これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

口の悪いお婆さんの不思議な話し

2022-12-30 22:50:55 | 在宅医療
 私が管理しているエレベーターの無い賃貸マンションに、77歳の超!超!口の悪い、噓つき婆さん(Tさん)が一人で35年間も住んでいました。ヤット今月、出ました!

 5年前から、段々と足が不自由になって来ました。部屋に風呂が付いているのですが、Tさんは銭湯が好きで、二日置きに手押し車の助けを借りて数百メートル離れた銭湯に通っていました。Tさんは二階に住んでいたのですが、一昨年(2020年)の秋に、一階の部屋に35年間住んでいた一家が出ていきました。 Tさんが「一階に移りたい」と言い出すだろうと、大家が予想しました。 最低限のリホームをして、Tさんが希望したら許すつもりだったのです。

 案の定、Tさんから大家に電話が有り、「一階に移りたい。引っ越し業者を大家が探し、その費用を大家に負担してもらいたい」と言ったので、大家は怒って断ったそうです。 それで、本格的なリホームをする事になり、業者の見積もりは『350万円程』でした。

 工事が始まる直前に、Tさんから大家にマタマタ電話が有り、「一階に移りたい」と言うので→→大家は「250万円出すのなら、引っ越して良い」→→Tさんは条件を呑んだそうです。

 数時間後に、「10日程考えさせて欲しい」と電話が有りました有りました。結局、10日待っても連絡が有りませんでした。工事が始まると、Tさんが「私が入る事になっている」と嘘をいって、進捗状況を時々見に行った様です。業者は事情を知らなかったので、ブルーシートを敷いたりして見せていたようです。 この当時は、Tさんは生活保護を受けていませんでした。 「250万円払うか?どうか?悩んだのだから、Tさんは1,000万円は持っている」と大家と私は話していました。

 この頃は、Tさんは平地だったら何とか一人で歩ける状況で、介護士が週に二、三回来ていました。 2021年の春頃から車椅子が必要になり、毎日介護士が来る様になりました。

 去年(2021年)の1月にTさんは、ケアーマネージャーをS女史に代えました。2月の初めに、S女史に電話すると、「内の女の子達が、Tさんの我儘に耐えかねたので、契約を解除してもらった!」と喜んでいました。

 Tさんは益々我儘になり、新しいケアーマネージャー(M女史)が派遣する介護士達を困らせました。予約の時間に行くと、「今は気分が悪いから、2時間後に来てくれ」などと、週に二、三回言いうのです。その度、M女史が飛んでくるのですが、部屋に入れません。仕方なく、M女史が通路から電話して説得を試みるのですが、埒が明きません。そんな時に私が通りかかると、M女史は私と話して、うっぷんを晴らすのです。それで、私はM女史と親しく話す様になりました。

 今年の1月にTさんは、全く歩けなくなってしまいました。トイレにも行けないので、紙おむつを使用する様になったのですが、相変わらず口が悪く、我儘です。土日も祝日も関係なく毎日介護士が来ていました。Tさんが「金が無い」と言うので、M女史が区役所に相談して、3月頃から生活保護が受けられる様になりました。マンションの占有面積が生活保護の規定よりも広すぎ、家賃は規定額を2万円以上オーバーしています。安い所に転居しない限り、生活保護は受けられないはずです! どうなっているのでしょうか?

 生活保護が受けられる様になって直ぐに、Tさんは3ヶ月間入院しました。区役所が「痴呆症が進んでいる」と言う診断書を某医者に書かせた様です。区役所の職員(I氏)が、通帳と印鑑を預かり、家賃の支払い等を代行する様になりました。

 Tさんは私に会う度に、「区役所のI氏が、私の通帳と印鑑を盗んだ!取り返してくれ」と、何回も言いいました。

 8月に、Tさんの我儘に困り果てたM女史が区の地域包括支援センター(?)に相談して、センターのS女史が民間の介護施設を使ってTさんの面倒を見る事になりました。S女史から大家に「Tさんの事は、今後は私が担当します」と電話が有ったそうです。M女史が引き継ぎの為にマンションに来た時、私に「ドンナ人生を歩んできたら、あんな性格にになるのでしょうか?」と話していました。

 9月の初めに、Tさんは又入院しました。I氏か?S女史?から「貯金が底を突いたので、9月分から家賃が振り込めなくなった。施設に入所させる様に検討する」と大家に電話が有ったそうです。・・・9月~12月分の家賃が未払いです。

 12月になって、誰か分からない男性(O氏としておきます)から大家に、「15日にTさんを連れて、施設に持って行く物と、廃棄する物を仕分けに行く」と連絡が有り、大家から私に立ち会う様に言って来ました。当日、急遽大家が来て、「僕が立ち会う」と言いました。

 男性3人とTさんで、荷物を仕分けした後に、搬送業者(K氏)が来て、大家の前でO氏とK氏が、「23日までに荷物を搬出する」と話したそうです。

 皆が帰って30分した頃、「Tさんが忘れ物をしたので鍵を開けてくれ」と男性二人に頼まれました。悪い事をされない様に、私は立ち合いました。4時間程探しましたが見当たりません。「17日に出直して探したい」と言い出しました。「何を探しているのか?言ってくれなかったら、開けない」と言うと、・・・

 「僕達は、Tさんが入院している○○病院の職員です。病院には個室しか無い。個室料金は保険が効かないので、入院時に前払いしてもらう。Tさんの様に部屋に金を置いて来た場合は、本人を連れて来て金を支払ってもらう」

 夜、インターネットで○○病院を検索すると大きな精神病院で、痴呆症患者用が2棟だけ有りました。S女史が何で?そんな病院に入れたのか?不思議です。

 17日早朝に男性二人が来たので、「現金が出て来たか?幾ら有ったか?言うのなら鍵を開ける」と言いました。「正直に話します」と言いました。

 病院の出入り口に有る、監視カメラの15日の映像に車椅子に座ったTさんの膝に、無くしたと言う小さな布袋が有ったそうです。形状と色が分かったので、17日は2時間ほどで、現金入りの袋が見つかりました。幾ら入っていたか?は言いませんでした。・・・15日、Tさんは車椅子で部屋に入りました。男性4人の前で現金を布袋に入れたはずですが、誰も気付か無かったのです。そんな痴呆症患者がいる分けが有りません!

 Tさんが介護施設に持ち出したいと仕分けした物は、高価そうな箪笥、大きなサイドボード、テーブル、本箱などで、普通の施設の部屋にはとても収まりません。病院の職員は「半分以上捨てないと駄目でしょう」と言っていました。

 22日に大家がS女史に「今週中に荷物を搬出する約束だったですね?」と電話したら、「何の事ですか?」と言ったそうです。「15日の件も、17日の件も私は知らない。15日に区役所の関係者は行っていません」・・・

 S女史が15日と17日の状況を詳しく聞きたいと言うので、私からS女史に電話しました。S女史の話は矛盾だらけでした。❶個室料金が必要な事は知らなかった。➋Tさんが介護施設に持って行きたいと言う荷物が多すぎる事は知っていました。➌15日に来たO氏は知らないが、搬送業者のK氏は知っている。❹賃貸契約の解除を私は仲介していないので、今までと、これからの家賃については知らない。大家とTさんの問題です。

 S女史は「介護施設に入居する様にTさんを説得している。本人の同意が得られ無かったら強制的に入居させられない。Tさんの同意が無かったら、大家が勝手に荷物は処分出来ないですよ!」と言いました。

★★★★★★★★
 40歳代のTさんを知っている方から聞いた話しです。溌剌(はつらつ)としていて、軽四輪車で通勤していたそうです。朝の挨拶は「オッス」だったので、子供達は「オッスの小母さん」と呼んでいたそうです。Tさんは、マンションの住人に「勘当した息子がいる」と言っていましたが、嘘だそうです。

妻の認知症と夫の我儘

2022-07-09 09:21:25 | 在宅医療
【はじめに】
 先週、奥さん(Tさん)が重度の認知症になった旦那さん(M氏)から依頼されて、認知症患者を受け入れてくれる介護施設を調査した事を投稿しました。

 今回は、M氏を腹立たしく思う様になった経緯について書きます。

【どんな状態だったか!】
 奥さん(Tさん)は今年76歳になるのですが、60歳になった頃に認知症の症状が出て来ました。 その前から、Tさんの御両親が認知症の末期で寝たっきりになっていました。 Tさんが62歳~63歳頃に御両親が相次いで亡くなられましたが、御両親が亡くなった事は全く脳にインプットされませんでした。 今でも、生きていると思っています。 

 Tさんは古い古いガラ携帯を持っていて、時々実家に電話しています。一回り年下の弟さんが父親と祖父になって話をしている様です。 私は、Tさんに父親の話をする様に仕向けるのですが、嬉しそうな顔で「猟銃を持って猪や鹿を撃ちに出掛けた」と最近も言います。

 72歳のお盆に帰省したのですが、御両親がいないので頭が混乱してしまった様でした。その後、症状が急に進んでしまいました。 塩加減が分からなくなって、料理を作る家政婦を雇う様になりました。 (Tさんは気が向くと、買い物に出掛けてドッサリ食材を買って来て、沢山料理を作って冷蔵庫に入れますが、塩辛くて食べられません。 私が遊びに行くと、家政婦さんが作った料理を、「私が作ったのよ」と言って出してくれました。)

 旦那さん(M氏)は今でも忙しく働いています。 家政婦を雇う様になった頃から、私は「Tさんを施設に入所させた方が良いのでは?」とアドバイスして来ましたが、「家に誰もいないのは寂しい」と子供の様な事を言い続けました。

 病状は更に悪化して、時々ですがM氏を「知らないお爺さんがいる」と言って、手提げ金庫を隠したりします。 私が様子を見に行くと、家の中では私が誰か分かるのですが、外に出て草引きをしていると、「知らないお爺さん」になってしまいます。

 去年の秋、(実家に帰りたかったのだと思いますが、)家から200kmほど遠くのJR田辺駅で保護されました。今年の春先には御坊駅で保護されました。二回とも、和歌山県に住む親戚に電話して、車で送ってもらいました。 春先の時、私は(草引きの為に)M家に行っていました。Tさんは急いで車から降りて、家に入り「お腹が空いた!」と言いました。

 その後直ぐに、GPS発信機を五、六台買ってハンドバッグや買い物袋に入れています。 5月頃から、500m程の距離に有るスーパーに買い物に出掛け→→帰路が分からなくなり→→警察に保護さる事件が二、三回有りました。その都度、従業員を迎えに行かせました。

 私は月に一、二回はM家に行っています。Tさんは、私がコーヒー好きなのを覚えている様で、コーヒーメーカーで作ってくれます。但し、紙フィルターを装着しないので、飲める代物では有りません。

【その後、どうなったか!】
 今年の6月になって、M氏から介護施設の調査を頼まれました。 その調査結果は2022年7月2日投稿の『認知症と介護施設』に書きました。

 渋るM氏を説得して、7月2日に介護付き有料老人ホームに入所させました。 ガラ携帯を持たせていたので、深夜に「連れに来て」と電話が有り、3日の昼食後に連れて帰ってしまいました。

 M氏から「連れて帰ったら、精神的に落ち着いているので心配しない様に」、「今後は実家に帰るとは言わないと思う」と電話が有りました。 認知症は悪化するだけで、良くなる事は絶対に有りません。M氏が、「何を考えているのか?」分からなくなってしまいました。

 施設には、「料金は毎月支払うから部屋は何時でも入所出来る様にしておいて下さい」と言ったそうです。 そんな例は今まで無かった様ですが、施設は了解した様です。

【8日の出来事】
 Tさんが、昨日(8日)の始発電車で淀屋橋まで出掛けてしまいました。6時ちょっと過ぎにM氏から「GPSによると、淀屋橋にいる」と電話が有りました。私は急いで朝食を取って、何時でも出掛けられる様にして、待機していました。

 7:30頃に、「警察が保護してくれたので、従業員に迎えに行ってもらう」と電話が有りました。

【私は少し腹を立てています!】
 M氏は、Tさんが保護された時、一度も自分で迎えに行った事が有りません。親戚に頼んで”はした金(二、三万円)”を渡すか、従業員に行ってもらうか、金で全てを解決して来ました。

 8日は早朝の出来事でしたから、直ぐに電車に飛び乗って近くまで行って、(GPS信号を頼りに)徘徊中のTさんを見つけて連れて帰ったら、始業時間に十分間に合ったはずです。 端(はな)から自分で連れに行く気が無いのだと気付きました。

 JRの職員や警察官を何だと思っているのか! 親切心でやってくれた親戚の人に”はした金”を渡して済む話か?! 私は少し腹を立てています! 皆さんは、どう思われますか?

認知症と介護施設

2022-07-02 09:36:16 | 在宅医療
【はじめに】
 知人の奥さんの認知症が進んできたので、種々の介護施設を調べました。日本は高齢化が進み、認知症患者が増えて来ていますので、「老後の心配をされている方が沢山おられるのでは?」と考え、調査結果を纏めて見ました。

 要介護認定を受けてケアーマネージャーが決まったら、時々会って将来の事や現在の悩みを相談される事を推奨します。 介護の仕事に携わるには、真面目で誠意が無いと務まらないようです。私が今までに会った方は、皆さん立派な方でした。

 ケアーマネージャーは、居宅介護支援事業所が紹介しています。
 どの施設でも酒はOKでした。喫煙が出来る施設も有りました。

【調査条件】
 裕福な知人から認知症の有料介護施設の調査を依頼されてたので→→インターネットで調べ/勉強して→→施設を見学させてもらい→→数人の介護士から生の声を聴いて→→色々なアドバイスを頂きました。

 後期高齢者の認知症になった奥さんを入居させる施設の調査の依頼でした。旦那さんは今でも働いています。子供が独立して遠方に住んでいるので、奥さんと二人住まいです。奥さんは週に1日・デイサービスを受けています。

 比較的費用の安いグループホームから超豪華な介護付き有料老人ホームまで調査/検討しました。 最高級の施設は豪華ホテルの様で、廊下が広く、ロビーはゆったりしていて、入居者の着ている服が違いました。車椅子を利用されている方も多かったです。 要介護度が高くなったら、本人にとっては、介護さえしてくれたら、設備の良し悪しは関係無い様に思いました。

【認知症患者は人間です!】
 奥さんが、1年程前に一人で電車に乗って実家に帰ろうとして、200kmほども遠くの駅で保護してもらいました。それから、時々実家に帰ると言います。現在は、旦那さんがGPS発信機を五、六個買ってハンドバッグや買い物袋等に入れています。近くのスーパーに一人で出掛けて、帰路が分からなくなくなり、警察に保護される様な事が起こっています。

 旦那さんから、2ヶ月ほど前に、玄関ドアに鍵を追加して奥さんが出れなくして欲しいと依頼されました。 適当な鍵を見つけたのですが、鍵を付けたら家全体を座敷牢にするに等しいと思いました。 認知症患者も人間ですから、「座敷牢で軟禁する片棒を担ぐべきではない」と考えて、介護施設を調査し、旦那さんを説得して来ました。

 1ヶ月ほど前に、「介護付き有料老人ホームを調査して欲しい」と言い出したので、本格的な調査をして→→資料を集め→→施設を見学しました。やっと、入居施設が決まり、近日中に入る予定です。

【認知症患者を受け入れてくれる施設】
 認知症患者を受け入れてくれる施設は沢山有ります。 入居時に連れて来た人が帰る時、大抵の場合は「帰りたい!連れて帰って」と言うそうです。「心を鬼にして帰って下さい」と言っていました。 10日間の仮入居制度の有る施設が有りましたが、私は推奨しません。

 「入居後・毎週一回、身内の方が短時間顔を見せてあげて欲しい。重度の認知症で誰か分からなくなっていても、身内の顔を見ると心が和む」と言っていました。2ヶ月ほどしたら、面会に来なくても大丈夫の様です。

★ グループホーム :民営
★ 特養老人ホーム :公立や社会福祉法人
★ 介護付き有料老人ホーム :民営
★ サービス付き高齢者向け住宅 :民営

【グループホーム】
 認知症だけが問題の場合は、「グループホームが一番良い」と色々な所でアドバイスされました。 然し、住んでいる市町村に有るグループホームにしか入れません。 国の方針で、市町村の人口を加味してグループホームの数と定員を制限しています。 知人が住んでいる市の人口は約7万人で、グループホームは3施設で、定員は合計で54人しか有りませんでした。

 どの施設も満床で、それぞれ20人ほど空くのを待っている状況でした。空きが出来ても申し込み順に入居者を決めているのではなく、ケアーマネージャーと相談して、緊急度を加味して入居者を決める様でした。

 グループホームでは、(部屋は個室ですが)入居者9人を1グループにして、介護士が一人か二人ついて、一日中グループで行動します。 車椅子が必要な人や、動きに全く問題の無い人が助け合って生活します。「プライバシーが保てないのでは?」と心配される方がおられる様ですが、認知症が進んだ本人にとってはプライバシーは関係無い様です。 一方的に介護を受けて生活するのでは無く、人間らしく助け合って生きる事が出来るのです。

 どの施設でも、入居を希望したら→→空きが出来るのを待って→→面接:施設の担当者が入居予定者に会って様子を確認し→→健康診断書、感染症の有無、申込書→→入居の可否を決め→→入居日を決める。

 施設の担当者が面接するのは、❶入居予定者が暴力を振るう恐れがないか? ❷帰りたいと言って「壁を叩く」恐れがないか? ❸大声で廊下を歩き回る恐れがないか?・・・等をチェックするのが目的だそうです。 「時々ですが、お断りする場合が有る」と言っていました。

【私立の介護付き有料老人ホーム】
 比較的安い所から超高級の施設まで、4ヶ所・見学しました。私は元サラリーマンで年金が少ないので、一番安い所でも年金だけでは賄え無い金額でした。 昔、「老後の為に2,000万円貯める必要がある!」と話題になりましたが、今回見学した一番安い施設でも2,000万円では足りません。

 月額利用料には、①介護費用、②医療費、③水道光熱費、④洗濯費などが含まれていません。現在の後期高齢者の健康保険の負担率は『10%』ですが、調査依頼者は『30%』です。要介護2の毎月の介護費用は、21,967✕3=65,901円になります。 要介護5になると『86,904円』になります。

 部屋の広さは18m2~21m2でした。 見学はしなかったのですが、全国展開している超豪華な施設では、60m2も有りました。夫婦で入居されて豪華な余生を送る施設の様でした。

 どの施設の資料にも『職員体制:要介護者○○』が記載されています。法律の規定で要介護者3人に介護士を1人以上付けなければなりません。 職員体制の数値は、「要介護者数/介護士数」の事です。要介護者3人に介護士が1人の場合は『職員体制:要介護者3.0』となります。 一対一で介護する場合は『職員体制:要介護者1.0』になります。 今回の調査では1.5~3.0でした。

(余談 :タクシー代月100万円) 私は、老人ホームの見学にタクシーを利用したのですが、運転手さんは少し前まで京都市内でタクシー運転手をしていたそうです。京都では有名な高級老人ホームの前を通りかかると、老人が手を振っていたそうです。乗せると、200kmも離れた「○○市の✕✕町に言ってくれ」と言ったそうです。✕✕町に着くと、「その先が分からない」と言うので、交番に連れて行ったそうです。 巡査が鞄を開けると、「この人を見掛けたら次の番号に電話してください」という紙が入っていました。

 2時間ほどすると、息子さんが車で駆け付けて「月に何回もタクシーに乗って遠方に出掛ける。代金が月に100万円ほど掛かるが、父が気晴らしをして、長生きしてくれたら安いものです!」と言われたそうです。・・・金持ちは違いますね!

(余談 :入居金) 1985年頃、私が所属していた部に10歳程年上の方がおられ、「母親を介護付き有料老人ホームにいれるべきか?」悩んでいました。三人兄弟で、母親は広いお屋敷に一人で住んでいた様でした。殆どの老人ホームが満室で、入居時に1億円ほど支払ったら入れるところが1ヶ所だけ空いていたそうです。家屋敷を売却したら1億円以上になる様でしたが、結局3人が協力して母親の介護をしました。

 今回調査した中で一番入居金が高かったのは『3,880万円』でした。超豪華な施設でも入居金は『1,600万円』でした。昔の様にベラボウに高い入居金を要求する施設は無い様です。 その後、介護付き有料老人ホームは増えて、現在は空いている施設が結構沢山有りました。

【特養老人ホーム】
 地方公共団体などが運営する特別養護老人ホーム(特養老人ホーム/特養)の費用は安いですが、待機者(待っている人)が多くて簡単には入れません。

【サービス付き高齢者向け住宅】
 サービス付き高齢者向け住宅は『サ付き』や『サ高住』と呼ばれています。建物の内部がバリアフリーで、安否確認や生活相談のサービスをしてくれる、民営の賃貸マンションの様な施設です。 要介護度が高くなったら、特養等に移る必要が有ります。

【介護老人保健施設】
 介護老人保健施設は『老健』と呼ばれています。入院が必要でない要介護者が入って、リハビリして自宅に帰れる様にする施設です。 2024年3月末で老健は廃止されます。

【介護医療院】
 介護医療院は、老健の代わりとして、2018年に創設された施設です。 病院の場合は、(同じ病気では)一般に3ヶ月経つと退院させられますが、介護医療院は要介護者を長期入院させる病院です。死ぬまで入院する事も可能です。 個室は無くて、大部屋だけだと思います。

【軽費老人ホーム】
 地方自治体や社会福祉法人が運営する、自立あるいは要支援の高齢者が比較的少ない費用負担で利用できる施設です。

【ケアハウス】
 地方自治体や社会福祉法人が運営する、軽費老人ホームC型をケアハウスと呼んでいます。ケアハウスには一般型と介護型の2種類が有ります。

 一般型(自立型)は60歳以上のほぼ自分で生活出来る人が入れる施設です。 介護型(特定型)は65歳以上で要介護1以上の人を受け入れる施設です。(一人暮らしの方が入る施設だと思われます。)

【住宅型有料老人ホーム】
 自立出来る老人や要介護度が軽度の老人(一般には60歳以上)が暮らしやすい様に作られた賃貸マンションの様な施設です。レクレーション施設を設けたり、老人が快適に暮らせる様に工夫している様です。

 利用料(家賃)は10万円~20万円以上、色々です。クリニックが併設されていたり、介護スタッフが常駐している所も有ります。 要介護度が高くなると介護付き有料老人ホーム等に移る必要が有ります。

【市区町村の体制】
 私が管理している賃貸マンションに生涯独身だった後期高齢者の女性(T氏)が住んでいます。 T氏が「金が足りない」と言うので、ケアーマネージャーが区役所に働き掛けて、生活保護を受けられる様になりました。 昨年(2021年)の秋頃から歩くのが難しくなり、今年になって部屋の中でも歩けなくりました。(多分、要介護4の状態だと思われます。) 土日も関係なく毎日、介護スタッフが一人か二人来ています。

 T氏は、4月1日から6月15日までリハビリの為に入院していました。その間に、認知症になった事にして、区役所の保健福祉課の担当者が『後見人?』になって、通帳を預かった様です。 T氏は私に、「役人が通帳を盗んだ!泥棒だ!」と言っています。 区役所の担当者とケアーマネージャーが、退院後に施設に入れようと、T氏を説得しましたが、「マンションに帰る」と主張した様です。 結局、マンションに帰って来ました。 ケアーマネージャーはT氏の担当を降りて、現在は地域包括支援センターのケアーマネージャーが引き継いだ様です。

 この賃貸マンションの家賃は、生活保護者に許容されている最高額(4万円)の1.7倍です。後見担当が大家に「4万円に下げてくれませんか!」と電話しました。勿論、大家は拒否したそうです。2.8万円は生活保護費を上乗せして市が出しているのでしょうか? 固定電話は解約させた様です。

・・・ 要介護者の相談部署 ・・・ ❶と❷は公的な機関
❶ 保健福祉課 :『後見担当』がいます。
❷ 地域包括支援センター :2005年に設立、ケアーマネージャーがいる。
★ 居宅介護支援事業所 :ケアマネージャーが常駐・・・病院や一般社団法人等が運営している。

【結論 :庶民の未来】
 介護付き有料老人ホームには空きが有るので、金持ちは殆ど待たずに入れます。 生活保護受給者も我がままを言わなかったら、ケアーマネージャーが施設を探してくれ、入れる様です。

 庶民の場合、幸運な方は特養老人ホームに入れます。 国や地方公共団体には金がないので、特養老人ホームの様な施設を増やす事は出来ません。従って、庶民の老後は在宅介護になります。 2018年に始まった『介護医療院』は、庶民にとっては朗報です。

 地価の安い都市の周辺に介護医療院を沢山作るべきだと考えます。介護医療院にはHCU(高度治療室)やICU(集中治療室)は不要で、高価な医薬や医術も不要です。 その代わり、要介護2の認定を受けたら、誰でも入れる様にすべきです!

 庶民が箪笥貯金をするのは、老後のためです。要介護2の状態になったら、子供の厄介にならずに介護医療院に入れると確信出来たら老人は気が楽になります。 三途の川を渡るのには六文しか要りませんから、箪笥貯金を子供や孫の為に使うでしょう→→日本の景気が良くなります。

 人は色々ですが、私は『要支援2』になる前に終焉を迎えたいと考えています。 それまでは、体操と散歩して、食事に気を付けて→→『ポックリ死』が私の理想です。 (私の母は100歳頃に要支援2程度になりました。)

 45歳~50歳になると親が後期高齢者になり、将来が不安だと予想します。介護医療院が全国に沢山出来たら、親の将来で悩む必要が無くなります。日本は活気を取り戻せるかも?知れません。

過剰介護と人間の尊厳

2021-11-20 19:29:12 | 在宅医療
【はじめに】
 今年・私は後期高齢者になったので、健康保険の自己負担が10%になって喜んだら、保険料がガバット上がってしまいました。 私はリタイアして10年になりますが、歯科医に10回ほどお世話になっただけです。最近の3年間は歯医者にも行っていません。

 2001年に厚生省と労働省を統合して巨大な厚生労働省(厚労省)が誕生しました。現在の職員数は33,000人ほど、年間予算を33兆円以上も使っています。2007年に年金記録問題が明るみになりましたが、その後も種々の問題が発生しています。 多くのコメンテーターが問題点を指摘していますが、野党の議員達は勉強不足なのか?追及していません。

 今回は、厚労省の問題点の内、過剰介護と過剰医療に絞って投稿します。

【S氏のケース】
 我が家の近くに子供が同級生で、母親達が友達付合いをしている『S家』が有ります。奥さんは冗談の通じる気さくな方なので、昔から時々雑談をしています。旦那さん(S氏)は私より5歳年下でした。

 2007年にS氏が61歳の時、自宅で脳溢血か脳血栓で倒れてしまい、以来自宅介護が始まりました。 S氏の出来る事は、❶片手を少し動かせる、❷嫌と言う表情が出来る、❸「アー」と言う様な叫び声を出して奥さんを呼ぶ、❹頭を少し動かせる、❺耳が聞こえる、❻食べ物の咀嚼が殆ど出来ないので流動食でした。

 娘さんが二人いるのですが、S氏が倒れられる前に二人とも結婚されて、それぞれ二人子供(孫)が出来ていました。 孫達が来ると部屋の中を走り回るので、ベッドに寝ているS氏に微小な振動が伝わったのか?S氏は耐えられ無かった様で、孫達を嫌う様になってしまいました。 奥さんは13年間も一人で介護されました。

 S氏は、パソコンゲームに夢中で、テレビドラマや演歌の放送を楽しみにしていた様でしたが、発病してからは野球放送以外は見なくなってしまいました。 最後の2年間は、野球放送放送も見る元気が無くなって、寝る時間が段々長くなりました。 真夜中でも目が覚めると叫び声を出して、奥さんを呼びました。

 亡くなる2年程前に重い肺炎になり、医者が「普通の治療では助かりませんが、設備の整った大病院で最先端の治療受けたら助かる可能性が有ります」と言われたそうです。 奥さんから相談をうけたので、[医者は、もう十分介護されたのだから、奥さんを解放してあげよう!」と言いたかったのだと私はアドバイスしました。 結局・奥さんは救急車を呼んで入院させました。

 その後も2回・肺炎になり、入院しました。殆ど意識の無い患者に先端医療を施して、二年間延命させる事に意味が有ると思われますか? 費用は若い人達の負担です。「国民皆保険制度の見直しが必要だ!」と私は思います。

 S氏は、13年間ほど寝たっきりで2020年に74歳で亡くなりました。 その13年間、回復の見込みが全く無く、本人が嫌がるのに毎週一回介護トレーナーが来ていました。私は奥さんに「本人が嫌がっているのだから、リハビリは止めた方が良い」とアドバイスした事が有ります。一回のリハビリに国が一万円負担したと仮定すると、一万円✕50週✕13年間=650万円になります。

・・・ S氏が13年間受けていたサービス ・・・
★ リハビリ :週一回・・・介護トレーナーが一人来て、足や手を動かしていた。痛いらしくて毎回嫌と言う顔をしていた。
★ 訪問診療 :週一回・・・医師と看護婦
★ 生活支援サービス :週一回・・・二人来て、プラスチックプール状の風呂に入れていた様です。

(私見 :医療技術と医薬品の進歩) 「医療技術や医薬品が進歩して、S氏の様な患者が普通に近い生活が出来る様になれば素晴らしい」と思います。 然し、病状の回復は無く、単に何年か延命出来る様な進歩は人類にとっては『害』で、決して『益』にはならないと思います。 国民皆保険制度と介護制度を維持する為には、「何処まで治療するか?」、「何処まで介護するか?」、線引きが必要な時代になっていると考えています。 政治的な判断が必要です。 厚労省の抱える多くの問題を、国会で真面目に議論して欲しい!

【T氏のケース】
 私は大阪の小さな賃貸マンションの管理をしています。このマンションにはエレベーターが有りません。 二階に今年76歳になる身寄りの無い女性(T氏)が住んでいます。 私が管理を始めたのは2018年2月ですが、その前年に3ヶ月ほど入院したそうです。病院では寝たっきりだったので、足の筋肉が弱ってしまい、退院後・リハビリ施設に週一回通う様になりました。

 私がT氏と知り合いになった頃、「歩ける様になったら、前の会社で働く事になっている」と嬉しそうに言っていました。 暫くして、リハビリ施設の担当者が、「大分・良くなったから走って見ましょう」と言ったそうです。床に転がっていた物に躓いて→転倒→骨折→また3ヶ月ほど入院しました。

 退院後・リハビリには通わなくなって、デイサービスを週一回利用する様になりました。 運動を殆どしないので、歩くのが更に難しくなってきました。2020年の7月頃に、マンションの住人達が「Tさんは急に痩せてきた」と言っていました。誰かに(思いっきり力を入れて)ズボンを持ち上げてもらわないと、階段の昇り降りが出来なくなってしまいました。

 2020年10月頃にベランダに設置したエアコンの屋外機の上にうつ伏せに倒れて動けなくなってしまったので、私がレスキュー隊を呼びました。今年(2021年)3月に施錠した部屋の中でほぼ一日動けなくなり、生活支援サービスに来た女性がレスキュー隊を呼びました。

 今年の5月からは介護スタッフが週七日・毎日来る様になりました。 私は、30歳前後の男性・介護トレーナーと顔見知りなりました。 エントランス部の掃除をしていると、「おはようございます」と言って、T氏の部屋に上がっていきましたが、数分後に降りて来て、「今日は気分が乗らないから、リハビリは止める」と言ったと、不満気でした。彼は時間が余ってしまったので、私と雑談しました。

 「Tさんはリハビリしても良くなる可能性は全く無い。僕は見込みの有る方の手助けをしたいんだけど」と言いました。「Tさんは毎日話し相手が来て、家事を全てやって貰えて天国だね。医者が、そんな介護が必要だと書類を作ってくれたら、私でも介護して貰えるのか?」と聞いて見ました。 「その通りです」と言うので、「医者のだまし方を教えてくれ!」と言うと笑っていました。

 介護分野に詳しい方の話では、「T氏の様にフルスペックの介護が必要な方は、介護施設にとっては喉から手が出る程欲しい顧客で、取り合い状態になっている」そうです。

・・・ T氏の受けているサービス ・・・
 今年(2021年)の5月からは、毎日(土日も)生活支援サービスの為に介護施設から自転車で一人か二人、3時間(長い日は6時間)ほど来て、買い物、料理、洗濯、掃除をしています。週一回・デイサービスに出掛けます。週二回・リハビリにトレーナーが来ます。一週間か二週間に一度、医者に連れて行く担当者が別に来ます。

★ 日曜日 :11:30~15:00=生活支援サービス
★ 月曜日 :11:30~15:00=生活支援サービス
★ 火曜日 :11:30~12:30=リハビリ、13:00~15:00=生活支援サービス
★ 水曜日 :11:30~15:00=生活支援サービス
★ 木曜日 :11:00~16:00=デイサービス、~18:00=送って来たヘルパーが生活支援サービス
★ 金曜日 :リハビリ、11:30~15:00=生活支援サービス
★ 土曜日 :11:30~15:00=生活支援サービス

・・・ T氏の病状の悪化 ・・・
 この5年間でT氏の体力の衰えはドンドン進んでいます。もう直ぐ車椅子が必要になるのでは?と予想していますが、知り合いの医者は「寝たっきりになっても10年以上生きられるだろう」と言っています。国の負担はどのくらいになるのでしょうか?!

★ 2017年 :(72歳)3ヶ月入院して歩行が困難になった→リハビリに通う様になった。
★ 2018年2月 :私と立ち話する様になった。
★ 2018年6月頃 :リハビリ施設で転倒→骨折→3ヶ月ほど入院
★ 2018年9月頃~ :週一回デイサービスに通うようになった。
★ 2020年7月頃 :急に痩せてきて、手助け無しでは階段の昇り降りが出来なくなった。
★ 2020年8月頃 :デイサービスの他に、週二回生活支援サービスを受ける様になった。
★ 2020年10月頃 :ベランダで動けなくなってレスキュー隊に助けてもらった。
★ 2021年3月 :(76歳)施錠した部屋の中で動けなくなりレスキュー隊に助けてもらった。
★ 2021年5月~ :過剰介護が始まった。

(余談 :T氏は強欲で超我儘です!) 去年の9月に、一階に30年以上住んでた一家が転居する事になりました。奥さんが10年以上寝たっきりで、全く換気をしなかったので部屋中にカビが生えて、全面的なリフォーム工事が必要な状態になっていました。

 「T氏が一階に移りたいと言ってくるだろう。 許可するつもりだが、君に言って来たら大家に直接電話する様に言ってくれ」と大家から言われていました。 工事が始まる前に、T氏から「家賃は現在のままで、一階に移りたい」と電話が有ったそうです。大家が了承すると、「大家が引っ越し業者を探して、費用は大家が負担してくれ」と言い出しました。

 大家がカンカンになって怒って、電話を切ったそうです。 リフォーム工事の見積金額は300万円以上なりました。 工事が始まると、T氏が部屋に入ってきて作業員に「この部屋には私が入る」と言っていたそうです。ほぼ工事が完了した頃、T氏が「工事代金の一部を負担するから一階に移らせてくれ」と大家に電話したそうです。「240万円出してくれたら了承する」と回答したら、「一週間時間を下さい」とT氏が言いました。

 結局・回答期限が過ぎても電話が無く、不動産屋に募集を掛けて貰いました。直ぐに話が纏まって、12月に新しい人が入居しました。 T氏は住民達に(今でも、)「今度、一階が空いたら私が移る」と言っています。

【”介護の囲い込み”の問題】
 2021年時点で全国の有料老人ホームに入っている方は26万人もおられるそうです。 有料老人ホームの『介護の囲い込み』と言う問題が、最近話題になっています。

 2001年に『高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)』が制定され、その後・何回も改正されています。 『サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)』、即ち『有料老人ホーム』に関する法律です。

 問題は、利益を最大限引き出すために、過剰な介護をして介護保険で定められた限度額ぎりぎりまでサービスする不埒な有料老人ホームが沢山出て来た事です。 A氏がB有料老人ホームを作って、Cデイサービス会社とDリハビリ会社も運営していたとします。B有料老人ホームの入居者を全員、Cデイサービス会社とDリハビリ会社に通わせて、過剰なサービスを受けさせるので『囲い込み』と呼びます。

 都道府県が有料老人ホームのやり過ぎをチェック(立入検査)する事になっていますが、有料老人ホームの数がドンドン増えているのに、どの都道府県でも担当部署の職員数を増やさない為にチェックが疎かになっているのです。

 立入検査すると殆どの有料老人ホームの運営に問題が有り、対処に時間と人手が掛かり、新たな立入検査をするのが難しくなっている様です。その為に全国の立入検査件数は減少しているとの報道が有りました。 近年は滅多に立入検査が行われないので、「儲けられるだけ儲けておこう、罰金も刑罰も軽いから!」と言う輩が増えている様です。

 介護の分野は人手不足だとの報道が時々有りますが、「過剰介護を止めさせたら少しは余裕が出てくるのでは?」と推察します。そして、介護保険料を下げる事も可能になるのでは?と思います。

【N氏の奥さん】
 この話は過剰介護の話では有りません。「高額な医療費を国が何処まで負担すべきか?」と言う問題です。

 2007年頃に働いていた職場に、50歳前後の男性社員(N氏)がいました。 N氏と私はタバコを吸うので、喫煙所で時々雑談をしました。N氏の奥さんは10年以上前に高額の医療費が必要な珍しい病気(希少疾患)を発病しました。 N氏は、もう介護に疲れてしまって、誰かに悩みを聞いて貰いたかったのです。

 N氏は、「殆ど全額・国が負担してくれるが、毎年の医療費は1,600万円~1,800万円も掛かる。もう2億円以上になっている。治る見込みは全く無い!」と自嘲気味に言っていました。 ある日・N氏が医療費控除の明細書を持って来ました。その年の医療費は1,800万円以上になっていました。 「僕の年収の4倍以上だ!」と笑っていました。

 医療技術と医薬が進んだので、昔だったら助からなっか患者を救う事ができます。 然し、高額の医療費が必要になるケースが多いい様です。 『人の命は金には代えられない』と言いますが、将来が有る若い人には・この考え方で国費を出すのには賛成です。然し、老人の場合は、何処かで線を引かないと「国は破綻してしまうか?」、「教育費や研究開発費などを減らすか?」の二者択一の問題になります。

 どんな生物でも年老いたら死んで、そのスペースに次の世代が生きられる様にします。 「人間は元気な内だけ思う存分・楽しく生きて、生かすために高額の医療費が必要になったら、尊厳を維持して死ぬのが理想だ」と私は考えています。

 スウェーデンでは、❶80歳以上の患者、❷70歳代でも腎不全などが有る患者は、集中治療室(ICU)が利用出来ません。

在宅医療 (その3)

2018-11-10 11:08:17 | 在宅医療
【甥が在宅医療専門の医師になりました】
 二十年ほど前のことですが、、医者の国家試験に合格した甥が、「これからは在宅医療を進めないと健康保険制度は破綻してしまう」と言いました。当時は、在宅医療専門の医師は殆どいなかったと思います。

 親戚や知り合いの医師に聞いてみると、「在宅医療は金にならない」が共通した意見でした。私は、金にならない事を承知で、在宅医療専門を目指すと言う甥を”志のある人間”だと見直しました。

 私は一介のサラリーマンで金は有りませんでした。 甥の活躍を陰ながら見守ること以外は出来ませんでしたが、幸いにも暫くして全国紙に甥の記事が出る様になりました。 インターネットが普及するとともに甥の記事が少しづつ多くなり、講演会の記事や、雑誌のインタビュー記事をインターネットで読んで活躍しているのを見守っています。

 近年インタビューで、含蓄のある事を言っています。『治療の提供でなく、「生活の持続性」を提供する』、 『生活保護のように国や自治体が助ける「公助」、これからは「自助」と「互助」を高めていくべきです』・・・

【マンションの一室で始めました】
 最初は金が無かったためと思いますが、甥はマンションの一室を借りて在宅医療を始めました。全くの試行錯誤だったろうと推察します。

 開業医が午後の休診時間に、在宅患者を往診するのが今でも一般的です。余程の事が無い限り夜中に往診を依頼するのはためらわれます。甥は、『在宅患者を往診するだけでなく、介護している家族の精神的/肉体的な負担を軽減する』ことにも心掛けている様です。 夜中に容態が少しおかしくなったら、家族は心配になり、電話を掛けたくなります。そのために、24時間電話を受け付けている様です。

 365日×24時間電話を受け付けて、電話の内容から必要と判断した時は夜中でも往診しています。20年掛けて、その様な対応が出来る体制の構築や,電子カルテシステムを工夫・導入した様です。

 是非とも、『新宿ヒロクリニック』、『医療法人三育会』、『英裕雄』で検索して見て下さい。

(余談) 甥のメールアドレスを知りたくて、夜の10時頃にクリニックに電話したら、在宅患者の往診中だと言う若い女性が親切に対応してくれました。現在はモバイルの時代ですから、クリニックで電話を受ける必要が無いのですね!

【新宿ヒロクリニック】
 2015年に新宿区大久保に”新宿ヒロクリニック”を移転して外来診療も手掛けている様です。グーグルアースで建物の外観を見る事が出来ました。クリニックを建てた会社のホームページで内部の写真も見えます。 軌道に乗っているのだと安心しました。

 現在のスタッフは85人と書いていました。このスタッフで在宅医療患者(450人)と外来患者に対応している様です。新たに450床の病院を設立しようとしたら、”医療法”の規定によって(私の試算では)200人以上のスタッフが必要になります。東京23区内に450床の病院を建設するためには莫大な費用が掛かると思われます。在宅医療が不可欠です。

【元気な内に意思表示を!】
 だいぶ前に読んだ新宿ヒロクリニックの記事の中に、在宅医療を始める前に、患者の受けたい医療を聞いて書くフォーマットがありました。

 まだ患者が元気な内に、「病状が悪化したら入院したいですか? 在宅医療のままでよいですか?」等々、細かく聞いて記録/保管する様になっていました。

 甥のプログに、幼児を抱えた母親が回復の見込みが無い難病になった話がありました。「息子が一人立ちするまで何が何でも生きる。そのためには呼吸器をつけることも、胃婁をすることも辞さない。たとえ何もできなくても息子のそばに居続けよう。」。高校三年生になった時、頑張り続けた母親が突然息をひきとったそうです。その時息子は、「僕は大丈夫だよ。お母さんから、命をもらったから、何があっても大丈夫」と言ったそうです。 人は色々です、本人や家族の希望が叶う様になるのが理想の社会だと思います。

 私は医者に作ってもらった、”私が治る見込みのない病気にかかり死期が迫ったときに以下の処置を希望します ・・・”と書いた小さなカードを財布に入れて持ち歩いています。妻と子供達にその諭旨を伝えています。

【甥のエピソード】
 この甥は私が大変世話になった、姉の長男です。(姉はもう30年以上前に無くなってしまいました。) 義理の兄と姉は子供を大事にしていましたが、友達の様にして育てました。毎年お盆に一週間ほど甥を連れて帰省しました。私はこの甥が可愛くて、一日中遊んでやりましたが、少し目を離すと昆虫や蛙を捕まえていました。蛇が大好きで、捕まえるとなかなか手放さず、困りました。

 甥がまだ中学生の頃に、東京から私の故郷の和歌山県の山奥まで自転車で、一人で行った事があります。この行動的な性格からか、近年は一人でインドやネパールに旅行しています。

 殆ど例の無い在宅医療専門医を目指したのは、義理の兄と姉の子供の育て方が影響しているのではと私は思います。私は甥を誇りに思っていますが、姉が生きていたら同じ思いでしょう!

 甥の祖父は英義彦と言います、ウイキペディアに簡単な記事があります。喜界島の出身で、義理の兄(甥の父)が良い所だったと言っていたのですが、一週間ほど夏に仕事で行ったことがあります。喜界島にはハブがいないので、仕事の間に探索しました。海で泳いだら熱帯魚がうようよいて感動しました。

 英義彦は米英仏独などに留学して、日大の法学部の教授になり、晩年には衆議院議員になりました。子供が四人いましたが、姉の家に集まると英語で談笑していましたので、義彦家では英語で話していたと推察します。義理の兄は、息子には英語を教えませんでした。

 甥の祖母は栃木(?)の旧家の出で、上野の音大の声楽科の第一期生だったと言っていました。(現在の東京藝術大学?) オペラを良く聞いていました。私も時々一緒に聞きましたが、オペラは好きになれませんでした。でも管弦楽は大好きになりました。

【看取りは貴重な経験です!】
 ”住井すゑ”が書いていた「子を持つて知る、子の恩」と言う言葉を時々噛みしめています。 子供のいない方には申し訳無い話しですが、子供から沢山楽しい事を貰い、自分が少しですが成長した様に思います。

 両親を引き取って、介護して、看取ったら、楽しい事は少なかったですが、人の一生が少し分かった様に思えます。貴重な経験でした。

 私には姉が五人いますが、皆、義理の親と同居したり介護したりせずにすみました。母が亡くなる三か月程前に、姉達に会いたいと言うので何回も連絡しましたが、病院の近くに住んでいた姉が、一度だけ見舞ってくれました。 姉達も死ぬ前に子供に会いたいと思うかもしれません。その時、母を見舞わなかった事を後悔するのでは?