花シリーズー9
ローズガーデン
先週の展覧会の会期中、己の体力と気力の限界から今後この絵をどうしようかと
思い悩んでいた。はやく決断すべきだと思うし、慚愧の念もあるし、後悔しないか
という不安や未練もあるし思いはなかなか決断できないで居た。
私は絵描きの家庭に生まれて、物心付いた時から絵画と共に育ってきた事もあって、
絵に対する思いは一入であり、描くのも観るのも好きであった。
描く方はほとんど遺伝しなかった様だが、観る方では子供の頃から今まで観てきた
枚数は誰にも負けぬ位だから、多少は見る目とか感性と言ったものが醸成されて来た
のではと勝手に自負している。従って、絵とは一生関わっているだろうと思ってきた。
しかし最近の私は、身体の諸々の不具合でだろうか、老いと言うことだろうか、よもや
私に限ってそんなことはあるまいと思っていたのだが、描く気力と共に、観る意欲すらも
減退してきた様だ。感激も喜びも薄くなって感動も苦しみもなければ面白味も少なくなる。
こんな気持ちならば思い切って、惚けた、要介護だと言われぬうちに自ら止めた方が良い
のではと考え始めた。
一方では、好きで始めて20年、しかも好もしい仲間や先生で、和気藹々の教室の空気、
スケッチ会そしてこうした展覧会の昂揚感や、暑気払い忘年会などの行事を思い起こすと
捨てがたいものだ。
そんな気持ちのせめぎ合いをしていたが、やはり体力気力の衰えによる事の方が勝りそうだ。
まさか絵とは一生お付き合いすると思っていたのだが。
完全に止めてしまったら、もう絵とは関係なくなってしまう。気分が乗ったら描いてみようか
なんて事もなくなるような気がした。
そして絵への関心を担保するために考えたのが、休会制度である。止めるのではなく休会である
という妙な形だが、それによって又意欲体力の復活があったら喜んで再開出来るかも知れない。
休会ならばその間でも絵への関心を全く切らすことなく維持できるかも知れないと思った。
そこで苦渋の決断の末に、会期中に今期の会長さんに正式に休会を申し入れた。
体調を整え身体を動かし、意欲を少しでも復活させ、必ずや再開しようと心に誓いながら。