歴史だより

東洋と西洋の歴史についてのエッセイ

≪常緑樹の剪定について≫

2022-12-30 19:51:45 | ガーデニング
≪常緑樹の剪定について≫
(2022年12月30日投稿)

【はじめに】


 今回のブログでは、樹木、とりわけ常緑樹の剪定方法について、解説したい。
 その際に、次の著作を参照した。
〇三橋一也、室星健磨、市川建夫『常緑樹の整枝と剪定・プロのコツ』永岡書店、1985年
 何事も、実践の前には、ある程度の知識は必要である。樹木の剪定も然りである。
 まずは、常緑樹の中でも、イトヒバ、ゲッケイジュ、マツ、マサキ、ジンチョウゲ、ツツジ、ウバメガシについて説明しておきたい。
 


【三橋一也ほか『常緑樹の整枝と剪定・プロのコツ』(永岡書店)はこちらから】
三橋一也ほか『常緑樹の整枝と剪定・プロのコツ』(永岡書店)





〇三橋一也、室星健磨、市川建夫『常緑樹の整枝と剪定・プロのコツ』永岡書店、1985年
【もくじ】
はじめに
第一章 どうしても知っておこう 整枝・剪定の予備知識
PART 1
冬に剪定すると常緑樹は風邪をひく
●常緑樹の生長サイクルを学ぼう
PART 2
常緑樹の剪定時期は五タイプに分類される
●樹形を観賞する木は、七月、九月に剪定
・自然樹形を維持する庭木
・仕立て物にする庭木
●花を楽しむ花木の多くは花後剪定が有効
・当年生枝に開花する花木
・前年生枝に開花する花木
●常緑樹の強剪定は活動期直前の三、四月
PART 3
イラストで知る整枝・剪定の基本
①切り取る枝と残す枝
②整枝・剪定の手順と方法
PART 4
プロがすすめる剪定道具とその使い方
●道具は凶器にもなる
●正しい道具の選び方と使い方

第二章 秘訣を教える樹種別整枝・剪定法
●あおき
●あせび
●アベリア
●いとひば
●いぬつげ
●うばめがし
●かいずかいぶき
●かくれみの
●かなめもち
●カルミア
●かんつばき
●きゃらぼく
●きょうちくとう
●くさつげ
●くちなし
●げっけいじゅ
●こうやまき
●このてがしわ
●ささ類
●さざんか
●さつきつつじ
●さわら
●さんごじゅ
●しいのき
●しゃりんばい
●しゅろ
●しらかし
●じんちょうげ
●西洋ひば類
●そてつ
●たいさんぼく
●たけ類
●ちゃぼひば
●つつじ類
●つばき
●とべら
●なんてん
●ねずみもち
●はくちょうげ
●ひいらぎ
●ひいらぎなんてん
●ひさかき
●ヒマラヤすぎ
●ピラカンサス
●びわ
●まさき
●まつ類
●まてばしい
●みかん類
●もくせい類
●もちのき
●もっこく
●やつで
●やまもも
●ゆずりは
●ユッカ
●らかんまき

花壇づくりのポイント




さて、今回の執筆項目は次のようになる。


・落葉樹と常緑樹~剪定の違い
・整枝・剪定の基本
・整枝・剪定の手順と方法
●いとひば
●げっけいじゅ
●まつ類
●まさき
●じんちょうげ
●つつじ類
●うばめがし






落葉樹と常緑樹~剪定の違い


〇落葉樹は、寒冷な地域に育ち、冬に葉を落として、生育のための消費エネルギーを最少にし、自ら厳しい寒さに耐える特質を備えている。
⇒そのため、落葉樹の多くは、樹木が休眠している冬期(11月~3月、ただし厳寒期は除く)剪定が中心となる。
⇒この時期は、樹勢への影響は少なく、落葉していて枝ぶりもわかり、作業が効率的である。

〇常緑樹は、温暖な地域に育ち、寒さを嫌う。
 寒さに弱いから、冬期の剪定は避けることが原則である。
 四季を通して、美しい緑を保つための剪定が必要。
 その適期は常緑樹の生長サイクルに従うことになる。

【常緑樹の生長サイクル】
・常緑樹の生長サイクルを観察すると、冬はほとんど休眠しているようにみえるが、落葉樹の休眠と違い、仮眠状態にあたる。
 葉、幹、枝とも気温や日照時間、地温などの外的刺激を受けて、わずかな活動を続け、体内的にはホルモンなどの働きで、春の芽ぶきの準備をしている。

〇春~芽を伸ばし、あるいは花を咲かせ、体内に貯えた養分を少しずつ溶かして、消費していく。
〇夏~初夏は葉もしっかりと充実し始め、古くなった葉を落とす時期でもある。
   夏は花木の多くは花芽をつくる時期にあたり、種子の育つ時期と重なるものも多いようだ。
〇夏から秋にかけて~養分の貯蔵期である。消費する養分よりも製造するほうが多くなる。
  また、根もさかんに伸び、活動する時期にあたる。
〇秋から冬にかけて~寒さにむかい養分を幹や根のほうに送り込み、休眠(仮眠)状態にむかう。(ただし一部のものは、花を咲かせ、種子をつける時期でもある。)

※常緑樹の生長サイクルは、大きくは4月から10月ころまでの活動期、11月以降3月までの休眠期に二分される。
・活動期間中(4月~10月)に剪定を行えば、常に緑を保てる。
 この期間は常緑樹は生長を続けるから、葉がまるでなくなることはない。
・逆に休眠期(11月~3月)の剪定は、ハサミを入れる時期と位置によっては、緑を失うことにもなりかねないから、危険性は大きい。
 しかも常緑樹は、耐寒性に弱く、枝葉が少なくなると、寒害を受ける場合もある。

※このことから、常緑樹の剪定の適期は、広い意味では、4月から10月までが安全期というわけである。
 冬の間はできるだけ避け、行う場合でも、枯れ枝や徒長枝、古葉を取る程度の軽い剪定にとどめること。
(三橋一也ほか『常緑樹の整枝と剪定・プロのコツ』永岡書店、1985年、8頁~9頁)

整枝・剪定の基本


PART 3
イラストで知る整枝・剪定の基本
①切り取る枝と残す枝
②整枝・剪定の手順と方法

〇剪定・整枝を行う前に、残すべき枝と切り捨てる枝を知っておかなければならない。
A 残すべき枝
①幹                ⇒骨格となる枝
②主枝(しゅし)……幹からでた太枝 ⇒骨格となる枝
③副主枝    ……主枝からでた枝 ⇒骨格となる枝
④側枝(そくし)……副主枝からでた枝⇒樹冠を構成する枝
⑤梢(こずえ) ……当年生枝など先端部の枝⇒樹冠を構成する枝
⑥予備枝(よびし)……将来骨格枝とするために育てる枝⇒樹冠を構成する枝

B 切り捨てる枝
①車枝(くるまえだ)……一か所から多方向に数本でている枝
 ⇒1、2本残して、ほかは切り捨てる。枝のつけ根で間引く
②逆さ枝(さかさえだ)……外から内側にむかって伸びる枝
 ⇒外から内へ伸びる枝は枝のつけ根で間引く
③平行枝(へいこうし)……二本重なって伸びる枝
 ⇒上下の枝のバランスをみて一方を間引く
④立ち枝(たちえだ)……枝の途中からでる立った枝
 ⇒つけ根で間引く
⑤徒長枝(とちょうし)……上方枝や枝先の切り口近くから極端に強く伸びる枝
 ⇒伸びすぎた枝は、間引き、切り詰めで切り捨てる
⑥枯れ枝(かれえだ)……枯れ、半枯れ状態の枝
 ⇒つけ根で間引く
⑦胴ぶき(どうぶき)……幹からできる不必要な枝
 ⇒幹からでる不要な枝は間引く
⑧ヤゴ(ヒコバエ)……地際から強く伸びる枝
 ⇒地際または、できれば掘り起こして根際で切る

(三橋一也ほか『常緑樹の整枝と剪定・プロのコツ』永岡書店、1985年、12頁~14頁)

整枝・剪定の手順と方法


整枝・剪定の手順は、
①間引く
②次に残した枝を切り戻す
③さらに残った枝を切り詰めて姿を整える
この3ステップが基本になる。
 つまり、間引く⇒切り戻す⇒切り詰める
※この作業は、あらゆる樹木に共通するので、そのやり方をしっかりマスターしよう。

●間引き剪定
・枝葉が混み合った場合、日当たりや通風をよくするために、枝を基部から切り除く(間引く)作業をいう。
・ポイントは、枝のつけ根から切り捨てることで、枝もとが残らないように注意する。

●切り戻し剪定
・大きく伸びすぎた枝を小さくする場合、強い枝に集まる樹勢を弱い枝に切り替えていくため、弱小な枝を残し、強く伸びた枝を切り捨てる作業をいう。
・高さを詰める場合、立ち枝を探して、幹の方向にそった枝をいかして切る。
・枝幅を狭くする場合、枝の方向になじませて切ると、すんなりした枝ぶりになる。

・ポイントは、枝の分岐点で行うことで、弱い枝をいかし、自然な枝ぶりをくずさないようにする。

●切り詰め剪定
・間引き、切り戻しのあとに、姿を整えるために切りそろえる作業をいう。
・枝先の作業であるから、芽のはっきりわかるものは、外芽の上で切り詰めることが原則。
・外芽の上で、5~10ミリ(細枝は5ミリ、太枝は10ミリ)離して切る。外芽の伸びる方向にそって切ること。
・これは剪定作業の仕上げの部分である。
 (木によっては行わなくてもすむものもある。例えば、自然樹形で育てる場合)

●刈り込み
・人工的に一定の姿を保つ刈り込み物は、ひとシーズンで伸びた枝を刈りそろえなければならない。
※通常「刈り込み」というと、姿を刈りそろえる作業だけを考えがちであるが、これは誤りであるという。
 必ず日当たり、風通しをよくするために、樹形内部の、次の点に注意すること。
①不要な枝を間引く
②伸びすぎた枝を切り戻す
③切り詰める
 この3段階の基本作業を行い、そのあとに、目的の刈り込み線(刈り地)で切りそろえる。
⇒正しい意味の刈り込みは、基本作業プラス仕上げの作業の4段階を行うことをいう。

●太枝の切り方
・剪定バサミでは、直径2センチくらいまでの枝を切ることができるが、それ以上太い枝は剪定用の鋸を用いることになる。
・この場合は、特別な注意が必要で、次のような手順で切り落とす。
<太枝の正しい切り方>
①下から1/3ほど切り込みを入れる。
②上から下へ残り2/3を切り込み、太枝を切り取る。
③幹にそって切り残しをきれいに切り取る。

<注意>
※上から一度に切ると、枝の重さで裂けたり、樹皮がむけたりする。

(三橋一也ほか『常緑樹の整枝と剪定・プロのコツ』永岡書店、1985年、15頁~19頁)

いとひば


●いとひば
・ひのき科
 常緑針葉高木。高さ2m~4m
 さわらの園芸変種で別名ひよくひばともいう
 半日陰地でもよく育つ

●下垂する枝葉が美しく和風の庭に最適
・葉が細長く糸状に下垂するのが特徴で、和風の庭によく合う庭木である。
・強い剪定にも耐え、よく透かしてやれば下の株物や草花の日照や風通しにも、じゃまにならない。
 しかし、放置したままでは、枝葉が乱れ重なりあって、見苦しい姿になってしまう。

●剪定は、新芽が伸びきった6、7月ころに
・剪定は、新芽が伸びきった6、7月ころに、毎年行う。
・さらに余力があれば、9月ころにもう一度、秋の手入れを行うことが理想である。
⇒秋の剪定は補助的なものであるが、あまり寒くなってから行うと、古葉や枝が枯れてしまうから、9月末を限度とし、軽い剪定(枝葉を半分は必ず残す)にとどめる。

●切り戻し剪定で下方の枝葉を多く残す
・6、7月には徒長枝も多く、小枝も密生している。
 この時期に行う基本剪定は、次の手順に従い、残す枝葉に傷をつけないように注意する。
・まず、大きさを決めてから残す枝を決定する。
 切り捨てる枝は、混み合った枝、逆さ枝、先端の強い枝、ふところ部分(樹形内部)に多い枝ぶきなどで、残した枝が平均的な強さにそろうように心がける。
・剪定作業は頂上枝から下方へすすめ、できるだけふところ枝をいかして、太枝を切り捨てる。
・このとき、枝をつけ根から間引く場合、枝の分岐点で細い枝に切り戻す場合、ともに枝葉が密生しているから、残す枝葉を傷めないように、よく研いだ木バサミの刃先をさし込むようにして、注意深く切る。
・樹形内部のムレを防ぎながら、樹冠全体に枝葉がゆきわたるように、頂上枝は薄く、下方へ行くにつれて濃く枝葉を残し、最後に切り枝が残らないように、ふり落としておく。

<6月、7月剪定の枝先の切り方>
・枝先は2本の長葉と2本の短枝を残すくらいにする。
①伸び過ぎた枝はふところの弱い枝を残して切り捨てる。
②枝のつけ根付近に多量に発生する枝ぶきは枝もとから切り捨てる。

<6月、7月の切り戻し剪定>
・作業は上方から下方へすすめ、下に行くにつれて枝葉を多く残す
①多くでる徒長枝は、ふところ枝をいかして間引く。
②枝ぶきは、ていねいに基部から切り取る。
③悪い例として、葉のない枝の途中で切ると、芽がでないで枯れてしまう。

<枝ぶきの取り方>
・枝ぶきは、つけ根からきれいに切り取る。
(三橋一也ほか『常緑樹の整枝と剪定・プロのコツ』永岡書店、1985年、32頁~33頁)

げっけいじゅ


●げっけいじゅ
・くすのき科
 常緑高木。高さ5m~6m
 葉の香りがあり香料として食用に利用される。
 暖地向きで寒害を受けやすい

●ふところの胴ぶき枝を切り透かす
・枝はたいへんよく直上方向に伸びる性質であるから、放任してもそれほど姿を乱すことはない。
・自然の姿のまま育てていく場合は、年1回6月に剪定する。
・細長く伸びる一本立ちとしたい場合は、根際からであるヒコバエを切り除く
 株立ちとしたいときは、ヒコバエをいかし、幹は切り倒す
<注意>
・数多くの胴ぶき枝が競い合ってでるから、ふところ部分が混み合って、害虫がつきやすくなる。
⇒だから、どちらの樹形でも枝を透かして、風通しよくすることがたいせつ。

・また、段づくりやカムロづくりなどに仕立てても楽しめる。
⇒この場合は、年2回(5月下旬~6月中旬、10月)、もちのきと同じ方法で行う。
 10月の剪定では、軽い切り詰めとし、多くの葉を残すように心がけ、冬の寒風に耐えるようにしてやる。
・人工樹形にする場合の枝の切り方としては、3、4葉残して枝先を切り詰め、葉腋から小枝をださせて、芽のつんだ状態にする。
(もちのきの場合、枝先の切り詰めは、必ず葉を3枚くらい残して切る。これを「三葉手入れ」といい、葉を残すことで再び枝先に新しい枝葉が密生し、よい姿に整う。)
(三橋一也ほか『常緑樹の整枝と剪定・プロのコツ』永岡書店、1985年、58頁、119頁)

まつ類


●まつ類
・まつ科
 常緑針葉高木。高さ4m~6m
 庭の主木や門冠りに使われる庭木の代表樹種
 日当たりのよいところを好む

●樹皮を傷めない冬の間に樹形を仕立てる
・放置したままでは、10m以上の大木になるが、庭木として仕立てる場合は、いろいろな大きさにつくれる。
・仕立てる場合は、若木から育てて幹と枝の配分を整えていくのが一般的。
 幹を曲げたり、枝を配分したり、不要な枝を切り取るなどの手入れを行い、完成された姿にしていく。
 こうした幹や枝をつくる作業は、冬の間(2、3月ころ)がよく、この時期は樹木が休眠していて堅いので、樹皮を傷めることもない。

●手入れは5月上旬と11月以降の冬に行う
・完全に仕立てられた木の場合には、ほかの庭木と違った剪定・整枝の方法がとられる。
①そのひとつは、「みどりつみ」という。
 新梢が伸びる時期の5月上旬に行う。
②もうひとつは、「古葉取り(もみ上げ)」という
 11月下旬以降に、冬の剪定・整枝の仕上げ作業として行う。
※つまり、まつ類の通常の手入れは、春の「みどりつみ」と、冬の「古葉の手入れを含めた剪定」と、年2回、行うことになる。

●みどり(新梢)をつみとり、生長を抑制する
・春から伸びだした新しい芽から葉が伸びるまでの新梢を、まつのみどりという。
このみどりを取り除く作業が「みどりつみ」である。
 つまり、5、6月の新梢(みどり)の芽がひらく前にみどりを取って、生長を抑えることをいう。
・一か所から数本のみどりがでた場合は、長いみどりを基部からつみ取り、3本くらい残すことが基本になる。
 そして残したみどりも、長さをみて途中でつみ取り、伸びを防ぐ。
・新梢すなわちみどりつみの作業は、すべて素手でみどりの芯が伸びきってから行う。

<みどりつみのやり方(5月上旬)>
①勢いの強い木の場合、みどりの基部から指先でつみ取る
②さらに芽の伸びを止める場合、残したみどりを途中でつみ取る
③周辺にも新梢があるため、みどりを伸ばさない場合、みどりをつけ根から指先でつみ取る

●古葉を取って樹形内部の日照と通風を確保
・秋から冬になると、枝葉も混み合い、樹形内部の日当たりや風通しも悪くなる。
 これを防ぐために行う作業が「古葉取り」である。
・この作業の前に、まず、枯れ枝やからみ枝などのじゃまな枝を間引き、混みすぎた枝や伸びすぎた枝も間引き、切り詰めにより整理して、基本となる枝ぶりをつくる。
・そしてそのあとに、冬の最終手入れとして古くなった葉を指先で取っていく。
 取り除く場合は、下向きや横向きの葉を優先させて取る。
・下の葉から上の葉へと両手でもみ取ることから、「もみ上げ」とも呼ばれている。

<古葉取りのやり方(11月~冬)>
①上端、左右に大きく伸ばしたい場合
 先端の葉を残し、枝もとの葉をきれいに取る
 1枝に10~15枚の葉を残すことを目安にする
②枝が長く伸び枝の途中から新しい枝をださせたい場合
 先端の葉は残す。枝の途中の葉を残してそこから新しい枝をださせる。枝もとの葉を取る。
(三橋一也ほか『常緑樹の整枝と剪定・プロのコツ』永岡書店、1985年、111頁~113頁)

まさき


●まさき
・にしきぎ科
 常緑低木。高さ2m~3m
 花期6月~7月。
 丈夫な樹種で大気汚染にも強いが、5月ころにウドンコ病が多発する。

●刈り込みは春と秋に、強剪定は早春に
・日当たりを好む木であるが、半日陰地にも育ち、土質を選ぶこともない丈夫な木である。
・生長は早く、萌芽力も旺盛で、庭植えの場合は刈り込み物や生け垣に使われる。
・いつどこで切ってもよく、刈り込み物は年2回、5、6月と9月に。
 大きく育った木を小さく強剪定する場合は、春の芽ぶき直前の4、5月に行うのが一般的。

●萌芽力が強いので思いきって剪定する
・刈り込みの手順は、ほかの刈り込み物と同様に、内部の枝を整理したあとに刈りそろえる。
・1回目の春は強く刈ってもよく、2回目の秋は冬までに充実するように軽く刈りそろえる程度にする。
・春の芽ぶき前に行う強剪定は、太枝を切っても容易に枝がでる。
・とくに丈夫で萌芽力が強い木であるから、思いきって行う。
(三橋一也ほか『常緑樹の整枝と剪定・プロのコツ』永岡書店、1985年、110頁)

じんちょうげ


●じんちょうげ
・じんちょうげ科
 常緑低木。高さ1m~2m
 花期3月~4月
 花芽は前年生枝タイプ 乾燥を嫌うが半日陰地でも丈夫に育つ

●花後に樹形を乱す枝のみを切り返す
・芳香を放つ花木の代表的なもので、庭木として好んで植えられている。
 3月の彼岸近くに樹冠いちめんに小花を咲かせ、花後に3本から4本の新梢をだし、その先端に7月から8月ころに花芽を形成する。
 ⇒この花芽が冬を越し、翌春開花するというサイクルである。
・剪定は、花が咲き終わった直後で、新しい芽が伸びださない前(3月から4月)に行う。
 以後は切れば切るほど翌年の花は少なくなるから、とくにじゃまになる枝を切り取る程度とする。

※放置しても自然に丸く樹形を整える木であるから、ほとんど手を加える必要はないという。
・樹形からとびだした長い枝を切り除く程度で十分。
・切る場合は枝の途中で切り詰めないで、枝の分岐点で必ず小枝を残すように切り戻しを行う。

●一度に強い剪定を行うと樹勢が弱くなる
・木が大きくなりすぎて小さくしたい場合や、若返りを図りたいような場合に限り本格的な剪定を行う。
・時期はやはり花後がよく、かなり思いきって枝を切り取っても、すぐに新梢が伸びて樹形も整う。
・しかし、木の大きさにもよるが、一度に切り下げないで、2年から3年かけて好みの高さに戻していくほうが安全である。
⇒一度にあまり強い剪定を行うと、翌年花がつかなかったり、樹勢を弱めることになる。
・萌芽力はあまり強くないから、この場合の剪定もあくまでも小枝を生かした切り戻しを原則とする。
 混みすぎた部分を透かす場合も方法は同じである。
・観賞は花だけでなく、肉厚で艶のある葉も美しく、冬の庭には貴重な緑である。
 刈り込むと、花は少なくなるが、生け垣にも利用する。

<花後剪定(3月~4月)>
・樹形を乱す枝だけを切り戻す程度でよい。
①小枝をいかして切る。
②残した小枝は芽の上部で切り詰める。
(三橋一也ほか『常緑樹の整枝と剪定・プロのコツ』永岡書店、1985年、76頁~77頁)

つつじ類


●つつじ類
・つつじ科
 常緑低木。高さ1.5m~3m
 花期4月~6月
 花芽は前年生枝タイプ 
 落葉、半落葉性のつつじもある

●花後できるだけ早く剪定する
・おおむらさきを代表に、りゅうきゅう、きりしま、くるめ、ひらどなど種類が豊富にある。
・剪定は花の終わった直後にできるだけ早く行うようにする。
 花を咲かせなくてもよい場合は、冬と真夏の時期を除けばいつ行ってもかまわない。
・翌年花をつける準備行動(花芽の分化)は、6月下旬から8月上旬に行われる。
 花後に伸びた新梢の先端に花芽をつけるから、遅くなって剪定すると、せっかくできた花芽を切り取ることになってしまう。
そのため花が長く咲いている種類では、花が咲き終わらないうちに剪定しなければならない場合もあるという。

●徒長した枝は深い位置で切り詰める
・常緑性のつつじは、一般に枝が横に広がって、半球状の樹形となり、単植や寄植えのほか、生け垣としても使われる。
・剪定を行う場合は、
①まず、樹形を乱す徒長枝を切り詰める。
 このとき先端部で切ると、さらに強く伸びる枝をだすから、必ず深い位置で切り詰めるようにする。
②次に混みすぎた枝を切り透かしていく。

・つつじは、枝の途中で切ってもよく萌芽するが、ていねいに行う場合は枝の分かれ目で切り取るようにする。
・枝が細いから、1本1本剪定するのがたいへんという場合には、刈り込みバサミで一律に樹冠を整える方法もとられる。
・刈り込み作業は簡単で、刈り方によっていろいろな形に仕立てていくことも可能である。
・毎年1回、花後に刈り込み、それ以外の時期は花が少なくなってしまうから、避けたほうが無難。

<基本的な枝の透かし方>
・枝の途中で切ってもよく芽をだすが、できるだけ枝の分かれているところで長いほうの枝を切る。
【枝先の場合】
①今年の枝を2、3本残し、ほかはつけ根から間引く。
②残した今年の枝は先端を切り詰める。

【樹形中間部の場合】
・今年の枝を2、3本残しほかは間引く。
(三橋一也ほか『常緑樹の整枝と剪定・プロのコツ』永岡書店、1985年、86頁~87頁)

うばめがし


●うばめがし
・ぶな科
 常緑中木。高さ1.5m~3m。花期5月。
 暖地に自生するため日当たりを好み、剪定や刈り込みにもよく耐える。

●枝先は外へ広がり内部の枝は枯れやすい
・萌芽力は強く、生長力も旺盛で、庭木としては刈り込み物として扱われる。
・かしの仲間は、徒長して枝先がどんどん外へ広がり、ふところ枝が枯れていく性質が強いため、剪定しないと乱れた姿になってしまう。
⇒そこで、枯れ枝になる前に早め早めに手入れをし、樹形を整えるようにする。

・また、材が堅いことも特徴である。
 備長炭(びんちょうずみ)として利用されているが、こうした硬質の木の剪定には、使う道具への注意も必要であるという。

●徒長力が強いので年3回の刈り込みを
・刈り込むことで、枝は一段と伸び、よく徒長枝をだすから、年3回刈り込む。
 3回行えば、四季を通して整った姿を楽しめる。
・刈り込みの適期は、春の新芽の伸びが止まる5月ころ、徒長した枝が姿を乱す7月中、下旬、そして、冬を控えての9月である。
 暖地性の木であるから、冬期(11月~3月)の剪定や刈り込みは避ける。

●刈り込みは間引き剪定のあとにする
・刈り込み作業の前に、剪定バサミで全体の枝づくりをする。 
 まず、木をよく観察し、骨格となる枝を残して、枯れ枝、逆さ枝、徒長枝を間引く。
 間引きによって、かすかに向こう側が透けてみえる程度にする。
⇒そうすると、日照や通風もよく、幹や枝の美しさも楽しめる。
・また、徒長した太枝や育ちすぎた枝は、木が硬質であるから、刈り込みバサミを受けつけない。
⇒剪定バサミで間引きしないと刈り込みはできない。
(むしろ大きく育った木では、剪定バサミで切り詰めて、仕上げる場合もある)

※間引き剪定のあとに、仕上げの意味で樹冠を刈りそろえるが、刈り込みの手順は、いぬつげと同じである。

【枝の整理と刈り込み】
①多くでる徒長枝は、枝もとまでさかのぼって間引く。
②逆方向に伸びる枝や混み合った枝を間引く。
③垂れ枝を切り取り、すそ面をきれいにする。
④樹形内部の不要な枝を整理したあとに、刈り込み線にそって、刈りそろえる。
(三橋一也ほか『常緑樹の整枝と剪定・プロのコツ』永岡書店、1985年、38頁~39頁)



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