは1936年であり、それによれば政府が経済政策によって、有効需要を作り出す必要があるというものである。

 その中でセイの法則に見られる「供給によって需要が決定される」という供給が先にありということを批判したものでもある。
 
 とうぜん需要が先にあって供給がその後をついて来るという考え方なのであろう。そのことに対しインターネットを辿っていくと別の意見もあった。それはデフレという経済情勢の中で、需要不足を解消させるべく政府が公共投資による景気浮揚を図るというものであり、そこには先に供給を作り出すというものであった。

 例えば現、米国大統領のオバマ氏が高速鉄道をアメリカ中に張り巡らせるという公共投資による経済の活性化。つまり供給が先にあって後から需要が追いついていくという考え方であった。

 また別の見方としては在庫という考え方は需要を見越して供給を先に作り出していくものであり。物が売れてから生産に入るのではなく、売れる予想のもと商品を作り出していく。

 もしそこで商品が捌けなく売れ残りがあれば、商品の値段を下げてでも在庫を減らすという考え方が一般的だといえる。

 供給が先か、需要が先か、あまりこの問題を論じていても現代社会にはふさわしくないのかもしれない。何せ景気が悪くなれば政府頼みの景気浮揚が当たり前の考え方になっている時代であるから。そのことによって国債残高が膨れ上がっても、景気が良くなれば税収でまかなえるという発想が、何か時代にそぐわなくなっていると感じているのは私だけではないだろう。

 公共投資を行うために多額の国債を発行し、現金化し、それをインフラ整備にあてる。先に私が書いた『A・Eの関係』では市中のマネーは本来消えないはずなのだが、砂漠が水を吸ってしまうようにやがては消えてしまう。そのマネーはどこへ消えてしまったのか。この出来事がマルクスが考えていた資本主義の最期なのかもしれない。