徒然映画日記。

食わず嫌いは卒業し何でも観よう。思い切りネタバレありの「観た帳」です。

知恵の木

2008年02月02日 | ★★★★



知恵の木
おすすめ度
原題:The Learning Tree
制作:1969年 アメリカ
制作・監督・原作・脚本:ゴードン・パークス
出演:キール・ジョンソン アレックス・クラーク エステル・エバンス ダナ・エルカー マイラ・ウォータース ジョエル・フルーレン マルコム・アタベリー リチャード・ワード ラッセル・ソーソン ペギー・レイ

写真家ゴードン・バークスの初の長編劇映画「知恵の木」です。ハリウッド劇場映画初の黒人による監督・原作・脚本・制作作品だそうです。2年後に制作された黒人私立探偵のハードボイルド映画「黒のジャガー」が有名だそうですが、こちらはまだ観たことがありません。

時代は1920年代半ばのアメリカ。15歳のニュート(キール・ジョンソン)は、賢く優しい母(エステル・エバンス)と包容力のある父に大切に育てられています。身近な知人であるギャンブラー、カーターの死、ガールフレンドのアーセラ(マイラ・ウォータース)との恋と別れ、様々な出来事を通じ逞しく成長していきます。

黒人少年が様々な障害を乗り越えながら、成長していく様を丁寧に描いています。監督自身の自叙伝が原作なだけにリアリティのある演出で最期まで集中して鑑賞できました。特に終盤。主人公ニュートが鍵を握る裁判のシーンは思わず手に汗を握って観入ってしまいました。この作品の舞台から80年経過していますが、まだまだ人種問題は根強く残っています。いつかこの作品を観て「こういう時代もあったんだね」と言える日がくればいいな。

主人公ニュートを演じたキール・ジョンソン君はもちろん素敵でしたが、屈折した少年マーカス役のアレックス・クラーク君がすごくよかったです。悲しみや憎悪を抱えながら、もがき苦しんでいる姿を熱演してます。マーカス少年のエピソードだけでも不条理なことがまかり通っていた当時の風潮を感じることが出来ます。

ただ、派手な演出は全くないので人によってはものすごく退屈な作品かもしれません。

前田有一の超映画批評



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