徒然映画日記。

食わず嫌いは卒業し何でも観よう。思い切りネタバレありの「観た帳」です。

ハンニバル・ライジング

2008年02月14日 | ★★★





ハンニバル・ライジング
おすすめ度
原題:Hannibal Rising
製作:2007年 イギリス チェコ フランス イタリア
制作:ディノ・デ・ラウレンティス マーサ・デ・ラウレンティス タラク・ベン・アマール
監督:ピーター・ウェーバー
原作・脚本:トマス・ハリス
出演:ギャスパー・ウリエル コン・リー リス・エヴァンズ ケヴィン・マクキッド

今回の「一気観」、いよいよラストです~。ハンニバル・レクターの殺人鬼スイッチが入ったエピソードが描かれた「ハンニバル・ライジング」です。

1944年リトアニアの名門貴族に生まれたハンニバル。一家は戦禍を逃れる為に住んでいた城を離れ別邸である山小屋に移り住みます。ある日山小屋にたまたま給水に立ち寄ったソビエト軍にドイツ軍の飛行機が攻め込んできます。巻き込まれた両親は死亡。ハンニバルは残された幼い妹と2人で山小屋で暮らすこととなります。そこへ脱走兵のグルータス(リス・エヴァンス)らがやって来ます。検問が張り巡らされ逃げ場のない彼らはそこに住み着いてしまいます。食料も尽き飢えに苦しむ一味。そんな彼らが目をつけたのは幼い子供2人。ついに妹ミーシャは彼らの「食料」となってしまいます。終戦後、ハンニバル(ギャスパー・ウリエル)は孤児院へ送られます。その場所は他でもないはかつての自宅であった古城。夜中に昔の両親が使っていた主寝室へ忍び込み、母が残した「手紙」を持ってハンニバルは城を脱走します。残された手紙の住所を頼りにパリの叔父を訪ねますが、既に叔父は死去。しかし、妻であるレディ・ムラサキ(コン・リー)が行き場のないハンニバルを迎えてくれます。

ようやく観ました~。
正直、今までの作品とは全くの「ベツモノ」です。
キャスト総替えだし、変わって当然ですけどね。まず、あんな面長なイケメン、ギャスパー・ウリエル君とアンソニーホプキンス氏が繋がりません(笑)殺人鬼と化した青年を見事に演じ切っておられます。なにはともあれギャスパー・ウリエル君のあやしーい美しさは充分に堪能できます。

もう一度観たくなる作品でないことは確か。
書きたいことがあまりないので、今回はこの辺で。

ハンニバル・ライジング@映画生活
前田有一の超映画批評



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レッド・ドラゴン

2008年02月13日 | ★★★★


レッド・ドラゴン
おすすめ度
原題:Red Dragon
制作:2002年 アメリカ
製作:ディノ・デ・ラウレンティス マーサ・デ・ラウレンティス
監督:ブレット・ラトナー
原作:トマス・ハリス
脚本:テッド・タリー
出演:アンソニー・ホプキンス エドワード・ノートン レイフ・ファインズ ハーヴェイ・カイテル エミリー・ワトソン

おさらいはこれでおしまいです。映画シリーズ3作目「レッド・ドラゴン」です。クラリスに出会う前のお話なので小説では一番最初の作品になるようです。

ハンニバル・レクター博士(アンソニー・ホプキンス)を命懸けで逮捕ウィル・グレアム(エドワード・ノートン)。その後精神的に疲れ果てた彼は一線から退きます。そんなグレアムの元にかつての上司ジャック・クロフォード(ハーヴェイ・カイテル)が訊ねてきます。連続殺人事件の捜査への協力依頼でした。しぶしぶ承諾したグレアムは、アトランタの現場へ向かいます。その後ボルティモア州立病院精神科へ向かい、事件解決の糸口を得る為レクター博士と対面します。

おっ。持ち直しましたね~。前回の奇天烈路線から、サイコスリラーな雰囲気に戻ってきました。よかった、よかった。今回の脚本は「羊たちの~」と同じテッド・タリー。何となく納得。どんなに原作がしっかりしてても、やっぱり脚本で随分違ってくるんですね・・・。

この「レッド・ドラゴン」はクラリスに出会う前のお話ということもあり、年齢設定は、「羊たちの~」より更に8年前に遡ります。1作目の発表から11年経った段階から更に8年ってことなので、役者さん的には20年近い年月を遡るかんじになるってこと??く・苦しい・・・。アンソニー・ホプキンスも「老い」てましたが、チルトン博士演じるアンソニー・ヒールド氏がお顔がしわっぽくて若干ファットな感じでした。役者さんって大変ですね。

さてさて。
次回はいよいよ今回の本命「ハンニバル・ライジング」。
昨年の作品なので正直先入観ばりばりあります。
どういう風に感じるんでしょうか?
わくわくします。

レッド・ドラゴン@映画生活
前田有一の超映画批評



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ハンニバル

2008年02月12日 | ★★★

ハンニバル
おすすめ度
原題:Hannibal
制作:2000年 アメリカ
製作:ディノ・デ・ラウレンティス マーサ・デ・ラウレンティス リドリー・スコット
監督:リドリー・スコット
原案:トマス・ハリス
脚本:デイヴィッド・マメット スティーヴン・ザイリアン
出演:アンソニー・ホプキンス ジュリアン・ムーア レイ・リオッタ フランキー・フェイゾン ジャンカルロ・ジャンニーニ

先日に引き続き「羊たちの沈黙」の続編「ハンニバル」です。本作はジョナサン・デミではなく、リドリー・スコット監督がメガホンをとってるんですね~。

バッファロー・ビル事件から10年。FBI特別捜査官として活躍するクラリス・スターリング(ジュリアン・ムーア)。ある日、赤ん坊を抱いていた麻薬売人イヴェルダ(ヘイゼル・グッドマン)を射殺したことで、マスコミやFBI内部から激しいバッシングを受けます。大富豪のメイスン・ヴァージャー(ゲイリー・オールドマン)はそんなクラリスに目をつけます。彼は、その昔ハンニバル・レクター博士(アンソニー・ホプキンス)に狙われた犠牲者のひとりでした。その恨みから異常なまでの執念でレクターを追っていたのです。政界にも強大な力を持つ彼は、司法省に務める野心家のポール・クレンドラー(レイ・リオッタ)を利用し、クラリスにレクターを逮捕する任務に就任させます。

監督だけでなくヒロインもジョディ・フォスターからジュリアン・ムーアに変わってるんですよね~。とっても頑張ってるんですが、ジョディ・フォスターのクラリスが観たかったなあ。とついつい思っちゃう。

でも、今回は何てったってメイスン役のゲイリー・オールドマンがはっちゃけているので、じぇんじぇん飽きませんでした。バッファロー・ビルは変にリアリティがあって怖かったんですが、今回のメイスンは何となく笑っちゃいました。いかにもな感じが映画らしい。なので「羊たち~」とはまた違うベクトルで楽しめました。(顔はついつい半笑いです。)

今回はレクター博士の違う一面が見れます。ああ、彼も人間なのね。とちょっとほっとします。レクター博士が彼女の髪を触るんですが、あれ見て思い出したのが、「羊たち~」の指を触るシーン。あれってどういう意味があるのかな?って気になっていたんですが、今回見て単純に「愛情」なのかな?って思ったんですが。その解釈でいいんですかね?

なんだかんだ言っても彼はやっぱり凶悪犯。基本すんごい悪い人です。そうそう。残虐ファイトもいっぱいありましたしポールのお食事シーンなんてもうそれはそれはものすごい鬼畜ぶりです。あんなことって本当にあるの?医学的に根拠があるのかなあ?あの嘘みたいな映像がおかしくて仕方ない(爆)

ちょっぴりイロモノっぽい目で観た事は否めませんが、面白かったです。はい。

ハンニバル@映画生活
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羊たちの沈黙

2008年02月11日 | ★★★★★




羊たちの沈黙

おすすめ度 
原題:The Silence of the Lambs
製作:1991年 アメリカ
制作:エドワード・サクソン ケネス・アット ロン・ボズマン
監督:ジョナサン・デミ
原作:トマス・ハリス
脚本:テッド・タリー
出演:ジョディ・フォスター アンソニー・ホプキンス スコット・グレン テッド・レヴィン アンソニー・ヒールド

久しぶりに「一気観」シリーズです。言わずと知れた名作「羊たちの沈黙」です。ロジャー・コーマン監督も俳優さんとして出演してたんですね~。今回初めて知りました。

FBIアカデミーの訓練生クラリス(ジョディ・フォスター)は、FBI上司ジャック(スコット・グレン)の命を受け、州立の精神病院へ行きます。面接の相手は患者を9人殺したという天才精神科医ハンニバル・レクター博士(アンソニー・ホプキンス)。表向きは凶悪犯のサンプル作りの為のアンケートでしたが、本当の目的は連続殺人者バッファロー・ビル(テッド・レヴィン)逮捕の為の捜査協力を得ることでした。初めはレクターの不気味さに戸惑うクラリスでしたが、自分に対する興味を利用し、彼女自身の幼少時代の思い出を語る事と引き換えに事件捜査のヒントを聞き出していきます。

「ハンニバル・ライジング」を観る前のおさらいに久々に観ました。やっぱり凄い作品ですね!面白い。よくできてる。1991年っつーことは、今からもう17年も前なるんですね。

犯人のバッファロー・ビルはむちゃくちゃなヤツですが実在したモデルがいます。一番母体となっているのがエド・ゲイン。死体の皮を使って家具や服を作っちゃいます。誘拐の手口はテッド・バンディ。腕の怪我を装い襲い掛かりました。悪い人です。女性の監禁方法はイリー・マイケル・ハイドニク。地下の穴に閉じ込めます。

こんな凶悪犯の複合体がバッファロー・ビルなのです。恐ろしいですね~。

徹底した取材によって作り上げた犯人像。主人公クラリスのバックボーンを交えながらの巧みな心理描写。レクター博士の内に秘めたる狂気。フランシス・ベーコンの絵画をヒントに作られたというレクターの芸術的な殺害現場。蛾。変死体。

全てにおいて完成度が高く、不気味で、重苦しい。(もちろん褒めてます。)
素晴しい作品でした。
軽くおさらいのつもりで観始めましたが、えらい興奮しちゃいました(照)


羊たちの沈黙@映画生活
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舞妓 Haaaan!!!

2008年02月10日 | ★★





舞妓Haaaan!!!
おすすめ度
製作:2007年 日本
監督:水田伸生
脚本:宮藤官九郎
出演:阿部サダヲ 堤真一 柴咲コウ 小出早織 伊東四朗

ちょっと気分を変えて毛色の違う作品を。
「舞妓 Haaaan!!!」です。

鬼塚公彦(阿部サダヲ)は東京の食品会社で働く舞妓マニアのサラリーマン。高校生のときの修学旅行で京都を訪れて以来、舞妓に夢中です。ある日公彦に京都支社に転勤が決まります。恋人(柴咲コウ)をあっさりと振り京都へ。ある晩お茶屋へ1人で繰り出しますが京都のしきたりであっさりと「一見さんお断り」の洗礼を受けます。諦めきれない公彦は、会社の社長(伊東四朗)にお供を志願しますが「仕事で結果を出したら考えてやる。」と言われます。死に物狂いで働き、実績を作った公彦。社長からも認められやっとの思いでお茶屋デビューの日を迎えます。そこでお茶屋常連のプロ野球選手・内藤と出会います。

阿部サダヲ初主演。クドカン脚本。面白い匂いはぷんぷんしていました。評判もよく、かなり期待して観ました。公彦は、サラリーマン→プロ野球選手→役者→市長選立候補→サラリーマン(放火犯)と怒涛の日々がはじまります。全ては内藤に「勝つ」ためだけの為に。

相変わらずテンションは高く、チョイ役のキャスティングもマニアックで面白い。・・・なのですが、何だかあまり盛り上がらなかったです。私のコンディションが悪かったせいかもしれませんね。ちょっとついていけてなかったです。

うむむ。
残念でした。テレビ放映されるときにもう一度観てみたいと思います。


舞妓 Haaaan!!!@映画生活
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ぼくを葬る

2008年02月09日 | ★★★★


ぼくを葬る
おすすめ度

制作:2005年 フランス
制作:フィデリテ オリヴィエ・デルボスク マルク・ミソニエ
監督・脚本:フランソワ・オゾン
出演:メルヴィル・プポー ジャンヌ・モロー ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ ダニエル・デュヴァル マリー・リヴィエール

オゾン監督の「死についての三部作」第二弾「ぼくを葬る」です。恥ずかしながら私、「まぼろし」未見でございます。近いうちに観たいと思いますが・・・。

新進気鋭のファッションカメラマン、ロマン(メルヴィル・プポー)は現場で突然のめまいに倒れこみ病院で検査を受けます。後日医者から余命3ヶ月という宣告をされ打ちひしがれるロマン。様々な感情が交錯する中、彼は同棲中の恋人サシャ(クリスチャン・センゲワルト)と別れ、家族に秘密にしたまま残残された時間を過ごすことを決めます。そして唯一の理解者である祖母ローラ(ジャンヌ・モロー)に会いに行きます。彼はローラにだけは自分の身体のことを告白していたのです。ある日行きつけのカフェに勤めるジャニィ(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)に意外な相談を持ちかけられます。

メルヴィル・プポーの端正な顔立ちがどんどん翳っていくのが切なかったです。あのガリガリぶりは、「マシニスト」のクリスチャン・ベイルぶりです。

とにかく美しい作品でした~。
主人公ロマンが自分の死と真摯に向き合い、受け入れていく姿が静かに描かれています。海辺のラストシーンが美しくて悲しかっです。

決して家族を撮らなかった彼が大切な人達をこっそりカメラにおさめていくシーンが痛々しくて切なかったです。彼の死後あの写真を見た人達はどんな気持ちになるんでしょうね。結局彼はローラ以外には誰にも真実を告げずたった一人で最後を迎えます。

若くして消えようとしている生命
新しく芽生える小さな生命
残された時間をどのように過ごすか
生きた証に何を残すか

私ならどう過ごすだろう。
3ヶ月なんてきっとあっという間だろうな。
意外と何もできずに終っちゃうかもね。


ぼくを葬る@映画生活
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異常心理分析官

2008年02月08日 | ★★★★




異常心理分析官

おすすめ度
原題:CHAIN OF EVIDENCE
制作:1999年 ドイツ
脚本:ティモ・ベルント
出演:クラウス・レヴィッチュ イェニファー・ニッチュ ミヒャエル・ブラントナー オリヴァー・コリットケ オリヴァー・シュトコウスキ

レンタル屋さんでいつも見かけては「また今度」と気になりつつ先延ばしにしていた「異常心理分析官」です。GyaOで発見して、ここぞとばかりに飛びつきました~。

腕利きの犯罪心理分析官デビッド(クラウス・レヴィッチュ)が、ある猟奇殺人の解決の為、人を集め講義をし被害者の写真を公開します。デビッドの思惑通り犯人はその中にいたのです。その逮捕のときに揉み合いになりデビッドは犯人を警察のボールペンで突き刺してしまいます。

そしてまた新たな事件が発生します。女性の口をテープで塞ぎ、警察のボールペンが突き刺さっていたのです。その後も同じ手口の犯行が続き、被害者は3名になります。警察関係者しか入ることのできない場所に保管してある備品が犯行に使われている事から身内の人間の犯行と断定。捜査を進めるうちにデビッドに二重人格になった過去があることが判明します。

異常心理分析官だなんて、タイトルを見るだけでわくわくします。レビューをちら見したとき「展開が見え見えでおもしろくない」っていうご意見が結構多かったんですが、私は、製作者の思うツボだったみたいで結構最後まではらはらできて楽しめました。でも。ドイツ映画なのに思いっきり英語だったのが残念。吹き替えだったんでしょうかね?

あんまり書きすぎちゃうとこの手の作品は全く楽しめないので、(と言いつつ、既に書きすぎちゃってる??どきどき)こ・今回はこの辺で。


前田有一の超映画批評



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ポルノグラフィックな関係

2008年02月07日 | ★★



ポルノグラフィックな関係
おすすめ度 
原題:UNE LIAISON PORNOGRAPHIQUE
製作:1999年 ベルギー・仏・ルクセンブルグ・スイス
製作:オリヴィエ・ローザン
監督:フレデリック・フォンテーヌ
脚本: フィリップ・ブラスバン
出演:ナタリー・バイ セルジ・ロペス ポール・パヴェル

雑誌の募集広告で出会い、身体だけの関係を重ねる男女の心の変化を描いた作品「ポルノグラフィックな関係」です。

男女それぞれインタビュー形式で既に終った2人の関係を振り返るという体で進行していきます。毎週木曜日。待ち合わせのカフェでコーヒーやワインを飲みながら何気ない会話を楽しむカップル。そのあと近くのホテルへ。幾度となく逢瀬を繰り返すうちにお互いにほのかな愛情を感じるようになります。

鮮やかな赤と青を強調した映像が印象的です。
二人の心の距離を象徴する表現なんでしょうかね。
ホテルの通路は赤の世界。
部屋の中は青の世界。
観客はなかなかお部屋に入れてもらえません(笑)

「ポルノグラフィックな関係」とは、何とも思わせぶりなタイトルですが、あえてそういうシーンを省いた作りになっていているのに好感が持てました。

女優さんのナタリー・バイさんは知的な感じがして素敵でしたし
俳優さんは「ハリー、見知らぬ友人」のセルジ・ロペスさんですし

結構楽しめました。

でも。
だから何?って感じでもありました。
以前観た「赤い部屋の恋人」ちっくでギリでアウトです(え?全然違う?)

なので星は2つっ。なのです。




ポルノグラフィックな関係@映画生活
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台風クラブ

2008年02月06日 | ★★★






台風クラブ
おすすめ度
製作年:1985年 日本
監督:相米慎二
製作:宮坂進
脚本:加藤祐
出演:三上祐一 紅林茂 松永敏行 工藤夕貴 大西結花

1985年の相米慎二監督作品「台風クラブ」です。懐かしい作品ですね。はじめて見た時は衝撃的なラストに呆然とした記憶があります。

ある夜、中学校のプールに、宮田泰子(会沢朋子)、毛利由利(天童龍子)、森崎みどり(渕崎ゆり子)、高見理恵(工藤夕貴)、大町美智子(大西結花)の5人の女生徒が騒いでいます。彼女たちは、先に来て泳いでいた山田明(松永敏行)をからかって遊びますが段々エスカレートしていきます。洒落にならない状況に危機感を覚えた明は部活途中でたまたま通りかかった同級生の三上恭一(三上祐一)と清水健(紅林茂)に助けを求めます。そこに担任の梅宮安(三浦友和)も駆けつけ、生徒たちのいたずらを諭します。翌日、恭一は登校の途中、理恵に昨夜のことを責めますが、理恵は上の空。近づいてくる台風のことばかり気にしています。そして台風が近付いた土曜日の朝、理恵は寝坊してしまいます。面倒になった彼女は学校をサボり東京へ出かけます。夕方。いよいよ激しい風雨が降り始め台風が町を襲います。学校では、生徒を早めに下校させ、梅宮と用務員が最後に鍵をしめ帰宅します。残されたれた生徒が居ることを知らずに・・・。

最初にこれ観たのって多分小学生のころだった気がします。「不思議な映画だなあ」って思いました。観終わってやけにモヤモヤ感だけが残りました。レズビアンな女の子、交際中の彼女とその母親たちに学校に乗り込まれるないだらしない教師、ちょっとイタイ男の子の変な愛情表現、中学生をナンパして自宅に連れ込む大学生(尾美としのり ぷぷっ。)、そしてそして優等生の自殺・・・・。

久し振りに観ましたがすごいなあ。「お年頃の気になるあんなことやこんなこと1本の映画に全部ぶち込んでみました」って感じです。気恥ずかしくて直視できないシーンに当時の時代性を感じます。

これ観ると妙に「バタアシ金魚」が観たくなります。

しょっぱい青春を思い出したいときにどうぞ。(なんじゃそりゃ)


台風クラブ@映画生活
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ヴィトゲンシュタイン

2008年02月05日 | ★★★



ヴィトゲンシュタイン
おすすめ度
原題: Wittgenstein
製作:1993年 イギリス 日本
製作総指揮:浅井隆 ベン・ギブソン
監督:デレク・ジャーマン
脚本:デレク・ジャーマン テリー・イーグルトン ケン・バトラー
出演:カール・ジョンソン マイケル・ガウ ティルダ・スウィントン ジョン・クェンティン クランシー・チャッセイ ネイビル・シャバン

20世紀を代表する哲学者のひとり、ルードヴィヒ・ヴィトゲンシュタインの波乱万丈の人生とその思想を描いた伝記映画「ヴィトゲンシュタイン」です。

ルードヴィヒ・ヴィトゲンシュタイン(少年期=クランシー・チャッセイ、青年期以後=カール・ジョンソン)は、1899年にウィーンで生を受けます。工業界の大物の息子として裕福な家庭で育ちますが、一家にはなかなか複雑な事情がありました。4人中3人の兄が自殺、残りの1人のピアニストである兄パウルは、第一次大戦中に右腕を失います。そうした身近な人間の不幸を何度も目にしてきたせいか、ヴィトゲンシュタイン自身もかなり情緒不安定な人物でした。ケンブリッジ大学に進学したヴィトゲンシュタインは、思想家バートランド・ラッセル(マイケル・ガウ)の援助を受けます。ヴィトゲンシュタインの才能を高く評価していたラッセルは、後の著書「論理哲学論考」の出版に力を尽くします。

真っ暗なセットにスポットライト。鮮やかな衣装をまとった登場人物たちが作り出すちょっぴりトリッキーな世界。舞台を観ているようで面白かったです。

ヴィトゲンシュタインにもともと興味はなく、その昔社会科の授業の時に教科書で見かけたな・・・。という程度の薄い薄い知識で観ました。でもでも。このヴィトゲンシュタインという人!気になります。いわゆる「天才」にありがちな完ぺき主義者。よせばいいのに自ら棘の道を歩んでみたり。思いのほかエキセントリックで、ちょっとしたトラブルメーカー。自分の凄さをある意味分かってない人なんだなあこの人。気づかないうちに周囲の人を振り回し、何となく孤独感を味わう。それでまた生きるのが辛くなったりなんかして・・・悪循環。実に面白い人です。

彼は哲学者としてだけでなく、プロペラ設計・教師(←かなり問題はあったようですが)・設計士(お姉さんのお家を設計しました)・庭師(つなぎで頑張りました)など生涯様々な活動で生計を立てています。そして1951年(52歳)、ケンブリッジでこの世を去ります。死因は癌。彼が友人に残した最期の言葉は「素晴らしい人生だったと伝えてくれ」だったそうです。

ディープな人生だなあ。
伝記探してみよっと。

純粋に映画を楽しんだかどうかはちょっぴり謎ですが、面白かったです。


ヴィトゲンシュタイン@映画生活
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化石

2008年02月04日 | ★★★★



化石
おすすめ度
制作:1975年 日本
制作:佐藤正之 岸本吟一
監督:小林正樹
原作:井上靖
脚本:稲垣俊 よしだたけし
出演:佐分利信 小川真由美 栗原小巻 杉村春子 中谷一郎 岸恵子 井川比佐志 山本圭 佐藤オリエ 宇野重吉 加藤剛(ナレーション)

黒澤明、小林正樹、市川昆、木下恵介の「四騎の会」製作の「化石」です。監督は小林正樹氏が勤めています。この作品、井上靖の同名小説をテレビ・ドラマ化したものを映画用にに再編集したものなんだだそうです。

建設社長の一鬼太治平(佐分利信)は、これまで仕事一筋に生きてきました。妻を亡くし男手一つで育て上げた二人の娘(小川真由美・栗原小巻)も嫁ぎひと段落した一鬼。そんなある日、社員の船津(井川比佐志)を連れて保養のためにヨーロッパへ旅に出ます。旅先であるパリの町を歩いている途中に美しいの日本人女性(岸恵子)とすれ違います。一鬼は何となくその女性が気になりましたが特に話しかけることもなくその場を後にしました。後に、その女性が、マルセラン夫人であることを知ります。その日の夜、一鬼は体調を崩してしまい、翌朝医者に診てもらうことになりました。数日後、船津あてに、病院から検査結果の知らせが入ります。たまたま船津は不在で、一鬼は自分を船津だと偽って結果を聞きます。何と病名は「癌」。余命は一年とのこと。動揺する一鬼ですが、数日間1人で過ごすことで何とか落ち着きを取り戻します。そんなとき、若い日本人の岸夫婦(山本圭・佐藤オリエ)に、パリ近郊のブルゴーニュ地方にあるロマンの寺の見物に誘われます。そしてその旅先で、一鬼の「同伴者」と名乗る喪服を着たマルセラン夫人瓜二つの女性が現れます。

ええもん観ました~!200分。随分長い作品でしたがまったく長さを感じませんでした。仕事人間の男が、自分の「死」を知ることによってこれまでの生き方、そして残された時間をどう生きるか悩み、苦しみながら自分の人生を見つめなおす、という内容。「私ならどうするだろう・・・?」と考えてしまいました。


(・・・きっと私は「身辺整理」。自分のモノは殆ど捨てちゃいます。たぶん。でも、この作品の主人公とは背負うものが違うから発想は、まったくちがいますね・・・(汗)。)

そしてそしてこの作品。演者・スタッフ共に物凄く豪華。「これでもか!」という面子にびっくりです。しかも舞台の8割は海外。当時、ここまでのロケって珍しいんじゃないのかな?重厚感のある加藤剛さんの「いかにも」なナレーションも最高です。

登場人物の所作や言葉の美しさがとても心地よい作品でした。最近の映画にはない言葉の響きに、「日本語の美しさ」を再確認できました。

見所満載の作品です。
あー。本当にええもん観れたな~。

化石@映画生活
前田有一の超映画批評



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ジェラシー

2008年02月03日 | ★★★★



おすすめ度
原題:Jealousy. Itarian Style
制作:1970年 イタリア
制作:ピオ・アンジェレッティ アドリアーノ・デ・ミケーリ
監督:エットレ・スコラ
脚本:フリオ・スカルペッリ アジェノーレ・インクロッチ
出演:マルチェロ・マストロヤンニ モニカ・ヴィッティ ジャンカルロ・ジャンニーニ マヌエル・ザルゾ

恋愛至上主義の中年男の暴走を描いたシニカルな恋愛コメディ「ジェラシー」です。1978年のジェラシー(Bad Timing)ではありません。

ある晩共産党の集会のあと片づげに行ったレンガ職人オレステ(M・マストロヤンニ)はビラの屑の中で眠ってしまいます。暫くして目を覚ますとそこには美しい女性が添い寝していました。彼女の名前はアデライデ(M・ビッティ)。花屋の売り子だという彼女から「以前からあなたを知っていた。あなたは私の運命の人だ」と告白されます。同情で結婚した年上の妻アントニア(J・セラトーザ)との関係はもうすっかり冷え切って味気ない日々を送っていたオレステ。アデライデとの日々は彼にとって何より大切なものとなります。完全に周りが見えなくなったオレステは浮かれまくり、ついには妻に浮気バレてしまいます。怒り狂ったアントニアは花屋に乗り込みアデライテは病院送りの大怪我をします。その事件を機にオレステは妻と別れアデライテとの再出発を決心するのでした。間もなく退院となりお祝いで行ったレストランでピッツァ職人のネロ(ジャンカルロ・ジャンニーニ)からハート型のピッツァを出され口説かれるアデライテ。そのピッツァ職人ネロこそ後にオレステの親友であり恋敵となる男なのでした。

いいですね~。久しぶりにテンションの高い作品に出会いました。こういうの好きです!マルチェロ・マストロヤンニって、黒沢年雄さんにしか見えなかったんですが、今回初めていいと思いました(←失礼)。あとモニカ・ヴィッティ!可愛いかった・・・(嬉)ファッションやインテリア車なんかがいちいち素敵でウキウキしました。登場人物のキャラもたっててみんな生き生きしてとっても楽しい作品でした。さくさくテンポよくすすむ物語も小気味好い!ラストまであっという間の102分でした。あー。楽しかった。

前田有一の超映画批評



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知恵の木

2008年02月02日 | ★★★★



知恵の木
おすすめ度
原題:The Learning Tree
制作:1969年 アメリカ
制作・監督・原作・脚本:ゴードン・パークス
出演:キール・ジョンソン アレックス・クラーク エステル・エバンス ダナ・エルカー マイラ・ウォータース ジョエル・フルーレン マルコム・アタベリー リチャード・ワード ラッセル・ソーソン ペギー・レイ

写真家ゴードン・バークスの初の長編劇映画「知恵の木」です。ハリウッド劇場映画初の黒人による監督・原作・脚本・制作作品だそうです。2年後に制作された黒人私立探偵のハードボイルド映画「黒のジャガー」が有名だそうですが、こちらはまだ観たことがありません。

時代は1920年代半ばのアメリカ。15歳のニュート(キール・ジョンソン)は、賢く優しい母(エステル・エバンス)と包容力のある父に大切に育てられています。身近な知人であるギャンブラー、カーターの死、ガールフレンドのアーセラ(マイラ・ウォータース)との恋と別れ、様々な出来事を通じ逞しく成長していきます。

黒人少年が様々な障害を乗り越えながら、成長していく様を丁寧に描いています。監督自身の自叙伝が原作なだけにリアリティのある演出で最期まで集中して鑑賞できました。特に終盤。主人公ニュートが鍵を握る裁判のシーンは思わず手に汗を握って観入ってしまいました。この作品の舞台から80年経過していますが、まだまだ人種問題は根強く残っています。いつかこの作品を観て「こういう時代もあったんだね」と言える日がくればいいな。

主人公ニュートを演じたキール・ジョンソン君はもちろん素敵でしたが、屈折した少年マーカス役のアレックス・クラーク君がすごくよかったです。悲しみや憎悪を抱えながら、もがき苦しんでいる姿を熱演してます。マーカス少年のエピソードだけでも不条理なことがまかり通っていた当時の風潮を感じることが出来ます。

ただ、派手な演出は全くないので人によってはものすごく退屈な作品かもしれません。

前田有一の超映画批評



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サヨナラ

2008年02月01日 | ★★★


サヨナラ
おすすめ度
原題: Sayonara
製作:1957年 アメリカ
制作:ウィリアム・ゲーツ
監督:ジョシュア・ローガン
原作:ジェームズ・A・ミッチェナー
脚本:ポール・オスボーン
出演:マーロン・ブランド 高美似子 パトリシア・オウエンス リカルド・モンタルバン レッド・バトンズ ナンシー梅木

そろそろグラミー賞授賞式が近づいてきましたね。今年は、いろんな意味でどうなるのか心配です。ヒロインの友人役を演じたナンシー梅木さんが助演女優賞を受賞した「サヨナラ」です。2003年に「ラストサムライ」で渡辺謙さんが助演男優賞にノミネートされたとき話題になりましたよね。

朝鮮戦争の英雄、米空軍のパイロット、ロイド・グルーバー少佐(マーロン・ブランド)は、突然の命令で、同僚のケリー(レッド・バトンズ )と日本へ渡ります。実はロイドの日本勤務は、婚約者アイリーン(パトリシア・オウエンス)の父、ウェブスター将軍の計らいによるものでした。将軍は夫人とアイリーンをアメリカから日本に呼び寄せていたのです。ロイドとアイリーンは再会を喜びますが、2人の気持ちがずれて、ぎくしゃくしてしまいます。そんな中アイリーンは観劇の際知合った歌舞伎役者ナカムラ(リカルド・モンタルバン)に魅かれていきます。

その頃、同僚のケリーは日本人女性カツミ(ナンシー梅木)との結婚を考えてました。当時タブーとされた日本人との交際に、ロイドは大反対します。しかしケリーの真剣さに心を打たれ、結婚式の立会人を受けることに。ある日ロイドは、松林歌劇の花形スター、ハナオギ(高美以子)を見かけ一目惚れをします。彼は何とか彼女に近づきたくて、毎日会いに出かけました。そして念願かなってようやくケリーとカツミの家でハナオギと会う機会を得たロイド。最初は軽い気持ちでしたが、いつしか真剣な交際に発展していきます。

歌舞伎役者「ナカムラ」に思わず爆笑(バリバリのメキシコ人。しかも白塗り。カタコトの日本語もたまりません)してしまいましたが、日本が日本らしく描かれていたのに驚きました。今まで観てきた「外国人が描いた日本」のなかで、一番リアリティがあったのではないかと思います。

ヒロインの高美以子さんは美しくて英語が堪能な女優でしたが、完全にナンシー梅木さんに持っていかれちゃってました。正直、ナンシー梅木さんは美人ではありませんが、恥らう姿や佇まいが何とも日本人らしくて可愛らしい。物語がすすむにつれ、彼女がどんどん魅力的に見えました。

あ。

あと、マーロン・ブランドの目がエロくて、気が散りました。
(あれは、きっと演技ではないはず。 笑)

ちなみにこの作品、歴史資料として見ても興味深い映像だと思います。当時(1950年代)の神戸港、伊丹空港、東京の町並みなど、50年前の日本の風景を垣間見る事が出来ます。また、松林歌劇団のモデルはOSK(大阪松竹歌劇団、現OSK日本歌劇団)だそうで、当時の大阪劇場公演シーンが使用されているそうです。

色んな角度から楽しめる作品。
面白いです。


サヨナラ@映画生活
前田有一の超映画批評



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