今宵の一枚は渡辺貞夫のムバリ・アフリカだ。録音は1974年9月のライブ、レーベルはCBS Sony。日本のJazz Musicianではなんといってもナベサダが図抜けていて人気実力とも他の追従を許さない。Jazz好きのみならず広く音楽ファンの間で人気が高い。「カリフォルニアシャワー」で記録的なヒットを飛ばし、FM東京で日曜日22:00から放送された渡辺貞夫マイディアライフで人気は決定づけられた。一人のJazz Musicianにフォーカスした1時間番組、それも何年も続くなど今でも考えられない快挙、と言っても過言ではないだろう。それほど凄い人気だったのだ。以来今日まで日本のJazzをけん引し続けている。
彼のアフリカ好きはアルバム、マイディアライフで先刻ご承知とは思うが、なんといってもこの2枚組のライブは決定打である。ナベサダのフィルターを通したアフリカが見えるようだ。日本人が解釈したアフリカだろうか。腕利きな、当時(今も)日本を代表するスーパージJazz Playerの共演でどの曲も素晴らしい。特筆すべきは本田竹廣。失礼ながらこんなに上手いプレーヤーだったか、と思うほどに冴えた演奏だ。とりわけ、1枚目のA面3曲目ジャンボ・ブワナでbassとel-bassの掛け合いの後に左手から湧き上がるかのようなpianoの奔放たるサウンドが素晴らしい。この曲自体、JAZZ Rock的な趣もあり非常に楽しい曲だ。ナベサダのflと富樫雅彦のpercの絡みも見事。
ライブ録音ながらビックリするほど音が良い。細かい音をよく拾い、なにより楽器の分離が出色。各楽器の違いが明確でいステージ位置関係が目に見えるようだ。かつ音が厚く非常に聴きごたえがある。
CBS Sony見直したぜ。(笑)1974年当時はデジタル録音が進んでおらずアナログライクな音録りが主流。それが功を奏したのだろう。
Record1
side A
1.イタ
2.ババリ・プワニ
3.ジャンボ・ブワナ
side B
1.アフロ・トーク
2.ヒップ・トーク
3.タンザニア・ヤコ
Record2
side A
1.タヌ・ソング
2.マサイ・ソング~マサイ・ステップ
3.タンザニア・エ~ファンキー・タンザニア
side B
1.サバ・サバ
2.ハバリ・ヤコ
3.ムバリ・アフリカ
4.アンコール・タンザニア・エ
(personnel)
渡辺貞夫(as,fl,e-piano,角笛)
本田竹廣(piano)
鈴木勲(bass)
日野元彦(ds)
富樫雅彦(perc)
岡沢章(el-bass)
渡辺香津美(guitar)
宮田英夫(ts,perc)