≪【参考書の紹介】安河内哲也『英語長文ハイパートレーニング 標準編』≫
(2022年8月15日投稿)
今の高校生は、オリビア・ニュートン=ジョンの曲を聴いたことがあるのだろうか。
私の高校生の時代に流行したのが、オリビア・ニュートン=ジョンの曲であった。
中でも印象に残っているのは、「そよ風の誘惑(Have You Never Been Mellow)」(1975年)というヒット曲である。チャーミングな容姿で、美しいハイトーン・ヴォイスとポップ・カントリー風な作品でヒットを連発した。
オリビア・ニュートン=ジョン(Olivia Newton-John, 1948~2022)は、イギリスに生まれ、オーストラリア育ちのポピュラー歌手である。父親はケンブリッジ大学のドイツ語教授で、5歳の時に父がオーストラリアの大学に移り、家族と共に移住したようだ。その後、1975年にアメリカに移住し、活躍した。 先日8月8日、彼女の訃報が伝えられたのはショックであった。73歳だったという。
ところで、「そよ風の誘惑(Have You Never Been Mellow)」という曲は、邦題からはラブ・ソングを連想させるが、歌詞の内容はそうではない。
歌詞の出だしは次のようなものである。
♫ There was a time
When I was in a hurry as you are
I was like you
There was a day
When I just had to tell my point of view
I was like you
焦りやイライラをしずめ、肩の力を抜いてというメッセージ・ソングと解される。
肩ひじを張って、いつも神経をとんがらせている人。何事をするのにもあくせくしていて、見ている方まで気疲れしてしまいそう。でも、そんな人を見ていると、かつての自分自身を思い出さずにはいられない。そんな人に声をかけたくなってしまう。肩の力を抜いて歩んでみてと。
泉山真奈美さんはこのように曲の要旨をまとめている。
(泉山真奈美「歴史を彩った洋楽ナンバー~キーワードから読み解く歌物語 第21回 Have You Been Mellow」、三省堂「ことばのコラム」(2012年2月29日付)参照)
あの時代、オリビア・ニュートン=ジョンは輝いていた。また、尾崎亜美さんがオリビアに敬意を表して作った曲が、杏里の「オリビアを聴きながら」(1978年)であった。
サビの箇所で “making good things better”というフレーズが登場するが、これはオリビアが1977年に発表した楽曲「MAKING A GOOD THING BETTER」(邦題「きらめく光のように」)に由来しているそうだ。杏里がオリビア・ニュートン=ジョンが好きという話を聞いて、尾崎亜美さんがこの楽曲を制作したという逸話がある。
話が横にそれたが、英語の歌を聞く場合は、邦題に惑わされず、歌詞の意味を考えてみることが大切だということが言いたかった。
さて、今回のブログでは、高校生が英語長文を読む場合の参考書を紹介したい。
それは、安河内哲也氏による次の著作である。
〇安河内哲也『英語長文ハイパートレーニング レベル2 標準編』桐原書店、2020年[2004年初版]
安河内哲也氏のプロフィールを簡単に記しておく。
【安河内哲也(やすこうち てつや)氏のプロフィール】
・上智大学外国語学部英語学科卒業
・東進ハイスクール・東進衛星予備校講師
・衛星放送を通じ、基礎レベルから難関レベルまで、ていねいでわかりやすい授業で全国の受験生に大人気。特に、英語が苦手な人を超基礎レベルから偏差値60台にまで引き上げる、基礎力養成の講義には定評があるという。
・資格取得:国連英検特A級、通訳案内業、TOEICテストリスニング・リーディング・スピーキング・ライティングすべて満点、韓国語能力試験1級など多数。
・趣味:乗り物の操縦と映画を観ること。
【安河内哲也『英語長文ハイパートレーニング 標準編』(桐原書店)はこちらから】
安河内哲也『英語長文ハイパートレーニング 標準編』(桐原書店)
さて、今回の執筆項目は次のようになる。
安河内哲也『英語長文ハイパートレーニング レベル2 標準編』(桐原書店、2020年[2004年初版])の「はじめに」において、安河内哲也氏は次のようなことを述べている。
・大学入試の英語は長文読解力で決まる。
「長文」を制するものが入試英語を制す、と言っても過言ではない。
・英文読解に必要な技能は、文法力・単語力・熟語力・速読力・大意把握力・設問解法と多岐にわたる。
⇒これらをすべてバランスよく、ていねいにトレーニングするしかない。
〇本書は、今までバラバラだった精読・速読・設問解法・単語・熟語・文法・構文・パラグラフリーディングが、レベル別にまとめて勉強できる画期的な問題集であるという。
⇒すべての受験生が「使いやすく」「わかりやすく」「力がつく」作りになっていると、著者は強調している。
例えば、すべての英文に構造図解があり、すべての設問に解答の根拠が示されている。
・単語・熟語は細かにリストアップされる(単語集・熟語集の機能)
・何度も音読を繰り返し、速読力を身につけるための「速読トレーニング」により、速く長文を読むトレーニングができるようになっている。
⇒本書には、速読トレーニングのためのCDが付録としてついている。
※英語は野球などのスポーツにたとえられる。
語彙力は筋力で、文法力はルールの理解のようなもの。英文読解こそが一番大切な「試合」である。
⇒皆さんは、英文読解という最高に刺激的なゲームを始めるところであると、著者は励ましている。
(安河内哲也『英語長文ハイパートレーニング 標準編』桐原書店、2020年[2004年初版]、3頁)
☆本書を使った英文読解の勉強法として、次のような効果的な使用法を紹介している。
解いて、答え合わせをするだけの無意味な学習から、将来も役に立つ“本物”の英文読解力が身につく学習へとやり方を変えることを勧めている。
①問題にチャレンジ!
・目標時間をめやすに別冊の問題を解いてみる。
②設問解法を学ぼう!
・解答を見て赤ペンで答え合わせをする。
・解答と解読を読んで、選択肢や答えがどうして正解なのか、また不正解なのかをよく確認する。
③精読とテーマ読解を学ぼう!
・「徹底精読」のページで、英文の読み方や文法のポイントを学び、英文の構造のとらえ方を学ぶ。
・また、パラグラフごとの要旨を確認し、英文のテーマを把握する練習もする。
・「精読記号」のついた英文を読み、英文の構造を見抜く訓練もする。
※「精読記号」には、名詞の働きをするもの(名詞、名詞句、名詞節)
形容詞の働きをするもの(形容詞、形容詞句、形容詞節)
副詞の働きをするもの(副詞、副詞句、副詞節)
などで区別されている(14頁~19頁)。
④音読で速く読む訓練をしよう!
◎「速読トレーニング」を使って、左から右へと英文を読む訓練をする。
・まず、英語→日本語、英語→日本語、というふうに、“同時通訳風”の音読で、速度を上げていく。
・さらに日本語が必要なくなった段階で、英語のみを音読し、意味を理解する訓練をする。
※何度も繰り返すことが重要。
⑤ネイティブレベルにチャレンジ!
・巻末の白文の問題英文を音読し、それと同時に明快に意味を把握することに何度もチャレンジする!
(この段階で100パーセント英文が理解できることが本書の長文学習のゴールだという)
※なお、このシリーズは、個人のレベルに合わせて長文読解の学習が始められるレベル別問題集であるという。
各レベルの構成は次のようになっている。
※本書は、『大学入試 英語長文ハイパートレーニング レベル2 センターレベル編』のレベルの名称を『標準編』と改題し、新々装版として刊行したものであると、付記されている。
(安河内哲也『英語長文ハイパートレーニング 標準編』桐原書店、2020年[2004年初版]、2頁、6頁~9頁)
安河内哲也『英語長文ハイパートレーニング レベル2 標準編』(桐原書店、2020年[2004年初版])の「私は音読をすすめます」において、安河内哲也氏は次のようなことを述べている。
・日本人の英語学習書は諸外国の学習者と比較して、しばしば英語の運用能力が劣っていると言われる。
その理由の1つは、言語学習の基本である音読訓練を軽視していることにあると、著者は考えている。
そして、英文読解力の基礎を築くための最高の訓練は、「英文の音読」であると、強調している。つまり、音読は文法や語彙の習得など、あらゆる言語能力の習得に威力を発揮するが、特に英文読解力の育成において重要であるという。
【英文読解の学習において音読が重要な理由】として、次の4点を挙げている。
①音読で脳が活性化する。
②左から右へと考える習慣がつく。
③直読直解を可能にする。
④動作記憶と言語感覚が身につく。
(安河内哲也『英語長文ハイパートレーニング 標準編』桐原書店、2020年[2004年初版]、10頁~11頁)
安河内哲也『英語長文ハイパートレーニング レベル2 標準編』(桐原書店、2020年[2004年初版])では、目次を見てもわかるように、UNIT 1~12まで、12のテーマについて問題が出されている。すべてを紹介することはできないので、この中で、「UNIT 1 ●地球の環境について」のおおよその内容を紹介しておきたい。
(「徹底精読」などにおいて、英文の構造について詳しく解説しているが、省略していることをお断りしておく)
UNIT 1 ●地球の環境について
UNIT 2 ●人類の進化の歴史
UNIT 3 ●日米の意見の述べ方の違い
UNIT 4 ●アメリカの自動車産業
UNIT 5 ●「悪いことは重なる」という話
UNIT 6 ●警察官の仕事
UNIT 7 ●俳優業とは?
UNIT 8 ●点字の歴史
UNIT 9 ●詩人と科学者の知恵比べ
UNIT 10 ●イギリス人の習慣
UNIT 11 ●もし私が独裁者になったなら
UNIT 12 ●バッグをなくした外国人の話
「UNIT 1 ●地球の環境について」は、地球の環境の複雑さと精密さを述べる英文である。
温室効果、オゾン層の破壊など地球環境の悪化が続いている現在、環境に関する英文の出題は急増しているそうだ。
この種の英文を読破するために、地球が抱えている様々な環境問題を知っておきたい。
本文では、地球の様々な部分は相互に関係していることを、時計にたとえて説明している。文意を正しく読みとり、どのような設問がなされているかを参考にしてほしい。
◇次の英文を読み、後の問いに答えなさい。
Why is our earth the kind of planet it is? Not only because it is
full of a number of things. Not only because some parts are more
full of things than others. But also because the things in it are
related. The earth is like a watch. (ア) (1)about (2)of (3)acci
dental (4)the mechanism (5)nothing (6)there’s (7)a
watch. Each part is a working part and each is absolutely necessary
to make the watch go. Furthermore, the watch can go only when
each part is ( イ ) connected with other parts.
All the parts of the earth are ( ウ ) working parts, and are
necessary to make it “go.” Consider physical features such as the
Grand Canyon of the Colorado River and Mt. Fuji, in Japan. They
are the result of relationships between the land, the water, and the
air. These relationships started millions of years ago and have
continued ( エ ) this very day.
There’s another (オ) way in which the earth resembles a watch.
It’s a precision instrument. Unlike a watch, it shows no sign of
( カ ) down or stopping. “Seed time and harvest, and cold and
heat, and summer and winter, and day and night” continue to arrive,
( キ ) time.
How do we understand how a watch works? Only by knowing
what use each spring, gear, and wheel serves, and how the parts
hang together. (ク) In the same way, we can understand how our
world works only by getting to know the parts and the relationships
between them.
This, however, is not easy, even if it could be done ( ケ ).
For there are far more working parts to the earth than to a watch or
( コ ). Nobody yet knows exactly how many working parts there
are. After all, some parts of the world are still barely known. Large
areas of Antarctica remain unexplored. So are large areas of the
atmosphere and the oceans, (サ) (1)are (2)both (3)at work
(4)which (5)of all the time cooling and warming, drying and
moistening the land surfaces of the earth. Then again, some of the
relationships between the ( シ ) working parts are not fully
understood.
【設問】
1. (エ) 、(キ)に入る最も適切な前置詞を、①~④の中から1つ選びなさい。
(エ) ①after ②by ③on ④to
(キ) ①at ②by ③with ④on
2. 本文の内容に合うように(イ) 、(ウ) 、(カ) 、(ケ) 、(シ)に入る最も適切な語を、①~④の中から1つ選びなさい。
(イ) ①accidentally ②directly ③normally ④properly
(ウ) ①frequently ②likewise ③otherwise ④reasonably
(カ) ①coming ②going ③letting ④running
(ケ) ①at last ②at most ③at all ④at that
(シ) ①completed ②known ③uncompleted ④unknown
3. (コ)に入る適切な句を、①~④の中から1つ選びなさい。
① all other precision instruments
② any other precision instrument
③ no other precision instruments
④ some other precision instrument
4. 下線部(ア)を並べ換えて正しい文を作ったとき、3番目にくる語(句)と5番目にくる語(句)の番号を答えなさい。ただし、文頭にくる語(句)も小文字になっている。
5. 下線部(サ)を並べ換えて正しい文を作ったとき、2番目にくる語(句)と4番目にくる語(句)の番号を答えなさい。
6. 下線部(オ)の単語wayと同じ意味で使われているものを、①~④の中から1つ選びなさい。
① Do you know the way to the station?
② In some ways, it’s quite a good idea, but the high cost makes it impossible.
③ There are many ways of solving the problem.
④ Which way is the library from here?
7. 下線部(ク)を日本語に訳しなさい。
8. 本文の内容と一致しないものを、①~⑤の中から1つ選びなさい。
① The earth is a complicated machine consisting of countless parts working together.
② All of the various parts of the earth are necessary for it to continue as it is today.
③ Unlike a watch, the earth is slowly approaching its end.
④ We need to learn how the different parts of the earth interact.
⑤ It is difficult to understand how the earth works because it has
many complicated parts.
【解答と解説】
1. (エ)④to
※ to this very dayは、「今日に至るまで」という意味のイディオム
(キ) ④on
※ on time は、「時間通りに」という意味のイディオム
(cf.) in time は、「間に合って」「やがて」という意味
2.
(イ)④properly
※時計の機能の正確さを述べている箇所なので、「適切に」という意味のproperly
(ウ)②likewise
※時計と地球を比較して、その類似点を述べているので、「同様に」という意味のlikewise
(カ)④running
※ run down は時計などの機械が「故障して止まる」という意味のイディオム
(ケ)③at all
※ at allはif節の中で使われると「そもそも[少しでも](…するにしても)」という意味になる。not …at allという否定文で使われる場合は「まったく[少しも]…ない」という意味になる。
(シ)②known
※直前の文では、地球にはまだ未知の部分が多いということが論じられている。
これに対して、この文は、「既知の」部分の関係もまだ解明されていないということを論じている。
⇒「既知の」という意味の単語known
3.
② any other precision instrument
※<比較級+than any other +名詞>は「他のどんな~よりも…」という意味の比較の重要表現(名詞の部分には普通、単数形)
4. 3番目にくる語(句)は(3)、5番目にくる語(句)は(4)
※正解文:There’s nothing accidental about the mechanism of a watch.
<there is something +形容詞+about~>は、「~には何か…なところがある」という意味の重要構文。この文はnothing を使った否定文になっている。
5. 2番目にくる語(句)は(5)、4番目にくる語(句)は(1)
※正解文:both of which are at work
<先行詞+数量を表す代名詞+of+which[whom]>は、先行詞の数や量を限定して直後で説明する場合に使う関係詞の構文。(非制限用法で使われる)
6.
② In some ways, it’s quite a good idea, but the high cost makes it impossible.
※①の文では「道筋」、②の文では「点、面」、③の文では「方法」、④の文では「方向」という意味で使われている。本文では「点、面」の意味で使われている。
7.
同様に、各部品とそれらの間の関係を知ることができるようになってはじめて、私たちは私たちの地球がどのように動くのかを理解できる。
※ in …wayは「…な方法で」という意味の重要表現。
⇒ in the same wayで「同様に」と訳せばよい
※ how S Vは「どのようにSがVするか」「SがVする方法」という意味の名詞節を作り、この文ではunderstand の目的語になっている。
※ onlyが副詞句の前に置かれると、この文のように、しばしば「…になってはじめて、ようやく」という意味になる。
※ get to Vは「Vするようになる」という意味。
※ the partsとthe relationshipsがand という接続詞で並べられている。
8.
③ Unlike a watch, the earth is slowly approaching its end.
※選択肢の和訳
①地球が一体となって動く無数の部分で成り立っている複雑な機械である。
②地球の様々な部分はすべて地球が今日の状態であり続けるために必要である。
③時計とは違って、地球はゆっくりとその終わりに近づいている。
④私たちは地球の異なる部分がどのように互いに影響し合っているのかを学ぶ必要がある。
⑤複雑な部分が多いので、地球がどのようにして動くのかを理解するのは難しい。
注意すべき点は、第3パラグラフでは地球は「止まることがない」と述べられている点。
※参考までに語句を抜き出しておく。
また「問題英文と全訳」(196頁~197頁)には、上記の「UNIT 1 ●地球の環境について」の問題英文と全訳が載せてある。白文を見ながら音読し、スラスラ意味がわかるようになるまで、CDを聞きながら練習することを、安河内先生は勧めている。
【語句】
・related (形)関連のある
・accidental (形)偶然の
・connect A with B (熟)AをBと連結する
・physical feature (名)地形的特徴
・relationship (名)関係
・precision instrument (名)精密機械
・run down (熟)(時計などが)動かなくなる
・seed time (名)種まきの時期
・on time (熟)時間通りに
・spring (名)バネ
・hang together (熟)くっつく
・Antarctica (名)南極大陸
・unexplored (形)未調査の
・at work (熟)活動中で
(安河内哲也『英語長文ハイパートレーニング 標準編』桐原書店、2020年[2004年初版]、2頁~4頁、20頁~31頁、196頁~197頁、220頁)
(2022年8月15日投稿)
【はじめに】
今の高校生は、オリビア・ニュートン=ジョンの曲を聴いたことがあるのだろうか。
私の高校生の時代に流行したのが、オリビア・ニュートン=ジョンの曲であった。
中でも印象に残っているのは、「そよ風の誘惑(Have You Never Been Mellow)」(1975年)というヒット曲である。チャーミングな容姿で、美しいハイトーン・ヴォイスとポップ・カントリー風な作品でヒットを連発した。
オリビア・ニュートン=ジョン(Olivia Newton-John, 1948~2022)は、イギリスに生まれ、オーストラリア育ちのポピュラー歌手である。父親はケンブリッジ大学のドイツ語教授で、5歳の時に父がオーストラリアの大学に移り、家族と共に移住したようだ。その後、1975年にアメリカに移住し、活躍した。 先日8月8日、彼女の訃報が伝えられたのはショックであった。73歳だったという。
ところで、「そよ風の誘惑(Have You Never Been Mellow)」という曲は、邦題からはラブ・ソングを連想させるが、歌詞の内容はそうではない。
歌詞の出だしは次のようなものである。
♫ There was a time
When I was in a hurry as you are
I was like you
There was a day
When I just had to tell my point of view
I was like you
焦りやイライラをしずめ、肩の力を抜いてというメッセージ・ソングと解される。
肩ひじを張って、いつも神経をとんがらせている人。何事をするのにもあくせくしていて、見ている方まで気疲れしてしまいそう。でも、そんな人を見ていると、かつての自分自身を思い出さずにはいられない。そんな人に声をかけたくなってしまう。肩の力を抜いて歩んでみてと。
泉山真奈美さんはこのように曲の要旨をまとめている。
(泉山真奈美「歴史を彩った洋楽ナンバー~キーワードから読み解く歌物語 第21回 Have You Been Mellow」、三省堂「ことばのコラム」(2012年2月29日付)参照)
あの時代、オリビア・ニュートン=ジョンは輝いていた。また、尾崎亜美さんがオリビアに敬意を表して作った曲が、杏里の「オリビアを聴きながら」(1978年)であった。
サビの箇所で “making good things better”というフレーズが登場するが、これはオリビアが1977年に発表した楽曲「MAKING A GOOD THING BETTER」(邦題「きらめく光のように」)に由来しているそうだ。杏里がオリビア・ニュートン=ジョンが好きという話を聞いて、尾崎亜美さんがこの楽曲を制作したという逸話がある。
話が横にそれたが、英語の歌を聞く場合は、邦題に惑わされず、歌詞の意味を考えてみることが大切だということが言いたかった。
さて、今回のブログでは、高校生が英語長文を読む場合の参考書を紹介したい。
それは、安河内哲也氏による次の著作である。
〇安河内哲也『英語長文ハイパートレーニング レベル2 標準編』桐原書店、2020年[2004年初版]
安河内哲也氏のプロフィールを簡単に記しておく。
【安河内哲也(やすこうち てつや)氏のプロフィール】
・上智大学外国語学部英語学科卒業
・東進ハイスクール・東進衛星予備校講師
・衛星放送を通じ、基礎レベルから難関レベルまで、ていねいでわかりやすい授業で全国の受験生に大人気。特に、英語が苦手な人を超基礎レベルから偏差値60台にまで引き上げる、基礎力養成の講義には定評があるという。
・資格取得:国連英検特A級、通訳案内業、TOEICテストリスニング・リーディング・スピーキング・ライティングすべて満点、韓国語能力試験1級など多数。
・趣味:乗り物の操縦と映画を観ること。
【安河内哲也『英語長文ハイパートレーニング 標準編』(桐原書店)はこちらから】
安河内哲也『英語長文ハイパートレーニング 標準編』(桐原書店)
安河内哲也『英語長文ハイパートレーニング レベル2 標準編』桐原書店、2020年[2004年初版]
【もくじ】
はじめに
本書の利用法
「私は音読をすすめます」
センスグループの分け方
英文精読記号システム
本書で使用している記号について
UNIT 1 ●地球の環境について
UNIT 2 ●人類の進化の歴史
UNIT 3 ●日米の意見の述べ方の違い
UNIT 4 ●アメリカの自動車産業
UNIT 5 ●「悪いことは重なる」という話
UNIT 6 ●警察官の仕事
UNIT 7 ●俳優業とは?
UNIT 8 ●点字の歴史
UNIT 9 ●詩人と科学者の知恵比べ
UNIT 10 ●イギリス人の習慣
UNIT 11 ●もし私が独裁者になったなら
UNIT 12 ●バッグをなくした外国人の話
付属CDの使い方
問題英文と全訳
テーマ解説とリーディングガイド
出題校一覧
さて、今回の執筆項目は次のようになる。
・「はじめに」
・本書の利用法
・「私は音読をすすめます」
・問題の例~「UNIT 1●地球の環境について」より
「はじめに」
安河内哲也『英語長文ハイパートレーニング レベル2 標準編』(桐原書店、2020年[2004年初版])の「はじめに」において、安河内哲也氏は次のようなことを述べている。
・大学入試の英語は長文読解力で決まる。
「長文」を制するものが入試英語を制す、と言っても過言ではない。
・英文読解に必要な技能は、文法力・単語力・熟語力・速読力・大意把握力・設問解法と多岐にわたる。
⇒これらをすべてバランスよく、ていねいにトレーニングするしかない。
〇本書は、今までバラバラだった精読・速読・設問解法・単語・熟語・文法・構文・パラグラフリーディングが、レベル別にまとめて勉強できる画期的な問題集であるという。
⇒すべての受験生が「使いやすく」「わかりやすく」「力がつく」作りになっていると、著者は強調している。
例えば、すべての英文に構造図解があり、すべての設問に解答の根拠が示されている。
・単語・熟語は細かにリストアップされる(単語集・熟語集の機能)
・何度も音読を繰り返し、速読力を身につけるための「速読トレーニング」により、速く長文を読むトレーニングができるようになっている。
⇒本書には、速読トレーニングのためのCDが付録としてついている。
※英語は野球などのスポーツにたとえられる。
語彙力は筋力で、文法力はルールの理解のようなもの。英文読解こそが一番大切な「試合」である。
⇒皆さんは、英文読解という最高に刺激的なゲームを始めるところであると、著者は励ましている。
(安河内哲也『英語長文ハイパートレーニング 標準編』桐原書店、2020年[2004年初版]、3頁)
本書の利用法
☆本書を使った英文読解の勉強法として、次のような効果的な使用法を紹介している。
解いて、答え合わせをするだけの無意味な学習から、将来も役に立つ“本物”の英文読解力が身につく学習へとやり方を変えることを勧めている。
①問題にチャレンジ!
・目標時間をめやすに別冊の問題を解いてみる。
②設問解法を学ぼう!
・解答を見て赤ペンで答え合わせをする。
・解答と解読を読んで、選択肢や答えがどうして正解なのか、また不正解なのかをよく確認する。
③精読とテーマ読解を学ぼう!
・「徹底精読」のページで、英文の読み方や文法のポイントを学び、英文の構造のとらえ方を学ぶ。
・また、パラグラフごとの要旨を確認し、英文のテーマを把握する練習もする。
・「精読記号」のついた英文を読み、英文の構造を見抜く訓練もする。
※「精読記号」には、名詞の働きをするもの(名詞、名詞句、名詞節)
形容詞の働きをするもの(形容詞、形容詞句、形容詞節)
副詞の働きをするもの(副詞、副詞句、副詞節)
などで区別されている(14頁~19頁)。
④音読で速く読む訓練をしよう!
◎「速読トレーニング」を使って、左から右へと英文を読む訓練をする。
・まず、英語→日本語、英語→日本語、というふうに、“同時通訳風”の音読で、速度を上げていく。
・さらに日本語が必要なくなった段階で、英語のみを音読し、意味を理解する訓練をする。
※何度も繰り返すことが重要。
⑤ネイティブレベルにチャレンジ!
・巻末の白文の問題英文を音読し、それと同時に明快に意味を把握することに何度もチャレンジする!
(この段階で100パーセント英文が理解できることが本書の長文学習のゴールだという)
※なお、このシリーズは、個人のレベルに合わせて長文読解の学習が始められるレベル別問題集であるという。
各レベルの構成は次のようになっている。
※本書は、『大学入試 英語長文ハイパートレーニング レベル2 センターレベル編』のレベルの名称を『標準編』と改題し、新々装版として刊行したものであると、付記されている。
(安河内哲也『英語長文ハイパートレーニング 標準編』桐原書店、2020年[2004年初版]、2頁、6頁~9頁)
「私は音読をすすめます」
安河内哲也『英語長文ハイパートレーニング レベル2 標準編』(桐原書店、2020年[2004年初版])の「私は音読をすすめます」において、安河内哲也氏は次のようなことを述べている。
・日本人の英語学習書は諸外国の学習者と比較して、しばしば英語の運用能力が劣っていると言われる。
その理由の1つは、言語学習の基本である音読訓練を軽視していることにあると、著者は考えている。
そして、英文読解力の基礎を築くための最高の訓練は、「英文の音読」であると、強調している。つまり、音読は文法や語彙の習得など、あらゆる言語能力の習得に威力を発揮するが、特に英文読解力の育成において重要であるという。
【英文読解の学習において音読が重要な理由】として、次の4点を挙げている。
①音読で脳が活性化する。
②左から右へと考える習慣がつく。
③直読直解を可能にする。
④動作記憶と言語感覚が身につく。
(安河内哲也『英語長文ハイパートレーニング 標準編』桐原書店、2020年[2004年初版]、10頁~11頁)
問題の例~「UNIT 1●地球の環境について」より
安河内哲也『英語長文ハイパートレーニング レベル2 標準編』(桐原書店、2020年[2004年初版])では、目次を見てもわかるように、UNIT 1~12まで、12のテーマについて問題が出されている。すべてを紹介することはできないので、この中で、「UNIT 1 ●地球の環境について」のおおよその内容を紹介しておきたい。
(「徹底精読」などにおいて、英文の構造について詳しく解説しているが、省略していることをお断りしておく)
UNIT 1 ●地球の環境について
UNIT 2 ●人類の進化の歴史
UNIT 3 ●日米の意見の述べ方の違い
UNIT 4 ●アメリカの自動車産業
UNIT 5 ●「悪いことは重なる」という話
UNIT 6 ●警察官の仕事
UNIT 7 ●俳優業とは?
UNIT 8 ●点字の歴史
UNIT 9 ●詩人と科学者の知恵比べ
UNIT 10 ●イギリス人の習慣
UNIT 11 ●もし私が独裁者になったなら
UNIT 12 ●バッグをなくした外国人の話
「UNIT 1 ●地球の環境について」は、地球の環境の複雑さと精密さを述べる英文である。
温室効果、オゾン層の破壊など地球環境の悪化が続いている現在、環境に関する英文の出題は急増しているそうだ。
この種の英文を読破するために、地球が抱えている様々な環境問題を知っておきたい。
本文では、地球の様々な部分は相互に関係していることを、時計にたとえて説明している。文意を正しく読みとり、どのような設問がなされているかを参考にしてほしい。
◇次の英文を読み、後の問いに答えなさい。
Why is our earth the kind of planet it is? Not only because it is
full of a number of things. Not only because some parts are more
full of things than others. But also because the things in it are
related. The earth is like a watch. (ア) (1)about (2)of (3)acci
dental (4)the mechanism (5)nothing (6)there’s (7)a
watch. Each part is a working part and each is absolutely necessary
to make the watch go. Furthermore, the watch can go only when
each part is ( イ ) connected with other parts.
All the parts of the earth are ( ウ ) working parts, and are
necessary to make it “go.” Consider physical features such as the
Grand Canyon of the Colorado River and Mt. Fuji, in Japan. They
are the result of relationships between the land, the water, and the
air. These relationships started millions of years ago and have
continued ( エ ) this very day.
There’s another (オ) way in which the earth resembles a watch.
It’s a precision instrument. Unlike a watch, it shows no sign of
( カ ) down or stopping. “Seed time and harvest, and cold and
heat, and summer and winter, and day and night” continue to arrive,
( キ ) time.
How do we understand how a watch works? Only by knowing
what use each spring, gear, and wheel serves, and how the parts
hang together. (ク) In the same way, we can understand how our
world works only by getting to know the parts and the relationships
between them.
This, however, is not easy, even if it could be done ( ケ ).
For there are far more working parts to the earth than to a watch or
( コ ). Nobody yet knows exactly how many working parts there
are. After all, some parts of the world are still barely known. Large
areas of Antarctica remain unexplored. So are large areas of the
atmosphere and the oceans, (サ) (1)are (2)both (3)at work
(4)which (5)of all the time cooling and warming, drying and
moistening the land surfaces of the earth. Then again, some of the
relationships between the ( シ ) working parts are not fully
understood.
【設問】
1. (エ) 、(キ)に入る最も適切な前置詞を、①~④の中から1つ選びなさい。
(エ) ①after ②by ③on ④to
(キ) ①at ②by ③with ④on
2. 本文の内容に合うように(イ) 、(ウ) 、(カ) 、(ケ) 、(シ)に入る最も適切な語を、①~④の中から1つ選びなさい。
(イ) ①accidentally ②directly ③normally ④properly
(ウ) ①frequently ②likewise ③otherwise ④reasonably
(カ) ①coming ②going ③letting ④running
(ケ) ①at last ②at most ③at all ④at that
(シ) ①completed ②known ③uncompleted ④unknown
3. (コ)に入る適切な句を、①~④の中から1つ選びなさい。
① all other precision instruments
② any other precision instrument
③ no other precision instruments
④ some other precision instrument
4. 下線部(ア)を並べ換えて正しい文を作ったとき、3番目にくる語(句)と5番目にくる語(句)の番号を答えなさい。ただし、文頭にくる語(句)も小文字になっている。
5. 下線部(サ)を並べ換えて正しい文を作ったとき、2番目にくる語(句)と4番目にくる語(句)の番号を答えなさい。
6. 下線部(オ)の単語wayと同じ意味で使われているものを、①~④の中から1つ選びなさい。
① Do you know the way to the station?
② In some ways, it’s quite a good idea, but the high cost makes it impossible.
③ There are many ways of solving the problem.
④ Which way is the library from here?
7. 下線部(ク)を日本語に訳しなさい。
8. 本文の内容と一致しないものを、①~⑤の中から1つ選びなさい。
① The earth is a complicated machine consisting of countless parts working together.
② All of the various parts of the earth are necessary for it to continue as it is today.
③ Unlike a watch, the earth is slowly approaching its end.
④ We need to learn how the different parts of the earth interact.
⑤ It is difficult to understand how the earth works because it has
many complicated parts.
【解答と解説】
1. (エ)④to
※ to this very dayは、「今日に至るまで」という意味のイディオム
(キ) ④on
※ on time は、「時間通りに」という意味のイディオム
(cf.) in time は、「間に合って」「やがて」という意味
2.
(イ)④properly
※時計の機能の正確さを述べている箇所なので、「適切に」という意味のproperly
(ウ)②likewise
※時計と地球を比較して、その類似点を述べているので、「同様に」という意味のlikewise
(カ)④running
※ run down は時計などの機械が「故障して止まる」という意味のイディオム
(ケ)③at all
※ at allはif節の中で使われると「そもそも[少しでも](…するにしても)」という意味になる。not …at allという否定文で使われる場合は「まったく[少しも]…ない」という意味になる。
(シ)②known
※直前の文では、地球にはまだ未知の部分が多いということが論じられている。
これに対して、この文は、「既知の」部分の関係もまだ解明されていないということを論じている。
⇒「既知の」という意味の単語known
3.
② any other precision instrument
※<比較級+than any other +名詞>は「他のどんな~よりも…」という意味の比較の重要表現(名詞の部分には普通、単数形)
4. 3番目にくる語(句)は(3)、5番目にくる語(句)は(4)
※正解文:There’s nothing accidental about the mechanism of a watch.
<there is something +形容詞+about~>は、「~には何か…なところがある」という意味の重要構文。この文はnothing を使った否定文になっている。
5. 2番目にくる語(句)は(5)、4番目にくる語(句)は(1)
※正解文:both of which are at work
<先行詞+数量を表す代名詞+of+which[whom]>は、先行詞の数や量を限定して直後で説明する場合に使う関係詞の構文。(非制限用法で使われる)
6.
② In some ways, it’s quite a good idea, but the high cost makes it impossible.
※①の文では「道筋」、②の文では「点、面」、③の文では「方法」、④の文では「方向」という意味で使われている。本文では「点、面」の意味で使われている。
7.
同様に、各部品とそれらの間の関係を知ることができるようになってはじめて、私たちは私たちの地球がどのように動くのかを理解できる。
※ in …wayは「…な方法で」という意味の重要表現。
⇒ in the same wayで「同様に」と訳せばよい
※ how S Vは「どのようにSがVするか」「SがVする方法」という意味の名詞節を作り、この文ではunderstand の目的語になっている。
※ onlyが副詞句の前に置かれると、この文のように、しばしば「…になってはじめて、ようやく」という意味になる。
※ get to Vは「Vするようになる」という意味。
※ the partsとthe relationshipsがand という接続詞で並べられている。
8.
③ Unlike a watch, the earth is slowly approaching its end.
※選択肢の和訳
①地球が一体となって動く無数の部分で成り立っている複雑な機械である。
②地球の様々な部分はすべて地球が今日の状態であり続けるために必要である。
③時計とは違って、地球はゆっくりとその終わりに近づいている。
④私たちは地球の異なる部分がどのように互いに影響し合っているのかを学ぶ必要がある。
⑤複雑な部分が多いので、地球がどのようにして動くのかを理解するのは難しい。
注意すべき点は、第3パラグラフでは地球は「止まることがない」と述べられている点。
※参考までに語句を抜き出しておく。
また「問題英文と全訳」(196頁~197頁)には、上記の「UNIT 1 ●地球の環境について」の問題英文と全訳が載せてある。白文を見ながら音読し、スラスラ意味がわかるようになるまで、CDを聞きながら練習することを、安河内先生は勧めている。
【語句】
・related (形)関連のある
・accidental (形)偶然の
・connect A with B (熟)AをBと連結する
・physical feature (名)地形的特徴
・relationship (名)関係
・precision instrument (名)精密機械
・run down (熟)(時計などが)動かなくなる
・seed time (名)種まきの時期
・on time (熟)時間通りに
・spring (名)バネ
・hang together (熟)くっつく
・Antarctica (名)南極大陸
・unexplored (形)未調査の
・at work (熟)活動中で
(安河内哲也『英語長文ハイパートレーニング 標準編』桐原書店、2020年[2004年初版]、2頁~4頁、20頁~31頁、196頁~197頁、220頁)
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