この前のブログに書ききれなかったことを補足します。
鞆の浦を訪れた際に、「保命酒」についても見学してきました。「保命酒」を江戸時代に一手に造っていたのが「中村家」ですが、その建物が重要文化財の「太田家住宅」として残っています。
「保命酒」は1685年に中村吉兵衛が餅米を主原料に16種類の漢方薬草を使って醸造した薬酒で、藩の指定を受けて独占で醸造販売していました。
明治になって中村家の専売権がなくなり、業者が増え、現在は4つの酒蔵で製造しています。
中村家の立派な屋敷は参勤交代の西国大名の宿所であり、江戸末期に三條實美らが京都から落ちのびたときも、後に上京する時も宿泊したそうです。
見る人によれば、なかなかの値打ち物の掛け軸が
「保命酒」と聞くと「養命酒」と似ていますが、それもそのはず、明治時代になって「保命酒」を造っていた人が県外に行って「養命酒」を始めたそうです。「養命酒」は医薬品になりますが「保命酒」は酒類のリキュールになります。私も1本買って帰り飲んでみました。あまり甘くなくて、漢方薬草がいかにも効きそうな味でした。
このツアーの最後に訪問した「白牡丹」酒造では、日本酒についていろいろと教えていただきました。
説明を聞いてなによりも驚いたのは、大吟醸と普通の酒のどちらが美味しいかです・・・
大吟醸は40%まで精米するので、それほど精米すると中心のデンプンだけになります。普通の米ではこれほど削ると砕けてしまうので、つぶれにくい山田錦がいいそうです。40%まで精米するとタンパク質はけずられるため雑味がなくなりますが、酒本来の美味しさはなくなります。大吟醸や吟醸は美味しいものと思っていましたが、そうとも言い切れないそうです。説明後の試飲でも、多くの人が美味しいといった酒は普通酒でした。その結果、皆さん、手頃な価格の普通酒を買って帰りました。もちろん私も。
日本酒といえば辛口を好む人が多いですが、辛口・甘口を決めるのは比重であり、水より軽ければ日本酒度が「+」になり辛口、重ければ日本酒度が「ー」になり甘口になるそうです。アルコール度が高いと比重が軽くて、糖分が多いと比重が重くなります。元々ワインの発酵状態を見るためのものでした。
日本酒については同じ酒を飲んでも「あまい」と感じる人と「からい」と感じる人に分かれるそうで、一概に「甘口」が「あまい」わけではないそうで、実際に味わってみないとわからないそうです。年配の人が「辛口」にこだわるのは、昔の安い日本酒は糖やアルコールを加えて3倍に伸ばした「三増酒」で口の中に「甘さ」がしつこく残った悪いイメージがあるそうです。ですから「辛口」「甘口」に惑わされないようにということでした。
酒蔵見学は、この時期は仕込む前のため、雑菌が入るので、中まで入れてもらえませんでした。残念でした。