『 明月院の瞑想の窓 』
須田 孝雄さん 撮影
老化のことを書くとどうしても愚痴やら嘆き節になってしまう。
現実を冷静に受け止めそして受け入れて、前向きに楽しくそれと共存するのが一番なのだと、
老人心理学でも教えているし、観念的には分かっている。
とかくこうしたことは書くのも読むのも考えるのも面白くはないものだ。
先日体の痒さに襲われて薬を塗ろうとして、背中の塗りにくいところなので裸になって三面鏡
の前で珍しくしげしげと日光の元で我が体を見た。
かなり前からだったが特に最近は、ふらつき、突然に起こる腰痛、体中の掻痒と痛み、筋の突っ張
り感と喉のつっかえ感やら咳や痰に悩まされている。
これだけは老化現象の中でも、些細なことで命に関わることではないけれど、嫌なことの一つ
ではないだろうか。
背中のかゆみにたまらず薬を付けようと昼間の明るい時間に裸になったのだが、目に入った自分の
裸に驚いた。勿論昔でも男性美に輝いていた肉体のわけでもないが、それでも艶と張りがあったはずだ。
三面鏡に写ったのは、胸筋の皺、二の腕のたるみ、思わず触るとまるで絹豆腐のような感触、肩の筋肉
が落ち骨が目立つ、それでいて腹だけは可愛らしくポッチャリ。太腿は細り皺だらけだ。
こんな我が姿に愕然とする。これが老化という自然現象だとすると、老化というのも結構残酷なものである。
表にさらす顔や首筋などはそのたるみ、垂れ下がった瞼やむくみ、皺でくすんだ色等はとうに認識していて
慣れていたが、この自分の裸の姿に改めて老いの現実というのを思い知らされた。
私はどうももう老人の坂道の一番坂の下に居るようだ。するともう道はこれからは平坦だけだろうから、
ゆっくり進めばいいのかも知れない。
明日からはにっこり笑って、できる限り体を動かして、暗くマイナス志向に考えず明るくそして無理にでも
楽し気にやっていこう!
それにしても早いものだ。
これといったことも何もせず、心や体の不調を嘆いているうちに11月も終わってしまう。瞑想!