これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

アメリカの連邦と州の制度 (3)

2023-12-23 15:08:33 | アメリカ
【はじめに】
 アメリカは地下資源に恵まれており、広大な農地が有るので穀物も肉類も不自由しない国です。自然科学、先端工業技術の面でも、世界をリードする国です。然し、国家と国民が、『身の丈に合わない贅沢な暮らし』をするので、貿易収支も財政収支も大幅な赤字が続いています。

 アメリカは、(日本と違って)21世紀になっても経済は発展し→→GDPが増加し→→歳入も増加ています。然し、歳入よりも歳出が増加するので→→国債の残高は増加し続いています。 50州の財政状況についての適当な資料が見つからないのですが、「各州の財政状況は連邦政府と同様では?」と思います。

 日本は『地方交付税』と言う名目で徴税して、地方公共団体に国が金を配る制度を採用しています。「国の方針に従わないと、交付金を減らすぞ!」と脅せるのです! アメリカの場合は州の独立性が高いので、基本的には各州が独自に徴収制度を設け、税率も各州が決めています。

 国民感情は、「他国の為に使う金を減らして、より豊かな暮らしをしたい!」、「アメリカ・ファースト!」の方向に変化してきています。トランプ氏はその流れをキャッチして→→選挙公約に取り入れ→→2016年の大統領選挙に勝利しました。トランプ氏は2020年の選挙では敗北しましたが、「アメリカ・ファースト!」を支持する人は増加しても、減ってはいません。

 ウクライナへの軍事支援の予算は枯渇してしまった様ですが、共和党が下院の過半数を維持する限り→→ウクライナへの軍事支援が再開するとは考えられません。日本国民は「他人事だ!」などと悠長に構えていては駄目です。「アメリカ・ファースト!」の行き着く先は、「外国に駐留するアメリカ軍の縮小→→撤退」です。『自分の身は自分で守れ!』 万一有事になった時、「日本を守る事が、アメリカの国益になる」と時の大統領が判断した場合のみ、軍事支援をしてくれると予想しています。

・・・ 関連投稿 ・・・
★ 『アメリカの連邦と州の制度(1)』 :投稿日;2023年11月11日
★ 『アメリカの連邦と州の制度(2)』 :投稿日;2023年12月4日
★ 『アメリカは白人国家では無くなります!』 :投稿日;2023年11月4日

【合衆国の予算】
 アメリカの2024年度とは、23年10月1日~24年9月30日の事です。(日本の24年度は、24年4月1日~25年3月31日です。) 従って、アメリカは既に『2024年度』に入っています。

 連邦政府は翌年度の予算案(予算教書)を毎年「2月の第一月曜日」に下院に提出します。来年度(2024年度)の予算案は、2023年の2月6日に提出されました。

 バイデン大統領は民主党で、下院は共和党が多数を占めています。下院に「予算の先議権」が有り、共和党が24年度予算案に反対したので→→23年9月30日までに、下院で議決されませんでした→→11月17日までの『繋ぎ予算』→→24年2月2日までの新たな『繋ぎ予算』を成立させました。 (24年2月5日には25年度の予算教書が提出されますが、それまでに、24年度の予算が決まるか?怪しい状況です。)

 予算に関する、日本とアメリカの制度の違いを御参考までに書いておきます。

《相違点❶ :予算の審議期間》 ヨーロッパ諸国で議会制度が始まった時、「国王が独断で国家の金を乱費するのを制限する」のが議会の主な役割でした。アメリカも建国以来、両院で予算の審議が十分行える様に、政府が毎年「2月の第一月曜日」に予算教書(予算案)を提出し→→9月30日まで両院で審議出来る様にしたのだと思います。

《相違点❷ :下院の先議権》 アメリカでは予算は両院の承認(決議)が必要ですが、予算案の審議は下院から始める事になっています。そして、下院の議長が下院で審議に入る法案を決めます。今年(2023年)は、下院での予算審議がナカナカ始まらず、政府案が否決されたので→→2回も繋ぎ予算を決める事になったのです。

 日本の場合は、憲法第60条で衆議院に予算の先議権が有ります。参議院が衆議院と異なる議決をした場合→→両院で協議して→→両院の意見が纏まらなかった時は→→衆議院の決議が採用される事になっています。換言すると、予算案は衆議院を通過したら「通った事」になります。

《相違点❸ :義務的支出と裁量的支出》 利払費や福祉費などの予算は、毎年審議するのでは無く上限が決められており、『義務的支出(必須予算)』と呼ばれています。従って、現在は繋ぎ予算で国が運営されていますが、歳出の約70%は義務的支出ですから、何とか国が運営出来ているのだと思います。

 毎年両院で審議するのは、歳出の約30%を占める『裁量的支出』です。裁量的支出中で最も高額なのは軍事予算です。2022年度の裁量的支出の『45%』が軍事予算でした。

 共和党は、2024年度予算案の内、ウクライナへの支援予算に反対しています。(イスラエルへの支援は認めている様です。) 私の予想では、2024年11月に実施される選挙までウクライナへの支援予算は認められないと思います。次の選挙でも、共和党が下院の過半数を得たら、ウクライナには支援しなくなるでしょう!

・・・ 2022年度の国家予算 ・・・
★ 支出合計≒60,120億ドル  (100%)
★ 裁量的支出≒16,880億ドル (28%)
★ 義務的支出≒43,240億ドル (72%)

《相違点❹ :国債の発行上限制限》 政府の要請を受けて、両院で「国債の発行残高の上限」を決め→→その枠内であれば、政府は議会の承認を必要としません。枠を超えて国債を発行する時は、新たな「国債の発行残高の上限」を議会に要求します。

・・・ 2022年度の国家予算 ・・・ 出典:外務省 『アメリカ合衆国 2022年度予算教書』
★ 歳出 :60,110億ドル (100%)
★ 歳入 :41,740億ドル (69%)
★ 国債 :18,360億ドル (31%)

・・・ 2022年度の歳出の内訳 ・・・
(1) 裁量的支出 :❶と❷の合計 ・・・毎年両院の承認が必要。 (議会の裁量で決まる予算の意味で、大統領の裁量で使える予算と言う意味では有りません。)
❶ 国防費 :12.6%≒7,560億ドル (≒113兆円)
❷ 非国防費 :15.5%≒9,320億ドル

(2) 義務的支出 :①~⑤の合計 ・・・一度両院で承認されると、翌年からも自動的に認められます。増額したい場合は、新たに両院に認めて貰う必要が有ります。
① 利払費   :5.1%≒3,050億ドル (≒46兆円)
② 社会保険 :19.9%≒11,960億ドル
③ メディケア :12.7%≒7,660億ドル ・・・高齢者および障害者向け公的医療保険制度
④ メディケイド :9.5%≒5,710億ドル ・・・アメリカ合衆国連邦政府が州政府と共同で行っている医療扶助事業
⑤ その他 :24.7%≒14,860億ドル

(注記 :義務的支出の「⑤その他」) 「⑤その他」に含まれるのは、以下の❶~❹の予算です。
❶ 失業保険
❷ 退役軍人への給付金
❸ 連邦政府職員への年金と障害補償金
❹ 補助的栄養支援プログラム(通称フードスタンプ)

【裁量的支出の非国防費】
 裁量的支出の内、非国防費の項に含まれるのは、以下の❶~⓫の費用です。

❶ 農業
❷ 商務、司法、科学
❸ エネルギー、水資源
❹ 国防総省
❺ 財務
❻ 内務、環境保護
❼ 労働、保健社会福祉、教育
❽ 立法府
❾ 軍事建設、復員軍人
❿ 国務、外交
⓫ 運輸、住宅及び都市開発
出典 :立法情報 『【アメリカ】 2015 会計年度歳出予算の成立』

【アメリカの財政状況】
 2002年から22年の21年間のアメリカの財政について考察してみます。 (巻末に、御参考までに、2002年から22年の日本の財政について書きました。)

 アメリカは財政収支の赤字が続いて→→毎年!毎年!国債を発行して→国際残高は膨大な額になっています。 日本も同様です!

 日本とアメリカの財政状況には大きな違いが有ります。日本は、バブル景気が崩壊した1993年頃から、名目GDPが殆ど増加しなくなってしまいました。一方、アメリカのGDPは毎年増加して、21年間で『2.3倍』になっています。

 GDPが増加すると税収も増加します。アメリカの歳入は、2002年を100とすると、2022年には『234』になっています。日本の場合は、消費税などの税率をアップしましたが『141』にしかなっていません。税率をイジルのでは無く→→景気を良くして→→GDPを増やし→→税収を増やす施策が必要なのです。

・・・ アメリカのGDPと財政 ・・・ 出典:経済のネタ帳
★ アメリカの名目GDP :02年≒10.9兆US$、07年≒14.5兆US$、12年≒16.3兆US$、17年≒19.5兆US$、22年≒25.5兆US$
★ アメリカの名目GDPの推移 :02年=100%、07年≒133%、12年≒150%、17年≒179%、22年≒234%

★ アメリカの歳入 :02年≒3.26兆US$、07年≒4.58兆US$、12年≒4.73兆US$、17年≒5.97兆US$、22年≒8.29兆US$ ・・・私が作成しました。
アメリカの歳入(対GDP比)  :02年≒30%、07年≒32%、12年≒29%、17年≒31%、22年≒33%

★ アメリカの歳出 :02年≒3.68兆US$、07年≒5.00兆US$、12年≒6.05兆US$、17年≒6.94兆US$、22年≒9.23兆US$
アメリカの歳出(対GDP比)  :02年≒34%、07年≒35%、12年≒37%、17年≒35%、22年≒36%

★ アメリカの財政収支 :02年≒-4,169億US$、07年≒-4,206億US$、 12年≒-13,168億US$、17年≒-9,352、22年≒-9,437 億US$

【御参考 :日本の財政状況】
 1993年頃にバブル景気が崩壊しました。1993年の日本の名目GDPは『505兆円』でした。約30年後の2022年の名目GDPは『557兆円』でしたから、『10%』しか増加していません。

 GDPが増加しないのに、高齢化が進んで→→年金費、医療費や社会福祉費が増加するため→→税率をアップしたり、社会保険料をアップして→→歳入を増やして来ました。

 「1993年以降の日本政府の経済政策は間違っていたのだ」と私は思います。今は、政府と日本銀行は連携して、財政再建よりも『GDPを増加させる施策』を考え出して、実行すべき時です。

・・・ 日本のGDPと財政 ・・・ 出典:経済のネタ帳
★ 日本の名目GDP :02年≒524兆円、07年≒539兆円、12年≒500兆円、17年≒553兆円、22年≒557兆円
★ 日本の名目GDPの推移 :02年=100%、07年≒103%、12年≒95%、17年≒106%、22年≒106%

★ 日本の歳入 :02年≒147兆円、07年≒163兆円、12年≒152兆円、17年≒186兆円、22年≒208兆円
★ 日本の歳入(対GDP比)  :02年≒28%、07年≒30%、12年≒30%、17年≒34%、22年≒37%

★ 日本の歳出 :02年≒186兆円、07年≒179兆円、12年≒193兆円、17年≒203兆円、22年≒246兆円
★ 日本の歳出(対GDP比)  :02年≒35%、07年≒33%、12年≒39%、17年≒37%、22年≒44%

★ 日本の財政収支 :02年≒-38兆円、07年≒-16兆円、12年≒-41兆円、17年≒-17兆円、22年≒-38兆円

アメリカの連邦と州 (2)

2023-12-04 18:32:58 | アメリカ
【はじめに】
 今回は、近年悪化して来たアメリカの経済について書きます。本書を読んで頂いたら『アメリカ・ファースト』の声が段々大きくなって来ている原因が分かって頂けると思っています。 日本は安全保障と経済の面で、アメリカに頼って来ましたが、今後は難しくなって来ると予想しています。

【連邦予算のルール】
 アメリカの連邦予算の決め方は下に整理した様に、日本とはかなり異なっています。

★ 会計年度 :アメリカの2024年度は、23年10月1日から24年9月30日の事です。
★ 予算教書 :政府は「2月の第一月曜日」に予算教書(予算案の法律)を議会に提出します。 24年度予算の教書は23年2月6日に提出し、本来なら23年9月末までに両院で議決されているはずです。(議会に、予算を審議する時間を『8ヶ月間弱』も与えています。) 然し、来年度予算は、未だに議会の承認が得られていません。
★ 下院に予算の先議権が有ります。
★ 歳出予算には『裁量的支出』と『義務的支出』が有ります。 これら2種類の予算については、後日説明します。
★ 国債残高は法律で上限が決められ、オーバーする場合は法律の改正(議会の承認)が必要です。

【アメリカの政府債務】
 アメリカの政府債務(国債残高)は2002年から20年間で『5倍』も増加しました。

 アメリカでは国債残高の上限を法律で規制しており、上限を超えて新たな国債を発行する為には法律の改正が必要です。この制度は、時の政権が安易に国債を発行しない様に、制限するのが目的だったと思われます。 然し、財政状況は悪化の一途ですから、大幅な政策転換をしない限り、「国債残高は益々増加する」と私は予想しています。

・・・ アメリカの政府債務 ・・・ 出典:世界経済のネタ帳をベースに私が手を加えました。
★ アメリカの政府総債務残高 :02年≒6.1、07年≒9.3、12年≒16.7、17年≒20.7、22年≒30.9兆US$
 注記 :一般政府(国・地方自治体・社会保障基金)の債務として、公債や借入金などが含まれています。

★ アメリカの政府純債務残高 :02年≒4.0、07年≒6.6、12年≒13.1、17年≒15.7、22年≒24.2兆US$
 注記 :政府総債務から一般政府が保有する金融資産(年金積立や外貨準備など)を差し引いたものです。

《余談 :国債利払いのマジック》
 国際ルールで、政府が発行する国債を中央銀行が直接購入する事は禁止されています。 従って、国債は個人、企業、金融機関に一旦買って貰い→→その内一部を中央銀行(日本の場合は日銀)が買い取ります。日銀が保有する国債は、日銀が国債を購入した時に発生する経費だけを国が負担する事になります。日銀が所有する国債の利息を、国は払わなくて良いのです。

 2022年の(地方自治体が発行している債券を除いた)日本の国債の利率は『0.77%』ほどで、残高は『1,000兆円』ですから、利息は『7.7兆円』になると思われるでしょうが、国債の大半を日銀が買い取っているので、(私の計算では、)21年の利息は『3.1兆円』、22年は『2兆円』ほどだったと思います。

 マスコミが報道する国債費には、(利払い費の他に、)満期が来た国債の償還費が含まれています。

 アメリカの場合は、多くの国が外貨準備として米国債を保有しているので、中央銀行(FRB)が買い取った割合が小さく、利払い費が巨額になります。 日本と中国の二国に支払う利息が、年間『12兆円』ほどになっています。 (為替レートを『1US$=150円』、アメリカ国債の利回りを『4.415%』として計算しました。)

【アメリカの財政状況】
 アメリカの財政収支は、2011年以降赤字が続いており→→前述の様に国債残高が増加しています。

 日本も財政収支が赤字続きですが、日本の場合は高齢化が進み→→社会福祉費が増加して来ている為です。 日本は年金や医療の面では、世界で一番進んだ社会主義国家だと私は思います。その為に多額の国費が必要で→→財政収支が赤字続きになっているのです。

 アメリカの場合は国民皆保険制度が有りませんが、軍事費と退役軍人等の費用が莫大な額で→→財政収支が赤字続きになっていると思われます。 アメリカは『世界の警察』の役割を担うのが難しくなって来ており→→『アメリカ・ファースト』を叫ぶ人が増えて来ているのでは?と推測されます。

・・・ アメリカの財政状況 ・・・ 出典:世界経済のネタ帳をベースに私が手を加えました。
★ アメリカの財政収支 :02年≒-417、07年≒-421、 12年≒-1,317、17年≒-935、22年≒-944 ✕10億US$
★ プライマリーバランス :02年≒-188、07年≒-123、 12年≒-960、17年≒-542、22年≒-328 ✕10億US$

《私の素人経済学》
 私は機械工学を学びましたが、経済学を本格的に勉強した事は有りません。 財政収支とプライマリーバランスを、以下の様に理解しているのですが、「正しいか?」詳しい方に教えて頂きたいと思っています。宜しくお願い致します。

❶ 財政収支がマイナス(-A億円)の時は、新たに国債(A億円)を発行する必要が有ります。
❷ 財政収支が「0」の時は、国債残高による利息を含めて歳入総額で賄える事を示しています。
❸ 財政収支がプラス(A億円)の時は、国債を「A億円」償還するか、「A億円」の貯蓄が出来ます。
❹ プライマリーバランスがマイナスの時は、財政収支はマイナスになります。
❺ プライマリーバランスが「0」の時は、歳入総額と税収などの収入が同額で有る事を示しています。
❻ プライマリーバランスがプラスでも、、財政収支がプラスになるとは限りません。
❼ 「(財政収支)―(プライマリーバランス)」は、国債の利息など支払う為に必要な額を示しています。

・・・ 財政収支とプライマリーバランスの計算式 ・・・
財政収支=(歳入総額)― (歳出総額)          ・・・(1式)
歳出総額=(税収などの収入)∔(国債の利息など)  ・・・(2式)
プライマリーバランス=(歳入総額)― (歳出総額)― (国債の利息など)  ・・・(3式)
プライマリーバランス=(歳入総額)― (税収などの収入)         ・・・(4式)
(財政収支)―(プライマリーバランス)=(国債の利息など)       ・・・(5式)

家計の収支 :家計の収支を考える場合は、下の式に示す様に「ローン元本の返却費」を含める必要が有ります。家計の収支が赤字だったら、消費者金融等から新たな借金をする必要が有ります。 財政収支の検討では、「ローンの元本の返却費」に相当する費用を考慮していないと私は考えています。

家計の収支=(収入の総額)―(生活費の総額)― (ローンの利息)―(ローン元本の返却費)

【アメリカの貿易収支とアメリカ・ファースト】
 アメリカの経常収支と貿易収支を下に書きました。両方の収支は、毎年!毎年!赤字が続いています。そして、財政収支も赤字続きですから、普通の国だったら→→とっくに『破産(デフォルト)』しています。 「米ドルが世界の基軸通貨だから、何とか維持しているのだ!」と私は思っています。

 中国は過剰な製造設備を持ってしまったので→→経済が可笑しくなって来ています。 一方、アメリカは借金まみれになって来ているのに→→『身の丈に合った生活』が出来ないので→→『アメリカ・ファースト』政策を進めざるを得なくなり→→今後、軍事費を削減すると予想します。 然し、軍事費を削減するだけで、『借金まみれの状態』から脱出できるとは思えません!

・・・ アメリカの貿易 ・・・ 出典:世界経済のネタ帳をベースに私が手を加えました。
★ アメリカの経常収支 :02年≒-0.46、07年≒-0.74、12年≒-0.42、17年≒-0.37、22年≒-0.97兆US$
★ アメリカの貿易収支 :02年≒-0.51、07年≒-0.87、12年≒-0.79、17年≒-0.86、22年≒-1.18兆US$

《用語の説明》
❶ 経常収支=(貿易収支)✙(サービス収支)✙(第一次所得収支)✙(第二次所得収支)
❷ 貿易収支=(輸出額)―(輸入額)
❸ サービス収支 :国を跨ぐ旅行(旅費、滞在費など)、特許使用料、著作権等の使用料、国際貨物
❹ 第一次所得収支 :配当、利息、外国での労働所得(雇用者報酬)
❺ 第二次所得収支 :無償資金援助など

【日米中の外貨準備高】
 2022年・外貨準備高の多いい国は、1位=中国、2位=日本、3位=スイス、4位=台湾、5位=インド、6位=サウジアラビア、7位=ロシア、8位=香港、9位=韓国・・・12位=アメリカ ・・・の順です。 中国の外貨準備高は日本の『2.7倍』も有ります。

・・・ 日米中の外貨準備高 ・・・ 出典:GLOBAL NOTE と 世界経済のネタ帳
★ 日本  :02年≒470、07年≒973、 12年≒1,268、17年≒1,264、22年≒1,228✕10億USドル
★ アメリカ :02年≒158、07年≒278、 12年≒574、 17年≒451、 22年≒707✕10億USドル
★ 中国  :02年≒298、07年≒1,546、12年≒3,387、17年≒3,235、22年≒3,306✕10億USドル

《各国の外貨準備の割合》
 ヨーロッパ諸国の外貨準備高は非常に少ないです。一番多いいイギリスでも日本の『14%』程しか有りません。 フランスは日本の『8.5%』 ほどしか無く、そして『67%』が『金』です。

★ 日本  :2023年の外貨準備総額≒1,265✕10億USドル ・・・USドル
  内訳 ;外貨≒1,137✕10億USドル、金≒54✕10億USドル、IMFのSDR≒58✕10億USドル ・・・など
  出典:財務省 『外貨準備等の状況(令和5年4月末現在)』
  日本は外貨の大半を米国債で所有しており、アメリカ政府にとっては重要な顧客になっています。

★ アメリカ :アメリカの外貨準備の大半は『金』です。外貨準備総額は、日本が所有している米国債の『70%』ほどしか確保していませんが、いざという時には中央銀行(FRB)がUSドル紙幣を印刷すれば良いと考えているのでしょう!
 保有する金≒8,134トン(外貨準備に占める金の割合:74.9%)

★ 中国  :2013年頃まで、中国の外貨準備額は急激に増加しましたが、その後は横這い状態が続いています。13年頃から、アメリカの国債を売って→→金や他の通貨を買う様になっています。
① 中国の外貨準備 :2002年≒0.30兆USドル、07年≒1,55、12年≒3.39、17年≒3.24、22年≒3.31兆USドル
② 中国が保有するアメリカ国債の額は2013年頃から減少し、現在は8,000億USドル程まで減少しています。 (近年、外貨準備の内、アメリカ国債の割合は『24%』しか有りません。)
③ 金≒2,190トン(外貨準備に占める金の割合:4.2%) ・・・近年、金を多量に輸入しています。
  出典:GLOBAL NOTE 及び REUTERS 2013年10月9日 『中国外貨準備、9月は3兆1150億ドルに減少』

《外貨準備に占めるUSドルの割合》 
 1970年~78年頃まで世界各国が所有する外貨準備の『85%』程はUSドルでしたが、78年~81年に割合が急激に低下して→→現在は『58%』程になっています。

・・・ 世界各国が所有する外貨準備に占めるUSドルの割合 ・・・ 出典:豊トラスティ証券の資料をベースに私が手を加えました。
★ USドルの割合 :2002年≒69%、07年≒64%、12年≒62%、17年≒64%、22年≒58%

【余談 :財務省】
 外貨準備高は国民が努力して貯めた『貯金の一種』です。2022年時点で、日本の外貨準備高は『1,228✕10億USドル』でしたから、150円=1USドルで換算すると『184兆円』になります。

 財務省は外貨準備の殆どをアメリカの国債に投資していますが、「外国の優良企業の社債を買うなどして、儲ける事を考えるべきだ!」と思います。

アメリカの連邦と州の制度 (1)

2023-11-11 15:37:51 | アメリカ
【はじめに】
 先週、『アメリカは白人国家では無くなります!』を投稿しました。今までは、白人が多く、プロテスタントが主流でした。 「今世紀になって、ヒスパニック系の国民が増加して→→カトリック教徒が主流になりそうでだ」と言う私の予想を書きました。

 アメリカは国内が大きく変化しようとしているのに、連邦と州の制度は、建国以来240年間、殆ど変えていません。現在、ヒスパニック系の国民は団結しておらず、選挙で投票する人が少ない様です。 一方では、ヒスパニック系の国民の多くは、「建国の経緯はドウデモ良いことだ」と考えている様に思えます。

 ヒスパニック系国会議員が増えて来たら、『アメリカ・ファースト』→→国益優先→→軍事予算の削減→→駐留軍の縮小→→NATO脱退 ・・・の方向に進みそうに思います!

【アメリカの歴史】
 現在のアメリカ本国の土地は、オランダ、スウェーデン、スペイン、ポルトガル、フランス及びイギリスが植民地化しました。1754年~63年に、イギリス が フランスとカナダの植民地と戦争(フレンチ・インディアン戦争)して→→イギリス が 勝利して→→現在のルイジアナ州からカナダに至る(帯状の)広大な土地をイギリスが獲得しました。

 1775年~83年に、イギリスの植民地だった『13州』が宗主国・イギリスと戦争(独立戦争)をして→→13州が勝利して→→アメリカ合衆国が誕生しました。

 18世紀は、まだ覇権主義が否定されていませんでしたので、アメリカ合衆国は周辺の他国の植民地を取り込んで行きました。(領土を拡張して行ったのです。)

 建国約80年後(1861年)、(南北戦争が始まった時、)州の数は34州になっていました。

・・・ 合衆国の歴史 ・・・
★ 16世紀~ :ヨーロッパ諸国が、現在アメリカの領土になっている地域を植民地化しました。
★ 1652年~84年(断続的) :英蘭戦争(イングランド vs オランダ) →→コネチカットがイングランドの植民地になりました。
★ 1754年~63年 :フレンチ・インディアン戦争 ・・・イギリス vs フランス、カナダの植民地、 (イギリスが勝利して、カナダの植民地とルイジアナ州等を得ました。)
★ 1774年~81年 :大陸会議 ・・・イギリスの植民地(13州)
★ 1775年~83年 :独立戦争 ・・・イギリスの植民地(13州)がイギリスと戦争
★ 1783年 :独立 ・・・13州(下記参照!)
★ 1787年 :憲法制定会議 ・・・首都はフィラデルフィアなど→→1985年からニューヨーク
★ 1789年 :第1回国政選挙 ・・・プレジデント(大統領;President)、下院議員、上院議員を選出しました。
★ 1801年 :ワシントンD.C(コロンビア特別区) ・・・ニューヨークから首都を移しました。
★ 1803年 :アメリカがフランスから1,500万ドルでルイジアナ州を買収しました。
★ 1846年~48年 :米墨戦争(アメリカ vs メキシコの戦争)→→アメリカが1,500万ドル支払ってカリフォルニア州とニューメキシコ州を得て、更にテキサス州もアメリカ領土としました。
★ 1861年~65年 :南北戦争 ・・・北部23州 vs 南部11州 ・・・この時点で、州は21州増えて→→34州になっていました。
★ 1867年 :ロシア帝国からアラスカを買い取りました。 ・・・1959年にアラスカとハワイが州になり、その結果→→50州になりました。
★ 1898年 :米西戦争(アメリカ vs スペインの戦争) ・・・アメリカが勝利して→→フィリピン、プエルトリコ、グアムを獲得しました。

(御参考 :13州) 独立戦争を戦った13州とは、❶ニューハンプシャー、❷マサチューセッツ、❸ロードアイランド、❹コネティカット、❺ニューヨーク、❻ニュージャージー、❼ペンシルベニア、❽デラウェア、❾メリーランド、❿ヴァージニア、⓫ノースカロライナ、⓬サウスカロライナ、⓭ジョージア・・・です。

 ❹のコネティカット州は、最初はオランダの植民地で→→後に、イングランドの植民地になりました。
 ❻のニュージャージー州、❼のペンシルベニア州、❽のデラウェア州、❾のメリーランド州は、最初はスウェーデンの植民地で→→後に、イングランドの植民地になりました。

【アメリカの州について】
 日本では、50州を全て『州』と呼びますが、マサチューセッツなど4州は『コモンウェルス(Commonwelth)』、即ち『Commonwealth of Massachusetts』が正式名称です。 その他の州は『ステート(State)』です。『コモンウェルス』と『ステート』は、国家を指す言葉です。

 合衆国が建国された時、13州は対等の立場に有ったので、アメリカの憲法と連邦法に抵触しない範囲で、州憲法や州の法律を制定する事が出来ます。そして軍隊(州兵)も持つ事が出来ます。 アメリカの州は、(日本人の私には理解できない様な)大きな自治権を保有しています。

ワシントンD.C. :首都を政治的に中立にするために、1801年にワシントンD.C.が建設されました。 大統領選挙の選挙人は3名、下院には議決権を持たない代表者・1名、上院の選挙権は認められていません。

プエルトリコ :プエルトリコはスペインの植民地でした。1898年にアメリカが所有する事になり、その後・紆余曲折がありましたが、近年は州への格上げを希望する国民が多くなっています。プエルトリコ人にはアメリカの国籍が認められていますが、❶大統領選挙の投票権が無く、❷上院の投票権も無く、❸下院に議決権を持たない代表者・1名を送る事が出来ます。 なお、州兵を持っています。

 2022年の時点では、プエルトリコの住人は『275万人』程の様ですが、合衆国(本国)に住むプエルトリコ人は『580万人』もいるそうです。プエルトリコの住人の『94%』はスペイン語を使用しています。

★ 州の数 :50州
★ ワシントンD.C.(コロンビア特別区) ・・・大統領選挙では選挙人3名選出、下院に議決権の無い代表1名

・・・ アメリカの準州 ・・・
❶ プエルトリコ :人口≒275万人 ・・・自治権を有する。下院に議決権の無い代表1名
❷ グアム    :人口≒16.4万人 ・・・下院に議決権の無い代表1名
❸ アメリカ領ヴァージン諸島 :12.5万人
❹ 北マリアナ諸島   :人口≒8.0万人 ・・・自治権を持っています。
❺ アメリカ領サモア   :人口≒7.0万人

【大統領と国会】
 1979年に第1回国政選挙が行われ、プレジデント(大統領;President)、副大統領、下院議員と上院議員を選出しました。

 プレジデント(President)は代表とか議長のことで、会社では社長です。 初代のプレジデントはジョージ・ワシントン(任期≒1789年~1797年)ですが、当時のプレジデントは「議会の長」の様な権限しか与えられていませんでした。

 大統領選挙は間接選挙です。各州の上下両院の議席数によって『選挙人』が配分されます。 各州で、各陣営が任命した『選挙人』を選び、勝利した陣営が州に割り当てられた選挙人の数を『総取り』する方式です。 この制度の問題は、獲得した票数が国全体でトップでも、必ずしも大統領にはなれない事です。アメリカが建国した1783年には電話は発明されておらず、間接選挙で大統領を選ぶ方式を採用したのは、理にかなっていたと思います。

 然し、デジタル化が進み、種々の通信網が確立された現在、間接選挙に拘る理由が有るとは思えません。多数決が民主主義の根本ですから、直接選挙に変えるべきです!

 独自の行政機関を持った13州が集まって→→1783年に合衆国が建国されたので→→連邦政府の行政機関で働く人は極めて少なかった様です。従って、大統領の権限も少なかったのです。 連邦議会が決議した法律に対する『拒否権』は建国当初から大統領に与えられていた様です。、

 その後、連邦政府の行政機関の職員数は次第に増加して、大統領の権限が強化されました。然し、現在でも地方自治を重視する国ですから、アメリカの地方公務員の数は、連邦公務員の『7.8倍』程も有る様です。

・・・ アメリカの大統領選挙 ・・・
★ 大統領 :任期は4年、大統領と副大統領をセットにして選ばれます。同じ人は2回までしか大統領にはなれません。
★ 間接選挙 :ほぼ上下両院の議席数で州に割り当てられた選挙人を選ぶ選挙 ・・・総取り方式
★ 2大政党に有利な選挙制度 :多くの州では2大政党以外の大統領候補者は、住民の(一定数の)署名を集める事が要求されています。

【下院】
 下院の正式名称は『United States House of Representatives』なので、『House』とも呼ばれている様です。

 現在、下院の定員は『435人』ですが、原則として住民の数に比例して各州にに配分されます。単純小選挙区制が採用されています。(比例代表制ではない為、少数政党を立ち上げるのが極めて難しいのです。)

 大統領には、下院と上院の『解散権』が有りません。 (日本の場合は、衆議院に対してのみ総理大臣に解散権が認められていますが、「内閣不信任決議が通った時のみ解散して良い」と解散権を制約すべきです。与党が都合の良い時に解散しますから、民主主義に反します。1回の衆議院選挙で、国費を『600億円』も使っているのです!)

 アメリカの下院の最大の問題は、「任期が2年しか無い」ことです。小選挙区制ですから、熾烈な選挙運動を2年毎に行っています。下院議員がジックリ腰を据えて、国政を考えるのは難しい様に思えます。

《議員立法と公設秘書》 合衆国憲法で、「法案の提出権は下院と上院の議員だけが持っている」事になっているので、法案を検討/作成する為に、下院議員には22人まで公設秘書を雇う権利が与えられています。(上院議員の場合は無制限です。) 議員達が法案を作成して→→両院で審議し→→両院で可決されると→→大統領が検討して→→サインすると→→法律が施行されます。 大統領には『法案に対する拒否権』が与えられています。

 日本と根本的に違うのは、大統領には議会への出席権と発言権が無い事です。議会が開催されている期間でも、大統領はホワイトハウスで仕事が出来るのです。 (日本の場合は、委員会の審議にも参加要請が有れば、総理大臣だけでなく大臣達も出席して発言しなければなりません。)

《アメリカの予算審議》 アメリカの会計年度は「10月1日~翌年の9月30日」です。会計年度は翌年の西暦が使用されます。例えば、今は『2024年度』です。アメリカの議会では、膨大な時間を掛けて予算を審議します。政府が毎年2月の第1月曜日に『予算教書』を提出し→→議会で審議が始まります。

 アメリカでは膨大な予算関連法案が提出されます。その内、歳出予算に関連する13の法案(歳出予算法案)の審議に関しは下院に先議権が有ります。バイデン大統領は民主党で、下院は共和党が多数派ですから、現時点(11月11日)でも、2024年度の予算が決まっていないのです。

 バイデン大統領には、来年の2月の第1月曜日に2025年度の『予算教書』を提出する義務が有ります。24年度の予算がまだ決まっていないのに、次の『予算教書』を作成するのは難しいでしょうね! あと3ヶ月弱しか無いので、最悪の場合は議会で24年度と25年度の予算を同時に審議する事になりそうです! 私は『ウクライナへの支援』がドウナルのか?心配しています。

(注記 :国家予算に関する日本のガラパゴス文化) 明治政府は皇室に優良企業の莫大な株式と徳川幕府から取り上げた膨大な不動産を『皇室の資産』にしました。それらから得られる『金』で(国費から援助する事無く)皇族が生活し、余剰金で公園を作ったりしました。 欧米諸国では、国王に勝手に国費を乱用させない様に、監視/制限するのが議会の最大の役割でした。従って、欧米諸国の議会では今でも予算の審議が重要です。 (日本では殆ど審議しないで、予算案が国会を通過しています!)

(注記 :日本の予算に関する衆議院の優越権) 日本の場合、内閣は予算案を衆議院に提示します。衆議院が予算の先議権を持っているのです。衆議院が議決して→→参議院に送り→→参議院が否決しても→→衆議院の議決が採用されます。(衆議院が優越権を持っているのです。)

・・・ アメリカの下院 ・・・
★ 議員 :任期は2年 ・・・大統領選挙と同時に下院議員選挙が行われ、その2年後に下院議員と上院議員(1/3)の選挙(中間選挙)が実施されます。
★ 議員の定員 :435人 (他に、議決権の無い代表が6?人います。)
★ 予算の先議権 :政府が沢山の予算案を作成して→→両院に提出します。歳出予算法案だけは、下院に先議権が有ります。
★ 大統領には下院の解散権が有りません。
★ 下院議員の公設秘書 :22人まで許容されています。

(豆知識 :上院と下院の語源) 1789年頃、短期間・首都はフィラデルフィアに有り、議会は二階建てでした。上院が二階に、下院は1階に有ったので、上院を『Upper house』、下院を『Lower house』と呼ぶようになりました。 現在の国会議事堂では、正面から見て、右側に下院が、左側に上院の議場が有ります。

【上院】
 上院の正式名称は『United States Senate』です。『Senate』は議会の意味で、ローマの時代には議会を元老院と呼んだので、下院を元老院と訳す人もいます。

 住民の数に関係なく、上院は各州に二人の議席が与えられます。「対等な13州が集まって合衆国を建国した」と言う精神を、今でも尊重しているのです。

 『歳出予算法案』には下院に先議権が有りますが、その他の法案についての審議は両院対等です。 条約の締結や大使などの任命については、上院だけが大統領に制限を掛ける権限を持っています。

・・・ アメリカの上院 ・・・
★ 議員 :任期は6年 ・・・2年間隔で、1/3の議員が改選されます。
★ 議員の定員 :100名(各州2名) ・・・ワシントンD.C.及び準州には上院議員は割り当てられていません。
★ 選挙制度 :単純小選挙区制 (比例選挙が無い)
★ 大統領には上院の解散権が有りません。
★ 上院の特別の権限 :❶条約の締結、❷大使などの人事権
★ 弾劾裁判 :上院が、弾劾裁判で判事の役割をします。
★ 上院議員の公設秘書 :人数に制限が有りません。

(豆知識 :アメリカの弾劾裁判) 合衆国憲法に定める規定により、大統領、副大統領と文官を反逆罪、収賄罪等の犯罪や非行を裁く裁判を『弾劾裁判』と呼びます。 下院が審議して→→上院に訴追し→→上院が裁判所の働きをして→→定員の『2/3』以上が罷免相当と判断したら→→下院が罷免します。

 アンドール・ジョンソン大統領とビル・クリントン大統領(不倫問題)を下院が訴追しましたが、上院が否決しました。リチャード・ニクソン大統領は上院が結論を出す前に辞任しました。2019年にトランプ大統領が訴追されましたが、上院が否決しました。従って、まだ弾劾された大統領はいません。

 合衆国憲法では、「過去に犯罪歴が有っても、現在・刑事裁判中でも大統領選挙に立候補出来る」事になっています。現在、トランプ氏は種々の罪で訴追されていますが、立候補出来るのです。 『ジョージア州の大統領選挙の結果を覆(くつがえ)そうとした」』と、ジョージア州で係争中の裁判だけはトランプ氏にとっては厄介です。来年の大統領選挙までにジョージアで有罪判決が下されて、監獄に収監される可能性が有ります。 トランプ氏が大統領に当選しても、ジョージア州では大統領の『恩赦権』を認めていませんから、自分を恩赦する事が出来ません。

 アメリカでは、監獄に入っている人でも、大統領選挙に立候補出来、当選したら大統領になれます。 監獄に入ったトランプ氏が当選したら、多分、自分で自分を恩赦して→→ホワイトホースで仕事をする事になるのでしょう?! 然し、ジョージア州の監獄に入っていたら、監獄で執務するのでしょうか?