Harvest*

日々の中で感じたことや思ったことの記録

金魚の主

2014-04-21 11:34:30 | 日記
春になって金魚たちが元気に泳いでいます。
うちの庭の池に金魚がいるのですが、彼らの様子を見ていると面白いです。

といっても、年間を通してほぼ餌もあげず、
どうやって何を食べて生き延びているのかまったく謎の金魚たちです。

冬場も、池に氷が張ってその上に雪まで積もるのに、
春になると元気に泳いでいる金魚たち。
一体どうやって冬を越しているんだろう…と春になる度にいつも思います。

春になると、ノラ猫に引っ掻かれて命を落とす金魚や、
ぶらりとやってきたアオサギに狙いをつけられて
食べられてしまう金魚たちもたまにいます。

そんな家の池にいながらも、
ほぼ野生むき出しで生きていかねばならない金魚たちなので、
彼らの野生の感性は鋭く研ぎすまされています。

水槽で飼育されているような金魚たちとは比べ物にならないくらい素早く、
おまけにとても警戒心が強いので、
池に近づくかなり前から、ヒュンッ!と岩陰の見えないところに隠れてしまいます。

そんな金魚たちを仕切っている一番大きな金魚が一匹いるのですが、
わたしはその金魚を勝手に「ヌシ」と呼んでいます。
群れのリーダーで、素早さもピカ一です。

そうでないと、何年も越冬しながらこの池では生きていけなかったんだろうなぁ…。

たまに気まぐれで金魚の餌を池にパラパラさせても、
他の金魚たちはパクパクと食べるのですが、
ヌシは絶対に岩陰から出てこず、与えられた餌を食べようとはしません。

そんなヌシも、始めはホームセンターで売られているような普通の金魚でした。
買ってこられた当初は、野生なんて忘れていたのかもしれません。

ここに来たのが運のツキなのかなんなのか…。
かわいがられ、餌の心配なく生きていけるような
水槽暮らしとはほど遠い環境に放流されて…。

否が応にも本来持っていた野生を研ぎすまさせなければ
生き延びることができなかったんだろうなぁ…と。

他の金魚たちは、ヌシの動きに従って、
外敵から身を守るための素早さ、隠れ場所を学んでいるような気がします。

そんな、孤高のヌシの姿を見ていると、
応援はしないけれど、なんだか綺麗でかっこ良くて、励まされるんですよね。

「お、今日もヌシは生きているな」

と遠くから池にヌシの姿を見つけると、ちょっとホッとして、
自分もがんばろうって生きる希望が湧いてくるこの頃です。