三菱UFJ銀行貨幣資料館(名古屋市東区赤塚町)で開催されている、浮世絵師・歌川広重(1787~1858)の復刻版画展「六十余州名所図会」を見てきました。
東海道五拾三次で知られる広重は、50歳代後期に全国66か国を4年間かけて回り、全体で69図からなるこの図絵が発行されています。
展覧会は2月16日まで開催の前期と、後期(2月18日~5月17日)の2回に分けて企画されています。入館無料。
前期で展示させているは「畿内」「東海道」「東山道」「北陸道」を描いた36点。
江戸の浅草市、相模の江之島、伊豆修善寺の湯治場、甲斐のさるはし、駿河の三保のまつ原、佐渡の金やま、遠江の浜名之湖、尾張津嶋の天王祭り・・・。
青い滝を太く一直線に描いた美濃の養老ノ滝、雪解けで増水した神通川に船を並べ板でつないだ越中富山の船橋、志摩の日和山から見た鳥羽湊、伊勢の朝熊山の峠の茶屋から見た海。
いわば当時の観光ガイドとして描かれたこれらの浮世絵では、誇張や位置が異なる風景も描かれています。しかし、朝熊山からの風景には伊勢湾の島々が描かれていますが、晴れて運が良ければ見られる富士山は描き込んではありませんでした。
会場には、広重が安政5年(1858年)に江戸で流行したコレラで亡くなり、歌川国貞が追悼として描いたとされる広重像も展示されています。