これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

ファーウェイの問題(その11)

2019-03-30 17:27:55 | 中国
 今回は、『中国でバブルが崩壊するか?』、『経済は失速するか?』と言う問題について考えて見ました。先ず、日本のバブル崩壊についての私の考え方を書いてみます。

【日本のバブルと大手銀行の責任】
 親戚に不動産鑑定士(A氏)がいました。彼は、某大手銀行の依頼で融資先の不動産を鑑定するのが仕事でした。バブルが崩壊(1991年)する10年程前から、査定金額の水増し要求が銀行側から出る様になったとぼやいていました。A氏は、本当に真面目な人だったので悩んでいました。要求がエスカレートするので、A氏は1985年頃に不動産鑑定士を辞めてしまいました。

 銀行に金が沢山集まる様になり、担保の価値や返済計画云々より、如何にして借り手を増やすかが銀行員の使命になりました。担保にする土地の実勢価格が1億円だったとします。銀行は1億円以下しか貸せません。それで、A氏に担当者が、「鑑定額を(鉛筆を甞めて)1.5億円にして下さい」と”そっと囁く”のです。

 東京では土地の実際の取引価格が少しずつ高くなり、その上に出来たマンション価格も上昇していました。1985年頃に銀座の飲み屋で知り合いになった方が8千万円のローンを組んでマンションを買った様でした。彼は、外資系の超一流企業に勤務していたので借りられたのです。

 私は神戸で家を建てようと検討していたのですが、1980年に急に東京転勤になり検討は中断していました。1984年に神戸に帰って来たので、直ぐに土地探しを再開しました。神戸の土地は4年前と殆ど同じだったのです。翌年に家が完成しましたが、その後すぐに神戸も地価が上昇する様になり、私はラッキーだったのです。

 1989年に私の同僚(部下)が神戸で中古のマンションを買おうと、休日に不増産屋回りをしていました。数週間前に見た物件が一番良かったので、行ってみたら大幅に値上がりしていたそうです。他の不動産屋に当たっても全て値上がりで、結局焦って買いました。彼は、東京近辺に前に住んでいたマンションを所有していたので、そちらが高く売れて被害は少なかった様でした。

 日本のバブルは、銀行が地価をとんでもない価格に吊り上げた事が主な原因だったと私は思いました。 皮肉にも、大手銀行は不良債権を自分で作って、自ら行き詰まり、税金で助けてもらったのです。 銀行は予想以上に早く立ち直りましたが、日本は20年間も混乱して、大半の国民が被害を被りました。

(余談) 関西の某信用金庫は、賢明にもバブル期間中、古くからの顧客に、本業以外に手を出さない様に説得して回りました。それで、助かった中小企業の社長を知っています。

【日本のバブルは政治家の勉強不足が原因】
 資本主義経済では、発展の原動力の一つはインフレです。需要が大きくなるとインフレになり、企業は生産を増やすために設備投資をし、雇用を増やします。デフレになると、企業は逆に動きます。(厄介なのが、景気が悪くなっているのに、物価があがるスタグフレーションです。)

 日銀の役割の一つは、流通する紙幣の量(紙幣発行残高)を調節してインフレ率を適当な範囲にすることです。

 第1の手段 :日銀は、民間金融機関(銀行)に金を貸しています。日銀が貸す時の金利を”公定歩合”と呼びますが、公定歩合を上下させて紙幣発行残高を調節します。

 第2の手段 :国が発行する国債は、(国際ルールに従って、)民間の金融機関や個人に買ってもらいます。日銀は、経済状況を見ながら国債を買う(紙幣を発行する)か、又は、国債を売る(紙幣を回収する)かして、紙幣の流通量(紙幣発行残高)を調節しているのです。

 日銀は、「多くの企業や個人が銀行から借金したり、貯金を引き出して投機に走らない!」と言う前提に立っている様に思います。 日銀が予想していなかった”悪夢”(投機)が起こってしまったのです。政府は、この悪夢を抑える事は日銀では出来ない事に気付き、1989年の年末になって”土地基本法”を制定しました。

 なんと、土地基本法は「投機目的で土地を購入しない様にして下さい!」と呼び掛けています。多分、頭の良い役人達は知っていたと思いますが、問題の本筋は①土地などの不動産を担保にして銀行が融資する旧態依然とした制度で、②銀行が異常な値に吊り上げた地価をベースに金を貸した事です。

 日本のバブル期は1986年12月~1991年2月ですが、その頃に地価と株価が高騰したのです。(下に示すデータをざっと見て下さい。) 株価は景気に追随して乱高下する事を承知で"売り/買い”にしますが、土地は値下がりしないと言う”土地神話”を信じていた投資家が多数いました。中小企業の強欲な社長が、バブル期に銀行から金を下ろして、投機目的で庭付き一戸建て住宅を5軒も買いました。2005年頃まだ使用せずに、保有していました。彼は、まだ億単位の貯金をしていましたので、憐れむ必要は有りません。

◎84年 :6大都市の地価=100、株価=100、実質GDP=100
★85年 :6大都市の地価=114、株価=119、実質GDP=104、
     公定歩合=5.0、消費者物価指数=2.0、
★86年 :6大都市の地価=144、株価=155、実質GDP=107、
     公定歩合=3.7、消費者物価指数=0.7
★87年 :6大都市の地価=184、株価=219、実質GDP=112、
     公定歩合=2.6、消費者物価指数=0.1
★88年 :6大都市の地価=229、株価=255、実質GDP=119、
     公定歩合=2.5、消費者物価指数=0.7
★89年 :6大都市の地価=298、株価=322、実質GDP=125
     公定歩合=3.1、消費者物価指数=2.3
出典 :日本銀行金融研究所・『バブル期の金融政策とその反省』のデータをベースにしています。

(余談) バブルの末期から計画を進めて、バブルが弾けた後(1993年)に老朽化していた工場を新設した会社を知っています。 銀行の金利がまだ高く(7%程)、需要が大幅に少なくなていましたので、3年程は経営は非常に苦しかった様です。苦しい中で開発した省力化機械が時代のニーズにマッチして、ドンドン仕事が入る様になり、2001年には借金を完済し、さらに億単位の内部留保が有りました。(この社長は、自力でバブル後を乗り越えたのです。)

【中国のバブル】
 「中国で何時かはバブルが崩壊する」と予想するコメンテーターがいますが、私はこの意見には少し懐疑的です。

 第1の理由 :日本のバブル崩壊を譬えると、『政府君と役人君の横に有った巨大な風船が、急に勝手に膨れ出し、どうしようか悩んでいるうちに、破裂してしまいました。破裂後もどうしたらよいか?途方に暮れている間に20年が経過しました』。 習近平は、政府君と役人君の様に愚かだと思いますか?

 第2の理由 :中国には民有の土地が無い為に、地価の異常な高騰は起こりません。土地を担保にして銀行が融資しているのではありません。 

 第3の理由 :国の借金(国債)が近年急激に増加していますが、その大半は中央銀行(中国人民銀行)が保有している様です。インフレ率が適当な値である限り、貨幣を発行し続けても問題は発生しません。換言しますと、異常なインフレになるまで国家は返済(国債を償還)する必要がありません。中央銀行が保有している国債には利息が付きません。

 第4の理由 :市中銀行が多量に不良債権を抱えたらバブルと言えるかも知れませんが、預かった金の利息を一部でも払えている間は、問題は顕在化しないでしょう。 そして、市中銀行の大半は国有銀行です。

 第5の理由 :民間企業の社長は地方政府から土地を借り、国有銀行から金を借りているわけですから、汚職に無関係では有り得ません。叩けば簡単に”ほこり”が出ます。彼を逮捕して財産を没収出来るのです。100億円の資産家を100人逮捕したら、1兆円が国庫に入ります。

 第6の理由 :民間企業や個人が銀行に預けた金の一部は、”徳政令”で”ゼロ”に出来ます。 共産国ですから、金持ちの資産を没収するのに抵抗は無いと思われます。 ただし、徳政令は最後の手段で、経済を減速させる恐れはあります。 外国企業の貯金に徳政令を適用しなかったら国際的な批判は余り受けないと思います。

(余談) 私が二十歳代の頃に、アメリカの独立戦争(1775年~83年)に関する本を何冊か読みました。内容は殆ど戦いの話しでしたが、(13州の)革命軍がそれぞれにポンドに代わる通貨を発行し、「我々は税金を取らない」と宣伝して支持を得たと言う話もありました。流通していたポンドの額に相当するまで、新通貨(紙幣=単なる紙切れ)を発行してもインフレにはなりません。2年間、税金を取らなかった地域(州)もあったと書いていました。その時、国家の借金は個人の借金とは違うと気付きました。 ちなみに、アメリカで統一通貨『ドル』が発行されたのは1791年頃です。

【中国の国債】
 近年、中国は国債を乱発する様になってきました。IMFのデータによると、2008年の国債発行残高は8.6兆元≒147兆円(対GDP比=27%)→2018年には44.4兆元≒754兆円(対GDP比=50%)で、10年で5倍以上も増加しています。 ちなみに、日本は2008年=955兆円(対GDP比=183%)→2018年=1,327兆円(対GDP比=238%)で、1.4倍程増加しました。

 中国政府は外国の投資機関が国債を買う事を規制をしてきましたが、緩和した為に、2017年から、外国の投資が急激に増え、2019年1月末時点では外国の投資機関の保有高は1.75兆元(≒30兆円)にもなっています。中国経済を楽観視している方が結構多いのです。

 各国の国債の利回りは『jp.investing.com/rates-bonds』で見る事が出来ます。中国国債の10年物の利回りは3%ほどで、異常な値では有りません。日本は“-0.1%”で、逆の意味で異常です。ロシアは“8.4%”程で、正に異常です。(ロシアの2018年の経済成長率は”1.7%”でした。)

【中国の経済成長率は?】
 中国の経済成長率が鈍化して来たと、問題視されています。共産党に対して国民の不満が爆発しそうな兆候が表れるまで、経済成長率が低下しても共産党政権は安泰だと私は思います。

 経済のグローバル化が進んでいますから、一国だけ高い経済成長率を維持する事は出来ません。2~3%程度になっても、異常とは言えません。2018年のGDP成長率は6.4%と公表されています。日本は1.1%程度でしたが、デモは起こっていません。

【中国の不良債権と不良資産】
 中国の四大市中銀行(国有銀行)が公表している不良債権率は1.5%~2.4%ですが、憶測で10倍ほど有るので近い将来”バブル崩壊”が起こると予想する経済専門家がおられます。私は、「中国政府が不良債権の実態を把握出来ないで、不良債権がドンドン増加した場合は、将来、経済が破綻する」と考えますが、中国政府が不良債権の増加を放置するでしょうか? 習近平は既にシャドウバンキングの圧縮政策を始めています。

 私は、利益を生まない投資が拡大している事に注目しています。不良資産が毎年増加しているのです。 例えば、中国鉄路総公司が毎年”兆円単位”の資金を投入して採算性を度外視した高速路線を敷設しています。運転費と整備維持費が毎年増加しています。 2018年末時点で、南沙諸島と西沙諸島に7つの人工島が建設されています。1島の建設に1兆円ほど掛かった?様だと言う報道が有りました。 軍事的な価値は有るかも知れませんが、経済的な利益は期待出来ないと思われます。むしろ、莫大な維持費/管理費が毎年必要になります。

ファーウェイの問題 (その9)

2019-03-23 12:00:36 | 中国
 今回は中国の高等教育についてです。 経済的に豊かになった中国が、どのような高等教育機関を整備していくのか? 「きっと欧米諸国とは一味違った独特の素晴らしいものにしていくのでは?」と期待してきました。今の所は期待外れです。

【中国からの国費留学】
 中国は、鄧小平が改革開放政策を始めた頃から、人材の育成に巨額の国費を投入して来ました。松下幸之助は、人材は”人財”であると言われたそうです。国や企業を発展させるには、”人財”が不可欠なのです。人数を揃えてもだめです。

 アメリカへの国費留学は、まだまだ貧しかった1978年から始まりました。 ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)に一人留学させると2,000万円/年、修士までだと”12,000万円/一人”も掛かります。

 留学を終えて帰国した人を、”海帰族”と呼びます。2005年までの”海帰族”は23万人にも達した様です。当時は、中国経済はどんどん発展していましたから、海帰族は”引っ張りだこ”だった様です。

(余談 1) 1970年頃に私は大学4年になりました。ゼミの研究室では、(学習机の様な)本箱付きの机が各自に与えられました。私の隣の机は中国の留学生でしたが、2年前にアメリカの大学に短期留学するといって渡米したまま帰って来ていませんでした。優秀な学生だと指導教官は言っていましたので、会って見たかったのですが! この頃から、中国は国費留学制度を始めていたのでは?と思います。

(余談 2) 中国の成長はアメリカにとって”困った問題”ですが、中国の成長を支えている”人財”を教育したのは、皮肉にもアメリカです。現在でも、中国から留学生を多数受け入れて教育しています。

 国費留学生の数は減少して来ましたが、中国で金持ちが増加する様になって、私費留学生が大幅に増加しています。2017年に出国した、国費留学生は3万人程ですが、私費留学生は54万人にも及びました。 (中国への留学生も増加しており、2017に入国した留学生は48万人もいた様です。)

【日本からの海外留学】
 明治時代、日本は外貨が不足していましたが、政府は国費で優秀な人材を海外に留学させました。帰国後、彼らは種々の分野で活躍したので、国が豊かになっていったのです。森鷗外は1984年~88年にドイツへ、夏目漱石は1900年~02年までイギリスに留学しました。

 独立行政法人日本学生支援機構と言う天下り組織がありますが、日本が受け入れている留学生の数は2017年に約27万人と公表していましたが、日本からの留学生は余りにも少ないためか、1か月未満の留学を含めたりして実態が良く分からない数字を公表しています。

 2013年に、大学生の海外留学を2020年に倍の6万人にする方針がでましたが、達成出来るのでしょうか?優秀な学生を国費留学させる事は非常に重要だと思うのですが、そんな重要な仕事を”天下り組織”に任せて良いと思われますか?

(余談) 私の勤めていた会社には、優秀な理科系の社員をMITの修士課程に2年間留学させる制度が有りました。帰国しなかったり、他社に転職するケースが増えて、修士号を取得したあと数年以内に退職した場合は、留学費4,000万円を会社に返済させる規定を設けました。当時、会社の経営はどんどん苦しくなって来て、毎年給料が下がっていました。私の席の隣に、二十歳代の極めて優秀な社員がいて、上司からMITへの留学を勧められていましたが、断り続けていました。彼は、「今から留学したら三十歳過ぎまで、この会社に縛られるのは嫌だ!」と言っていました。 金で縛り付けるのでは無く、修士号を取った若者が、帰りたくなる様な会社にする努力が必要だったのです。

【中国の大学進学率】
 1949年の建国後、40年ほどたった1989年の天安門事件の頃の大学進学率は3%程度だった様ですが、その後、徐々に高くなり2002年には15.0%、2016年には42.7%(学生数は 3,700万人)にもなっています。

 一人っ子政策を始めたのは1979年です。その年に生まれた子供は、1997年頃に大学に進学した事になります。その後は、子供一人に親二人と祖父母4人もいるわけですから、大学進学率がドンドン高くなたのでは?と私は見ています。

 大学と専科大学への入学者数は、1998年=108万人、99年=155万人、2000年=221万人、01年=268万人、・・・05年=504万人と急激に増加しました。学生数の増加と同時に、大学や専科大学の数も急激に増やしましたが、教官の確保が追っつかなかったようです。

(余談) 「大学進学率が高くなるのは良いことだ」と言う方がおられますが、私は賛同しません。某中小企業に出向していた時、入社して15年以上の設計担当の社員がいました。指示された通りに図面は書けるのですが、自分で考えて工夫する能力は全く有りませんでした。顧客との打合せを任せて見ましたが、ダメでした。彼の履歴書には工業高校出身となっていましたが、○○大学を卒業している事がバレテしまいました。別の企業に出向した時、○○大学卒業の社員がいましたが、その社員もダメでした。多分、今でも○○大学に国は助成金を出していると思います。

【中国の大学】
 中国の有名な、北京大学、清華大学、南開大学は清朝の時代に設立されました。清朝~中華民国時代に設立された大学は全て国公立大学になり、共産中国になってからは国公立大学しか認めませんでした。

 私立大学が認められる様になったのは1980年です。私立大学は、個人、団体、企業からの金で運営されており、国や地方政府からの助成金は受け取っていません。私立大学に”独立学院”と呼ばれるのがあります。一流の公立大学(○○大学)から学校の運営ノーハウをもらう私立大学です。名前が○○大学△△学院となりますが、○○大学とはキャンパスも異なり、教育内容も違います。(”学院”は学部としても使用されます。○○大学外国語学院とは○○大学の外国語学部のことです。)

 日本の大学は文部省が所管していますが、中国では中央政府と地方政府(省など)が所管し、私立は全て地方政府の所管になっています。

 日本のセンター試験(2020年度からは大学入学共通テスト)の様な、大学受験の”足切り”の試験(普通高等学校招生全国統一考試)が中国にもあります。各省にある大学を、レベルの高い順に一本大学~三本大学に分けて、”足切り”点数を決めているのです。

★ 一本大学(第一批次本科) :難関大学
★ 二本大学(第二批次本科) :
★ 三本大学(第三批次本科) :
★ 専科大学 : 日本の短期大学に相当します。3年制

 大学の数はどんどん増えています。2012年に2,442校(内私立706)、2015年には2,879校(内私立735校)にもなっています。 (短期大学を除いた)2018年の日本の大学は768校(内私立589校)です。

(余談) 中国では偽物が横行している様ですが、認可を受けていない、実態が無い等々の”偽大学”が毎年、学生を募集しています。インターネット上に実名をあげて、注意を喚起している様です。

【中国の大学の学費】
 改革開放(1978年)の前は大学の学費は”ただ”でしたが、1985年には200元ほどになり、2017年には6,000元(≒10万円)以上の大学がある様です。(中国の平均給与は5,000元ほどです。)

 自宅から大学に通えない学生は、寮費や生活費が必要になりますが、一か月に1,400元ほど必要な様です。所得の少ない地方(農村戸籍)の子供は、大学に進学するのが難しくなって来ている様です。

(余談 :授業料) 私の大学4年間、国立大学の授業料は12,000円/年でした。(公立高校の授業料より安かったのです。)自宅から通学できる場合は、貧しい家庭の子供でも国立大学には進学出来ました。現在、国立大学の授業料は高いですね!私の様な貧乏学生だったら、今は進学出来なくなっています。

(余談 :生活費) 私は1967年に入学しましたが、(格安を探して)2食付四畳半の下宿代が10,000円でした。夏休みが終わった頃、下宿の小母さんが「11,000円にする」と言ったので、「12,000円払うから、卒業するまで値上げしないで」と言うと、了解してくれました。卒業時には15,000円ほどになっていました。

【御参考 :中国の初等/中等教育】
 改革開放を始めた頃から、初等/中等教育にも力を入れてきました。義務教育の無償化も進んでいます。

★ 幼稚園 :3年 共働き家庭が多いために入園率は75%以上
★ 小学校 :6年 義務教育 入学年齢は6-7歳
★ 初級中学 :3年 義務教育
★ 高級中学 :3年 日本の高等学校に相当

ファーウェイの問題 (その9)

2019-03-16 12:37:08 | 中国
 今回は中国の民間企業についてです。2015年に”中国製造2025"を打ち出しました。既に、”世界の工場”と呼ばれているのに、25年までに”世界の製造強国”になり、45年には”製造トップの国”になると言う目標を立てたのです。ノンビリ寝ている場合では有りません!

【中国の企業】
 日本では、”民間企業”と”民営企業”は全く違う意味で用いますが、中国では国の資本が入っていない企業を”民営企業”と呼んでいます。(民間人が立ち上げた企業でも、「今は君に経営を任せるけど、君の企業は国家のものだ」と言っている様に思えます。) なお、本稿では、日本の習慣に従って”民間企業”を用いる事にします。

 ”公司”は”会社”のことで、”○○股份有限公司"とは、日本の”○○株式会社”の事です。”××有限責任公司”は”××有限会社”に相当します。 (ちなみに、日本では、新たに有限会社を設立することは出来なく無くなっています。) (無限公司=合名会社、両合公司=合資会社)

 日本では、現在、資本金1円で株式会社を設立出来ますが、中国では股份有限公司は1,000万元(≒1.7億円)以上の資本金が必要です。そのため、中小規模の民間会社は有限責任公司になっているのです。

 ”△△公司”は国有企業の様ですが、国有企業でも株式を発行していると、”○○股份有限公司"となり、国有企業か?、民間企業か?、判断するのは難しいです。

 国有企業の分類に”国有独資公司”となっているのは、純粋な国有企業で、株主総会の様な物が存在しない企業です。

【中国の企業の種類】
 中国の企業の形態を以下に整理して置きます。外国からの投資、外国企業との合弁会社などに対する規制は、徐々に緩和されてきており、現在、中国には種々の形態の企業が存在しています。

① 個人企業 :従業員7人以下の自営業
② 個人独資企業 :従業員8人以上の自営業
③ 民間企業 :中国では”民営企業”と呼んでいます。
④ 民間/外資企業 :外資は50%以下
⑤ 独資企業 :外資が100%
⑥ 国有企業が株の一部を保有する民間企業
⑦ 国有企業と外資の合弁企業
⑧ 国有企業

 1986年から、先端技術が必要な分野に限り、外資が100%の企業(独資企業)が認められる様になり、その後規制が緩和されて、独資企業は増加しています。

 ①と②の個人企業は国に届けが必要で、中国人しか設立出来ません。外国人が投資する事も許されていません。

 外国の企業の支店は、金融機関だけが認められています。営業活動を行わない駐在員事務所は認められています。

(余談) 共産中国の建国以前から個人企業は多数存在していたと思われますが、「1949年の建国後にどの様になったのか?」私は非常に興味が有り調べていますが、未だによくわかりません。 規模がある程度以上の民間企業は、半国有企業にして、その後完全な国有企業にしました。多分、小規模な(①や②に相当する)個人企業はそのまま存続させた?と私は思っています。

(余談) 股東大会=株主総会、董事会(とうじかい)=取締役会、監事会=監査役会、董事長=会長、総経理=社長、 監事会(監査役会)には株主代表と従業員代表が参加します。

【中国の民間企業の成長】
 1978年まで、中国には民間企業は存在しなかったのです。”雨後の筍”では表せないスピードで数が増え、2011年には民間企業は900万社、自営業は3,600万軒にも達しました。

 民間企業は数が多いだけでなく、成長しています。 2016年の中国国家統計局のデータを以下に示しますが、僅か40年弱で国有企業と同じくらい重要な存在になっています。

★ 民間企業 :企業数=75.8%、売上=45.6%、雇用=46.7、純資産=31.4%
★ 外資企業 :企業数=17.5%、売上=27.8%、雇用=30.0、純資産=26.0%
★ 国有企業 :企業数=6.7%、売上=26.6%、雇用=23.3%、純資産=42.6%

 同業他社が多いいため、中国の経営者は”戦国大名”の様に生き残る術を、真剣に毎日考えている様に思われます。 中国の企業の経営戦略の決定スピード、成長スピード、開発/モデルチェンジのスピードに注目する必要があります。 安く作るのも重要な技術です、物作りの点では中国は世界最高のレベルに達したと考えた方が良いと思います。(決して、後進国では有りません。)

 白物家電などの家庭電気製品の分野では、すでに世界的な規模に成長した会社が数社有ります。各社、既に海外で販売しています。 サムスンでさえ、近い将来中国市場から撤退せざるを得なくなると、私は見ています。 美的集団、ハイアール、格力集団、TCL、長虹集団等々 (長虹は国有の軍需工場でした。)

【巨大マーケットの典型例=自動車産業】
 国を発展させるためには、自動車産業の育成が不可欠です。 然し、自動車の技術レベルは低く、資本が有りませんでした。中国は乗用車に25%、トラックに20%の関税を掛け、完成車の輸入を抑え、外国の自動車メーカに合弁企業を設立させて、国内で生産させる事にしました。

 現在、中国には自動車メーカが1,000社程有る様です。以下に、外国のメーカと合弁で乗用車を製造する企業を整理して置きます。

① 第一汽車 :国有企業;トヨタ、ダイハツ、マツダ、フォルクスワーゲン(VW)
② 上海汽車 :国有企業;ボルボ、GM、VW
③ 東風汽車 ::国有企業;日産、ホンダ、起亜、プジョー、シトロエン
④ 長安汽車 :民間企業;スズキ、三菱、フォード
⑤ 奇瑞汽車 :民間企業 (大手です)
⑥ 北京汽車製造廠:民間企業;現代、メルセデス
⑦ 広州汽車:国有企業;ホンダ、トヨタ、三菱、日野、フィアット
⑧ 浙江吉利控股集団:ベンツ
⑨ 華晨汽車:民間企業;トヨタ、三菱ふそう
⑩ 東南汽車:三菱
⑪ 華泰汽車:現代

 2018年の中国の自動車生産台数は2,780万台、販売台数は2,810万台で、巨大なマーケットになっています。ちなみに、アメリカの販売台数は1,730万台で、日本は527万台です。中国の人口は多いですから、5,000万台になっても不思議ではありません。

 トランプの要求により、習近平は自動車産業などの分野で外資参入規制緩和(現在は出資比率の上限=50:50)を撤廃すると宣言しました。 中国の自動車メーカが力を付けてきており、規制を緩和しても影響が少ないと判断したのだと思われます。

【民間企業の国有化】
 近年、国有企業が民間企業を買収したという報道が時々有ります。2002年頃から始まり、特に2018年から多くなっている様に思えます。(国進民退)

 中国には民間の報道機関は殆ど無く、共産党に都合の悪い報道は出来ませんから、個々の国有化の理由は外からでは類推する以外には有りません。日本では、かなり憶測を交えて国有化が報じられています。 例えば、アリババ集団の会長、馬雲(ジャック・マー)が「2019年9月に引退する」と公表したのは、「共産党がアリババ集団をコントロールしやすくするためだ」等々。

 2018年から国有銀行が民間企業に対し”貸し渋り”や”貸し剥がし”に出ている様です。 民間企業は、『ファーウェイ(7)』で述べました”P2P”から20%もの高利で資金を調達するか、銀行に、その企業の株式を買い取って貰う様になっています。銀行は、取得した株式を国有企業に売却しているため、民間企業が国有企業の傘下に入る事になります。

 「民間企業の国有化が進めば、効率が低下して中国経済は減速する」と予想するコメンテーターがおられますが、中国政府はデメリットを織り込み済みで、この政策を始めたと私は考えています。

 『外国の企業と競争出来る国有企業が多数成長してきたし、”富国強兵”もかなり達成出来たし、経済が多少減速しても共産党がコントロール出来る企業を増やす方が都合が良い。減速し過ぎたら手綱を緩めたら良い』と考えているのでは?

【民間/外資企業の運命】
 中国で殆ど製造されていない製品の分野で、海外のA社が中国のB社と合弁会社(C社)を設立したとします。 A社は技術移転を要求されていますから、当然、技術情報は漏れてしまいます。A社の種々の情報を集め、A社の社員を引き抜いて、純粋な中国の会社(D社)が設立され、同様の製品を製造し始めます。 マーケットがドンドン大きくなって、D社が成長して来ました。 中国政府がD社に膨大な助成金を投入して、D社の設備を増強し、安価な製品を販売させると、合弁会社C社は赤字に転落します。 A社は,中国から撤退せざるを得なくなります。

 合弁会社C社の工場は、国から借りた土地に立っています。 A社が中国に持っている資産はD社の株式だけです。 A社はB社に、安い値段で株を売って撤退せざるを得ません。 C社とD社がそのまま存続すれば、雇用を失うことが有りません。 これが、鄧小平が考えた”解放”のストーリーなのだと思います。

【ハイテク企業の優遇】
 1995年頃に、安川電機さんのロボット工場を見学させて貰った事があります。ロボットがロボットを組み立てるラインが有り、ラインが始まる所では組み立てられているロボットはわかりますが、ラインが進むに連れどちらが組み立てられているのか判別出来なくなるのです。最後にロボットがロボットを検査していました。このラインは無人で、SF映画を見ている様でした。

 私達は、第四次産業革命の真っただ中に生きているのです。明治維新の頃は、第一次産業革命が終わる頃で、明治になって、(直ぐに、)第二次産業革命が始まりました。1980年頃から、パソコンに代表される第三次産業革命が始まったのです。その後、急激に種々の分野で先端技術が開発され商品化される様になり、いつの間にか第四次産業革命の時代になりました。

 第三次産業革命が始まった頃に、中国は改革開放政策(1978年~)を始めました。その後の中国の経済発展は、携帯電話の普及が象徴しています。日本でポケットに入るくらいの携帯電話が出たのが1990年です。中国では、固定電話が各家庭に普及する前に携帯電話の時代になったのです。そして、2018年のスマートフォンは、世界の1/3を中国で製造される様になっています。

 明治維新を進めた人達と、改革開放を進めた中国の政治家は、同じ様な”気概”を持っていたのだと思います。明治5年(1872年)にお金が無いのに、富岡製糸場を設立しました。”ケチな”工場では無く、当時としては世界一の製糸工場を建設したのです。

 中国の企業に対する税率は25%ですが、ハイテク産業分野の企業には軽減税率(15%)が適用されています。資金調達の優遇、人材の投入、更には国家の機関が外国で合法/非合法に入手した情報を与える等々して、ハイテク産業を育成して来ました。その典型がファーウェイです。

【ファーウェイ】
 ファーウェイは1987年に商社としてスタートしました。 2010年からスマートフォンの製造を開始し、中国政府の強力なバックアップを得て急激に規模を拡大してきました。 2018年、スマートフォンの分野ではサムソンに次ぐ世界第2位の会社のなりました。

 ファーウェイのスマートフォンには、「中国が情報を引き出せるプログラムが入っているのでは?」と言うのが、アメリカの主張です。然し、AppleやGoogleで通信したらアメリカの情報機関に筒抜けだと、昔から言われています。

 第5世代移動通信システム(5G)の分野からファーウェイを排除したい理由は、第四次産業革命の主導権を中国に渡したく無いためだと私は思います。中国がアメリカから穀物等を多量に輸入して、一時的にアメリカの貿易赤字を減らしても、問題は解決しないでしょう。アメリカは研究/開発費を大幅に増やして、ハイテク産業分野の企業を資金的に支援しない限り、中国には勝てません。

 日本の政府は、第四次産業革命が進行中だと言う認識が無いように思います。研究/開発費を削減し、レベルの低い大学にも補助金を出し続けています。予算委員会のTV中継を見ていると、森友/加計/データ改竄問題やUSBについての質問をする野党にはうんざりします。第四次産業革命で、中国と「どう戦うか?」、「こう戦うべきだ!」と言った議論をして頂きたい。国会議員は、ハイテク技術について勉強する必要があります。

法律の不備を正せない日本

2019-03-09 00:25:38 | 社会問題
 今回は、中国の民間企業について書く予定でしたが、最近身近で起こった”腹立たしい”問題に変更します。

【賃貸の一室を無料で倉庫に使用出来ます!?】
 私は、親戚の所有する賃貸アパートの管理もやっています。世の中には、頭の良い悪人がいる事を思い知らされたのです。次の様にすると、アパートの一室を無料で倉庫代わりに使用できます! ただし、処罰されなくても、公序良俗には反します。

① アパートの一室を借ります。 この時は身分証明書が必要です。家賃、電気料金、ガス料金を踏み倒します。 借主は、このアパートで住所登録して、他人名義で借りた別の部屋に住む必要が有ります。

② 電気の供給がストップしたことを確認して、偽名で新たな電気の契約をします。電力会社からの請求書は郵便受に入れられますから、郵便受から取り出して部屋の適当な所に置いておきます。勿論、電気料金は踏み倒します。(電気料金は振り込みも許容されているので、偽名の契約が可能です。)

③ 後日、明け渡し訴訟が始まり→強制執行になりますが、執行官が偽名の請求書を見付けてくれたら、新たな訴訟が開始されます。次の強制執行までには数か月掛かると思われるので、その間に別の偽名で電気の契約をします。部屋の荷物は、契約者の物か?偽名者の物か?判断出来ませんから持ち出し(断行)はされません。断行が行われるまで、部屋の鍵は交換されませんから、荷物の持ち出しは自由に出来ます。

④ 電力会社の請求書を前の様に部屋に置いて置きます。これを繰り返せば、家賃を払わないで、一室を倉庫として何時までも使用出来ます。

(警告) 悪い執行官がいて、せっかく用意した電力会社の請求書を握り潰すかも知れません。その時は、荷物は諦めて下さい!

【問題の背景】
 数年前に、二人の子供を連れた女性(A氏)が某賃貸アパートの一室(〇号室)に入居しました。2年程前に大病で数か月入院する事になり、子供を親戚に預けました。その後、〇号室に荷物を置いたままで、人は住んでいませんでした。

 A氏は、数か月後に退院したのですが、親戚の家に厄介になり、〇号室には帰って来ませんでした。その後、家賃が振り込まれなくなり、家賃保証会社(b社)がA氏に対して訴訟を起こしました。

 A氏は電気料金も踏み倒した様で、電力会社は〇号室への電気の供給を停止しました。(現在は、遠隔で供給/停止の操作を行っている様です。)

【不法入居者と電気の契約】
 提訴して2か月たった頃に、A氏と名字の違うC氏の名前で電気が契約されました。直ぐに、A氏ともC氏とも名字の違う男性のD氏が〇号室に住み始めました。

 D氏は、30才程の少し”強面”の男で、部屋に出入りする時は何時も火の付いたタバコを咥えており、火の付いたままのタバコを廊下、階段などにポイポイ捨てるので困りました。

 電気を止めて貰えないか?と思い、電力会社に相談したところ、「空き部屋に入居したと言う人から連絡が有ったら、身元確認をしないで電気を供給する様に国から指導されている。契約者からの解約が無いのに、大家や管理人からの申請で供給をストップする事は出来ない」、「正式な入居者なのか、不法入居者なのかは電力会社は関係がない!」

 「偽名を使って契約できるのか?」と聞いたら、「出来ます」との回答でした。「この不法入居者は電気料金を払わないと思う」と言ったら、「その時は、供給を停止して”空き部屋”の扱いにする」との回答でした。

【警察に相談】
 所構わず、毎日数本火の付いたタバコを捨てるので、火災の心配が有り、警察に相談して見ました。 「賃貸アパートへの不法入居者の問題には、警察は関与しない」と素っ気ない回答でした。

【法律事務所への相談】
 家賃保証会社(b社)から依頼されてA氏を提訴した法律事務所(e事務所)に、電気の契約をしたC氏と不法入居者のD氏について連絡して見ましたが、「何とも出来ない」との回答でした。

 「貴重な情報を有難う御座いました」と言われたのですが、「裁判に有利な情報だったのか?」と思ったのですが、全くの誤解だのです。最後まで読んで頂くと、理由がわかります。

【不法入居者(D氏)】
 不法入居者のD氏は3カ月ほど〇号室に住んでいました。昼頃に部屋を出てきて、何時帰ったかは不明で、定職に就いている様には見えませんでした。洗濯物を干している様子も、コインランドリーに行っている様でも無かったので、別に住いが有ったと思われます。

 D氏は、この賃貸アパートで住民登録して銀行口座を開設しました。多分、それが不法入居した目的だったと思われます。

(余談 :郵便受のゴミ箱) この賃貸アパートに、口汚く他人を攻撃する住人がいるのですが、彼女が郵便受の下にチラシを捨てるゴミ箱を置きました。消防署から放火される恐れが有るので、撤去する様に言われたのですが、彼女とのトラブルを避けたいのでそのままにしています。週に2~3回、私がチラシをゴミ袋に入れて、指定日に出しています。D氏は郵便物もゴミ箱に捨てたので、C氏が電気の契約をした事や、D氏が銀行口座を開設した事がわかりました。部屋の新聞受けに配達された”明け渡し訴訟”関係の郵便物も、なぜか?チラシと一緒に捨てていました。

【強制執行】
 提訴した日から考えると、昨年の11月には強制執行が入ってもおかしく無かったのですが、執行官は年末と年始は働きたくない様です。(複数の方から聞いた話です。)

 結局、3月になってやっと強制執行されました。年配の執行官が助手の様な人を1名連れ、弁護士と物を運び出す業者1名、合計4名で来ました。

 大昔の習慣が残っている様で、弁護士も執行官を”先生”と呼ぶんですね!今回の”先生”は”横柄の固まり”の様な人でした。私は、代議士、中央省庁の局長、大会社の社長、学会で有名な教授などと面談したことがありますが、こんな古いタイプの人間と会うのは初めてでした。(執行官は、単なる公務員です、先生と呼ぶのは止めませんか。)

 執行官が入室して直ぐに、電力会社からC氏宛ての請求書を見付けたのです。「C氏がこの部屋に住んでいた可能性があるので、C氏への新たな訴訟が必要だ」と言って、さっさと帰ってしまいました。 (執行官は、A氏宛ての別の訴訟の郵便物も見付けた様子で、「A氏は常習犯だ!」と言っていました。)

(余談 :郵便受) 執行官に「階下にある(施錠した)郵便受を開けても良いか?」と聞いたのですが、「断行が終わるまでだめだ」と言われました。断行日に執行官が郵便受を開けて、新たな氏名宛ての郵便物が入っていたら、どうなるのでしょうか?

【法律事務所(e事務所)】
 弁護士に、「C氏とD氏の件んは、以前お話ししたでしょう」と言ったら、「帰ってから調べてみる」と言われました。近年、弁護士は数が増えて仕事が少なくなりましたから、C氏に対する新たな訴訟は大歓迎だったのだと気付きました。

 私が伝えたC氏とD氏の情報は、依頼主のb社に内緒にしていたのだと思われます。悪徳弁護士の部類に入れても良いかも!

 「新たに訴訟を起こすとしても、C氏が偽名を使っていたらどうなるのか?」、「新たな訴訟中に、別人が電力会社と契約したら?」・・・永遠と訴訟が続く事になります。

【法律改正の提案】
 どんなにしたら、この種の不正を無くせるか?私なりに考えて見ました。

 法律改正案 :「強制執行時に、部屋に有った物品は全て契約者(A氏)の所有物と見なす」と借地借家法に追加べきです。一般に賃貸借契約書には、「家族以外は大家の了解なしには同居させてはならない」と書かれています。今回のケースのC氏とD氏は、契約違反を承知のうえだったと思われます。彼らの権利を法律で守るのは納得できますか?

 今回の様なケースが増えてくると、家賃保証会社の保証料が高くなり、善良な借主の負担が増える事になってしまいます。A氏の滞納分として保証会社は既に家賃1年分以上を負担し、法律事務所に数十万円支払うと思われます。C氏への新たな訴訟で、同額の出費が予想されます。

ファーウェイの問題 (その8)

2019-03-02 12:03:28 | 中国
 今回は中国の国有企業についてです。中国は、ファーウェイを支援して第5世代移動通信システム(5G)の市場を支配しようとしている様です。 さらに、国有企業を巨大化して、他の分野の席捲も目論んでいる様に思います。

【毛沢東時代の国有企業】
 毛沢東は民間企業を国有化し、その後”雨後の竹の子”の様に種々の分野で国営企業が設立されました。共産主義国ですから、民営企業は認めなかったのです。
 企業経験が殆ど無い共産党員が、それらの国有企業のトップになり、製造分野の企業では旧式の設備を使用せざるを得ない状況でしたから極めて生産性の低い企業でした。

【鄧小平の改革開放】 1978年12月~
 『低迷している経済を発展させて豊かになる』と言う課題を解決する手段として、共産主義者で有れば、国有企業を改革しようとするはずです。鄧小平は、”ひとまず”は国有企業はほっといて、民営企業の設立を許可し、外資を導入して新たな産業を興し/発展させることにしたのです。

 「建国後、既に30年ほど経過しており各国有企業には共産党員の既得権が定着して、改革に抵抗する」と鄧小平は考えたのだと思います。

(余談) (日本もそうでしたが)資本主義の後進国では、国が税金を投入して工場を作り、民間に払い下げて民営化しました。 中国には”三井家”の様な豪商は育っていなかったので、民間の受け皿が無かったのです。

 鄧小平の考え方を私なりに整理しておきます。 『共産党の存続が最優先課題であり、共産主義と言うイデオロギーには固守しない。社会主義の根本である”平等主義”も固守しないで、出来る事からやる。その結果、富/所得格差が拡大しても、遠いい将来には是正されるだろう!』
 鄧小平は、『他国に侵略されないためには、”富国強兵”が必要だ!』とも考えていたと思われます。経済の発展に注力し、”金”が沢山得られる様になってから、軍隊の近代化(”強兵化”)を進めることにしたのです。この考え方は、鄧小平以後も引き継がれています。

(余談:孔子学院) 中国政府は2004年から、中国語と中国文化を広める目的で外国の大学に”孔子学院”を開設しています。儒教は教えていない様です。”毛沢東学院”では外国に受け入れられ無いと考えたのでしょう。中国共産党が儒教を否定していない事は明らかです。”かちかち”の共産主義者で無いことも明らかです。

【改革前の国有企業】
 地方政府が企業を設立し、その企業が子会社を設立して・・・2010年頃には、国有企業は10万社もあった様です。数があまりにも多くて、実態を把握するのが難しいですが、日本にも中国の国有企業を研究されている方がおられ、インターネットに沢山論文が公開されています。もっとも詳しく知りたい方は『中国 国有企業 論文』で検索して下さい。

 国民に仕事を提供し、貴重な外貨を節約する事が国有企業の使命だったと推察します。採算性や需要予想などは無視して、工場を建設していったのです。典型例はセメントと鉄鋼の分野です。セメントの国有企業は1,000社も出来てしまい、その総生産能力(50億トン)は日本の100倍程にもなります。鉄鋼の国営企業が20社ほどあり、近年の粗鋼生産量は7~8億トン(日本は約1億トン)です。セメントも鉄も中国は多量に輸出しています。

 企業に国家が補助金を出して、製品価格を安く設定して輸出するのは国際ルール違反ですが、「中国政府がどれだけの補助金を出しているのか?」を、情報機関を持っているアメリカでも算出出来ないと思われます。中国のある国営企業が、新工場を建設したとします。用地は国有地ですから、多分ただ(=補助金)、工場の建物を国が建てて無償で貸す事にしたら、これも実質的には補助金です。

 「赤字の国営企業を何時までも存続させられない」と言う人がいましたが、少しずつ改善している企業もあります。鉄鋼の分野では近年収益性が改善され、さらに12億トンもあった設備能力を1億トン以上破棄してスリム化する計画を進めている様です。補助金無しでも国際競争力のある価格で製造出来る様になったら、日本も欧米諸国も、国際ルールに反する高い関税を掛ける様になると予想されます。

【国有企業の改革】
 2013年に習近平が国家主席になりましたが、その頃から国有企業の改革を検討し始めた様です。建国から60年以上経過して、国有企業は利権の温床で、巨額の賄賂が横行していました。然し、利権で潤っている国有企業の上層部は共産党員ですから、改革に抵抗するのは明らかです。

 習近平は、鄧小平のやり方をまねて、出来る所から改革する事にしたのだと思います。敵対派閥の人間がトップに座っている企業で、汚職の摘発をしてトップを据え替える作戦を始めました。敵側の力を削いで見方を増やし、企業を改革すると言う”一石二鳥”を狙っているわけです。

(余談) 汚職摘発のニュースは、敵対派閥を潰すために行っている様に報道されていますが、私は、①国有企業の経営改善と、②半独立国の様な存在だった巨大国有企業を中央政府がコントロール出来る様にするのが主目的だったと見ています。

 2016年からは、国有企業の株を民間企業に買わせる制度(混合所有制)を導入しました。明治時代の日本の様に、国有企業を豪商に払い下げる方式では有りません。企業のトップは共産党員であり、経営権は共産党が握ったままです。

 習近平は、一部の分野の国有企業では単に赤字を減らすのが目標では無く、その分野で世界的な企業に成長させると言う遠大な目標を掲げて、金と人材を集中的/戦略的に投入していると私は見ています。そして、成功している様にも思えます。

【現在の国有企業】
 中国では民間企業が急激に成長していますが、現在でも中国の大企業は殆ど国有企業です。アメリカの雑誌・フォーチュンの2018年版では、第2位から第4位は中国の国有企業でした。

★世界第2位:国家電網(ステートグリッド) ;売り上げ=38兆円
 2002年に発電と送電事業を分割し、国家電網は送電を担当しています。イタリア、ポルトガル等の電力会社に投資しています。(発電は4社?に分割されています。)

★世界第3位:中国石油化工集団(シノペック) ;売り上げ=36兆円
★世界第4位:中国石油天然気集団公司(CNPC) ;売り上げ=36兆円
◎世界第5位:ロイヤル・ダッチ・シェル;売り上げ=34兆円(セブンシスターズの1社)
◎世界第6位:トヨタ自動車 ;売り上げ=29兆円

 セブンシスターズ(国際石油資本7社)に関する記事が昔は時々報じられましたが、近年は死語の様になってしまいました。その間に、中国の石油企業の2社は、セブンシスターズよりも大きくなったのです。

 2009年から、国外の石油や天然ガスの採掘権を持つ企業を買収したり、投資したりしています。中国には石油も天然ガスも埋蔵されていますが、国策として海外の資源を支配しようとしているのです。(逆に日本には、殆ど埋蔵されていないのに、民族系石油会社は出光興産だけになっています。政府は不測の事態を全く考えていない様に思えます!車を持っておられる方は出光で給油して下さい‼)

 近年、内政混乱が伝えられるベネズエラの国営石油会社(ペトロレオス PDVSA)に中国が資本参加している様です。政情不安になった石油産出国は、中国の餌食になる可能性があります。 なお、ベネズエラは石油の確認埋蔵量が世界一です。中国の石油戦略を放置していたら、石油輸出国機構(OPEC)では無く、中国が石油の産出量を決める様になる恐れがあります。

【私が注目している国有企業】
① 中国鉄路総公司
 鉄道の総路線距離の長さでは、一位がアメリカで、中国が2位です。アメリカは民間企業8社と公営のアムトラック1社で運営されています。中国は地下鉄などの都市交通を除いて、国有企業の中国鉄路総公司が全て運営しています。

 中国でも鉄道は貨物の輸送がメインでしたが、2008年に北京市と天津市間に高速鉄道(高鉄)が敷設された後、高速鉄道網の整備に毎年巨額の予算を投入して来ました。2018年末の高速鉄道の総延長は2.9万kmにも達しています。(日本の新幹線は3,130kmですから、既に10倍ほどになっています。) 高速鉄道は建設費が高く、運転/維持費も高いため大幅な赤字が毎年発生している様です。

 中国では経済の発展につれ貨物の輸送量が急激に増加していますが、高速鉄道では客車しか走りません。従って、トラックによる輸送に頼る事になりますが、廃棄ガスや交通渋滞等の問題が大きくなって行くと思われます。習近平が、中国鉄路総公司をどんなに改革するのか?私は注目しています。

② 国家電力投資公司(国電投 SPI)
 2015年に、原子力発電分野の国有企業であった国家核電技術公司(国家核電)と中国電力集団公司(中電投)を合併させて、国家電力投資公司が誕生しました。(総資産=12.8兆円、売上=3.2兆円・・・2015年)

 2007年に国家核電技術公司は、ウェスティングハウスの最新技術の原子力発電所”AP1000”を発注し、2018年に発電を開始しました。(三門1号機=AP1000の1号機)

 企業規模を拡大して、国内だけでなく外国にも原子力発電所を建設するのが中国政府の狙いの様です。原子力発電の分野では、他にも中国核工業集団公司と中国広核集団公司が有り、3社体制になっています。

③ 国家能源投資集団有限責任公司
 2017年に中国国電集団公司と神華集団有限責任公司が合併し、世界一の電力会社”国家能源投資集団有限責任公司”が誕生しました。 総発電能力=2.26億kW、総資産=30兆円(東京電力の総発電能力≒0.6億kW)

④ 中糧集団有限公司
 穀物の輸入は中糧集団有限公司が担当している様です。この会社はフォーチュン500に登場する大企業です。国外で中規模の穀物会社を買収し始めています。

(余談) 日本の商社は、国内だけで無く中国にも穀物を売っています。特に丸紅は2013年に米国のガビロン社を買収して、”穀物メジャー”と呼んで良いほど多量に穀物を扱っています。”JA全農”は海外に多数穀物の貯蔵/出荷設備を保有して、商社と同じ役割をしています。