ラモー:クラヴサン、フルート、チェロのためのコンセール集(第1コンセール~第5コンセール)
第1コンセール:①ラ・クゥリカン②ラ・リヴリ③ル・ヴェジネ
第2コンセール:①ラ・ラボルド②ラ・ブーコン
③扇情的な女④ムニュエ(メヌエット)第1、
ト長調―ムニュエ(メヌエット)第2、ト短調
第3コンセール:①ラ・ラ・ポブリエール②内気な女
③タンブラン第1、イ長調―タンブラン第2、イ短調
第4コンセール:①ラ・バントミム②無分別な女③ラ・ラモー
第5コンセール:①ラ・フォルクレー②ラ・キュピス③ラ・マレ
フルート:ジャン=ピエール・ランパル
クラブサン:ロベール・ヴェイロン=ラクロワ
チェロ:ジャック・ネイ
発売:1977年8月
LP:日本コロムビア OW‐7728‐MU
ジャン=フィリップ・ラモー(1687年―1764年)は、フランス・バロック音楽の作曲家。青年時代をイタリアやパリにすごした後に、クレルモン大聖堂の教会オルガニストに就任。その後、パリに定住し、フランスの指導的な作曲家にまで上り詰める。「イッポリットとアリシー」「優雅なインドの国々」「カストルとポリュックス」「ダルダニュス」「プラテ」「ピグマリオン」「ゾロアストロ」など、歌劇の作曲には特に力を入れ、「ナヴァールの姫君」によって「フランス王室作曲家」の称号を得ることになる。このほかの作品では「クラヴサン小曲集」や今回のLPレコードのクラヴサン、フルート、チェロのためのコンセール集(第1コンセール~第5コンセール)などを作曲している。クラヴサンとは、イタリア語でいうチェンバロのことで、英語ではハープシコード。この作品では、クラヴサン、フルート、チェロの3つの楽器が、対等の立場で合奏するスタイルをとっており、聴いていて実に安定感のある音楽を楽しむことができる。バロック時代のいわゆるトリオ・ソナタとも、古典派時代以降のピアノ三重奏曲とも異なった一種独特な楽曲のジャンルを形成しており、クラヴサンのパートが、競奏的な要素をかなり強く持っている点に特徴がある。大部分が表題を持った舞曲調の曲であり、舞曲の形式を反映して、2部形式のものが多いが、なかには幾分発展して、ソナタ形式に近づいているもの、さらにロンド一形式のものもみられるが、第5コンセール:①ラ・フォルクレーだけは、例外的にフーガ形式をとっている。バッハなどのドイツのバロック音楽とは違い、フランスのバロック音楽であるこの曲は、情緒的な雰囲気が曲全体を覆い、優雅な雰囲気が、聴いていて誠に心地良い。第1~第5の各コンセールは3つの楽章からなっており、曲にはそれぞれ固有名詞が付けられているが、それらはラモーと関係のある人名や地名、あるいはラモー自身の名さえ付けられている。また、「扇情的な女」「内気な女」「無分別な女」などの名称が付けられている楽章があるが、何か謎めいていて面白い。演奏しているフルート:ジャン=ピエール・ランパル(1922年―2000年)、クラブサン:ロベール・ヴェイロン=ラクロワ(1922年―1991年)、チェロ:ジャック・ネイは、当時のフランスが誇っていた名手たちであり、その演奏内容は、実のしっかりとした構成感に加え、しっとりとした情感が何ともいえない優雅な雰囲気を醸し出している。(LPC)