Lespedeza Museum of Photography レスペデーザ写真美術館

カメラマンな管理人のおたく趣味の雑記と二次創作&コスプレ写真のブログです。Lespedeza(萩)の花言葉は柔軟な精神。

ハイスクール・フリート-The Journey Home-

2016年07月02日 23時23分00秒 | 二次創作小説

こちらは「ハイスクール・フリート(はいふり)」の二次創作小説になります。二次創作が苦手な方はブラウザバックでお願い致します。


「沈む!艦(ふね)が沈むぞ!」

誰かが叫ぶ声が響く。日が傾きかけた横須賀港で今、一隻の艦の命が尽きようとしていた。

横須賀女子海洋学校所属の陽炎型航洋艦「晴風」。

航海実習の為に新入生を乗せて出港した矢先、集合先の西之島新島で遺伝子操作実験中に偶然生まれたウィルス「RATt(全体主義の疾患)」の漏洩事件が発生。

紆余曲折の末、晴風とその乗組員、そしてドイツの航洋艦アドミラル・シュペーなどを含めた連合艦隊の尽力でウィルスの影響で暴走状態にあった航洋艦「武蔵」の阻止に成功。

しかし事件がようやく終息し横須賀に一ヶ月ぶりに帰港した矢先、武蔵との戦闘での損傷が元で沈没し始めた晴風。

直前に下船し晴風の最期を岸壁で見守る晴風の乗組員達。ある者は呆然と、そしてまたある者は涙をこらえつつ自分たちとともに戦ってくれた艦の最期の姿を眺めていた。入試の際の成績不十分でこの年の横須賀女子海洋学校の新入生としては落ちこぼれとされた彼女たちも波乱含みの航海の間に逞しく成長していた。

その中の一人、晴風艦長の岬明乃は涙を目に浮かべながら事件解決に尽力した晴風への感謝の笑みと敬礼で自分が乗っていた艦を見送る。そしてついに晴風はその身をすべて横須賀の海に沈めていった。

「艦長...」

副長の宗谷ましろが晴風の沈んだ海をずっと見続けてる艦長を気遣いそっと声を掛ける。苦難の旅を共にした艦が沈んだことは彼女にとっても大変なショックで、泣きそうになる気持ちを必死にこらえるましろ。

「シロちゃん、私、今まで負け続けだった」

そんなましろを逆に気遣い、優しく言葉を投げかける明乃。

「でも、今度は私の勝ち」

「え?」

思いがけない明乃の言葉に驚くましろ。

「だってほら見て」

振り向いた明乃が見つめる先にはましろ達晴風の乗組員や他の航洋艦の乗組員達。

「晴風のみんな、モカちゃん達と一緒に横須賀に戻ってこれた。それが私の、ううん私達の勝利だから」

「みんなと一緒ならどんな困難でも乗り越えられる。今はそう思えるの」

涙で目を潤ませながら満面の笑みで応える明乃。

「ええ」

明乃の言葉に感慨深げに応えるましろ。

「♪~」

晴風の乗組員達を見つめながら艦長は鼻歌を歌い出す。ましろを含めブルーマーメイドに憧れる者なら誰もが知るあの歌。武蔵との決戦の最中にデジタルミュージックをかけていたのも彼女だった。

「♪♪♪」

そんな明乃につられてましろも歌を口ずさむ。そんな二人を見て他の晴風乗組員達も歌を歌い始めた。

「懐かしいわ、あの歌」

「あなたもこの歌好きだったわね」

ましろの姉にして海の安全を守る治安組織「ブルーマーメイド」の統括官である宗谷真霜の言葉に二人の母で横須賀女子海洋学校の校長でもある宗谷真雪が応える。

妹(娘)が仲間と無事に横須賀に戻ってきててくれた事に二人共内心ましろをグッと抱きしめて喜びたい気持ちを立場のある身としてぐっと堪えていたのだが、晴風の乗組員達の歌声に感慨深いものを感じていたのだった

「そうだ、こうしてはいられないわ」

「どうしたの、真霜?」

「サルベージ船の手配です、お母さ、いえ宗谷校長。晴風の今回の事件に関する一連の記録は回収しないといけませんし、ここに沈んだままでは港湾施設の運用に支障が出ますから。それに…」

「それに?」

「彼女たちと一緒に戦ってくれたあの艦(ふね)を魚礁にするのはあまりにも不憫すぎます」

「そうね」

真霜の言葉に答えながら晴風の乗組員達を見つめる宗谷校長。

<上に晴風修復の予算、直談判しないと>

事件解決に尽力してくれた晴風乗組員達に自分の立場で出来るだけの事をしてあげようと密かに誓う真雪。実際のところ真霜も晴風のサルベージに関してはブルーマーメイドの統括官ではなくましろの姉として末の妹に出来ることをしてあげたいという思いが強かったのである。

そして晴風乗組員たちの歌に惹かれて他の航洋艦の乗組員たちも集まってきた。

「ミケちゃん、私も一緒に唄っていいかな?」

そう聞いてきたのはウィルスの蔓延した武蔵艦内で非感染者の生徒たちと共に耐えぬいた艦長にして岬明乃の幼馴染、知名ともか。

「私に資格があるかどうか分からないけどよかったらご一緒させて貰える?」

事件発生直後にウィルスに感染し、その影響で晴風に反乱の汚名を着せてしまった少し気まずさから遠慮がちに尋ねる横須賀女子海洋学校の教官、古庄薫。

「私もその歌が好きだ!一緒に歌わせてくれ!」

はりきってやってきたのはウィルス事件のさなか一時的に晴風に身を寄せていたシュペー副長のヴィルヘルミーナ。

「みんな大歓迎だよ!」

元気いっぱいに応える岬艦長。やがて武蔵や晴風救援に駆けつけた他の航洋艦の乗組員たち、ドイツ艦の乗組員も加わり大合唱に。

夕焼けの横須賀港に喜びの歌が響き渡っていた。

-END-


 一時はどんな展開になるかと気になって仕方なかった「ハイスクール・フリート」。先日無事に最終回を迎えたのですが最後の最後に主人公たちの乗っていた航洋艦「晴風」が横須賀港で沈没する(全員が下船した直後に沈んでしまいました)という事態に。

ところが沈没する間際の艦尾が大きく浮き上がった晴風の姿をみてあるシーンを思い出したのです。2004年に発売されたPS2ソフト

エースコンバット5 ジ・アンサング・ウォー

その中で登場し、主人公たちが身を寄せることとなった空母「ケストレル」。ゲームの最終盤で敵潜水艦のミサイル攻撃を受けて撃沈されてしまう(この際、主人公たちを何が何でも出撃させようというケストレル艦長ら乗組員の熱いドラマが展開します)のですが、その時のケストレルの最期の姿と晴風の姿がダブって見えたのです。

今回の小説は実際のところエースコンバット5のケストレル沈没の場面のオマージュなのです。エスコンもはいふりも共に泣けたシーンだったので、両作が好きだという想いを込めて書きました。(判る人にしか判らないネタなのは百も承知)

ところで主人公たちの乗っていた艦が沈んだとはいえ場所が横須賀港だったのでほぼ間違いなく引き揚げは可能と思われます。となると今回沈んだのは2期などさらなる展開に向けての布石じゃないかという強い予感があったりします。

7月からローソンでハイスクール・フリートキャンペーンが本格的に実施などまだまだ目が離せないはいふりです。

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