なぜ、こんなものを描くの?
子どものころから大嫌いだったお絵描きを定年後の趣味にして以来、こう問われることがよくあります。答えは、いわゆる「花鳥風月」的な絵を描くのが苦手だから。
教室からスケッチ取材で花の名所や美しい風景を目にしても、民家の古い板塀や倉庫に掛かるでっかい錠前、空家に残された植木鉢、空港の待合室に並ぶスーツケースなど、物語性を感じたものをモチーフにすることが少なくありません。
今回の絵は、毎朝開く自分の衣装棚を見ていて思いつきました。晩秋から春先までの自分の衣服が並んでいます。
「80代にしては結構色があるな」「春になったらこれで旅に出よう」などと思いながら、50号の画面に収めました。題名は「マイ クローゼット」です。