これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

木材価格が高騰している様です!

2021-05-29 19:15:15 | 山林の問題
【はじめに】
 最近、アメリカでは木材価格が6倍に高騰しているそうです。日本でも2倍になっていると言う報道が有りました。 普通の製品は価格が2倍、3倍になったら供給量が増えてきますが、木材の場合は簡単には増産出来ません。

 日本の国土の『2/3』は森林で、少し郊外に行ったら緑豊かな森林が見えます。 然し、多くの方は森林についての知識を殆ど持っていない様です。 「木材価格が高騰している今だったら、森林に興味を持って頂けるかも?」と考えました。 それで、数回に分けて私の考えを投稿する事にしました。

【森林の役割と政策】
 人間にとっての森林の役割は、時代とともに大きく変化して来ました。 縄文遺跡が世界遺産に登録されようとしていますが、縄文人達は森林の中で生活していました。 弥生時代になると、森林の一部を開墾して、田畑にしました。 大きな集落が出来て、更に都市が出来ました。 日本では都市の住宅は木造で、燃料は薪か炭でしたから、森林無しには成り立たない生活を続けて来ました。

 森林と人間の関係が大きく変化したのは明治以降です。 特に、第二次世界大戦後には、鉄筋コンクリート造の住宅が増えて、都市ガスが普及したために木材の需要が減って、更に安価な外材の輸入が盛んになって、木材価格が低迷する事になりました。 1980年頃までは、森林の経営は国からの補助金が無くても成り立っていたと思います。

 然し、国は相変わらず、杉や檜の植林面積を増やす政策を続けました。植林には適さない様な山にも杉や檜を植える様になり、コストパフォーマンスを無視して林道を整備し続けました。 植林したのに、枝打ちや間伐をしない山が増える問題が発生して来ました。 そして、結局、林業は補助金漬けでやっと維持出来る様になってしまったのです。 国民の多くが森林に興味を示さなくなったので、お粗末な政府のやり方を問題にする報道は今まで無かったのだと思います。 

【林業従事者】
 色々な原因で木材価格が低迷し続いた為に、林業で生計を立てるのが難しくなって来ました。 現在、林業従事者は激減しており、更に高齢化が進んでいます。

 後述の様に国土の『2/3』は森林ですが、そこで働いている人は、たったの45,000人しかいません。 その上に高齢化が進んでいますから、国民全員で知恵を出しあって真剣に考える必要が有ります。 上級国家公務員試験(国家公務員採用総合職試験)に、森林についての問題が含まれるとは思えません。与野党の議員も森林についての知識が有るとも思えません。このまま放置したら、大切な森林が無茶苦茶になってしまいます。

★ 2015年 :林業従事者= 45,000人 ;65歳以上25%
★ 1955年 :林業従事者=519,000人 ;65歳以上 4%

【日本の森林面積】
 森林面積は2,500万ha(=25,000,000ha)です。 現在の林業従事者は45,000人でしたから、単純計算すると一人が556ha(=5.56km2)管理している事になります。 一人・平均・1km✕5.56kmの面積を管理するのは無理です。

 国有林は林野庁が管理しています。 職員数は4,700人ほどいますが、国有林の管理(植林、伐採、搬送など)だけでなく、木材の需要/供給データの収集、森林行政等々を行う役所ですから、要員不足だと思われます。

★ 国土 :3,780万ha
★ 森林 :2,500万ha (国土の66%)
★ 林野庁が管理する面積 :759万ha(森林の30%)・・・国立公園を含む
★ 民間が所有する面積  :1,741万ha(森林の70%)

(余談 :御料林) 江戸幕府の直轄だった木曾などの優良な山林は、明治になって皇室の財産になり『御料林』と呼ばれていました。 一部は民間に払下げられましたが、1900年(明治33)時点では140万haも有りました。 戦前の皇室は豊かだったのです。 敗戦後に御料林は国有化され、国有林に含まれる事になりました。

(余談 :林野庁) 農林水産省の外局に林野庁と言う機関が有ります。 その使命は、「森林の保続培養、林産物の安定供給の確保、林業の発展、林業者の福祉の増進及び国有林野事業の適切な運営を図ること」となっています。 お題目は立派ですが、非営利団体が難しい森林の問題に取り組んでも、成果は上がらないと思います。

【民間が所有する山林】
 1947年にGHQの指導で農地解放が進められました。 地主から小作地を取り上げて、農地(田と畑)を小作人に分け与えました。 然し、山林は農地では有りませんから、山林地主は生き残りました。 木材価格が低下して、高額の相続税が要求されるなどによって、大山林地主は激減しました。

 農地を企業が購入することは禁止されて来ましたが、山林は企業が自由に売買出来ます。 王子製紙が日本一の山林所有企業です。 個人では、三重県の諸戸家が最大の山林所有者です。

① 王子製紙 :19万ha
② 日本製紙 :約9万ha
③ 三井物産 :約4.4万ha
④ 住友林業 :約4.2万ha
⑤ 木原造林 :約2万ha
⑥ 東京電力 :約1.8万ha
⑦ 北越紀州製紙 :約1.3ha
⑧ 岩崎産業 :約1.2万ha
⑨ ニッタ   :約0.67万ha
⑩ 三井不動産グループ :約0.5万ha
⑭ 諸戸林業 :約0.28万ha・・・日本の森林王(三重県桑名市)

出典 :『今年は「国際森林年」 主要32社の社有林 所有・利用状況』・・・2011年
https://www.dai3.co.jp/_old_hp/rbayakyu/23th/times/news21.htm

【一家が生活出来る森林面積】
 朝鮮人参は栽培に6年、休耕に6年必要で、12枚の畑を所有していても1年には一枚でしか収穫出来ない様です。 杉や檜は植林して伐採まで、一般に50年~60年、良質の木を得るためには100年以上掛かります。

 単位面積当たり何本・木を植えられるか?を『栽培密度』と呼びます。 杉や檜は2,000~3,000本/ha程度です。 『1ha』は『1町歩=3,000坪』で、『100ha』は1平方キロメートル(1km✕1km)です。

 50年~60年間育てた杉の平均価格は『6,000円/本』ほどだと言う記事が有りました。他人の手を借りないで、一家で全ての山仕事をするとして、経費=400万円、生活費=600万円とすると、合計=1,000万円になります。 この収入を得るためには、毎年1,670本(≒1,000/0.6)伐採して、出荷する必要が有ります。 栽培密度を2,500/haと仮定すると、1年の伐採面積は0.67haになります。 

 50年間隔で伐採すると仮定したら、一家で34ha以上所有して/手入れする必要が有ります。 平坦な山林だったら可能ですが、急峻な山では難しいと思います。 木材価格が2倍ほどにならないと、国の補助金無しでは山林経営は成り立たないのだと思います。

(余談 相続税) 永続的に(何世代にもわたって)農業や林業で生活出来る様にする為には、(浅薄な)民主主義には反しますが、専業農家や専業林業家から相続税を取ってはいけないのです。 2008年から『事業継承税制』が始まり、町工場や個人商店などでは、代替わりに商売が続けられる様に、相続税等が軽減されました。 更に、2019年には『個人版事業承継税制』で個人の事業用資産については相続税は免除される様になっています。 「この考え方を農業や林業にも適用すべきだ!」と言うのが私の主張です。

 子供二人の裕福な農家で、100と言う面積を所有していたとします。 相続税が40%だと仮定し、土地で相続税を支払う(現物納付する)とします。 旦那さんが亡くなると、40%は国に、30%は奥さんが、子供は15%ずつ相続する事になります。奥さんが亡くなると、子供は元の100有った面積の24%しか相続出来なかった事になってしまいます。これでは、家業を継ぐことは不可能です。

 田畑は分割相続したら『田分け者』と軽蔑されました。山林も分割相続したら経営が成り立たなくなってしまいます。相続税が免除される様になったとしても、家業を継ぐ為には田畑や山林は分割してはならないのです。

 明治の終わり頃まで日本には相続税は有りませんでした。日露戦争の戦費を調達する為に1905年に相続税が徴収される様になったのです。 「資産家の子供が親から相続した金で豊かな生活を送るのはけしからん、沢山相続税を取って貧乏人に回すのが民主主義だ」と考えられている方が多いいですが、民主主義思想なんか無い時代に戦費を調達する為に設けられた制度です。

 国民にとっても国家にとっても、個人企業、農家および林業家の継続は大切です。 戦後の歴代の政府は、「農協や森林組合を支援すれば、農家と林業家が存続出来るだろう!」と安易に考えて来た様に思います。 結局・政府の優遇処置や補助金漬け政策は、農協や森林組合の役員や従業員の生活を安定させただけです。農家や林業家は豊かにならなかったのです。 『百害あって一利なし』の政策だったと私は見ています。

【森林組合は税金で成り立っています!】
 日本・各地に森林組合(組合員数=153万人)と生産森林組合と言う組織が有ります。 森林組合は、山林所有者から委託された山林を、ほぼ国からの補助金を使って経営しています。

 本来は山林所有者が自分の金を使って木を植えて/育てるべきですが、木材価格が低迷しているために、植林費用とその後・40年間(?)に必要な費用を(ほぼ全額)国が面倒を見てくれる様になっています。 山林の所有者の多くは、都会に住んでいたりして、自分で山仕事出来ませんので、森林組合に管理を委託しています。

 一般国民は、「自分達が納めた税金で生産した木材を、自分の金で買う」と言う、何か割り切れない事になっています。 「新緑は綺麗だ!」、「紅葉はいつ見ても素晴らしい!」と感嘆される方に、「あの山は、貴方が納めた税金で維持しているんです」と国は説明すべきです。 「新緑も紅葉も要らない、税金を安くして!」と言う国民は殆どいないでしょう!

 この美しい緑豊かな風景を子孫に残すためには、政治家や官僚達に丸投げしないで、「国民全体の重要な問題だ!」と認識する必要が有ります。

【龍神村森林組合】
 私の故郷は和歌山県田辺市龍神です。 合併前は龍神村だったので、森林組合の名前に『村』が残っています。 典型的な過疎地です。

 龍神村森林組合は木材の集積場所と製材所を所有しており、植林から木材の販売まで全て行っています。 黒字経営とは言えない様ですが、頑張っている森林組合の一つだと私は見ています。 そして、UターンやIターンした比較的若い人達を雇用しているので、過疎地には無くてはならない存在になっています。

● 龍神の面積 :25,500ha (80%以上が山林だと思われます。)
● 龍神の人口 :4,400人ほど (超高齢化しています。)
★ 森林組合の従業員 :職員36名・常雇作業員約80名
★ 組合員数 :797人(正組合員:620名 准組合員:177名)
★ 組合員保有山林面積 :19,000 ha
出典 :ウイキペディアと龍神村森林組合のホームページの値です。

【林業関係の出版社】
 農業関係の出版社は多いいですが、私の知る限りでは林業関係の出版社は次の2社しか有りません。

★ 全国林業改良普及協会(全林協)
★ 日刊木材新聞社

(余談) 日本には、各種業界紙が沢山存在します。 私の経験では、業界紙の出版社は一般に各省庁の下級官僚の天下り先になっていて、国の補助金で運営されています。 従って、政策を批判する様な記事は掲載出来ません。 その業界に詳しい下級官僚が天下っているケースが少なく、酷い場合は、原稿を関連企業に丸投げしていました。『百害あって一利なし』です。


真子様と小室氏の問題

2021-05-22 10:58:58 | 天皇制
【はじめに】
 マスコミ各社が、真子様と小室氏の問題を面白・可笑しく報道して『金(かね)』を稼いでいるのを見て、私は腹立たしく思っています。 従って、この手の報道は殆ど見たり、読んだりしていません。 新型コロナとの戦争中なのに、報道が過熱するので、急遽ニュース記事を拾い読みして私の考えを書く事にしました。

 1994年6月に松本サリン事件が起こりましたが、私は、その一、二か月後に松本市に出張して、河野義行家の近くのホテルに泊まりました。夕方、現場周辺を歩いて見ました。 「河野家で農薬が見つかったから、河野氏が犯人だ!」と言う様な報道をマスコミ各社が流し始めました。

 自宅の庭で猛毒のサリンを作るわけが無い! 化学の知識が全く無い、悪質で愚鈍な警察官がリークした内容を鵜呑みにしてマスコミ各社が騒ぎ立てるのを腹立たしく思いました。小室圭氏に関する報道も腹立たしく思っています。 1社でも、小室圭氏を擁護する記事を出したら、日本の民主主義は健在だと言えます。

【小室圭氏の文書】
 小室圭氏が4月8日に公表された文章は、次で検索すると読めます。 そんなに長文では無いので、短時間で読めますが、面白い内容では有りません。
https://www.asahi.com/images21/fbox/edit5/202102/20210408123948.pdf

【問題の本質】
 戦後、天皇の戦争責任が問題視されて、GHQから天皇制廃止の要求が出るのでは?と懸念されていました。 吉田茂がGHQから英文の憲法草案を提示された時、天皇の存続が認められていたので、殆ど抵抗しないで受け入れたのだと推察します。

 GHQの草案では『The Emperor shall be the symbol of the State and of the Unity of the People, ・・・.』となっていました。『symbol』とは何か?多分・吉田茂のスタッフ達も理解出来なかったと思われますが、取敢えず『象徴』と翻訳したのでしょう!

 吉田茂は、「数年もしたら、GHQはいなくなって・日本は独立国家になるだろう! その時が来たら、憲法や皇室典範を改正すれば良い!」と考えていたのではないか?、と私は想像しています。

 他国の干渉無しに日本国民の意思で憲法や皇室典範を改正出来る状態になったのに、歴代の政府は「皇室の問題点を真剣に検討せずに、放置して」、更に「皇族に中途半端な民主主義を適用した」ことが小室圭氏の問題を起こしたのだと私は考えています。

【結婚と皇室典範並びに憲法】
 現在の皇族の結婚(配偶者の選択)に関する規定は、そんなに多く有りません。男子の場合は皇室典範の定めで、「皇室会議の議を経る」となっていますが、女子の場合は庶民と同じです。 自分で自由に結婚相手を選んで良いのです。その代わり、皇族以外の男性と結婚したら、皇族で無くなり、離婚しても皇族には戻れない事になっています。

皇室典範第10条 :立后及び皇族男子の婚姻は、皇室会議の議を経ることを要する。
皇室典範第12条 :皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる。

憲法第24条 :婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

(余談 :同性結婚) 憲法第24条で「婚姻は、両性の合意」となっているので、日本では同性結婚が認められていません。 然し、近年・アメリカの一部の州、フランス、イギリス、ドイツ、カナダ、・・・多くの国で同性結婚が認められる様になっています。 日本でも、2015年に渋谷区が『同性パートナー条例』を制定するなどの動きがあり、将来は憲法を改正して同性結婚を認める様になると私は予想しています。

 皇族の同性結婚を認めるのか?否か?・・・真剣に議論する必要が有ります。 女性天皇?女系天皇?・・・と言う議論と同時に、「国民に同性結婚を認める場合、皇族にも認めるのか?」についても考える必要が有ります。

【皇族の自由と権利】
 皇族の方々は勿論・日本国民ですが、日本国憲法に定められた権利の多くが剥奪されています。

 日本国憲法と皇室典範は1947年5月3日に同時に施行されました。 その後、日本では「何と無く民主主義的な考え方」が広がり、定着してきました。 然し、皇族に対しては民主主義の一部を適応していない事を、国民の多くが気付いていません。

 皇族に与えられていない権利 ;選挙権/被選挙権、信仰の自由、表現の自由、職業や居住場所を選択する自由、・・・。 皇族には戸籍が有りません。 皇族は海外に出るときだけパスポートが与えられます。 多分、マンナンバーは無いと思います。 要するに、日本人なのか?不安定な存在なのです。

 皆さんは、「民主主義とは何か?」と言う議論を誰かとされた事が有りますか? 私には、そんな記憶が全く有りません。 日本人は、それぞれ違った民主主義の定義を持っているのだと思います。 繊細な硝子食器の様で、ちょっとしたショックで砕けてしまう脆弱な民主主義です。

 今回の真子様の報道を見ていると、内親王に与えられた数少ない権利の一つで有る「伴侶選択の自由」さえ、「そんな権利を国民は与えていないですね!」と世論操作をしている様に見えます。 そして、多くの国民が、「そうだ!そうだ!」と叫んでいる様です。

 マスコミ各社の結婚適齢期の社員に、「貴方の恋愛相手に視聴者が反対したら、どう思いますか?」、「交際をやめますか?」と聞いてみたいです。 既婚社員は、「早く言ってくれたら良かったのに!」と言うかも? 世の中とはそう言うものです!

【帝王学を皇室典範に明記すべき?!】
 国民に民主主義に関する教育をする事は抵抗も予想され、短時間では不可能です。 従って、皇族の方々の権利を現在以上に縮小して、国民の多くが納得する結婚をされ、模範的な言動や生き方をして頂く以外にないように思われます。(私は反対ですが。)

 その為には、皇室典範を改正して、「皇族の男子は、学習院の幼稚園・初等科→中等科・高等科→学習院大学に進むこと」、「皇族の女子は、学習院の幼稚園・初等科→女子中等科・高等科→学習院女子大学に進むこと」にしたら良いと考えます。 皇族の子供が所属されるクラスのメンバーは、宮内庁が参加して慎重に選べば、今回の様な問題は回避出来るでしょう。

 昔から、多くの国で王家や有力な家では、その子息を幼少の時から跡が継げる様に特別な教育をして来ました。これを、『帝王学』と呼びます。 皇族が国民の賛同を得られる相手としか結婚してはならないのなら、帝王学を復活する以外に手は無いですね! そして、宮内庁の重要な任務として、「結婚相手を探すこと」と皇室典範に規定してはどうでしょうか?

【小室圭氏は犯罪者では有りません!】
 小室圭氏は、普通の国民で有り、犯罪者でも有りませんから、日本国民に与えられている全ての権利を持っています。 従って、彼のプライバシーは保護されるべきです。

 一般国民が、皇族の方と親しくなるのを禁止する法律は有りません。 逆に、今回の問題の反省から「皇族と一般人の親交を禁止する法律」を閣議決定したら私は反対デモに参加します。 皆さんは、どう思われますか?

 現在の日本では、「犯罪を犯しても、刑期を満了すれば過去の罪は問わない」のが常識になっています。 就活の履歴書に前科を書く欄が無くなっており、面接官が前科の有無を聞くのはタブーになっています。 余程の事が無い限り、マスコミが刑期を終えた人間の過去の犯罪を報道する事もタブーになっています。

 もしも小室圭氏に前科が有ったら、マスコミはその事を報道出来ませんから、こんなに過熱する事は無かったと思われます。 宮内庁が前科を問題にする様な発言をしたら、マスコミ各社は逆に小室圭氏を支持する報道をしたかも知れません。

 小室家の金に係わる問題は犯罪では無いと思われるので、マスコミはプライバシーを侵害しています。 「小室圭氏が真子様の相応しい相手では無い!」と言う様な報道は、報道の自由を超えていると私は思います。 「小室圭氏が立派な家庭を築く事が出来るか?」は神のみぞ知るです!

(余談) 私には息子が二人います。 「自分で好きな女性を探して結婚して欲しい」、「暴力団と親戚付き合いをする自信がないから、ヤクザの娘と結婚したら、親子の縁を切る」と私は言っていました。幸いにも、二人は素晴らしい女性を見付けてくれました。 来年、民法が改正されて男女とも18歳になったら、親の同意無しに結婚出来る様になります。 真子様は二十歳を過ぎておられるので、親の同意は不要です。 結婚されたら皇族では無くなるのに、どうして、国民や宮内庁の同意が必要なんでしょうか?

【天皇制の変遷】
 天皇は中央集権的な日本国の統治者でした。 武士が力を持つ様になって、武士の統領が、天皇の権威を借りて日本国を収める様になりました。これが、日本独特の封建制度です。

 江戸時代を見れば明らかですが、天皇は国民の為に存在したのでは無く、徳川家が国を治める正当性を得るために存続していたのです。徳川家にとっては、天皇が力を持つのは困るが、天皇家の存続は絶対に必要だったのです。

 明治維新の時に、薩長土肥は自分たちの正当性を主張するために天皇を担ぎ出したと思われますが、何故か?天皇を現人神の様な存在に祭り上げて、『天皇の親政』を復活させました。(大政奉還の時、明治天皇は弱冠15歳でした。) 富国強兵政策を進めて、覇権主義国家になって行きました。 明治、大正、昭和初期の天皇は、「良きに計らえ!」と言うスタンスで、「日本が、覇権主義に邁進した責任の多くは政治家と軍人に有った」と私は思っています。

 第二次世界大戦後に、天皇は『日本国の象徴』とされましたが、天皇も国民も『日本国の象徴』とは何か?を理解出来なかったと思います。 明仁天皇(上皇)は種々努力されて、「天皇が国民に寄り添って、国民の自発的な尊敬を得て、国民が国を愛する(大切に思う)運動の中心に天皇がなる事だ!」と考えられて、実践されたのだと私は思っています。

【私にとっての天皇制】
 私は、自分が嫌いな事を他人に強制しないように心がけてきました。 他人から強制されるのも我慢出来ない質(たち)です。 天皇や皇族の方は、「明日、〇✕屋の寿司を食べに行こう!」、「今夜は、銀座のクラブ✕〇に行こう!」と言う自由が有りません。 天皇には、〇✕屋やクラブ✕〇に行ける休日が全く与えられません。 貴方は、天皇や皇族になりたいですか? 私は、真っ平御免です!

 私は、「皇室の力を借りなくても日本は、平和な民主主義国家を維持出来る様になっている」と考えるので、天皇制は廃止すべきだと思っています。

【とんでもないコメント】
 思わず笑ってしまう、とんでもないコメントが有りました。 マスコミ各社は、皇族の方を芸能人と同列に扱っています。 昔だったら、不敬罪に問われたでしょう!

① 昨年から話題になっている『皇女制度』を引き合いに出して、「真子様は皇女になる可能性が有るから、国民の納得する相手を選ぶべき!」と主張するコメンテーターがいます。 まだ閣議決定に至っていない法律(?)で拘束するのは愚の骨頂です。

② 「内親王(女性の皇族)は天皇にはなれないが、摂政にはなる可能性が有るから、内親王が自由に結婚相手を選ぶのは如何か?」とのコメントが有りました。 結婚されたら内親王ではなくなりますから、摂政になる事は有りません。

③ 「将来、結婚されたら小室圭氏が天皇の義兄になる可能性が有るので、相応しくない」と言うコメンテーターがいました。 私には六人義兄がいて、好ましくない義兄とは適当に付き合いました。天皇には宮内庁が付いていますから、上手に対応できると思われます。

④ 皇室経済法に定められている『一時金』を「辞退すべき!」とか「何処か?に寄付すべき!」と言うのも可笑しな議論です。 「結婚されるまで我慢してください、その代わり結婚される時はお金を渡します」と国民が約束しているのです。 約束した側から、辞退すべきと主張するのは如何なものでしょうか?

(余談) 私が、真子様の大学の同級生だったら、積極的に真子様に近づいて「皇族の身分を離れなさい。一緒に『真子株式会社』を設立しよう!」と唆したでしょう。 皇室御用達以上の効果が期待できるので、きっと繁盛したと思います。



私のこの半月

2021-05-15 17:38:48 | 最近の出来事
 この半月間に色んな事が有りました。兎に角・大変な半月でした。

【後期高齢者になりました!】
 私は後期高齢者になりました! 2008年に後期高齢者医療制度が始まった時、私はまだサラリーマンで、「後期高齢者なんて、ずっと先の事」だと思っていました。

 後期高齢者と言う言葉は、蔑称か差別用語の様に思われませんか? 高齢運転者標識を現在は『シルバーマーク』と呼びますが、昔は『枯れ葉マーク』や『落ち葉マーク』と蔑称していました。私は、65歳~74歳を『A高齢者』、75歳以上を『B高齢者』とするのを提唱します。

 近年、誕生日が来ると、「父がこの年に、私は何歳だったのか?」と考えます。 30歳で、結婚3年目でした。父は山番をしていて、紀州の急峻な山の獣道の様な山道を登り降りしていました。

【筋肉痛になりました!】
 数年前から妻と私は、1990年頃・バブル景気の真っ只中で知人が購入した一戸建て住宅の管理をしています。電車で片道2時間ほど掛かるので、年に3回だけ行く事にしています。 大企業の住宅開発を担当する子会社が開発した大きな団地に有ります。 敷地が50坪以上、延床面積が40坪以上の家が200軒ほど有り、全て二階建の和風ですが、同じ設計の家は有りません。

 私は子供の頃、山林と木材の商売をしていた父から木材について色々教えてもらいました。 この家は、柱は上質の杉で、室内のドアは無垢の洋材を使用しています。持ち主が週に一晩だけ、息抜きの為に泊まっているだけなので、築後30年経過していますが、内部は非常に綺麗な状態です。 持ち主は購入価格を言いませんが、近所の奥さん達は「15,000万円程したのに、今は4,000万円でも売れないのでは?」とぼやいていました。

 腰の高さで幹の直径が30cm以上有る山桃の庭木が有ります。 木に登って電線に当たりそうな枝を毎年・剪定して来たのですが、年老いたので木登りが難しくなって来ました。 持ち主と相談して、伐採の許可を得ました。 去年の秋に枝を殆ど切りました。 粗目の長い鋸を買って、この前の日曜日に幹を切り始めました。 4m程の高さまで登って、1個が20kg程になる大きさに切って、下に落としました。4時間ほど頑張りましたが、疲れてしまったので止めました。

 それで、足と腕が筋肉痛になったのです。 年取ると筋肉痛は二日後が最も酷くなります。 私の背の高さ程、幹が残っているので秋には又、筋肉痛になりそうです。

【ゴキブリが押し寄せて来ました!】
 直ぐ近くに200坪程の土地に古い/大きくて立派な一戸建て住宅が有りました。ご両親が若くして亡くなられ、40才代の女性が一人で住んでいましたが、「物騒で、良く寝れない!」と言っていたそうです。 二ヶ月程前に売って、「マンションに引っ越す」と言って出て行かれました。

 半月程前から解体工事が始まりました。ゴキブリ王国だった様で、多量のゴキブリが周囲の家に引っ越したのです。 我が家にも次から次へと押し寄せて来て、『ごきぶりホイホイ』に十匹ほど入っています。

 去年の晩秋に仕掛けた『ごきぶりホイホイ』なので、誘引剤の効果は無くなっていると思われますが、長年掛けて見付けた『最適の仕掛け場所』のお蔭だと思います。

(余談 :立派な庭木) 戦災を免れた家で、築後100年以上は経っていそうでした。 庭に植木屋さんが毎年・手入れした立派な庭木が沢山植わっていました。家の解体が終わった時点では、庭木はそのままになっていました。 それまで使用していた重機の倍は有る、大型の重機を持ち込んで、引き抜き始めました。 幹の直径が20cm以上有る木でも根っこごと引き抜くのです。

 この庭木達を若い時から剪定してきた、私より四歳年上の植木屋さんと、親しくなっていました。 彼は去年の年末に植木を手入れしたのですが、3月の始め頃に一週間ほど掛けて剪定していました。 持ち主の女性か?植木屋さん?が、「大切にしてきた植木に最後の化粧をしてやったのだ」と気付きました。

【ワクチン接種の予約をしました!】
 神戸市は後期高齢者を優先する様で、私にも書類が郵送されて来ました。 電話とインターネットで予約出来る様になっていました。後期高齢者の多くはスマホやパソコンが苦手だと思われるので、インターネットでやったら、スムースに予約出来ました。電話は、なかなか繋がらなかったそうです。

【パソコンが可笑しくなって来ました!】
 私は、Wordでは無くてExcelで原稿を書きます。一時間程書き溜めたら保存して、更にUSBメモリにも記録しています。 USBメモリに記録する時に、ハードディスクドライブ(HDD)のデータが消えるトラブルが時々発生する様になりました。 フリーズの頻度が増えたり!、立ち上がり時間が長く掛かったり・・・

 ディスクトップ型パソコンを買い替える事にしました。 経費節減の為にWindows 10だけ入ったタイプを選びました。 microsoft 365は旧パソコンの権利を移そうと言う計画でした。microsoft 365は簡単にインストール出来たのですが、プリンター(Canon Pixus ip2500)のソフトが取り込め無かったのです。旧パソコンもWindows 10だったので、「何とかなるだろう!」と色々やって見ましたが駄目でした! 

 結局・インターネット通販でプリンター(Canon Pixus TS5330)を買いました。 近年、パソコンは余り進歩していませんが、プリンターは種々改善されています。 「こんな価格で出来るのか!」と感心させられました。

(余談 :HDDの交換) 55歳(2001年)頃に、会社で使用していたパソコンのHDDが壊れた事が有ります。 ディスクトップ型のパソコンの部品の取り換えは簡単に出来ます。 HDDを交換したら、オペレーティングシステム(OS)を再インストールする必要が有ります。 

 当時、CDに入ったバックアップ用のOSソフトがパソコンに付属していました。 HDDを交換したことが有る友人が、「OSのインストールは,とんでもなく難しかった!」と言っていました。OSのインストールを始めたのですが、画面に表示されるメッセージの通りにやっても、微妙なタイミングが問題で次に進めなくなり、一からやり直すのです。 意地になってしまい、結局・一週間・朝から/夕方まで挑戦して、やっとインストール出来ました。

 前述の友人はその後もHDDを交換しましたが、「Windowsが改善されてOSのインストールは簡単になった」と言っていました。 近年のパソコンにはバックアップ用CDが付属していませんから、HDDを交換する時はどうするのでしょうか?

【嬉しかったこと】
 毎年・子供達が誕生日プレゼントを送ってくれます。 私は酒は、ビール、日本酒、ワイン、ウイスキー、ブランデー、紹興酒、テキーラ・・・何でも好きなんですが、今年は日本酒の中で一番好きなボトルが届きました。 西宮の小さな蔵元が造っていて、フルーティーな素晴らしい酒です。残念ながら通販では入手出来無い様で、店頭販売が基本の様です。

 万代大澤醸造株式会社 『徳若 しずく酒』

 日本酒は『ぐい呑み』を使用します。 いつの間にか二十口(こう)ほど集まりましたが、その中に身分不相応な素敵な硝子製が三口有ります。 『徳若 しずく酒』を飲む時は、必ずその内の一口で楽しむ事にしています。

ロシアと中国の問題

2021-05-08 12:02:22 | 国際問題
【はじめに】
 ロシア、中国、北朝鮮の3国を『ならず者国家』と呼ぶ方がおられますが、3国とも21世紀になっても他国に侵攻して領土を拡大したいと目論んでいます。

 現在・3国は協力関係にありますが、「清の領土だった土地は中国の領土で有る」と主張しており、最近・中国の一部で「高麗(918年~1392年)は中国の国だった!」と言い始めています。 帝政ロシアが清国から、(日本の国土の何倍にも相当する様な)広大な領土を奪ったのは事実です。 元がほんの一時期、高麗を支配したのも事実です。(元寇は、元と高麗軍が攻めてきたのです。)

 ソビエトが1991年に崩壊した混乱時、中国がロシアに侵攻しなかったのは「確実にロシアに勝てる」と判断出来なかったからだと想像します。 21世紀になって中国は軍備を増強しており、「次にロシアが混乱する様な事になったら、帝政ロシアに奪われた領土の奪還を企てるのでは?」と私は危惧しています。

 『ならず者国家』の野望を阻止する為には、抑止力(軍事バランス)の維持が重要だと思います。 ロシアと中国間の軍事バランス、そして、西側諸国と『ならず者国家』達の間の軍事バランスを維持することが、世界の平和に不可欠です。

【プーチン氏と習氏】
 安倍晋三氏がプーチン氏と一緒に風呂に入ったと聞いて、笑ってしまいました。プーチン氏はKGBでスパイの訓練を受けて、実際にスパイとして働いた人間です。 風呂の中で、「スイスの銀行に五千億円振り込むから、北方四島を返してくれ」と切り出したら成功したかも? 日本の政治家は、他国の元首について勉強する必要が有ります。

★★★ プーチン氏と習氏の共通点を書きます。
① 年齢 :今日現在(2021年5月8日)の年齢は、プーチン氏が68歳で習近平氏67歳です。二人とも長期政権を目指しており、生きている間は影響力を維持したいと躍起になっている様に見えます。

② 他人の事は意に介さない :二人とも非人道的人物です。他人の自由、権利、生命など尊重する様な人間では無いと思われます。 (但し、ロシアも中国も、有史以来・民主主義国家だった事が無いので、二人が非人道的なのは個人的な欠陥だとは言えないと私は考えています。)

③ 実力で伸し上がった :日本には二世、三世の政治家が多くいますが、プーチン氏と習氏は過酷な競争の中を実力で伸し上がったのです。 私の偏見かも知れませんが、安倍氏とプーチン氏の交渉を見ていると「役者が一枚も二枚も上」の様に見えました。

④ イデオロギーが無い :二人とも、宗教・哲学・思想・・・何も持っていません。自分に都合の良い様に切り取って利用します。

⑤ 覇権主義 :「プーチン氏はバルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)の一国を併合して、レーニンかピョートル1世の再来だと言われたい!」、 「習氏は台湾を併合して、毛沢東と同じ様に国民の尊敬を得たい!」と目論んでいる様に見えます。

★★★ プーチン氏と習氏の違う点を、(私の独断的な考え方ですが)書いて見ました。
❶ 体制の継続性 :習氏に万が一の事が有っても共産党の有力者が、大きな混乱無しに後を引き継ぐでしょう。 プーチン氏は後継者を育成している様には見えません。寧ろ自分の地位を脅かしそうな有能な人物は排除している様です。 プーチン氏が急逝したら、ロシアは大混乱になる可能性が有ります。

➋ 人財の豊かさ :中国共産党には(技術系を含む)頭脳明晰な党員(人財)が沢山いると考えるべきです。習氏は、彼らを自由に使う事が出来ます。

➌ 選任方法 :プーチン氏は曲がりなりにも国民投票で選ばれています。従って、国民の人気を気遣う必要が有ります。 習氏は、共産党の長老達の密室会議で推挙(?)されたのです。習氏が総書記に就任したのは2012年ですから、当時の長老達はもう直ぐ鬼籍に入ります。 その後任の長老には習氏にとって都合の良い老人を指名すると予想します。

➍ 経歴 :プーチン氏は悪名高いKGBの出身で、競争相手を粛正することには長けています。然し、技術/工業の発展には余り興味が無い様に見えます。 習氏は、若いころ色々苦労しましたが、清華大学化学工程部を卒業し、後に同大学の人文社会科学院で学んで法学博士の学位を得ています。習氏は、「基礎科学は国家の発展にとって重要だ!」と考えているようです。 ウイキペディア『千人計画』で検索して見て下さい。

【ロシアの近代史】
 赤穂浪士の討ち入りは1703年で、大岡忠相が江戸南町奉行に就任したのは1717年です。 当時のロシアは、ヨーロッパで寒くて貧しい「ロシア・ツァーリ国」と呼ばれていました。然し、ロシア・ツァーリ国の時代から東アジアへの領土拡大を進めていたのです。

 1721年にピョートル1世が即位して、近代化を始め/富国強兵を推進して弱小の周辺諸国に侵攻して領土を拡大して行きました。 (ピョートル1世後の中国との関係は、下に別途書きます。)

 ロシアは農業国でしたから国民の多くは農民でしたが、農民は奴隷(農奴)でした。 農奴解放令が出たのは1861年です。(明治元年は1968年です。トルストイが生きたのは、1828~1910年です。)

◎ ロシア・ツァーリ国 :1547年~1721年
★ ピョートル1世即位 :1721年
◎ 帝政ロシア :1721年~1917年
◎ 日露戦争 :1904年~05年
◎ 第一次世界大戦 :1914年~18年
◎ ロシア革命 :1917年
◎ ソビエト連邦社会主義共和国 :1917年~91年
★ レーニン首相 :1917年~24年
★ スターリン :24年~53年 ・・・第二次世界大戦
  ・・・・・・
★ ゴルバチョフ :85年~91年
◎ ソビエト崩壊 :1991年
★ エリツイン大統領 :1991年~99年
★ プーチン大統領 :1999年~2008年
★ メドヴェージェフ大統領 :2008年~12年
★ プーチン大統領 :12年~
◎ クリミア半島の併合 :2014年

【現在のロシアと中国の比較】
 グローバルノートのデータで最近のロシアと中国を比較して見ました。 第二次世界大戦直後はソビエトの方が圧倒的に強国でしたが、現在では逆転して、国力の差は拡大傾向に有ります。 中国のGDPは、ロシアの10倍程になっています。 2020年の国民一人当たりのGDPは、ロシア=10,037米ドル、中国=10,484米ドルで、ほぼ互角です。(日本=40,146米ドル)

 ロシアは無理してGDPの4%近い金を軍事費に当てています。 それでも、中国の軍事費の四分の一に過ぎません。 20世紀までは兵器の技術はロシアの方が圧倒的に優れていましたが、中国は兵器の開発に莫大な金を投入して、その差を縮めています。 (性能には問題が有る様ですが、)中国はステルス戦闘機・殲(ピンイン)-20(J-20)を自力で開発し、既に50機ほど実戦配備しています。ロシアもステルス戦闘機・Su-57を開発中ですが、実戦配備までには時間が掛かる様です。

 ロシアは『貧乏になりかけた兄』で、中国は『ドンドン金持ちになっている弟』の様に見えます。この傾向を止める事は、現在のロシアには出来ません。 ロシアは覇権主義を止めて、西側諸国に加わらなかったら、将来・中国の属国になってしまいそうです。

① GDP  :ロシア=1.47兆米ドル、中国=14.72兆米ドル ・・・2020年
   :ロシア=1.69兆米ドル、中国=14.34兆米ドル ・・・2019年(アメリカ=21.43兆米ドル)
② 輸出額 :ロシア=3.31億米ドル、中国=25.91億米ドル ・・・2020年
③ 輸入額 :ロシア=2.40億米ドル、中国=24.08億米ドル ・・・2020年
④ 外貨準備高 :ロシア=0.60兆米ドル、中国=3.36兆米ドル ・・・2020年(金保有を含む)
⑤ 人口     :ロシア=1.46億人、中国=14.4億人 ・・・2018年
⑥ 特殊出生率 :ロシア=1.57、中国=1.69 ・・・2018年 (日本=1.42)
⑦ 軍事費   :ロシア=651億米ドル、中国=2,611億米ドル ・・・2019年(アメリカ=7,317億米ドル)
⑧ 軍事費/GDP :ロシア=3.85%、中国=1.82%  ・・・2019年(アメリカ=3.41%)

(出典) ①~⑦はグローバルノートを転記、⑧はグローバルノートのデータを用いて私が計算しました。

【ロシアの本音】
 中華人民共和国(中国)が、ソビエトの支援を受けて建国されたのは1949年です。 当時、中国とソビエトの経済/軍備の差は歴然としていました。 ソビエトは『社会人になった兄』で、中国は『小学校に入学した弟』の様な関係だったと私は思います。 その後、ソビエトは崩壊して、中国の工業化が急激に進んだので、国力の差は逆転し→差が拡大し続いています。

 米中貿易戦争はロシアにとっては好都合です。 ①中国からの投資が期待できる。②中国と軍事協力関係が構築できる。③中国との貿易が拡大する事が期待できる。・・・

 中国が台湾の併合に成功して、経済発展を続けると、中国の次の目標は「ロシア帝国が清国から奪った領土の奪還」になる恐れが有る事を、プーチンは認識していると思われます。 長期的に考えたら、中国の発展はロシアにとっては脅威です。

【帝政ロシアの北東進出】
 中国は現在でも、「清国時代の領土は我が物で有る」と主張しています。 帝政ロシアは清国から(日本の国土の何倍もの)広大な領土を奪っています。 1991年と94年の、中ソ間の協定によって国境が確定した事になっていますが、中国の国力が急激に高まり、軍備もロシア以上になっています。 その差は、今後・益々広がって来ると予想されます。 将来、中ソ間で国境紛争が再開される恐れが有るので、帝政ロシア以来の北東進出の歴史を簡単に書いておきます。

 昔のロシアは、ヨーロッパの後進国で『ロシア・ツァーリ国』と呼ばれていました。 少しずつ領土を広げて行きました。 東方へも進出を図り、清国と国境を接する様になりました。 1644年に中国は、明→清になっていました。

 1689年に清国の康煕帝(第4代皇帝)とロシア・ツァーリ国のピョートル1世の間で、国境を確定するネルチンスク条約を締結しました。 この条約では、アジア大陸の東側(ウラジオストクやハルピンの有る地域)、樺太などは清国の領土でした。

  ピョートル1世が1721年に即位して、ロシア帝国(1721年~1917年)が誕生しました。ピョートル1世はロシアの近代化を始めました。 ピョートル1世は1725年に亡くなりましたが、後継の皇帝達は近代化を更に進め、ドンドン領土を拡張し続けました。

 清国は近代化に努力しなかったので、ロシア帝国との国力の差が広がり、ロシア帝国の北東進出を抑えられませんでした。(ネルチンスク条約で決めた国境線を超えて、ロシア帝国は侵攻したのです。)  1858年のアイグン条約と60年の北京条約によって、アジア大陸の東側や樺太がロシア帝国の領土になりました。

 中ソの国境線は非常に長く/複雑ですから、両国の主張が食い違う地域が有りました。 そのために、第二次世界大戦後の1969年に極地戦争(ダマンスキー島事件)が起こりました。 その後、国境線を挟んで両国は睨み合って来ましたが、江沢民が国家元首だった1991年と94年の協定によって両国は国境を確定させたのです。 (習近平は近年、江沢民が領土を明け渡したと批判しています。)

(余談) 1989年に天安門事件が発生しました。中露東部国境協定はソビエトが崩壊する寸前の1991年に締結されました。ロシアは大混乱になりましたが、中国も天安門事件を処理する(自由を要求する若者達を抑える)必要があり、江沢民はエリツイン大統領との間で1994年に中露西部国境協定を結んだのだと推測します。

(余談 :樺太) 樺太は大昔から日本と深い関係に有りました。 樺太にはアイヌ人が住んでいて、江戸幕府は北海道に住むアイヌ人と同等の扱いをした様です。 『蝦夷』は現在の北海道と樺太・両方をさす言葉だったのです。江戸時代の樺太の人口は2,000人~3,000人ほどだった様です。ネルチンスク条約では、樺太は清国の領土となっていますが、清国が統治した事は有りませんでした。 明治維新の時は、樺太はロシア帝国の領土になっていたので、日本は樺太の領有権を主張しなかったのか?

【北極海航路】
 ①北ヨーロッパ⇔⇔日本や中国、②北ヨーロッパ⇔⇔北アメリカ大陸の西側への航路は、北極海を通る方が、距離が短く政治的に安定しています。(今年、コンテナ船が座礁したスエズ運河を通る必要がなく、何よりも海賊に襲われる心配がありません。)

 地球温暖化で北極海の氷が融けて来たので、21世紀に入って北極海航路(北方航路)が9月の前後2か月間ほど利用される様になって来ました。 砕氷船の支援を得たら、もっと長い期間・航行出来る様です。 地球温暖化が進めば、更に北極海航路は利用される様になると予想されます。

 1994年に発効された『海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)』によって、瀬戸内海の様な内海(内水)を除いた領海でも商船の航行は自由に行える事になっています。 勿論、排他的経済水域も自由です。 排他的経済水域は、沿岸(基線)から200海里(370.4km)の海です。 すなわち、北極海航路の大半はロシアの排他的経済水域に含まれると思います。

 ロシアは、「北極海航路はロシアの領海だ!」と主張して、航行規則を設けています。 ロシアは2018年時点で原子力砕氷船を4隻所有しており、2030年頃には13隻体制にして、一年中航行可能にする計画を進めています。 現在は、氷が張る期間の航行は有料で商船等の航行を認めている様です。北極海航路を収入源にする事を目論んでいます。

 中国にとっても北極海航路は重要で、3万トン以上の大型原子力砕氷船を建造しています。ロシアとの協力関係を強化しています。中国はロシアと組んで北極海航路から利益を得ようとするでしょうが、ロシアが独占を主張したら、中国は黙っていないと予想します。

 アメリカも以前から北極海航路に注目し、調査・検討しています。 文大統領は中国と組んで、北極海航路での輸送と、造船関係での商売を狙っている様です。

 商船三井と中国遠洋海運集団の合弁会社が所有する砕氷LNG船が2020年に、ロシアから日本にLNGを運んで来ました。 商船三井グループは、砕氷LNG船を最初は韓国の大宇造船海洋(DSME社)で建造し、その後は上海の滬東中華造船(集団)有限公司で建造している様です。

(余談 :日本政府の動き) 安倍政権は2013年に、「海洋基本計画で北極の諸課題に重点的に取り組む」と閣議決定して、15年には『北極政策』を発表しました。何かやっているポーズをしただけで、各国の様子を見ています。 「日本政府は積極的に動くべきだ!」と主張する方がおられますが、「コロナ対策さえ真面に出来ない安倍氏や菅氏では、何もしない方が良い!」と私は思います。

領海 :国連海洋法条約で、領海は沿岸(基線)から12海里(22.2km)と規定されています。 内水を除いた領海では、他国の船の航行を妨害することは禁じられています。

米中貿易戦争の本質 (補遺)

2021-05-01 10:20:46 | 国際問題
【はじめに】
 「米中貿易戦争の本質」と言うタイトルで、私は今まで3回投稿しました。 前稿では「第三次世界大戦だ!」とまで書きましたが、多分・大方の方は「大袈裟だ!」と思われたと想像します。

 アメリカの近年の貿易収支と経常収支の推移を見て頂ければ、トランプ氏が中国に宣戦布告をせざるを得なかった状況を、皆さんに御理解頂けると思っています。

 大西洋評議会の『より長い電報』では中国を問題視していますが、アメリカが努力して「自らの社会と経済を改革する必要が有る」と私は見ています。 然し、アメリカだけでは、アメリカの改革は不可能なのも分かります。 結局、西側諸国が協力してアメリカを改革して行かざるを得ないのでしょう!

【日米中の貿易収支の推移】
 米中の貿易収支の推移を眺めると、「何故?トランプ氏が米中貿易戦争を仕掛けたのか?」を理解出来ます。 アメリカは1980年頃から40年以上・毎年!・毎年!貿易収支の赤字が続いています。 21世紀になって、赤字額は拡大するばかりで、減少する兆しは全く見えません。 アメリカ以外の国だったら、とっくの昔にデフォルト(債務不履行)になっていたと思われます。

 個人や企業だったら自ら努力して『入りを図って出を制す』を実行しないと破産/倒産してしまいます。 21世紀になって覇権主義を露骨に進め出した中国を(これ幸いと)悪者にして、西側諸国の協力を取付て、アメリカは赤字体質から抜け出そうとしている様に見えます。

 トランプ氏は、「自助努力では難局を切り抜けられない!」と判断したのだと思われます。 「アメリカがデフォルトになったら、貴方の国も困るでしょう!」、「このまま放置したら、10年後には中国が世界一の強国になって、中国に都合の良い国際ルールに従って貴国は生きる事を要求されます。それで良いのですか?」と主張している様に思いました。 身勝手な主張ですが、日本を含めた西欧諸国はアメリカに協力せざるを得ないでしょう!

 中国の貿易収支の黒字が拡大し始めたのは、2005年頃からです。 2005年にはアメリカの貿易赤字は90兆円程にまで拡大していたので、中国のせいで赤字体質国家になったのでは有りません。 アメリカの企業が外国に工場を建設するのを奨励(または放任)し続けた結果、赤字体質の国家になってしまったのです。 そして、アメリカの企業は莫大な収益を上げてアメリカ国民は潤いましたが、国家は赤字に苦しむ事になりました。

 中国は欧米諸国からの莫大な投資で工場を建設し、技術移管を得て、国際ルールに従って輸出を増やし、外貨を獲得する様になりました。 決して、他国を略奪して『金』を得ている分けでは有りません。 そして、その金と、共産党独裁国家のメリットを十二分に活用して、軍備拡大/近代化と、第四次産業革命の覇者になる事を目論んで研究/開発予算を増やして来ました。 これらの政策も国際ルール違反とは言えません。

 国際ルール違反の①ジェノサイド、②覇権主義と言う2つを建前の理由にして、トランプ氏は米中貿易戦争を始めざるを得なかったのです。

2020年 :米=-105.40兆円、中=57.82兆円、日=0.74兆円 ・・・バイデン大統領
2019年 :米=-99.82兆円、中=45.48兆円、日=-1.46兆円
2018年 :米=-102.63兆円、中=37.90兆円、日=-1.12兆円 ・・・米中貿易戦争
2017年 :米=-93.12兆円、中=45.31兆円、日=2.83兆円
2016年 :米=-86.31兆円、中=55.05兆円、日=4.03兆円 ・・・トランプ大統領
2015年 :米=-87.77兆円、中=64.14兆円、日=-2.51兆円
2014年 :米=-85.54兆円、中=41.37兆円、日=-13.18兆円
2013年 :米=-80.94兆円、中=27.97兆円、日=-12.71兆円
2012年 :米=-85.41兆円、中=24.87兆円、日=-9.43兆円 ・・・習近平が総書記に就任
2011年 :米=-84.62兆円、中=16.73兆円、日=-3.48兆円
2010年 :米=-74.59兆円、中=19.60兆円、日=8.18兆円
2009年 :米=-59.32兆円、中=21.13兆円、日=3.10兆円 ・・・オバマ大統領
2008年 :米=-95.26兆円、中=32.20兆円、日=2.04兆円
2007年 :米=-94.20兆円、中=28.55兆円、日=9.94兆円
2006年 :米=-96.35兆円、中=19.17兆円、日=7.31兆円
2005年 :米=-89.31兆円、中=11.02兆円、日=8.54兆円
2004年 :米=-76.77兆円、中=3.47兆円、日=12.00兆円
2003年 :米=-62.45兆円、中=2.75兆円、日=9.60兆円
2002年 :米=-54.77兆円、中=3.29兆円、日=8.59兆円 ・・・胡錦濤が総書記に就任
2001年 :米=-48.61兆円、中=2.43兆円、日=5.88兆円 ・・・小ブッシュ大統領
2000年 :米=-51.56兆円、中=2.61兆円、日=10.78兆円

出典 :2020年はグローバルノート、その他の年は『世界経済のネタ』のデータ(米ドル)を、1$=108円として、私が強引に『円』に換算しました。 為替変動を無視しているので、学研的な厳密さと言う点では問題が有ります。 私は、米ドルで議論されるとピンと来ないので、批判覚悟で『円』に換算しました。

【日米中の経常収支の推移】
 御参考までに日米中の経常収支の推移も以下に示します。 経常収支は貿易収支と、それ以外の金の収支を合算したものです。 アメリカは経常収支も大幅な赤字が続いています。 アメリカの蛇口は壊れてしまって、毎年多量の金が流失しているのです。 

 アメリカは蛇口を自分で修理すべきですが、そうしたら国民の負担が大きくなり、政治家は選挙に勝てなくなります。 西側諸国に莫大な金を出させて、修理しようとしている様に見えます。

2021年 :米=-94.65兆円、中=29.54兆円、日=21.06兆円
2020年 :米=-69.81兆円、中=32.27兆円、日=17.91兆円
2019年 :米=-51.86兆円、中=15.26兆円、日=20.32兆円
2018年 :米=-48.57兆円、中=2.75兆円、日=19.10兆円
2017年 :米=-39.45兆円、中=21.07兆円、日=21.98兆円
2016年 :米=-42.65兆円、中=21.84兆円、日=21.38兆円
2015年 :米=-43.99兆円、中=32.85兆円、日=14.74兆円
2014年 :米=-39.72兆円、中=25.49兆円、日=3.97兆円
2013年 :米=-36.38兆円、中=16.01兆円、日=4.96兆円
2012年 :米=-45.16兆円、中=23.26兆円、日=6.45兆円
2011年 :米=-49.17兆円、中=14.70兆円、日=14.02兆円
2010年 :米=-46.66兆円、中=25.68兆円、日=23.87兆円
2009年 :米=-41.01兆円、中=26.27兆円、日=15.69兆円
2008年 :米=-75.22兆円、中=45.42兆円、日=15.40兆円
2007年 :米=-79.55兆円、中=38.14兆円、日=22.91兆円
2006年 :米=-88.20兆円、中=25.04兆円、日=18.85兆円
2005年 :米=-80.92兆円、中=14.30兆円、日=18.38兆円
2004年 :米=-68.68兆円、中=7.45兆円、日=19.66兆円
2003年 :米=-56.41兆円、中=4.65兆円、日=15.06兆円
2002年 :米=-49.26兆円、中=3.83兆円、日=11.79兆円
2001年 :米=-42.56兆円、中=1.88兆円、日=9.31兆円
2000年 :米=-43.41兆円、中=2.21兆円、日=14.11兆円

★ 経常収支 = 貿易収支 + サービス収支 + 第一次所得収支 + 第二次所得収支
 経常収支は、他国との商品取引の収支だけでなく、外国との旅行費用、投資金額、援助金など、金の遣り取りを全て合算した収支です。

出典 :2020年はグローバルノート、その他の年は『世界経済のネタ』のデータ(米ドル)をベースにして、貿易収支の時と同じ要領で円に換算をしました。

【決済通貨と米中貿易戦争】
 アメリカ合衆国は、連邦準備銀行が金を保有して金本位制を維持していましたが、1933年に金本位制を停止しました。(ドル紙幣は兌換紙幣では無くなったのです。) 1934年に金は財務省に移管して、1オンス(28.35g)=35米ドルとしました。

 他国の中央銀行から要求が有れば、『1オンス(28.35g)=35米ドル』のレートでドルと金を交換する事にしたのです。 そのために、戦後の貿易通貨として米ドルが主役になりました。 その後、金の保有量よりも世界の経済の方が大きくなったので固定相場性は維持出来なくなりました。1971年8月にニクソン大統領がドルと金の交換を停止したのが、『ニクソンショック』です。

 1971年12月に『1オンス(28.35g)=38米ドル』とするスミソニアン協定が結ばれましたが、経済が更に拡大したために1973年3月に、変動相場制になりました。(米ドルと金の交換は無くなったのです。) 1976年にキングストン合意(協定)によって、金と通貨の交換は完全に廃止されました。

 各国の紙幣は、ある意味では『印刷した紙切れ』に過ぎません。 然し、各国が貿易するには、物々交換する分けには行きませんから、何処かの国の通貨で取引せざるを得ないのです。

 国連の一機関として、為替相場を安定化させるために1945年・国際通貨基金(IMF)が設立されていました。 IMFは国際取引に利用出来る通貨として、現在は5種類認めています。 これらを『自由利用可能通貨』と呼びます (米ドル、ユーロ、人民元、円、英ポンドです。)

 国際取引で最も利用される通貨を『基軸通貨』と呼びますが、現在は米ドルが基軸通貨です。 中国は、人民元を基軸通貨にしようと目論んでいる様に見えます。(自国の通貨が基軸通貨になると、沢山!沢山!のメリットが有ります。)

 ある国(X国)の通貨が基軸通貨になる条件は、多くの国がX国の通貨を欲しがる事です。 欲しがる理由は色々考えられますが、現在はどの国の紙幣も単なる『印刷した紙切れ』になっているので、「X国が多くの国が必要とする物を輸出出来るか?」が重要なポイントです。

 中国は、21世紀に入って他国が欲しがる工業製品を多量に生産出来る様になって来ました。 一方、アメリカは国際競争力の有る製品が少なくなって来て、貿易収支の赤字が続いています。 この状態が続けば、人民元が基軸通貨になるのは、そんなに先では無いと予想されます。

 21世紀になって第四次産業革命が始まったと言われていますが、第四次産業革命の覇者に中国がなったら、確実に人民元が基軸通貨になります。 身勝手な中国のことですから、為替レートを自国の都合の良い様に操作して、他国を平伏させると予想します。 「君たちは、それでも良いのか?!」とトランプ氏が警告した様に私には思えました。

★★★ ご参考 :IMFのSDR ★★★
 国際通貨基金(IMF)は加盟国の出資額に応じて、特別引出権(SDR)を付与しています。 SDRは、加盟国の外貨準備高を補うのが役割です。

 日本の銀行に100万円預けたら、100万円を引き出す権利が与えられます。 特別引出権(SDR)は『自由利用可能通貨』の組合せになっています。 組合せは2021年に見直されると予想しますが、現在は次の様になっています。

1SDRバケット=(0.58252米ドル)+(0.38671ユーロ)+(1.0174人民元)+(11.900円)+(0.085946英ポンド)

★★★ ご参考 :国連の金融機関 ★★★
 国連には四つの金融機関が有り、全て本部はアメリカのワシントンD.Cに有ります。 日本の戦後の復興事業の多くは、世界銀行からの借入れ金で行われました、東海道新幹線、黒四ダム、高速道路、民間企業の多数の工場建設、・・・

① 国際通貨基金(IMF) :1945年設立、 189ヵ国が加盟
② 世界銀行 :1945設立、 189ヵ国が加盟
③ 国際復興開発銀行(IBRD) :1947年から国連の機関になりました。
④ 国際開発協会(IDA) :1960年設立、最貧国向けの融資や無償援助が役割です。