今日のお題はオーストラリアの不動産価格です。最近、このトピックに関する動画を見て、なるほどと思ったので、皆さんに要約してお伝えしたいと思います。
現在メルボルンでは世帯収入に対する一戸建ての不動産価格の比率は10で、シドニーでは14だそうです。2023年のメルボルンの一戸建ての価格の中央値は1億円、シドニーでは1億4千万円です。
僕がオーストラリアに来るよりずっと以前、1960年代までくらいは、平均世帯収入に対して、一戸建ての家の不動産価格は3倍か4倍でした。それで、労働者が10年くらい働いて、年収の半分ぐらいを貯金すれば、銀行からお金を借りなくても家が買えたのです。
当時は結婚すると女性は専業主婦になるのが一般的な時代でしたから、家は旦那さんが貯金したお金で一括で払うことが出来たのです。
その後、1970年代になると、徐々に女性が外に出て働く様になります。主婦が働きに出ると、一家の収入も増えて、その分貯金が出来るから家が買い易くなりそうに思いますよね。世帯収入が2倍近くになるのですから。ところが実際は各家庭の収入が増えた分、家の値段が上がったのです。家の値段は売主が決めるというよりも、家を購入したい人達の間の競争で決まるとも言えます。共働きの夫婦2人で貯金しても、他の夫婦も同じように共働きで貯金があるのですから、その分値段が上がってしまいました。
それで、今度は銀行からお金を借りる様になります。頭金の2割を担保として銀行に払い、残りは住宅ローンという借金を銀行から借りて、家を買うことが出来る様になります。何年もかかって、家の値段の全額を貯金してから家を買うよりも、頭金だけを貯金して残りは銀行から借りればよいので、手っ取り早く家が買うことが出来ますよね。(ただし、住宅ローンを完済するまでは本当に家を買ったとは言えず、その家は銀行のものであり、その家に住む許可を銀行から貰っているのに過ぎない訳ですが。)
夫婦共働きで頭金だけを貯めて、残りは銀行からお金を借りて家を買うという時代になると、競争相手も同じようにして貯金するので、不動産の値段が上がってしまいました。頭金を貯めるだけでも10年以上もかかる時代になってきました。
最近では、不動産価格は上がり過ぎて、共働きの夫婦の貯金だけでは頭金を払うのに不十分になってきたのです。それで、家が買える人は、夫婦で貯金して、それでも足りない分は、(両方の)親に援助して貰った夫婦しか家が買えない時代が到来しています。
例えばメルボルンで一戸建ての不動産価格の中央値である1億円の家の購入を希望する夫婦は、家の価格の2割の頭金と約5パーセントの不動産取得州税の合わせて2割5分、つまり、2千五百万円の頭金が要ります。(残りの7千5百万円は住宅ローンになります。)
つまり、家が買える夫婦とは、自分達だけの貯金プラス、両方の親からの援助なしでは買えない時代になったのです。
僕も、子供達には早く家を出て欲しいとは思っていますが、賃貸のアパートに住むのはお金が掛かって、とても頭金は貯められません。それで学生時代からアルバイトでお金を貯め始めて、就職が出来たら出来るだけ早い時期に安い小さなアパートを買うことを勧めたいと思います。それなら親から離れて自立が出来るし、一戸建ての半分ぐらいの値段で買えるからです。
そして家族を持つようになって、アパートが手狭になったら、そのアパートを売って、一戸建ての頭金にするのです。そして、住宅ローンは出来るだけ早く完済し、その後は株又は不動産に投資していけば、お金には苦労しない人生になるのでは、と思います。
それでは、明日も、このブログでお会いしましょう。