徒然映画日記。

食わず嫌いは卒業し何でも観よう。思い切りネタバレありの「観た帳」です。

ヴィトゲンシュタイン

2008年02月05日 | ★★★



ヴィトゲンシュタイン
おすすめ度
原題: Wittgenstein
製作:1993年 イギリス 日本
製作総指揮:浅井隆 ベン・ギブソン
監督:デレク・ジャーマン
脚本:デレク・ジャーマン テリー・イーグルトン ケン・バトラー
出演:カール・ジョンソン マイケル・ガウ ティルダ・スウィントン ジョン・クェンティン クランシー・チャッセイ ネイビル・シャバン

20世紀を代表する哲学者のひとり、ルードヴィヒ・ヴィトゲンシュタインの波乱万丈の人生とその思想を描いた伝記映画「ヴィトゲンシュタイン」です。

ルードヴィヒ・ヴィトゲンシュタイン(少年期=クランシー・チャッセイ、青年期以後=カール・ジョンソン)は、1899年にウィーンで生を受けます。工業界の大物の息子として裕福な家庭で育ちますが、一家にはなかなか複雑な事情がありました。4人中3人の兄が自殺、残りの1人のピアニストである兄パウルは、第一次大戦中に右腕を失います。そうした身近な人間の不幸を何度も目にしてきたせいか、ヴィトゲンシュタイン自身もかなり情緒不安定な人物でした。ケンブリッジ大学に進学したヴィトゲンシュタインは、思想家バートランド・ラッセル(マイケル・ガウ)の援助を受けます。ヴィトゲンシュタインの才能を高く評価していたラッセルは、後の著書「論理哲学論考」の出版に力を尽くします。

真っ暗なセットにスポットライト。鮮やかな衣装をまとった登場人物たちが作り出すちょっぴりトリッキーな世界。舞台を観ているようで面白かったです。

ヴィトゲンシュタインにもともと興味はなく、その昔社会科の授業の時に教科書で見かけたな・・・。という程度の薄い薄い知識で観ました。でもでも。このヴィトゲンシュタインという人!気になります。いわゆる「天才」にありがちな完ぺき主義者。よせばいいのに自ら棘の道を歩んでみたり。思いのほかエキセントリックで、ちょっとしたトラブルメーカー。自分の凄さをある意味分かってない人なんだなあこの人。気づかないうちに周囲の人を振り回し、何となく孤独感を味わう。それでまた生きるのが辛くなったりなんかして・・・悪循環。実に面白い人です。

彼は哲学者としてだけでなく、プロペラ設計・教師(←かなり問題はあったようですが)・設計士(お姉さんのお家を設計しました)・庭師(つなぎで頑張りました)など生涯様々な活動で生計を立てています。そして1951年(52歳)、ケンブリッジでこの世を去ります。死因は癌。彼が友人に残した最期の言葉は「素晴らしい人生だったと伝えてくれ」だったそうです。

ディープな人生だなあ。
伝記探してみよっと。

純粋に映画を楽しんだかどうかはちょっぴり謎ですが、面白かったです。


ヴィトゲンシュタイン@映画生活
前田有一の超映画批評



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