変化を受け入れることと経緯を大切にすること。バランスとアンバランスの境界線。仕事と趣味と社会と個人。
あいつとおいらはジョージとレニー




 ここはまだ海の底ではないが、昼下がりだというのに陽の光が届かない場所。そんな処に深海艇が佇んでいるのを見るのは、深海魚くらいのものだ。深海に潜ることを生業とした『月光』を名乗る船の中で一人、琢磨洋介は考え込んでいた。

 やるべきか、やらざるべきか。

 深海特有の静けさと機器や船体が発する音達、サラリーマンではあってもベテランであれば、そんなものに遮られることなく考え続けられる。日常は遠く地上にあり、ここは何物をも押し潰す地獄。そんな極端な対比が、究極の選択に結論を出そうとしている状況を見事に演出していた。

やるなら、いかにして?
変化を好む本能の声。
やらざるならば、なにゆえに?
歳相応に多くを知る知識からの警鐘。

結論を得るには、今暫くの時が必要と云えよう。

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