『 窓から外を見たらコウモリが 』
髙橋 カリンさん 撮影
先日は、86歳の男が人質取って立て籠もり、病院へ発砲そして自宅アパートへの放火
という三重の事件があった。同年配なので何だか気になった。善悪別にして何と威勢が
よく元気のあるおっさんなのだろうと我が身に比べて思った。その気力意欲そして執念は
凄いものだ。
三件ともそれぞれに原因があるという。郵便局とは局員とバイク事故を起こした時の対応に
不満だったという(きっと役所のような態度で局は自分側の非は全く認めなかったのか)。
病院へは通院したことがありその対応に腹が立っていたとか(そんなことを言ったら私なども
殴ってやりたい様な何人かの町医者がいるけど)、自宅の放火は道路拡張で立退きを迫られて
いたという(86歳なんてどのアパートも断られるというから、どこへ行ったらいいのかこの年で
とさぞイライラしていたのだろうか)。それぞれに切れたりイライラの要因があったようだが、
元暴力団だったと聞いては、気の毒にという気持ちが急激に萎えてしまった。
日頃は案外やさしい人であいさつはする話や冗談も言うらしい。しかし一旦切れると大変で、
殺してやるぞ怒鳴り、TVを窓から何度も放り投げて大声を上げていたという。
奥さんもさぞ怖かっただろう。腹が立つとリモコンを投げつけるのだが奥さんに投げると怪我を
するのでTVにぶつけてそれでTVは壊れて、しまい二階から道路へ放り投げるのだという。
何だかやさしい様な恐ろしい様な感じだ。近所の人もさぞ怖かったことだろう。
人間だれしも二面性を有しており、善悪、明暗、といった正反対の素質を持っているという。
その裏の影の部分を抑えているものは、環境、境遇、育ちだろうか、理性とか常識や教養とか、
それとも持って生まれた本性から来るやさしさの強弱の度合いなのだろうか。
こんな大ごとではないが、身近でもちょっとしたことで切れて言い合い怒鳴り合いなどは
何度も見て来た。あの人がと信じられないような人もいた。
こうしてみると我々はどんな人でも、切れるという事の紙一重のところにいるような気が
してくる。
これからもいつも、何事に対しても冷静に心静かに心豊かに保つ様に心掛けたいものだ