Port Askaig, Isle of Islay, PA46 7RP
カリラ蒸溜所の一つ北側の湾に沿って建てられているのがこのブナ
ハーブン蒸溜所で、カリラに向かう手前に「ブナハーブンはこちら」
という標識があったので、訪れてみました。
スコットランドを移動して感じたのは、おそらくは英国内で共通な
のだろうと思うのですが、「○○ →」という形式の標識があると
その先は曲がる必要があったり、目的地に到着するまでは、次の標
識や案内看板の類が一切なく、日本のように500mおきに看板がたっ
ていてナビゲートしてくれるということがないので、日本人の感覚
のまま進んでいくと「本当に大丈夫か?」と不安になります。
裏を返せば、自動車のラリー競技で使うマップと同じ考え方なので、
「ああ、ラリーマップの起源はここにあるのだな」と感じました。
カリラ蒸溜所の手前を左折してすぐ近く、の筈のブナハーブン蒸溜
所も「すぐ近く」とは「4マイルほど」でして、すれ違いが出来な
い細い道を延々と走っていくのですから、人里はなれた岬の突端に
でも行く様子で、ウィスキーのウェアハウス(貯蔵庫)が見えてきて
もまだ「ブナハーブン蒸溜所 →」という看板があって、弱ったも
のです。
そうこうして海辺に出たところに蒸溜所はありました。
ブナハーブン蒸溜所を訪れたのは、本日4ヶ所目にあたるので、す
でに夕刻となっており、最終の蒸溜所ツアーは出発した後。
ヴィジターセンターは既にクローズされていたため、オフィスに出
向くと、マネージャー氏が「今日はもう終わりだよ。次は明日だね」
と少し面倒くさそうに話しました。
仕方なく蒸溜所内をふらふらしていたら、ウェアハウスの中を見せ
てくれることになって反ってラッキーでした♪
ウェアハウスのなかでは、あちこちの樽の底から染み出してくる
ウィスキーの匂いを嗅いで「これはまだ若いウィスキーだ」とか、
「これはワイン樽のやつだから赤ワインの香りがする」「これは
シェリーの11年物だから今飲んだら素晴らしいぞ」とか、他の
蒸溜所のお仕着せツアーでは決して経験できないレアな体験をさ
せてもらいました!
アイラ島のウィスキーは、ピートと呼ばれる泥炭を焚くので非常に
焦げ臭いウィスキーが多いのですが、このブナハーブンではまった
くピートを焚かないので、ピーティー度を表す指標では2PPMとのこ
とです。
ブナハーブンのもう一つの特徴は、その蒸溜したウィスキーのほと
んどをシェリー樽に仕込んでいること。
こうして出来上がるウィスキーは、非常にリッチで華やかな特徴あ
るものになっています。
そうそう、最後に忘れてはいけないのは、昨今のシングルモルト・
ブームのなかで、多くの蒸溜所がマーケティング強化とともに積
極的な差別化の中でウィスキーラベルからイラストを消してしまっ
ているのですが、ブナハーブンでは頑固一徹ウィスキー自体の特徴
で勝負をしており、ラベルには大きなイラストが描かれています。
こういう細かいところも良心の表れ。
ブナハーブンはアイラ島の隠れた秘宝ですね。
スコットランド・アイラ島にて。
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