これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

日本の活性化➍-2 :生産性、GDP、給与

2022-07-23 12:50:39 | 会社の活性化
【はじめに】
 今回と次回は『生産性』に着目して、日本の問題点を考えてみます。

 『生産性』と言う言葉は良く聞くのですが、「生産性向上対策を立案しろ」と言われると、「何を、どうしたら良いのか?」分からない方が沢山おられる様に思います。今回は、原点に帰って「生産性の定義」についても言及しました。 面白く無いですが、我慢して読んで下さい。

【企業の業績と給与】
 A社に勤めている従業員の給与は、A社の業績が向上しないとアップしません。 特殊な例ですが、求人難の時、某中小企業で大卒の新入社員の初任給をアップしたので、心太(ところてん)式に給与を見直した事が有りました。

 会社の業績が良くなっても、社員の給与が上がるとは限りません。 日本の優良大企業では、利益の大半を内部留保に回して、給与も配当もソコソコしかアップしなかった様に思います。「これが、日本の経済を30年間も停滞させた原因の一つだ!」と私は考えています。

 日本人は老後が心配で→→セッセと箪笥貯金をして→→最近は相続税を減らす努力/工夫をしている方が増えて来ています。 日本の大企業が、儲けた金を設備投資等に回さないで、内部留保を溜め込むのは『箪笥貯金』に似ている様に思われませんか?!

会社の業績が向上しても給与がアップしなかった!) 私が中小企業(N社)に出向していた時の話です。N社の売り上げはジリ貧に陥っていたのですが、画期的な製品を開発したので儲かる様になりました。古手の社員が、「税金で払う分を減らして、ボーナスをアップして欲しい」と懇願しましたが、何故か?社長は首を縦には振りませんでした。

【生産性とは?】
 『生産性』と言う言葉を良く聞きますが、以下に示すように種々の定義された『生産性』が有ります。 一般には、➊の概念の生産性が使用されますが、数値として算出出来ないので、何の事か良く分かりません。『産出』を『生産量』に置き換えた❷~❺の物的生産性と、『産出』を『付加価値額』に置き換えた❻~❾の付加価値生産性で議論されます。

  生産性の定義 :生産性=産出(output)/投入(input)・・・一般的な定義

・・・ 物的生産性 ・・・
❷ 1人当たりの生産性=生産量/労働者数
❸ 1時間当たりの労働生産性=生産量/(労働者数✕労働時間)
❹ 資本生産性=生産量/資本ストック量
❺ 全要素生産性=生産量/合成投入量(労働✙資本✙原材料等)

・・・ 付加価値生産性 ・・・
❻ 1人当たりの生産性=付加価値額/労働者数
❼ 1時間当たりの労働生産性=付加価値額/(労働者数✕労働時間)
❽ 資本生産性=付加価値額/資本ストック量
❾ 全要素生産性=付加価値額/合成投入量(労働✙資本✙原材料等)

(余談 :日本生産性本部) 公益財団法人日本生産性本部と言う分けの分からない団体が有ります。 2014年に79歳で会長に就任して、今年87歳になるヨボヨボの老人がまだ会長です。何処から金が出ているのか?予算は100億円、職員数は270人もいます。

【全要素生産性】
 国家や企業の活性化を議論する場合、前述の❺か❾の『全要素生産性』を使用すべきだと思います。生産量が多くなっても、価格が下がったのでは企業の収益は上がりません。国家としては、GDPも大きくなった事にはなりません。

 従って、私は❾の付加価値額を考慮する全要素生産性で議論/分析すべきだと考えています。

【全要素利潤(生産性)】
 大企業だったら大学で経済学を学んだ社員がいるので、『付加価値額』を計算出来るかも知れません。中小企業では『付加価値額』と言ってもピントきません。私は、『利潤(利益)』を用いる『全要素利潤(生産性)』を提唱します。

❿ 全要素利潤(生産性)=利潤(利益)/合成投入量(労働✙資本✙原材料等)

 種々の製品を製造している大企業では、其々の製品毎に全要素利潤を算出して、アップしているか?ダウンしているか?定期的にチェックすべきです。 そして、何故?ダウンしたのか分析すべきです。

【グローバル化と生産性】
 現在は、国も企業も他国と密接な関係の中に存在しています。生き残るためには、他社よりも生産性を上げる必要が有ります。然し、国内企業だけを相手にして「生産性向上目標値」を検討しては駄目な時代になっています。

 まだまだ賃金の安い国が沢山ありますから、労働集約形産業分野は海外に工場を移す必要が有ります。現在、社員が30名程の小さな企業が、外国に複数の工場を持っているケースさえ有ります。

 昔、大型のスーパーマーケットが全国に沢山出来て、商店街が寂れる問題が発生しました。これは、「安く多量に仕入れて、多量に販売する」、「一カ所で何でも揃えられる」と言う小売業の生産性向上が起こったのだと考えられます。

 10年程前に、私に最初の孫が出来たのですが、歩いて行ける所に玩具を扱う『トイザらス』が有りました。大きなアンパンマンの縫いぐるみを買ってやりました。 直ぐに店じまいしたので、玩具はアマゾンで買っています。

 アマゾンは何でも安いですね! 電気量販店に知り合いが務めているので、「買って欲しい」と懇願されます。「アマゾンと同等の価格にしてくれたら買う」と言うのですが、未だに実現していません。

(余談 :”トイザらス”の思い出) 孫に「一つだけプレゼントする」と言って”トイザらス”に行きました。孫は目を輝かせて店内を見て回りました。お気に入りが見付かった時の嬉しそうな顔は素晴らしかったです。子供は金額を見て買う分けでは無いので、安い物を選んだら、つい「もう一つ買って良い」と言ってしまいました。ジジ馬鹿!ババ馬鹿ですね! 玩具はアマゾンで買うよりも、”トイザらス”の方が子供の為には良い様に思います。

【経済安全保障と生産性】
 新型コロナが蔓延し始めて→→マスクの大半を中国から輸入している事実をマスコミが報道し→→国民の多くが多量にマスクを買い込んで→→店からマスクが消えてしまい→→安倍のマスクが配布されました。

 2021年から穀物と燃料(原油)価格が高騰し、今年・ウクライナ戦争が勃発して更に高騰しています。 必需品の輸入を今までは民間企業に任せて来ましたが、「安定して輸入出来る様にする為には政府の介入が不可欠だ!」と言う事を日本国民は学びました。

 ウクライナ戦争によるロシアへの経済制裁から、輸出先も多様化する必要が有ると分かりました。最近の中国経済の動向を見ていると、中国経済の成長が鈍化する恐れが出ています。この点からも輸出先の多様化を官民協力して進める必要が有ります。

 電力不足が深刻な問題になっていますが、主な原因は2016年から進めて来た『電力自由化』によって沢山の火力発電所が廃棄された事です。 それまでは、電気事業法で電力会社に「収益は保障するが、供給責任を全うしなさい」と規定していました。『電力自由化』とは、新規電力会社の設立を認め、価格競争させて電気料金を下げるのが狙いでした。「供給責任を負う義務は無くすが、収益は自分で工夫して確保しなさい」と大方針転換しました。 その為に、電力会社は火力発電所を破棄して→→稼働率をアップして→→収益アップを狙いました。

 与野党の政治家達は勉強不足ですから、『電力自由化』と『電力不足』が同義語だと認識出来なかったと想像します。官僚の一部は認識していた様ですが、「こんなに早く、火力発電所の廃棄が進む」とは予想していなかったと思います。 岸田首相は今になって、「電力の供給義務が(電力会社では無く)政府に有る」事に気付いて、慌てふためいているのです。

【取引先企業の値下げ要求と生産性】
 日本の大企業の多くは、部品を外部(協力会社)から調達しています。大企業は毎年の様に協力会社に値下げを要求します。協力会社が努力して→→コストダウンをして→→3%値下げしたとします。販売数量が同じだと、協力会社の売り上げは3%少なくなってしまいます。

 1956年~73年頃の高度経済成長期で有れば、大企業の発注数量が毎年増加していたので、協力会社は毎年!毎年!値下げを要求されても、成長出来たと思います。経済が停滞している現状では→→労働者の60%程が勤務する中小企業の発展を阻害して、給与アップを抑えると→→国民の購買力が増加せず→→日本の経済を低迷させてしまいます。 ブーメラン効果で大企業の発展も阻害されるのです!

 「大企業が協力会社を虐めて、自分だけ儲かれば良い」と言う体質を変えないと、日本は発展しません。 「下請け会社」は差別用語に分類して、禁止にすべきです。マスコミ関係者は「協力会社」と言う用語を使用しましょう!

【一歩先んじた開発と生産性向上が必要です!】
 競合他社に勝つ為には『一歩先んじた開発と生産性向上が必要です!』 価格競争の”イタチごっこ”から抜け出した例を書きます。

 2軸式スクリュー圧縮機と呼ばれる機械が有ります。 これは、戦後、スウェーデンのSRM社が、技術提携を希望する企業に『スクリュー圧縮機の構造/寸法、主要部の必要な精度、運転実測データ(性能)等』を開示して、ロイヤリティーを得る商売を始めました。多くの国の多くの企業がSRM社と技術提携しました。

 日本でも数社が技術提携した様です。然し、KS社とMK社が熾烈な開発/価格競争をして→→海外にも展開して→→頑張っています。 (日立産機も汎用品を手掛けています。 IHIが自動車用のスーパーチャージャーとして製造している様です。)

 SRM社が開示するのは、あるサイズの2軸式スクリュー圧縮機に限定したデータです。ローター間の隙間と、ローターとケーシングの隙間を小さくする必要が有るのですが、SRM社は主要部の最終加工を職人芸でやっている様です。 SRM社は、「大型化/小型化と部品の加工方法は、技術提携した会社で考えなさい」と言うスタンスです。

 私が2軸式スクリュー圧縮機に興味を持った1975年頃、その都度設計の大型機でKS社は結構な収益を上げていました。小型の汎用機はMK社が強く、中型機はほぼ互角の状況でした。KS社が小型の汎用機を1台売ると、3万円ほど赤字になっている様でした。(然し、トータルとしてはKS社は儲かっていました。)

 小型汎用機の設計と営業に私の知人がいたので、「何故?赤字体質から抜け出せないのか?」数年間観察しました。 私が出した結論は、➊KS社は大企業で社員の給与が高い。❷KS社の現場社員は全て男性で給与が高い。➌KS社はMK社の販売価格を目標に、常にコストダウンに尽力していました→→目標値を達成すると→MK社が一歩先のコストダウンに成功していました。

 KS社とMK社はコストダウンと性能改善に、同じ様に努力していたと思いますが、一歩先を進んだ努力は報われますが、後塵者の努力は殆ど意味が無いのです。

 KS社は、赤字続きの小型汎用機の為に、10km程離れた所に専用の工場を建てました。暫くして、工場見学に行くと、新しく女性パート社員を数名雇って、壁向きに並べた作業台で部分組み立てをしていました。壁には、図面では無くて組み立て手順を示す写真を貼っていました。従来からの男性社員は全体を組み立てていました。 工場には作業効率を改善する種々の工夫が施されていました。

 工場新設後も赤字が続いていた様でしたが、既納機の数が増えて→→メンテナンスの仕事が増え→→予備品の注文も増えて→→黒字体質が定着する様になった様でした。

専務と常務を廃止したら活性化出来るか?

2021-03-27 11:34:39 | 会社の活性化
【はじめに】
 近年・赤字が続くKB社が専務と常務を廃止すると発表しました。 「そんな小手先の手段で、会社を活性化して、黒字体質に改革出来る」とは私には思えません。

 私は、1995年頃までのKB社をよく知っています。その頃の知識を基に、KB社にとって必要と思われる事を書きます。 25年も前の知識ですが、その後改善されているとは信じられないのです。

【私企業の使命は黒字であること!】
 私企業は『営利』を追求するのが、究極の存続意義です。 「毎年・黒字で、毎年・株主に配当金を出し、従業員の給与をアップして、税金を支払ってこそ企業は存続が認められるのだ!」と私は考えています。 赤字体質から抜け出せない企業は、債務超過に落ちる前に、(体力が残っている内に、)会社を整理すべきです。

 大学生や高校生が就職活動する時、希望する企業が赤字体質か?どうか?を見極めるのは難しいです。 入社二、三年後に、赤字体質の企業では優秀な若者から辞めて行きます。 日本では未だに大企業への途中入社が難しいですから、彼等は苦労する事になります。 この点からも、赤字体質から抜け出せない企業は、市場から撤退すべきです。

【私企業の御法度】
 KB社は昔から、不祥事が表面化しました。 『製品検査データの改竄』、『メッキ液による汚染問題』、『所得隠し』、『談合発覚』、『労働組合が支援する市議選候補者への選挙資金提供』、・・・等々

 企業にとって最も重要な事は、信頼を得る事です。 「法律と公序良俗に反してはならない!」のです。 然し、これは、あくまでも建前の話しです。 人類が生きているのは、欲望が渦巻くドロドロの環境です。 企業が商売を続ける為に、談合や闇献金が、どうしても必要な事が有ります。 それが必要になるのは、国内だけでは無く、アラブ石油産出諸国等々、外国で商売する時も同じです。

 山口良忠判事は、戦後(1947年)に栄養失調で餓死されました。 戦中/戦後・食糧管理法で闇の食糧を買う事が禁じられて、「配給食糧で何とか生き延びよ」と国は命じていました。山口判事は、法律を厳格に守られたので餓死されたのです。 戦後、都会で生き延びた多くの人達は、ほどほどに闇の食糧を買ったのです。誰も、批判は出来ません!

 綺麗事を言うのは簡単です。 KB社は、ホームページにコンプライアンスについての取り組み方を公表しています。 公表している事を真面目に実行したら、国や地方公共団体向だけで無く、海外向けの仕事も殆ど受注出来なくなってしまうでしょう! 「コンプライアンスには反するが、会社が生きるためには・この程度は致し方ない」と第一線の社員が(正しく?)判断出来る文化/風土が必要なんだと思います。

 大企業の多くは、程度に差が有ると思われますがコンプライアンスに反する事をやっています。 然し、マスコミで報じられることは少ないです。 KB社は何故?しばしば不祥事が表面化するのでしょうか? 「このまま放置出来無い」と社員が思う様な重大なコンプライアンス違反が度重なるためか? 会社に不満を持つ社員が多いいのか? 何れにしても、内部告発で問題が表面化したのだと想像します。

 「社員を締め付けて雁字搦めにしたら、社内の問題を外部にリークしなくなるだろう」と考えるのは間違いです。 逆にリークしたくなる社員が増加しますよ! 働き甲斐の有る、明るい職場作りが重要なんです!

 美辞麗句を並べたコンプライアンス対策の文章を作成する前に、KB社の重役達は①残業代を支払わないのは法律違反で、②御用組合も法律違反だ、③派閥人事は公序良俗に反している!と言う認識を持って頂きたかった。 ①~③をそのままにして、「コンプライアンス!、コンプライアンス!」と叫んでも、社員達の胸には響ません!

【社外取締役によるコンプライアンス対策】
 KB社は、社内委員・3名と社外委員・5名のコンプライアンス委員会を立ち上げています。

 社内の微妙な状況を知らない社外委員が考えたコンプライアンス対策は、おざなりの正論/理想論になってしまいます。KB社にとって必要なのは、ドロドロの世界で実行可能なコンプライアンス対策です。

(余談 :アーミッシュ) アメリカにキリスト教の一派で、『アーミッシュ』と呼ばれる団体が有ります。ハリソン・フォードが主演した『刑事ジョン・ブック 目撃者』を見られましたか? まだの方は、ウイキペディアの『アーミッシュ』の記事を読んでから見られたら、より面白いと思います。

 アーミッシュの世界だったら、KB社が公表しているコンプライアンスの理想論が通用すると思いますが、現実の世界は談合や贈賄が横行するドロドロの状態です。 こんな世の中で理想論を言ったら、「ほら吹きだ」、「空々しい」と思われるだけです。

【派閥の解消】
 大昔、KB社には13年以上社長を続けたTK氏がいました。 TK氏はKB社の生き神様の様な存在になり、強力な派閥を作りました。 以来・長く、その派閥から社長が選ばれる慣例が続いたのです。

 1987年頃に、(昔の通産省から)優秀な官僚をヘッドハンティングして重役になって頂いたA氏と、生え抜きで社内では評判の高かったB重役がいました。 次の社長にA氏がなるのか?B氏か? 私は、どちらが社長になられても会社を改革されると期待していました。 A氏とB氏の支持者が拮抗していたので、誰も予想していなかった凡人のKS氏がピンチヒッターの様な形で社長に就任しました。

 KS氏は、一期(2年)で次の社長に引き継ぐと言われていました。 KS氏は悪賢い人間でした。 先ず、自分を支持する重役の数を増やす事に注力しました。 2年後の重役改選の時期が近付いた時、「重役の改選はしない」と宣言したのです。 普通は重役改選で、30%~40%の重役が子会社等に出向して、同数の新任重役が誕生します。 子会社に飛ばされそうな重役達は、挙ってKS氏を支持しました。

 結局、KS氏は社長を9年間ほど勤め、TK氏が残した派閥を強化して次に譲ったのだと思います。KS氏は会社の『中興の祖』にはなれませんでしたが、派閥の中興の祖にはなりました。

(余談 :KS氏の豪遊) 誰でも知っている超一流企業の優秀な営業マン(HS氏)から聞いた話です。 当時は、バブル景気でした。 東京で一二を争う高級クラブが有り、一時間いると一人100万円取られると言われていました。 「僕は、重要な顧客を連れて、時々しか行かないけど、KB社の社長は何時行っても取り巻きを五、六人連れて来る。毎回、先ず焼きそばを取り寄せて、社長は二皿平らげてから飲み始める。」

 「あのクラブで焼きそばを食べると、一皿・三、四千円はする。KB社の社長は一晩に一千数百万円は使っている。 KB社は儲かっているんだね!」とHS氏が言っていました。 私の記憶では、当時・KB社は赤字でした。

【社外取締役】
 2014年に『会社法』が改定されて、社外取締役に関する定義が厳しくなりました。2015年から上場企業の場合は社外取締役を2名以上起用する様に国が指導しています。

 社外取締役の意義/役割はなんでしょうか? 国は会社法で、社外取締役の条件は明示しましたが、役割は規定していません。 そのために、「株主の為に働く」とか「会社の経営を透明化する」のが役割だ等々、様々な考え方が出ています。

 優良企業だと、社外取締役達が国や株主が期待している様に動けると思いますが、「問題の多いい企業では逆になる」と私は危惧しています。 「社外取締役になって下さい」と頼むのは、その時点の会長か社長です。 彼らにとって都合の良い人間を選ぶと考えるべきです。 専任された社外取締役達は、「会長か社長のお蔭で高給が得られた」と思うでしょう! 決して、「株主から給与を貰っている」とは考えません。

 敢えて、下品な言い方をしますが、「問題の有る企業に採用された社外取締役は、決して株主の為には働きません、従業員の事など考えません。 会長や社長の考え方に反する行動をしたら、一期で解任される」と私は想像します。 日本の大手企業には派閥人事が大なり小なり有ります。 社外取締役制度は、派閥を強化する制度になりかねないのでは?

 役員の定員が10名で、社長が所属するA派閥が5名、B派閥が3名、無派閥が2名だったとします。 国から「2名以上の社外取締役を雇いなさい」と指導が有ったので、社長が言う事を聞いてくれそうな人間を選んで、2名の社外取締役を選任したとします。 A派閥が一挙に2名も増えるので、社長はB派閥を気にする必要が無くなります。

 派閥が重役人事を決めるだけなら、まだ良い方です。 課長人事や部長人事にも派閥が影響力を行使する様になります。 その企業の業務/仕事と関係しない社外取締役が派閥の一員になると、社内風土を破壊して、社員がヤル気を無くす恐れが有ります。

【御用組合を止める】
 KB社の労働組合は、かなり悪質な御用組合になっていました。 各工場に組合の支部が有り、(時々だった様ですが)支部の会議に総務課長か部長が出席して、会社の方針を伝えました。 そんな時は、ビールと摘みが出た様です。

 御用組合は、会社の経営者には都合が良い様に思われがちですが、このご時世ではメリットよりもデメリットの方が多いい様に思われます。 多くの社員達は、「組合の役員達が、会社に胡麻をすって役員選挙を支援してもらって、好い目をしている」現実を快くは思っていません。 破廉恥極まりない一部の社員は、組合の役員になろうと日頃から種々画策していました。

 KB社は厳しい競争社会の中で四苦八苦しているので、近年赤字が続いているのです。 重役達の才覚だけで会社を活性化して、黒字体制に持ってく事は不可能ですよ! 社員の積極的な協力無しには問題は解決出来ないと思われます。

 国家公務員と地方公務員などの労働組合はオープン・ショップです。 大手企業で専務と常務を廃止するのは前例が無いと思いますが、クローズド・ショップだった組合をオープン・ショップにした例も無いと思います。 前例の無い事を行うのだったら、組合をオープン・ショップにする方が効果が有ると考えます。

 組合の役員達は反対するでしょうが、会社に対する胡麻すり人間達ですから、抑えられるでしょう。 多分・多くの社員達は「組合費を払うのは馬鹿らしい」と日頃思っているので、オープン・ショップにしたら脱会すると予想します。 将来、経営に問題が続いたら、社員達は組合に加入するでしょう。 それで、やっと健全な労働組合が誕生します。

 「KB社の組合が御用組合で無くなっても、戦後直後の様に無理な賃上げや労働条件改善などの要求は出ない」と私は予想します。KB社の重役達は社員を信じるべきです。

(余談 :御用組合と法律) 日本国憲法の第28条で、労働者の三つの権利・『団結権』、『団体交渉権』、『団体行動権(争議権)』が保障されています。 この三権について、『労働組合法』、『労働基準法』、『労働関係調整法』の3つの法律が制定されています。

 終戦の年(1945年)に制定された労働組合法の第7条に『不当労働行為』の規定があり、その『三』に、企業が「労働者が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること、又は労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えること」を禁じています。

 この禁止事項に反して、企業が・その組合に「影響を与えている」又は「支配している」組合を『御用組合』と呼びます。 誰が見ても、「企業が、雁字搦めに組合をしめてつけているから、それは犯罪だ!」と考える程度から、「緩やかな締め付け」まで様々の御用組合があります。 そして、日本の大手企業の多くの組合は『御用組合』です。

【人事評価制度を作る】
 専務と常務を廃止して、社長以外は平取にする。「平取の業績評価をする」と言う様な考えを、KB社は発表しました。 長年に渡って派閥人事を続けて来た会社で、公正に業績を評価するのは至難の業だと思われます。 現在の人事部に「平取の業績評価をする」担当者がいますか? 人事部に、そんな能力が有りますか? 「業績の分析/評価」をする部署を新たに設けるべきだと考えます。

 部長以上を短期間の業績(数字=売り上げ/利益等)だけで評価したらトンデモナイ結果になったのを、私は何回か見ました。 例えば、開発部隊の社員を大幅に減らして、製品の改良や新製品の開発を止めてしまった重役がいました。 人件費と開発費が大幅に削減出来たので、利益は増えました。 然し、競合他社は改良製品を投入し続けたので、二、三年後には売り上げが低下して、悲惨な事になってしまいました。

 部長以上には、在任中の売り上げ/利益等の業績だけでなく、「長期的な目標を設定して、目標を達成するために行動する」ことが不可欠です。 この事も評価の対象に含める必要が有ります。

【社名変更のすすめ】
 KB社は素材、機械、エンジニアリング、電力と幅広い分野に進出しています。 かっては、素材の一つが主力製品でしたが、その素材のウエイトは低下して来ています。 今後・景気が回復しても、その素材がKB社の主要製品になる事は考えられません。 「社名の一部に、その素材の名称を入れるのは、デメリットの方が大きい」と私は考えます。

 松下電器産業株式会社はパナソニック株式会社に社名変更しました。 幸いにもKB社にはカタカナのブランド名が有ります。 素材産業から脱皮して/発展する意味でも、社名をブランド名に変更する事を推奨します。

(余談 :KB社のブランド名の由来) 40年ほど前に、KB社がアメリカに進出しようとした時、「アメリカの小さなポンプメーカーの社名とKB社の英語名が同じだ」と言う事が判明しました。 それで、急遽、横文字のブランド名を公募しました。 現在のブランド名が出来るまで、社名の略称をローマ字で表示した銘板を貼って輸出していたと記憶しています。

【私の希望】
 私はラグビーとサッカーの観戦が趣味の一つです。 ラグビーとサッカーに共通するのは、選手個人の技量だけでは勝てない事です。チームが信頼しあって/一丸となって闘うスポーツです。 監督の采配も重要です。 然し、チームの特徴を生かす采配でなければ、勝てません。 スポーツマンシップには反しますが、時には反則で敵の攻撃を止める事も必要です。

 近年、KB社のラグビー部は復活して目覚ましい活躍をしています。 この際、大改革してKB社が社内を活性化して、黒字体制に転換する事を期待しています。 現社長が、中興の祖と呼ばれる様になって欲しいのです。