これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

火薬と花火とエアバックの話し

2019-07-27 10:50:11 | 工業技術
 花火のシーズンが来ましたので、今回は火薬と花火とエアバックの話を書きます。少し専門用語が入っていますが、我慢して読んで下さい。

【子供の頃に発破(はっぱ)を見に行きました】
 私の育った山奥の村では、1950年代に県道の拡張工事をしていました。岩山にダイナマイトを仕掛けて、爆発させるのです。凄まじい音を発生させて、噴石の様に砕いた石が飛ぶのを見学しました。

 ダメもとで、私一人で工事現場に行って見たら、見学させてくれました。鉄鑿を重いハンマーで叩いて、ダイナマイトを挿入する穴を穿っていました。ダイナマイトの長さの何倍かの深さの穴が複数出来たら、それぞれの穴に導線を接続したダイナマイトを挿入して、安全な場所に置いた『ダイナマイト・プランジャー(一種の発電機)』に導線を接続しました。(自転車の空気入れの様に、)何回かT字型の棒を押した後、スイッチを入れるとダイナマイトが爆発しました。映画では、一回、T字型の棒を押すと爆発しますが、多分噓だと思います。

 父が、山の上で切った薪を下に降ろすために、鋼のワイヤロープを300m程張りました。雷が発生したら電気が流れるから、絶対にワイヤロープに触れてはいけないと言われていました。1990年頃に、火薬工場を見学した時にダイナマイトに接続する導線を製造していました。夏、雷の発生する時期でしたので、広場に製造ロット毎に切り出した導線を沢山張って、雷が発生した時の起電力を測定していました。基準に合格したロットだけを出荷していたのです。(世界には、普通の導線を使用したために雷で導線に電気が発生して、爆破スイッチを入れる前に爆発する事故が今でも発生している様です。)

(余談) 中学生の頃、菊池寛の『恩讐の彼方へ』を読みました。高校の修学旅行で耶馬渓に行った時、『青の洞窟』で、「鉄鑿とハンマーだけでは大変だっただろう」と感動しました。だいぶ後で、大半はフィクションだった事を知ってガッカリしました。

【田螺(タニシ)と花火】
 父の友人の一人(A氏)は田螺(タニシ)が大好物でした。田舎の田圃には田螺が”うようよ”いました。A氏は、特に大きな田螺を好まれたので、私は小学生になる前から、毎年田圃で大きな田螺を集めました。綺麗な水に数日間入れて、ドロを吐かせたあとに送りました。A氏は、お礼に高価な花火を多量に送ってくれました。(田舎の人達は、田螺を食べ無かったのですが、母に頼んで田螺を煮付けにしてもらったら、結構美味しかったのです。父母・姉達は食べませんでしたが。)

 8月のお盆の前後に、近所の子供達を集めて”花火大会”をしました。沢山有ったので、数日間楽しめたのです。落下傘花火も入っていたので、昼間も楽しめました。(姉に頼んで、絹の布で小さな落下傘を作ってもらった記憶が有ります。)

 当時は、源氏蛍も平家蛍も沢山飛んでいましたが、1965年頃に私の田舎でも強力な殺虫剤が使用される様になって、田螺は殆ど死んでしまい、蛍も激減してしまいました。小学3年生だったと思いますが、死んだ田螺の貝殻が田圃一面に累々と有るのを見て、父に「こんな強力な農薬はだめだ!」と言った記憶があります。それ以来、楽しい花火は終わってしまいました。

(余談) 当時、男達は出稼ぎに行くようになっていて、数軒分の農薬散布を請け負っていた、40歳程の男性が、3年程して亡くなりました。それまで村で自殺は有りませんでしたが、何人か自殺が続き、父が友人宅に行ったら納屋で首を吊っているのを見付けたそうです。私は、農薬のせいだと思いました。

【映画・恐怖の報酬とニトログリセリン】
 1953年製作のフランス映画『恐怖の報酬』を高校生の時に見ました。イヴ・モンタンと相棒が、トラックでニトログリセリンを運ぶ話です。その後、ニトログリセリンに関する本を読んで見ました。

 江戸時代の末期にヨーロッパで、化学合成の研究が進み、イタリアでニトログリセリンの合成に成功しました。衝撃を与えると爆発するので、火薬として使えると気付いたと思いますが、取り扱い方法が未確立でしたから、商品化は少し遅れた様です。

 ある医者が、狭心症の患者にニトログリセリンを与えたら効果が有ったと言う論文を発票しました。別の医者達が追試をしましたが、効果は確認出来ませんでした。効果が有る患者と、無い患者がいる事に気付いた医者がいました。その差はなにか?どうも気の小さい患者には効果が有る様だ!そこで、ニトログリセリンを呑む状況を観察すると、気の小さい患者は口に含んだあと、暫くしてから飲み込んでいたのです。口の中にも吸収器官が有る事を見付けたのです。(昔読んだ本の記憶で書きました。真偽の程は保証しません。)

 ニトログリセリンは今でも狭心症治療薬として使用されていますが、最近医者に聞いたところでは、薬価点数が低いので医者としては赤字だそうです。医療用ニトログリセリン薬を手掛けている日本化薬の社員から聞いたのですが、現在は舌下錠だけでなく、軟膏、テープ剤、注射剤が有るそうです。

【ノーベルとダイナマイト】
 ニトログリセリンの合成に成功して、約20年後の1866年に、スウェーデンのアルフレッド・ノーベルが珪藻土にニトログリセリンを含侵させたダイナマイトと雷管を発明しました。彼は巨万の富を得たのです。(1866年は薩長同盟が成立した年です。) なお、ノーベル賞は1901年から始まりました。

(余談) ノーベルは、皮肉にも狭心症になり、ニトログリセリンのお世話になったそうです。なお、ノーベル賞の授与式は彼の命日(12月10日)に行っていいます。

【火薬とは!】
 鎌倉時代の蒙古襲来の時に、元軍が火薬を用いたと教科書で勉強しなしたね!火薬は唐の時代に中国で発明されました。現在は、種々の火薬が製造されていますが、最初に発明されたのは、硝石、硫黄、炭紛(木炭の粉)を混合した黒色火薬でした。

(余談) 日本では硝石は採れませんので、江戸時代に鎖国するまでは中国から輸入していました。鎖国後は、魚の”はらわたを”を枯草で焼いて製造していました。(信じてもらえますか?)

 紙に火を付けると、紙の主成分の炭素(C)が空気中の酸素(O2)と結合して二酸化炭素(CO2)になります。火薬は、燃える物質と酸素で出来ていて、熱を加えると分解して含有されていた酸素と燃える物質が結合するのです。火薬が燃焼する(燃える)時、空気中の酸素は必要ないのです。その為、水中でも爆発させる事が出来ます。(ニトログリセリンは炭素、水素(H)、窒素(N)と酸素の化合物です。)

【火薬の燃焼速度】
 火薬の燃える速さ(燃焼速度)は、圧力が高くなると速くなります。逆に、大気圧の状態で、火薬に火を付けても、チョロチョロとしか燃えません。火薬の研究者に立ち会ってもらって、コンクリートの床に、床が見え無くなる程度に火薬の粉を蒔いて、火を付けてみました。ユックリ燃え広がっただけでした。(絶対に、真似しないで下さい。)

 私が中学生の頃、近所の年下の男の子が、マッチを多量に買って来て、先端の火薬を削って集め、何かの容器に入れて火を付けました。大爆発して、彼は全治数か月の大怪我をしてしまい、一年留年しました。マッチの火薬でも、侮ってはいけません!

【打ち上げ花火】
 打ち上げ花火の構造は、インターネット上に、絵入りの分かりやすい説明記事が沢山公表されています。丈夫な紙(クラフト紙)製の球形の容器(玉皮)の中に、”星”と粉末の”割薬”が整然と入れられています。割薬が燃焼(爆発)して、星を四方八方に飛ばします。

 ”玉皮”の役割は、打ち上げ時の衝撃に耐える事だと一般には説明されていますが、私は、”割薬”が燃え始めても直ぐには”玉皮”は破裂せずに耐えて、”星”を勢い良く飛ばせる圧力を得る事も、重要な役目だと考えています。

(余談) まだ子供が小さかった頃、防波堤から打ち上げる花火大会を見に行きました。迫力の有る所で見せたくて、早く行って砂浜に場所を確保しました。迫力満点でしたが、暫くすると海風が吹き始め、頭上で炸裂する様になりました。あっちこっちで、「キャー」とか「アッチチ」とか叫び始めました。熱い熱い火薬の燃えカス(火薬滓)が降って来たのです。

【エアバック】
 現在、市販されている車には、ほぼ全てエアバックが付いていますが、私は1990年頃にエアバックの開発に参加しました。当時はボンベに入れたガスでエアバックを膨らませるタイプも有りましたが、火薬を燃焼させてガスを発生させるタイプが主流になって来ていました。私は火薬を収納する容器(インフレーター)の開発を担当しました。

 貴方が車を運転されていて、何かに衝突したとします。衝突した瞬間から『0.3秒』後に貴方の身体は、ハンドルに激突します。従って、バックは、衝突から『0.3秒』後には全開になって貴方の身体を待ち受けなければならないのです。

 車が衝突すると、その車特有の衝撃波が発生し→センサーがキャッチ→予めインプットされていた波形と比較/照合→(雷管の様な)点火薬に電気を送る→点火薬が着火→メインの火薬が着火→ガスが発生→折り畳まれていたバックが開く。

 瞬間的に多量のガスを発生させるためには、メインの火薬を30MPa(300kg/cm2)もの高圧下で燃焼させる必要が有ります。火薬を収納する容器(インフレーター)には、バックにガスを噴き出す穴が設けられていますが、その穴の面積を適当な値にして、目標圧力(30MPa)を達成するのです。

 火薬が燃えて出来たガスは、非常に高温のため、バックに送る前に冷却する必要があります。また、火薬が燃焼すると高温の燃えカス(火薬滓)が発生します。インフレーターの中に、ガスを冷却し、火薬滓を除去する部品(クーラント)が入っています。

(余談 :1) 開発していた頃に、北欧で発行していた英文の車の安全に関する雑誌を読んでいました。気になった記事を2点書いて置きます。
① 窓を開けて運転していて、エアバックが開いたら鼓膜が破れたそうです。バックには、(風船とは違って)ガスの一部を逃がす穴が設けられています。エアバックが開くと、室内の圧力が急激に高くなり、窓が開いていると室内の空気は外部に放出されます。ガスの温度が急激に下がるために、室内が正圧→負圧になったためだと書いていました。
② 少し気の弱い高齢の女性ドライバーが、エアバックは正常に作動したのに、心臓麻痺で亡くなられた事例が報告されていました。

(余談 :2) 量産製造方法と体制を確立するのも私の仕事でした。エアバックは車の装備品ですから、製造予定数量が多く、部品加工を外部委託するとしても業者は新たな設備投資が必要でした。ある会社の社長さんが、「数日、考えさせて欲しい」と言われ、再度訪問すると、「あの後、衝突事故を起こし、エアバックのお蔭で助かった」と、積極的に相談に乗ってくれる様になりました。社長さんはベンツに乗っていたのですが、既にベンツにはエアバックが付いていました。

(余談 :3;歴史) エアバックに関する最初の特許は、1953年にアメリカで出願されました。現在のエアバックに関する特許は、1963年に日本人の堀保三郎氏が出願しましたが、余りにも画期的だったために日本では相手にして貰えませんでした。その後、彼の発想は欧米の企業で研究/開発されました。1970年頃から日本の火薬会社でも、エアバックの開発を始めましたが、成功しませんでした。私が開発に参加した、1990年には日本では製造しているメーカはまだ有りませんでした。

米中貿易戦争

2019-07-20 14:48:15 | 国際問題
 私は、『ファーウェイの問題』と言うタイトルで、米中貿易戦争に至った経緯や私の考えを、2019年1月から4月に掛けて12回投稿しました。余りにも長文の為に、論点が不明確になってしまいました。私の言いたかった事を、要約して見ました。

【資本主義国と共産主義国の経済競争】
 日本・欧米諸国の資本主義国と、ソビエト/中国の共産主義国の経済競争は、圧倒的な前者の勝利で終わりました。

 共産主義に拘ったソビエトは崩壊してしまいましたが、中国は、ソビエトの轍を踏むのを避ける妙案を考え出したのです。それが、鄧小平が1978年から始めた改革開放政策です。

 改革開放政策の詳細は、私のブログ『ファーウェイの問題(その4)』を参照願います。日本・欧米諸国と、その企業の経営者達は中国の巨大な潜在マーケット等々に魅了されて、鄧小平の予想以上に投資し、進出しました。そして、停滞していた中国経済は発展し始めました。

【豊かになったら中国は民主化するだろう!】
 鄧小平は、外国企業に中国マーケットへの参入を許すに当たり、厳しい種々の条件(規制)を設けましたが、「経済が発展して豊かになったら、民主化するだろう! 民主化せざるを得なくなるだろう!」と、西欧諸国の指導者達と、進出した企業の経営者達は勝手に思い込んだのです。

 鄧小平は、その規制を将来撤廃して、民主化するとは言っていませんでした。鄧小平は、1997年に亡くなりましたが、経済が発展するにつれて(規制を緩めるどころか)、強めていきました。キッシンジャーさえも、中国の民主化を”一人よがり”に思い込んでいた様に、私は見ていました。

【天安門事件で改革開放の内容を改悪】
 改革開放後、10年経過して、少し豊かになると、学生や市民が「もう少し自由が欲しい」と言う運動を起こしました。それが、1989年の天安門事件です。

 中国の指導者達は、改革開放を進めたら市民運動が起こる事は予想していたと思いますが、こんなにも早く起こるとは考えていなかった様に思います。事前準備が出来ていなかったために、手荒な手段で市民・学生運動を鎮圧して、多くの死者が出てしまいました。

 この事件以来、『共産党への不満を少なくするためには?』、『不満が大きくなったらどう対処するか?』等々、経済発展(改革開放)よりも共産党の維持を最優先課題にする方向に、政治の舵を切ったのです。西側諸国は、天安門事件の非道性を問題にして、改革開放政策を変質させた事は問題視しませんでした。

【習近平の妙案】
 2012年に習近平が実権を握りました。以来、私は『彼が何を/どうやるか?』注目して来ました。もしかしたら、京杭大運河を建設した隋の文帝と煬帝やモンゴール帝国を建国したチンギス・カンの様に、遠大な計画を立てて→実行しているのでは?と考える様になったのです。

 2013年にアジアインフラ投資銀行、2014年に一路一帯構想を提唱した時から、習近平は鄧小平以上に思い切った大計画を実行し始めたのです。当時のアメリカは、オバマ大統領の時代でしたが、「そんな計画は、何時か失敗する」と見ていた様に思いました。京杭大運河や万里の長城を建設した、漢民族の”底力”を知らなかったのでしょう!

 習近平が実権を握る前から、沢山貯まった外貨で、(悪徳高利貸しの様に)経済的弱小国に高金利で金を貸し、国営企業の余剰な鉄やセメントでインフラを整備させて、その国を支配する計画を進めていました。習近平は、その無茶な政策を、アジアインフラ投資銀行の設立や一路一帯構想として、世界に認知させる事にしたのです。

 第4次産業革命(インダストリー4.0)は、2011年にドイツで言い出したのですが、中国は”逸早く”その重要性に気付き、金と人財を集中投入して取り組んだのです。先ず5G通信技術の開発に着手しました。日本のマスコミでは、「5Gでは、5G用のスマホと沢山アンテナが必要らしい!」くらいにしか報道しませんが、海底ケーブル網をさらに増やし、通信衛星も増やす必要が有ります。中国は、この分野にも着々と投資しています。5G通信の旗手になるためには、サムソン1社ではどうする事も出来ないのです。大国家プロジェクトが必要です。

【中国の問題点と力の背景】
 中国には改革すべき問題点が多数有りますが、一つ一つ解決するのでは無く、鉄やセメントの生産過剰の問題は、逆に活用する事を考え出したのです。先進諸国に安い価格で売ると、ダンピングだと言われますが、金の無い後進国に安売りしても国際的には余り問題になりません。他派閥の共産党員がA国有企業のトップだとします。彼を汚職摘発を理由に逮捕して、自派閥の共産党員を送り込めば、そのA企業を自由にコントロール出来ます。A企業が資金豊富だったら、その金を重点分野に投資させたり、外国の企業を買収出来るのです。

(1) 中国の解決が必要な課題
① 国営企業の生産過剰問題
② 赤字と非効率な国営企業問題
③ 共産党独裁への国民の支持を持続→経済成長の維持→仕事量を毎年増やす。
④ 共産党員の腐敗を撲滅

(2) 中国の力の源泉
❶ 豊富な外貨
❷ 技術の急激な進歩、工業の発展→→世界の工場
❸ 優秀な人材が豊富になった。
❹ 漢民族の逞しい/貪欲な国民性、人口も多いい(巨大なマーケット)
❺ 土地は全て国有
❻ 巨大な国営企業群 (黒字で、豊富な資金を有する企業も有ります。)
❼ 一党独裁で決断が早い→ファーウェイの様な民間企業へも税金を投入出来る。

(3) 中国の野望
① 人民元の国際準備通貨化 (アメリカの影響力を排除する。)
② 中国を中心にした国際マーケットの創設/拡大
③ 第四次産業革命の主導権獲得
④ 5G通信 (海底ケーブル網、通信衛星)
⑤ 軍事大国化
⑥ 世界の地下資源と食糧(農産物+漁獲)の独占
⑦ 西欧諸国の優良企業の買収

【中国への追い風】
 1990年代になって、中国に心地良い追い風が吹き始めました。21世紀になるいと、風の勢いは少しずつ強くなり、中国共産党は少し自信過剰になってしまいました。

 中国の経済的な野望達成には、他国の経済の低迷/困窮や国内紛争は好都合なのです。ロシアのプーチン大統領でさえ、中国の進出を認めざるを得なくなっています。ドイツが思い切った援助をしない限り、イタリアは中国への依存を深めると思われます。

 中国が、「蔭で国際紛争の種を蒔いている」とまでは言いませんが、以下に列記する様に、中国が”漁夫の利”を得そうな事案は多数有るのです。

① ロシア :原油価格の下落と経済封鎖→経済が低迷→プーチンの支持率低下
② イギリス :EU離脱問題
③ ドイツ :ドイツ銀行の経営難
④ イタリア :経済的困窮
⑤ フランス :改革の遅れ、黄色いベストデモ
⑥ イラン :アメリカの一方的核合意破棄→緊張
⑦ シリヤ :内戦 (ロシアは軍隊を送り込んでアサド政権を支援していますが、経済的な見返りを得ているのか?ロシアの国力を消耗するだけでは?)
⑧ ベネズエラ :経済危機→国内の混乱→アメリカへ難民
⑨ 欧米諸国への移民問題 :紛争国から中国への不法移民問題は発生していません。
⑩ 国際テロの問題 :(国際テロ対策が各国の重要な課題ですが、中国は脅威的な数の監視カメラを設置→外国からテロ集団が侵入するのが難しい!)

【習近平】
 21世紀になって中国が密かに進めていた世界戦略を、習近平が公表してしまいました。米・西欧諸国は、「そんな無理な計画は失敗する」と高を括っていたのですが、トランプ大統領が問題にするまで、着々と計画を進めてきました。

 習近平が、あと10年間秘密裏に世界戦略を進めていたら、アメリカでも『どうする事も出来ない状態』になっていたと思われます。習近平は自信過剰になって、早まってしまったのです。

★ 2012年 :習近平政権の誕生
★ 2013年 :アジアインフラ投資銀行設立
★ 2014年 :一路一帯構想
★ 2015年 :中国製造2025
★ 2015年 :南沙諸島の埋め立て開始
★ 2017年1月 :トランプ大統領就任
★ 2018年 :米中貿易戦争(アメリカが追加関税を掛け始めた)
★ 2018年12月 :カナダがファーウェイの孟晩舟氏を逮捕

【米中貿易戦争とはなんでしょうか?】
 中国を共産主義国だと思っている人が、今でも沢山いますが、決して共産主義国では有りません。現在の中国の国家体制を端的に表す造語が必要です。何方か是非とも考えて下さい。私は仮に『共産資本主義国』と命名しておきます。

 米中貿易戦争は、第4次産業革命の主導権を握るための、共産資本主義国とアメリカの巨大企業群を背負ったトランプ大統領の戦争だと思います。アメリカは、この戦争に負けると貿易赤字は更に拡大し、軍事力は相対的に低下するのです。アメリカのやっている事は、国際ルールに反している様に思いますが、背に腹は代えられないのです。

 米中貿易戦争とは、資本主義国と共産資本主義国(中国)との闘いです。臨機応変に政策が打ち出せる共産資本主義国の方が、短期的には有利だと私は見ています。ヨーロッパ諸国は種々問題を抱えていますから、西側の諸国が一枚岩になって、中国と対陣する事は不可能だと思うのです!

(余談) 二組の弱小ギャングが抗争を始めたとします。巨大なギャングの親分が仲裁に入ったら事は収まるでしょう。ダントツの二組のギャングが抗争を始めたら、弱小のギャングの親分は、「どんなにして生き残るか?」考える必要があります。野党の政治家も含めて、「日本が、どう立ち回るのが一番良いか?」真剣に考えて、行動を起こす時なのです。

【能天気な日本の政治家と政府】
 日本が、第5世代の通信技術(5G)の開発を疎かにしたのは、NHKにも責任が有ると、私は思います。NHKは、4Kや8Kテレビに注力して来ましたが、5G通信の重要性とは比較になりません。

 私は、2010年にリタイアしました。普通は時間を持て余すと言いますが、40年間ほど設計/研究/開発に従事してきましたので、世界の技術革新の調査などして、結構楽しく過ごしています。2010年代になって、中国の技術は急激に発展しています。2017年から、両院の予算委員会は森友/加計問題で貴重な時間を空費してしまいました。5G通信技術開発や第4次産業革命に、国家予算を投入する議論は全く無かったです。(政治家達は、別の惑星の住人の様に見えました。)

 今でも長距離間のデータのやり取りは、通信衛星では無くて、海底ケーブルが利用されています。2018年現在、海底ケーブルの総延長距離は(手毬の糸の様に)地球を”30周”する長さに相当するそうです。もっと増やす必要があります。日本には、NECを始め、この分野で活躍している企業があります。それらの企業を国がバックアップするなどして、5G通信技術や第4次産業革命の旗手にはなれなくても、選手団の一員にはなって欲しいと思います。

日本国憲法 (その10)

2019-07-13 11:19:34 | 民主主義
 今回は、憲法についての最終稿です。第七章の財政、第八章の地方自治、第九章の改正と、私が憲法に追加して欲しいと思っている事を書きます。

【第七章 財政】 第83条~第91条
 第89条 :公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。

 この規定は、「権力者が自分達に都合の良い宗教団体や学校に、勝手に税金を廻してはいけない」と言う、民主主義の基本の一つを定めたものです。

 朝鮮学校の無償化を求める裁判が続いています。第89条の規定を明確にする法律を制定すべきです。裁判所に決めさせるのでは無くて、国会で議論して決めるべきです。(戦後の国会議員達は、「憲法や法律に明記してない事は、判事達が適当に決めてくれる!」とのんびり構えてきた様に思います。)

【持論】 
 第89条に、「法律によって詳細は定める」と追加して、法律に税金を出してはいけない団体を具体的に規定するのです。

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【第八章 地方自治】 第92条~第95条
 第93条の2 :地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。

 実際は、長と議員の選挙しか有りません。いじめ問題を隠蔽する教育委員会や、不法な取り調べが絶えない警察の長は、選挙で選ばれる様にすべきです。

【持論1 :教育委員会の改革】 
 公立の学校での教育は、法律の趣旨では地方公共団体に任せる事になっています。その趣旨に沿って、地方公共団体に教育委員会が設けられたのだと思います。

① 教育委員会の統合 :現在は市町村にも教育委員会が有りますが、都道府県毎に設ける事とします。(住民の少ない市町村が教育委員会を運営するのは無理です。公立学校の教員は都道府県の職員ですから、市町村の教育委員会を廃止した方がスッキリします。)

② 教育長は、任期を(現在と同じ)3年として、参議院選挙の時に住民が選ぶ事にしましょう。(現在は、地方公共団体の長が、議会の承認を得て選ぶ事になっています。)

③ 教育委員会は年1回は都道府県議会のチェックを受ける必要があります。教科書の選定などの権限を有しますから、汚職が起こる可能性が有ると思うからです。

【持論2 :警察本部長の選挙】 
 都道府県毎に警察本部が有りますが、警視正以上の人事は国家公安委員会(実質的には検察庁か?)が掌握しています。(知事は口出し出来ないのです。) 私は、警察本部長は選挙で選ぶ方が良いと考えています。

(警察の階級) ;9階級=警視総監、警視監、警視長、警視正、警視、警部、警部補、巡査部長、巡査

(警察の定員) ;2018年の全国の警察官は25.5万人でした。最多は警視庁で4.3万人、最少は鳥取県警で1,200人、問題をよく起こす大阪府警は2.1万人でした。人数から見ると、中規模から大企業の組織が全国に”47”有るのです。

 貴方が、巨大企業の子会社(社員数千人)の社員だったとします。部長以上が親会社から、任期2年程で派遣させれて来るとしたら、やる気が出ますか?貴方は、一生その会社で食べて行かなければならないのに、上層部の連中は短い任期の間だけ、問題が起こらなければ良いのです。

 本部長は、必ずしも警察出身者で有る必要はありません。自衛官の経験が無い防衛大臣でも、立派に務められた方もいました。

(余談 :国家公安委員会) 国家公安委員会と公安警察とは全く違うものです。検察を『管理』するのが国家公安委員会の役割と言われていますが、私には”なんのことか?”分かりません。私なりの理解では、『検察が民主主義的に/公正に運営されているか?』を監視/チェックするのが役割だと思います。組閣発表の時に、『国家公安担当』と紹介される大臣が必ずいます。委員長は国務大臣で、あと5人の委員がいますが、任期は5年で、国会の承認を得て総理大臣が任命する事になっています。警察官のOBは委員にはなれません。国家公安委員会は専属の職員がいない様で、事務は検察庁の職員が行っている様です。

【持論3 :地方議会の監視システム】
 号泣して話題になった元兵庫県会議員の野々村竜太郎氏を覚えていますか?彼の不正を最初に報道したのは地方紙の神戸新聞でした。彼が号泣してくれたお蔭で、全国的に地方議会の不正が暴かれる事になったのです。(号泣しなかったら、単に兵庫県の問題で終わったと思います。)

 地方紙は、地方議会を監視する重要な働きをしているのです。 アメリカでは、地方紙は”絶滅危惧種”に指定しても可笑しく無い様な状況になっています。地方紙が無くなったアメリカの町で、町の議員達が知らない内に、議員報酬を数倍にしていたと言う記事を読んだ事が有ります。

 新聞を読む人が少なくなって、発行部数が減っている為に、新聞社の経営は苦しくなって来ています。私の息子達は新聞を取っていませんが、息子達はスマホやパソコンで情報が得られるので、十分だと言っています。私は、昨年、新聞の購読を辞めて見ました。もう1年以上になりますが、インターネットでほぼ十分な情報が得られます。将来、日本でも地方紙は”絶滅危惧種”になるのではと危惧しています。

私の提案 :都道府県や市町村の議場にカメラを設置して、動画と音声をインターネットで流す事を提案します。視聴率が低くても、「見られているかも知れない」と議員達が思ったら、悪い事や無責任な発言は控えてくれるでしょう!

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【第九章 改正】
 第96条に、憲法の改正は「各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。・・・その過半数の賛成を必要とする。」となっています。

 この条文を逆に読むと、憲法改正は国民の権利だと思います。国会議員には、時代に合う様に憲法を改正する案を、国民に提示する義務が有るのです。(憲法以外の法律の制定や改正については、多くの議員が自分たちの責務だと考えている様に見受けられますが、何故、憲法改正には義務が無いと考える議員が多いいのでしょうか?)

【持論1 :改正のハードルの見直し】 
 両院の2/3以上と言うハードルは選挙制度と密接な関係が有ります。現在の参議院は『中選挙区比例代表並立制』ですが、この選挙制度では与党が2/3以上の議席を確保するのが難しいでしょう。両院にこだわるので有れば、参議院も『小選挙区比例代表並立制』に改めるべきです。私は、『小選挙区比例代表並立制を採用した議会の2/3以上』と憲法を改正すべきだと考えます。

 金科玉条のごとく”2/3以上”に拘る必要は有りませんが、頻繫に/安易に憲法を改正するのは好ましく有りません。今の選挙制度と両院の賛成に拘るので有れば、”55%”程度にハードルを下げても良いと思います。(決めるのは国民ですから!)

(余談) 中選挙区比例代表並立制の参議院で与党が2/3以上の議席を得たら、民主主義が後退した事を示す赤信号です。そんな状態が長く続くと、独裁者が誕生し、覇権主義を唱える恐れが有ります。そんな時代にならない事を願っています。

【持論2 :憲法改正を期待しています!】
 裁判員法には再検討すべき年が明記されていましたので、一部が改正されました。施行後三年と書かれていなかったら、そのままになっていたと思います。 憲法は極めて重要です。制定後70年以上も経過して、日本人の民主主義についての意識も進歩して、国際状勢は大幅に変化しています。憲法は国民の権利と義務を規定し、政府の独断を制限するものですから、時代に合う様に改正すべきです。まず、憲法に『憲法審議会を国会に設け、○○年毎に改正案を国会に提出する』と明記しましょう。

 戦後の混乱期にアメリカが半強制的に押し付けた憲法を、何時まで後生大事に守るのでしょうか?日本人は、自分達では何も決められ無いダメな民族なんでしょうか? (私は憲法が公布された1946年の生まれです。死ぬまでに、憲法改正の国民投票を経験したいと考えています。)

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【公務員の守秘義務と怠慢】
 憲法には公務員の義務について何も触れていません。国民の権利を守るためには、国家公務員、地方公務員、外郭団体の職員の義務と、職務怠慢につての規定が必要と思います。

 松本サリン事件が起こった頃、私は信州の出張が多かったのですが、事件の1週間後に近くのホテルに泊まった記憶が有り、事件の報道を鮮明に覚えています。マスコミ各社が、河野義行氏をあたかも犯人の様に報道したのは、警察が確たる証拠も無いのに、彼が犯人の様な情報を、非公式に流したためです。(リークした警察官は、個人情報保護法で罰せられるべきです。)彼は甚大な被害に遭われましたが、リークした警察官はお咎め無しでした。不合理とは思われませんか?

 2018年に起きた船戸結愛ちゃん(5才)の事件(目黒女児虐待事件)を覚えていますか?私には同じ年齢の可愛い孫がいるので、他人事とは思えませんでした。あの子を死なせてしまった公務員は罰せられたのでしょうか?職務怠慢の関係者は懲戒免職になっているべきだと思います。

【持論 :憲法に公務員を罰する規定を織り込む】
 河野義行氏も船戸結愛ちゃんも、日本国民です。憲法に、『公務員がその職務に置いて知った情報を不当にリークした場合、職務怠慢によって国民に被害が発生した場合は、別に定める法律によって処罰する』と規定すべきです。憲法に書かないと、公務員の問題は永遠に続きそうです。

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【国歌と国旗について】
 十年ほど前に、(初対面の)日教組の先生二人に国歌と国旗について私の考え(下記の①と②)を話しました。一人は、少し意見を言って、最後に「考えてみます」と言ってくれました。もう一人は終始無言で、聞いていました。

① オリンピックやワールドカップで優勝すると、国旗が掲揚され、国歌が演奏されます。国際的な慣例で国歌と国旗は必要です。『君が代』と『日の丸』を否定するのなら、別の国歌と国旗を提案しなければならない。子供に教える立場ですから、単なる反対では無く、代案を提示するのが民主主義の基本だと考えるべきです。私は、「雅楽で演奏する”君が代”が好きです。何よりも、”君が代”は短い曲なのが良い」と思います。(YouTubeに動画付き雅楽の君が代が公開されています。)

② 日本の国歌と国旗を否定する立場でも、学校の先生には、子供達に他国の国歌と国旗に敬意を持つ様に教える義務があります。他国の国旗が掲揚され、その国の人達が起立したら、起立する様に子供達に教えるべきです。他国の国旗を燃やしたり、足で踏んだり、唾を吐き掛けたりするのは、恥ずべき行為で有ると教えるべきです。

(私の提案) 『国旗及び国歌に関する法律』が1999年に制定されましたが、日教組などは未だに反対しています。憲法に明記して、教育の場での恣意的な態度を禁止すべきです。如何に過激な思想の先生でも、子供達の前で憲法違反の行動は出来ないと思います。

【不思議に思うこと】
 何故、高校まで憲法を教えないのか不思議に思っていましが、やっと、小学校~高校で取り上げる様になっています。ただ、日教組の先生には教えてもらいたくないです。憲法は、旧仮名遣いですから、子供達にも分かる様に現代仮名遣いに改正すべきです。仮名遣いの変更でも正規の改正手続きが必要なんでしょうか?

 憲法が制定されて70年以上になります。こんなににも長く、憲法を改正しなかった国は有るのでしょうか?世の中は、少しずつ変わります。憲法も時代に合う様に改正すべきです。何が何でも第9条の改正に反対と言う人が多いい様ですから、他の個所の改正を期待しています。

(謝辞) 長々と憲法について私の日頃考えている事を書いてしまいました。予想以上の方に読んで頂き、励みになりました。有難う御座いました。

韓国への報復?

2019-07-06 11:45:13 | 日韓関係
 今週は憲法についての最終稿を書く予定でしたが、韓国をホワイト国から外す問題で誤った報道が多々見られるので、急遽予定を変更しました。

【正しい報道=ホワイト国から韓国を外す】
 政府が、「7月4日より韓国へのフッ化水素ガス等の輸出についての規制を強化し、8月1日に韓国をホワイト国から外す」と衝撃的に発表しました。勉強不足の一部のジャーナリスト達が、『フッ化水素ガス等の輸出を禁止する』かの様な誤った報道をしたのです。韓国の報道は、日本以上に酷いものでした。(それが、政府の狙いだったのでは?と私は思います。)

 正しい報道を期待するので有れば、「7月4日より韓国へのフッ化水素ガス等の輸出については安全保障貿易管理の審査を再開して、8月1日に韓国をホワイト国から外す」とすべきでした。政府は、輸出を禁止するとは言っていません。

【韓国の反応】
 韓国の市民の一部は、「日本に報復すべきだ!」、「日本に観光に行くな!」、「日本製品の不買運動を起こそう!」などと叫んでいる様です

 韓国政府は、少し頓珍漢な対応策を発表しました。輸出禁止では無い事を承知の上で、今回の日本政府の決定を、反日運動に利用しようとしている様に思われます。そう考えたのは、7月5日に、韓国政府が「慰安婦財団を正式に解散した」と一方的に発表したためです。

 文大統領は、日本が明らかに国際ルールに反する報復をすると期待していた様に、私は見ていました。国際ルール違反の報復をしたら、民主労総などを総動員して「日本製品の不買運動」を盛り上げて、文大統領の支持率を、政権発足時(80%強)以上に高め、盤石なものにして、右派勢力を徹底的に叩いて壊滅状態しよう!左派の大統領が永遠に続くようにしたい!(7月4日の世論調査では、支持率は52.4%まで回復しました。)

【日本政府への希望】
 四面楚歌の文政権が、今後ますます反日運動を盛り上げたとしても、日本が国際ルールに反する報復をするのは得策では有りません。万一、日韓関係が更に悪化した時のために、国際ルール内で韓国の弱点を突く報復策を検討しておくべきです。

 現在、韓国は国の内外で多くの問題を抱えていますから、”お灸をすえる”のは簡単だと思います。百足に噛まれた程度の痛手を与えるのには賛成ですが、日米が協力してガラガラヘビの苦痛を与えるのには反対です。

 素人の私にも韓国の弱点は幾つか思い浮かべられます。韓国ウォンと株価の下落傾向、若者の就職難/高失業率、韓国の銀行の信用が低い問題、外国投資の引き上げと韓国資本の流出問題、サムスン電子の外国工場での人権侵害問題。

(ヨーロッパ諸国) 近年、ヨーロッパ諸国では、「人権侵害問題を起こした企業の製品を販売させない」と言う考え方が広まっており、フランスでは法律が制定されています。一方、韓国の財閥が外国に設けた工場では労働組合を作らせない為に不当な事をしている様です。賃金未払いの問題も報じられています。フランスは、2019年7月3日にサムスン電子を提訴しました。

【韓国企業の準備】
 徴用工(応募工)に慰謝料を支払えと言う判決が確定したあと、日本政府は2018年の秋頃から「日本の企業に被害が発生したら、報復する」と言って来ました。その後、文国会議長の天皇謝罪要求があり、レーダー照射問題が発生しました。事も有ろうに、文国会議長が鳩山由紀夫氏に謝罪したのは、日本人にとっては重大な問題です。日本人の多くが、鳩山氏をどう見ているのか全く調査して無い事が明確になりました。例えば、日本の政治家が韓国に無礼な事を言いて、朴槿恵氏に謝罪したら、韓国の人達はどう思うでしょうか?文国会議長は、唯我独尊/独善的/厚顔無恥な人物だと私は思いました。

 天皇まで持ち出されては、日本の総理大臣が誰で有っても、黙っていては政権が持たないでしょう。日本政府の発言が、単なる”脅し”で無いと韓国の政治家と経営者達は考えるべきでした。

 貴方が、韓国の会社の社長だったらどうされましたか?当然、日本が報復に出た場合に、被害が最小限になる様に対策されたでしょう。例えば、在庫を増やすとか! 賢明な各社の社長は、既に、何らかの対策をしていると私は思います。


【キャッチオール規制 (Catch-All Controls)】
 大量破壊兵器(核兵器、放射能兵器、化学兵器、生物兵器)及び通常兵器の開発に利用される物質、機械/装置/計測器/センサーや技術が”あぶない国”に渡らない様にするために設けられた、国際的な規制を、『キャッチオール規制』と呼びます。

 安全保障貿易管理 :日本もこの規制に従って、外国為替及び外国貿易法、基準、政令で”あぶない国”への輸出を規制しています。該当する物は『安全保障貿易情報センター』のホームページで調べる事が出来ます。(ガイドブックが沢山出版されており、amazonからも入手出来ます。)

 安全保障貿易管理に関する纏まった法律は有りません。細部は、国会の承認が不要な基準や政令、省令で規定されています。ホワイト国も内閣が決める”政令”で指定されるのです。従って、ホワイト国から韓国を外すのは、政令の改正で行われます。

 ”あぶない国”に兵器の開発/製造につながる物を輸出させない管理体制を設け、厳格に実施する事は国家の信用を高めるために重要です。単に、金もうけをしたいのであれば、 ”あぶない国”に”あぶない物”をどんどん輸出すれば良いのです。

 貴方の会社(A社)がBと言う物質をC国のD社に輸出するとします。A社は、物質Bが安全保障貿易管理の定めるリストに該当する/該当しない、C国がホワイト国で有る/無いを明記した書類を作成して、→通関業者(E社)に渡します→通関業者は荷姿等の書類と一緒に→税関に提出します。税関は財務省の管轄で、安全保障貿易管理は経済産業省の所管ですから、税関から提出された書類の一部が経済産業省送にられ、経済産業省で審査されます。その審査結果(書類)は逆のルートでE社に送付されます。 ホワイト国への輸出の場合は、同じ企業間(A社とD社)の取引であれば、一回申請して審査にパスすると、3年間は経済産業省の審査が省略されるのです。

 C国がホワイト国に指定されていないケースですが、A社がC国のD社から1契約で多量に物質Bを受注し、複数回に分けて輸出するとします。最初の輸出時に安全保障貿易管理の審査を受ければ、この契約の残りの輸出分については、審査は省略されます。残りの分については、ホワイト国への輸出と同じになります。(但し、同じ企業同士の取引でも、次の新たな契約については、審査を受ける必要があります。)

 従って、審査に必要な日数を加味して契約を早くしたり、一回の契約数量を多くする等したら、D社にそんなに大きな支障は発生しないと思われます。但し、D社が過去に、”あぶない国”に不正に物質Bを横流ししていたことが判明すると、審査は不合格になります。今回、日本政府が、わざわざ3品目だけ特別に安全保障貿易管理の審査をすると発表した裏には、韓国の企業が不正をした証拠を握っている可能性が有ります。

【ホワイト国とは?】
 輸出先がホワイト国に指定されていたら、兵器の開発/製造に使用される恐れが有る物でも安全保障貿易管理の審査を省略して貰えるのです。

 日本が、ホワイト国に指定している国は世界で27か国ですが、アジアでは韓国だけです。韓国をホワイト国に含めたのは2004年ですから、今回の処置は15年前に戻しただけです。2004年以前にも、現在問題になっている物質は韓国に輸出していましたから、ホワイト国から外しても、輸出を禁止する分けでは有りません。

 安全保障貿易管理の審査が必要なものは、今回問題になっている3品目以外にも沢山あります。従って、韓国をホワイト国から外すと、韓国への輸出は多いいですから、経済産業省の審査官を増員しない限り、審査に掛かる時間が従来より長くなるでしょう。

 私と同じ様な考え方の記事を、中部大学の細川昌彦教授が日経ビジネス・2019年7月3日付けで『誤解だらけの「韓国に対する輸出規制発動」』を書いてくれました。

(お願い) EUは韓国をホワイト国に指定していない様ですが。逆に、アメリカ以外で韓国をホワイト国に指定している国が有れば教えて下さい!

【私の輸出の経験】
 1997年の話しですが、当時、私は社員30名ほどの機械設計/製造の会社に出向していました。ベトナムから引き合いが入り、すんなりと受注出来ました。この会社にとっては、輸出は初めてで、社長も国内向けと同じ感覚でした。「図面、取扱説明書、検査書類等々を英語にすれば良い」と安易に考えていたのです。(もち論、これらの英訳は私がやりました。)

 当時、まだベトナムで商売している日本の企業は少なかったです。IHIさんに、留意点を種々教えて頂きました。埠頭と桟橋の違いをご存知ですか?陸揚げ予定地を社長に調査してもらったのですが、”竹製”の桟橋でした。荷物の重量と寸法に制約が有る事が判明しました。一旦組み立てて試験した後、機械を適当に分解して梱包する必要が有ったのです。

 安全保障貿易管理に関する書類の作成が必要でしたが、輸出梱包業者に渡すポンチ絵付きの書類作成に膨大な時間が掛かりました。現場社員は現地で機械を組み立て→試運転/引き渡しに予想以上の時間と苦労が有った様でした。何よりも、食べられる物が無かった様でした。帰国後、異口同音に「二度と行きたくない!」と言っていました。(町の食堂で、現地の人はゴキブリの料理を食べていたそうです。)

(余談) 故・海部八郎氏を覚えていますか?ダグラス・グラマン事件に関する国会の証人喚問で手が震えてサイン出来なかったシーンが、TVで何回も放映されました。1973年頃に一度海部氏にお会いしたことが有ります。海部氏が育てた航空機を輸入販売する部署は、皆さん非常に優秀で『海部軍団』と呼ばれていました。私は海部軍団に依頼して、海外から部品を輸入していたのですが、私の仕事の担当者は入社したばかりの若い社員でした。彼と時々会って打合せをしたのですが、輸出入の手続きや書類について勉強中でした。彼と雑談していると、ホッカホカの通関関係の知識を色々と話してくれました。この時に得た知識が、ベトナムに機械を輸出する時に非常に役立ちました。