これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

専務と常務を廃止したら活性化出来るか?

2021-03-27 11:34:39 | 会社の活性化
【はじめに】
 近年・赤字が続くKB社が専務と常務を廃止すると発表しました。 「そんな小手先の手段で、会社を活性化して、黒字体質に改革出来る」とは私には思えません。

 私は、1995年頃までのKB社をよく知っています。その頃の知識を基に、KB社にとって必要と思われる事を書きます。 25年も前の知識ですが、その後改善されているとは信じられないのです。

【私企業の使命は黒字であること!】
 私企業は『営利』を追求するのが、究極の存続意義です。 「毎年・黒字で、毎年・株主に配当金を出し、従業員の給与をアップして、税金を支払ってこそ企業は存続が認められるのだ!」と私は考えています。 赤字体質から抜け出せない企業は、債務超過に落ちる前に、(体力が残っている内に、)会社を整理すべきです。

 大学生や高校生が就職活動する時、希望する企業が赤字体質か?どうか?を見極めるのは難しいです。 入社二、三年後に、赤字体質の企業では優秀な若者から辞めて行きます。 日本では未だに大企業への途中入社が難しいですから、彼等は苦労する事になります。 この点からも、赤字体質から抜け出せない企業は、市場から撤退すべきです。

【私企業の御法度】
 KB社は昔から、不祥事が表面化しました。 『製品検査データの改竄』、『メッキ液による汚染問題』、『所得隠し』、『談合発覚』、『労働組合が支援する市議選候補者への選挙資金提供』、・・・等々

 企業にとって最も重要な事は、信頼を得る事です。 「法律と公序良俗に反してはならない!」のです。 然し、これは、あくまでも建前の話しです。 人類が生きているのは、欲望が渦巻くドロドロの環境です。 企業が商売を続ける為に、談合や闇献金が、どうしても必要な事が有ります。 それが必要になるのは、国内だけでは無く、アラブ石油産出諸国等々、外国で商売する時も同じです。

 山口良忠判事は、戦後(1947年)に栄養失調で餓死されました。 戦中/戦後・食糧管理法で闇の食糧を買う事が禁じられて、「配給食糧で何とか生き延びよ」と国は命じていました。山口判事は、法律を厳格に守られたので餓死されたのです。 戦後、都会で生き延びた多くの人達は、ほどほどに闇の食糧を買ったのです。誰も、批判は出来ません!

 綺麗事を言うのは簡単です。 KB社は、ホームページにコンプライアンスについての取り組み方を公表しています。 公表している事を真面目に実行したら、国や地方公共団体向だけで無く、海外向けの仕事も殆ど受注出来なくなってしまうでしょう! 「コンプライアンスには反するが、会社が生きるためには・この程度は致し方ない」と第一線の社員が(正しく?)判断出来る文化/風土が必要なんだと思います。

 大企業の多くは、程度に差が有ると思われますがコンプライアンスに反する事をやっています。 然し、マスコミで報じられることは少ないです。 KB社は何故?しばしば不祥事が表面化するのでしょうか? 「このまま放置出来無い」と社員が思う様な重大なコンプライアンス違反が度重なるためか? 会社に不満を持つ社員が多いいのか? 何れにしても、内部告発で問題が表面化したのだと想像します。

 「社員を締め付けて雁字搦めにしたら、社内の問題を外部にリークしなくなるだろう」と考えるのは間違いです。 逆にリークしたくなる社員が増加しますよ! 働き甲斐の有る、明るい職場作りが重要なんです!

 美辞麗句を並べたコンプライアンス対策の文章を作成する前に、KB社の重役達は①残業代を支払わないのは法律違反で、②御用組合も法律違反だ、③派閥人事は公序良俗に反している!と言う認識を持って頂きたかった。 ①~③をそのままにして、「コンプライアンス!、コンプライアンス!」と叫んでも、社員達の胸には響ません!

【社外取締役によるコンプライアンス対策】
 KB社は、社内委員・3名と社外委員・5名のコンプライアンス委員会を立ち上げています。

 社内の微妙な状況を知らない社外委員が考えたコンプライアンス対策は、おざなりの正論/理想論になってしまいます。KB社にとって必要なのは、ドロドロの世界で実行可能なコンプライアンス対策です。

(余談 :アーミッシュ) アメリカにキリスト教の一派で、『アーミッシュ』と呼ばれる団体が有ります。ハリソン・フォードが主演した『刑事ジョン・ブック 目撃者』を見られましたか? まだの方は、ウイキペディアの『アーミッシュ』の記事を読んでから見られたら、より面白いと思います。

 アーミッシュの世界だったら、KB社が公表しているコンプライアンスの理想論が通用すると思いますが、現実の世界は談合や贈賄が横行するドロドロの状態です。 こんな世の中で理想論を言ったら、「ほら吹きだ」、「空々しい」と思われるだけです。

【派閥の解消】
 大昔、KB社には13年以上社長を続けたTK氏がいました。 TK氏はKB社の生き神様の様な存在になり、強力な派閥を作りました。 以来・長く、その派閥から社長が選ばれる慣例が続いたのです。

 1987年頃に、(昔の通産省から)優秀な官僚をヘッドハンティングして重役になって頂いたA氏と、生え抜きで社内では評判の高かったB重役がいました。 次の社長にA氏がなるのか?B氏か? 私は、どちらが社長になられても会社を改革されると期待していました。 A氏とB氏の支持者が拮抗していたので、誰も予想していなかった凡人のKS氏がピンチヒッターの様な形で社長に就任しました。

 KS氏は、一期(2年)で次の社長に引き継ぐと言われていました。 KS氏は悪賢い人間でした。 先ず、自分を支持する重役の数を増やす事に注力しました。 2年後の重役改選の時期が近付いた時、「重役の改選はしない」と宣言したのです。 普通は重役改選で、30%~40%の重役が子会社等に出向して、同数の新任重役が誕生します。 子会社に飛ばされそうな重役達は、挙ってKS氏を支持しました。

 結局、KS氏は社長を9年間ほど勤め、TK氏が残した派閥を強化して次に譲ったのだと思います。KS氏は会社の『中興の祖』にはなれませんでしたが、派閥の中興の祖にはなりました。

(余談 :KS氏の豪遊) 誰でも知っている超一流企業の優秀な営業マン(HS氏)から聞いた話です。 当時は、バブル景気でした。 東京で一二を争う高級クラブが有り、一時間いると一人100万円取られると言われていました。 「僕は、重要な顧客を連れて、時々しか行かないけど、KB社の社長は何時行っても取り巻きを五、六人連れて来る。毎回、先ず焼きそばを取り寄せて、社長は二皿平らげてから飲み始める。」

 「あのクラブで焼きそばを食べると、一皿・三、四千円はする。KB社の社長は一晩に一千数百万円は使っている。 KB社は儲かっているんだね!」とHS氏が言っていました。 私の記憶では、当時・KB社は赤字でした。

【社外取締役】
 2014年に『会社法』が改定されて、社外取締役に関する定義が厳しくなりました。2015年から上場企業の場合は社外取締役を2名以上起用する様に国が指導しています。

 社外取締役の意義/役割はなんでしょうか? 国は会社法で、社外取締役の条件は明示しましたが、役割は規定していません。 そのために、「株主の為に働く」とか「会社の経営を透明化する」のが役割だ等々、様々な考え方が出ています。

 優良企業だと、社外取締役達が国や株主が期待している様に動けると思いますが、「問題の多いい企業では逆になる」と私は危惧しています。 「社外取締役になって下さい」と頼むのは、その時点の会長か社長です。 彼らにとって都合の良い人間を選ぶと考えるべきです。 専任された社外取締役達は、「会長か社長のお蔭で高給が得られた」と思うでしょう! 決して、「株主から給与を貰っている」とは考えません。

 敢えて、下品な言い方をしますが、「問題の有る企業に採用された社外取締役は、決して株主の為には働きません、従業員の事など考えません。 会長や社長の考え方に反する行動をしたら、一期で解任される」と私は想像します。 日本の大手企業には派閥人事が大なり小なり有ります。 社外取締役制度は、派閥を強化する制度になりかねないのでは?

 役員の定員が10名で、社長が所属するA派閥が5名、B派閥が3名、無派閥が2名だったとします。 国から「2名以上の社外取締役を雇いなさい」と指導が有ったので、社長が言う事を聞いてくれそうな人間を選んで、2名の社外取締役を選任したとします。 A派閥が一挙に2名も増えるので、社長はB派閥を気にする必要が無くなります。

 派閥が重役人事を決めるだけなら、まだ良い方です。 課長人事や部長人事にも派閥が影響力を行使する様になります。 その企業の業務/仕事と関係しない社外取締役が派閥の一員になると、社内風土を破壊して、社員がヤル気を無くす恐れが有ります。

【御用組合を止める】
 KB社の労働組合は、かなり悪質な御用組合になっていました。 各工場に組合の支部が有り、(時々だった様ですが)支部の会議に総務課長か部長が出席して、会社の方針を伝えました。 そんな時は、ビールと摘みが出た様です。

 御用組合は、会社の経営者には都合が良い様に思われがちですが、このご時世ではメリットよりもデメリットの方が多いい様に思われます。 多くの社員達は、「組合の役員達が、会社に胡麻をすって役員選挙を支援してもらって、好い目をしている」現実を快くは思っていません。 破廉恥極まりない一部の社員は、組合の役員になろうと日頃から種々画策していました。

 KB社は厳しい競争社会の中で四苦八苦しているので、近年赤字が続いているのです。 重役達の才覚だけで会社を活性化して、黒字体制に持ってく事は不可能ですよ! 社員の積極的な協力無しには問題は解決出来ないと思われます。

 国家公務員と地方公務員などの労働組合はオープン・ショップです。 大手企業で専務と常務を廃止するのは前例が無いと思いますが、クローズド・ショップだった組合をオープン・ショップにした例も無いと思います。 前例の無い事を行うのだったら、組合をオープン・ショップにする方が効果が有ると考えます。

 組合の役員達は反対するでしょうが、会社に対する胡麻すり人間達ですから、抑えられるでしょう。 多分・多くの社員達は「組合費を払うのは馬鹿らしい」と日頃思っているので、オープン・ショップにしたら脱会すると予想します。 将来、経営に問題が続いたら、社員達は組合に加入するでしょう。 それで、やっと健全な労働組合が誕生します。

 「KB社の組合が御用組合で無くなっても、戦後直後の様に無理な賃上げや労働条件改善などの要求は出ない」と私は予想します。KB社の重役達は社員を信じるべきです。

(余談 :御用組合と法律) 日本国憲法の第28条で、労働者の三つの権利・『団結権』、『団体交渉権』、『団体行動権(争議権)』が保障されています。 この三権について、『労働組合法』、『労働基準法』、『労働関係調整法』の3つの法律が制定されています。

 終戦の年(1945年)に制定された労働組合法の第7条に『不当労働行為』の規定があり、その『三』に、企業が「労働者が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること、又は労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えること」を禁じています。

 この禁止事項に反して、企業が・その組合に「影響を与えている」又は「支配している」組合を『御用組合』と呼びます。 誰が見ても、「企業が、雁字搦めに組合をしめてつけているから、それは犯罪だ!」と考える程度から、「緩やかな締め付け」まで様々の御用組合があります。 そして、日本の大手企業の多くの組合は『御用組合』です。

【人事評価制度を作る】
 専務と常務を廃止して、社長以外は平取にする。「平取の業績評価をする」と言う様な考えを、KB社は発表しました。 長年に渡って派閥人事を続けて来た会社で、公正に業績を評価するのは至難の業だと思われます。 現在の人事部に「平取の業績評価をする」担当者がいますか? 人事部に、そんな能力が有りますか? 「業績の分析/評価」をする部署を新たに設けるべきだと考えます。

 部長以上を短期間の業績(数字=売り上げ/利益等)だけで評価したらトンデモナイ結果になったのを、私は何回か見ました。 例えば、開発部隊の社員を大幅に減らして、製品の改良や新製品の開発を止めてしまった重役がいました。 人件費と開発費が大幅に削減出来たので、利益は増えました。 然し、競合他社は改良製品を投入し続けたので、二、三年後には売り上げが低下して、悲惨な事になってしまいました。

 部長以上には、在任中の売り上げ/利益等の業績だけでなく、「長期的な目標を設定して、目標を達成するために行動する」ことが不可欠です。 この事も評価の対象に含める必要が有ります。

【社名変更のすすめ】
 KB社は素材、機械、エンジニアリング、電力と幅広い分野に進出しています。 かっては、素材の一つが主力製品でしたが、その素材のウエイトは低下して来ています。 今後・景気が回復しても、その素材がKB社の主要製品になる事は考えられません。 「社名の一部に、その素材の名称を入れるのは、デメリットの方が大きい」と私は考えます。

 松下電器産業株式会社はパナソニック株式会社に社名変更しました。 幸いにもKB社にはカタカナのブランド名が有ります。 素材産業から脱皮して/発展する意味でも、社名をブランド名に変更する事を推奨します。

(余談 :KB社のブランド名の由来) 40年ほど前に、KB社がアメリカに進出しようとした時、「アメリカの小さなポンプメーカーの社名とKB社の英語名が同じだ」と言う事が判明しました。 それで、急遽、横文字のブランド名を公募しました。 現在のブランド名が出来るまで、社名の略称をローマ字で表示した銘板を貼って輸出していたと記憶しています。

【私の希望】
 私はラグビーとサッカーの観戦が趣味の一つです。 ラグビーとサッカーに共通するのは、選手個人の技量だけでは勝てない事です。チームが信頼しあって/一丸となって闘うスポーツです。 監督の采配も重要です。 然し、チームの特徴を生かす采配でなければ、勝てません。 スポーツマンシップには反しますが、時には反則で敵の攻撃を止める事も必要です。

 近年、KB社のラグビー部は復活して目覚ましい活躍をしています。 この際、大改革してKB社が社内を活性化して、黒字体制に転換する事を期待しています。 現社長が、中興の祖と呼ばれる様になって欲しいのです。

春がやって来ました!

2021-03-24 10:41:57 | 園芸
 我が家の狭い庭にも春がやって来ました。 今は、種々の草花と木瓜(ボケ)が満開です。

 正月前に八重の蠟梅が、2月には南高梅が、そして3月にボケが咲きます。 この3種類の花が咲いている間は、番い(ツガイ)のメジロが、日に何度も飛んで来ます。

 濡れ縁から2メートルほどの所にボケを植えています。 ボケの花が密集して咲くためか?濡れ縁に座ってジットしていると、手が届きそうな距離までメジロがやって来て、花のほんの少ししか無い蜜を一生懸命突きます?!

 メジロは時々、花を落とすので嫌う方がおられますが、私は大事に見守っています。 今年も南高梅の花をメジロが落としましたが、昨日見たら・小さな実が沢山付いていました。 今年も食べきれ無いほど、梅が収穫出来そうです。

 花の直径が二十センチほど有る、大輪の牡丹を地植えしているのですが、蕾の先が綻び始めました。来週には開花するでしょう! 今年の牡丹は元気ハツラツで、30輪以上咲きそうです。

オーディオ (その2)

2021-03-20 11:15:02 | 音楽
【はじめに】
 今回がオーディオについての最終稿です。
 芸術・美術に憧憬が深い某教授が、「趣味は年齢と供に、動物→植物→鉱物へと変えるべきだ」と書かれていました。 動物の趣味にはペットやスポーツ等が含まれますが、先生は『愛人を持つ事』も動物の趣味に数えていました。 植物とは盆栽などです。 鉱物の趣味には、ガラス・陶磁器、書画骨董などなど・・・です。

 先生は音楽については触れていなかった様でしたが、音楽は年老いても楽しめるので、私は『鉱物』に分類します。 先生の考え方と、私は少し違います。 「若い時から、動物/植物/鉱物の・出来るだけ沢山の趣味を持って、(年老いて難しくなった趣味を諦めて、)体力が許す趣味を楽しむ」と言うのが私の考えです。 年老いてから新しい趣味に挑戦するのは難しいです。

 5Gの通信が普及したら、遠方の顧客との商談をパソコンでやるのが増えて来るのでは? そうしたら・出張が減って来ます。 ドンドンとロボット化も進むでしょうから、働く時間が短くなるでしょう! 若い人達は時間を持て余す事になりそうです。 若者達よ!趣味を沢山作って、楽しい人生を送りましょう!

【ハイレゾの基準】
 日本オーディオ協会(JAS)が2014年に、ハイレゾの基準を公表しています。基準を満足したらハイレゾ・ロゴ『Hi-Res AUDIO』の使用が認められます。 JASは、音質についてはCD以上を要求しています。

 JASが、オーディオ機器メーカーに要求している仕様は、量子化ビット数が24bit、サンプリング周波数が96kHzです。

 米国家電協会(CEA) は2014年にJASの提案を受け入れた様です。 ヨーロッパ諸国でもハイレゾ基準の音楽をインターネットで配信し始めています。 ハイレゾが主流になると、どこの国で録音しても、編集が終わったら・直ぐに全世界に配信出来る様になります。 宅配業者の仕事が減ってしまいます。 国は消費税は抜け目なく取るでしょうが、レコード会社への税金は?、関税は?どうなるのでしょうか?

 SACDの録音方式はDSD(1bit)で、ハイレゾはCD(16bit)と同じPCMですが、量子化ビット数は16bit~32bitです。ハイレゾのサンプリング周波数は44.1kHz~384kHzまで様々なのが現状です。 「どこまで音質を高くするべきか?」まだ誰も決められないのだと私は想像しています。

 レコード会社はハイレゾ音源を売る方法を模索している様に想像します。 ①スマフォで取り込みながら聴く、②パソコンなどで取り込んで、メモリーカードに記録して好きな時に聴く、③メモリーカードに入れて販売する。 皆さんは、どの方法を選択されますか?

【サラウンド】
 オーディオはモノラル(1.0ch)→ステレオ(2.0ch)に進歩して、1970年代に4チャンネルレコードが出ました。 4チャンネルレコードは、殆ど売れなかったので、1979年には各社はソフトの発売も止めてしまいました。 然し、レーベル各社は、その後も4チャンネル以上で録音は続けている様です。 従って、カラヤンが晩年に収録した曲は、ハイゾレ化が進んだら、日本でもサラウンドで聴く事になると思われます。

 SACDとブルーレイではデーター容量が大きいので、サラウンド(3ch以上)が可能になりました。 欧米で発売されているSACDソフトには『5.1ch』が沢山有ります。 5.1chを楽しむためには、スピーカーを6台以上置いて、ケーブルをスピーカーの台数分・部屋の中を這わせる必要があります。 欧米は部屋が広いので、サラウンドのSACDが普及していると思われます。

 日本で市販されているSACDソフトは、殆どステレオ(2.0ch)です。 私は、ステレオ録音時代(1970年代以前)に収録されたクラシック音楽のファンなので、支障が有りません。 日本では、庶民の家は狭いですから、サラウンドを楽しむのは難しいと思われます。

 NHKと民放の一部では、サラウンド音声の放送が始まっています。 スピーカーを6台以上配置して、ケーブルを沢山這わせる必要が有るなど、相当裕福な家で無いと難しいです! 近年、ケーブルが要らないサラウンド対応のヘッドフォンが発売されています。 これなら、我が家でも採用出来そうです。

(余談 :マンションのケーブル) 少し古いマンションのテレビ用のケーブルは、4K放送には対応していません。 天井裏等を這わせているケーブルの取替は出来ませんから、4Kテレビを見る為には屋外にケーブルを這わせる等の工事が必要になります。結構な金が必要です。 NHKは、庶民の事は全く考えていませんね! 「4Kテレビ放送に金を掛けるのなら、ケーブルの工事代をNHKが負担すべきだ!」と思いませんか!?

【ベルリン・フィル】
 世界有数の交響楽団で有るベルリン・フィル(BPh又はBPO)は、2014年に『ベルリン・フィル・レコーディングス』と言う、専用のレーベルを立ち上げました。 従来からのドイツ・グラムフォン(DG)等との契約を解除した分けでは有りません。 ブルーレイ・ディスクに映像とハイレゾの音を入れて発売しています。 ハイブリッドSACDとLPも出している様です。

 将来の為に、近年はサンプリング周波数192kHzで収録しています。

【スピーカーなど】
 電気信号を音(空気の縦振動)に変換するのが、スピーカー、ヘッドフォン、イヤホンです。 それらの進歩に興味があるので、インターネットで時々調べています。 オーディオの音の良し悪しを決めるのは、スピーカー等が大きく影響していると、私は思います。

 コーンスピーカの材質は、紙→金属、樹脂→木(ウッド)と種々の物が販売されています。 大昔に・私はビーター(beater=叩解機)と呼ばれるコーン紙の原料を混合/調合する機械を作った事が有ります。 和紙の原料や種々の繊維を混ぜ合わせて、特性が少しずつ異なるコーン紙が製造されています。

 音質に煩いクラシック・ファンで、超高級のCDプレイヤー/アンプ/スピーカーで聴いている方がおられました。 彼は、「SACDなんか不要だ! CDで十分だ!」と主張されました。 CDでもハイグレードの3ウェイスピーカーで聴いたら素晴らしいと思いますが、SACDとハイグレードの3ウェイスピーカーを組み合わせたら、もっと!もっと!素晴らしい音質になると思います。

 ヘッドフォンは、密閉型と解放型、サラウンド対応など種々のタイプが販売されています。価格が20万円を超えるのも有ります。 人混みの中で使うのなら密閉型にすべきです。 重低音用ヘッドフォンも有ります。 自分の好きな音楽に最適なヘッドフォンを選択して下さい。

【オーディオ・システムの将来】
 オーディオ技術の世界は急激に進歩しています。周辺技術が格段の進歩をしたので、オーディオの世界は、私が生きている間にほぼ完成の域に達すると予想しています。

 人間の聴覚の能力には限界が有ります。 能力以上に技術を進歩させる事は可能と思いますが、商売にはなりません。 従って、もう少しで普通の人達が十二分に満足するオーディオ・システムが完成すると予想しています。

 近年、LPが復活してきましたが、一部のマニアックの人達に支持されるだけだと思います。 私は、CDとSACDを四、五百枚ほど所有していますが、LPにしたら1,000枚以上になります。 「家を補強しないと収納出来無いのでは?」と思います。 クラシック音楽の楽しみ方の一つに、同じ曲を違う指揮者やオーケストラで聴き比べることです。 その為には沢山のCDが必要になり、LPでは難しいのです。

 CD、SACD及びLPの再生には機械的な読み取り装置(プレーヤー)が必要ですが、機械には故障が付き物です。 CDやSACDは、音をデジタル化しているのですから、ハードに入れて売るのではなく、パソコン・ソフトやゲーム・ソフトの様に通信販売するべきだと考えます。

 大容量のUSBメモリーやメモリーカードが安価に入手出来る様になっています。 32GBで、転送/読込速度が90MB/sのメモリーカードを1,000円程で売っています。 32GBはSACDの7倍程のデータ容量です。 現在・主流の第4世代通信技術(4G)でも、通信速度は100MB/s~1GB/sですから、32GBのデーターを5分~30秒程で受信出来ます。 (私のパソコンは、下りの通信速度が120MB/sですから、32GBのデーターを受信するのに要する時間は、32÷0.12=267秒=4.4分です。)

 将来、『映像+2.0ch/5.1chの音楽+解説書』をセットにして、インターネットで配信する様になると、私は予想しています。 (著作権保護と海賊版対策は不可欠ですが。)

 A/Dコンバータ(アナログ・デジタル変換器)、アンプ、スピーカー、ケーブルの技術は十分進んでいます。 普及品なら結構・安く手に入る様になって来ています。

 CDとSACDは、ソニーとフィリップスが規格を作り、普及させました。有力な企業が旗振り役をして、次世代の規格を作ればオーディオの世界は急激に変化/進歩すると思います。 機は十分熟しています!

(余談) 私はSACDソフトを沢山所有しており、高齢ですから、ハイレゾの時代が来ても今更・ハイレゾ・ソフトを買わないと思います。 今・持っているSACDだけで、残りの人生を十分楽しく過ごせそうです。 然し、ハイレゾの規格が統一されて、機器とソフトが手頃な価格になり、クラシックやジャズのファンが増えて来て欲しいと願っています。

【ユニバーサル ミュージック グループ】
 昔・世界には沢山・レコード会社が有りましたが、合併/吸収を繰り返して、現在はユニバーサル ミュージック グループ(UMG)と言う巨大企業が誕生しています。 私が好きなクラシック音楽のレコード会社の内、大手だった次の4社を吸収しています。 (ビートルズの権利はEMIが所有していましたが、現在はUMGに有ります。) 「これ以上にUMGが巨大化するのは好ましくない」と私は思います。

① ドイツ・グラムフォン(DG)
② デッカ(DECCA)
③ フィリップス・レコード(Philips Records)
④ EMI

 UMGは、現在はフランスのヴィヴェンディ社の傘下ですが、アメリカの会社です。ヴィヴェンディ社はUMGの株を売却する方針の様です。 先ず、2020年1月に、中国の『テンセント』にUMG株の10%を売却しました。

(余談 :専務のオーディオ・ルーム) 1991年にYM専務の直接の指示で重要な開発をしていました。 YM専務は自宅をリフォームされて、地下室を設けてオーディオ・ルームにされました。 部下を捕まえては、「次の休日に音楽を聴きに来い!」と言われるのです。 専務に招待されたら断れません! 胡麻摺りマン達は、何回も招待されて、辟易(へきえき)していました。

  私は開発の進捗状況を直接・YM専務に報告していたので、毎週一回は専務室に行きましたが、「音楽を聴きに来い!」との声は掛かりませんでした。 私は会社では仕事一筋人間と誤解されていたので、YM専務は「こいつに言っても精がない!」と思われたのか?

 「YM専務がワーグナーのファンだったらトンデモナイ事になる!」と私は恐れていました。あの有名なオペラ『ニーベルングの指環』の演奏時間は、『15時間』も有ります!

オーディオ (その1)

2021-03-13 12:03:49 | クラシック音楽
【はじめに】
 『音と騒音』について書いていたら、オーディオについても書きたくなりました。 残念ながら私にはオーディオについての知識が乏しいのです。 オーディオ・ファンはマニアックの典型です。 お金が有ったら、マニアックの世界に参加したいと何時も思っていたので、ジャンボ宝くじを30年以上買い続けて来ましたが、幸福の女神は微笑んでくれませんでした。

 私は子供達に、「趣味を持て! 拘りを持て!」と教えて来ました。子供達・それぞれに、少し高価な(子供には贅沢な)ミニコンポを買ってやりましたが、オーディオ・ファンにはなりませんでした。 一人は洋画の鑑賞が趣味に加わった様です。 私の経験では、”ほどほどの”趣味は人生を豊かにしてくれると思います。

 これからオーディオ機器を買おうと検討される方は、インターネットで『Audioscape Koba』の記事を読まれたら参考になると思います。

【オーディオ試聴ルームのすゝめ】
 大都市には、オーディオ試聴ルームを設けた電気店が今でも有ります。私は若い頃に時々行きました。 自分の聞きたい曲では有りませんでしたが、素晴らしい音を堪能する事が出来ました。 まだ行かれたことの無い方は、是非とも行って見て下さい。 店の方は、歓迎してくれると思いますよ!

 最近は、スマホとイヤホンで音楽を聴く若者が多いいですが、騙されたと思って・オーディオ試聴ルームに出掛けて見て下さい。

 私は、『SACDプレーヤー/ヘッドホンアンプ/ヘッドホン』でクラシック音楽を楽しんでいます。 私のヘッドホンは密閉型で、黒檀のハウジング(カバー)付きです。 低音まで結構・音質は良いですが、年老いて筋肉が低下したので、一時間以上・ヘッドホンを付けていると首が痛くなります。

 以前、居間と自分の部屋で音楽が楽しめる様に、グレードの違う『SACDプレーヤー/ヘッドホンアンプ/ヘッドホン』を2組購入しました。そして、電源ケーブルと、プレーヤーとアンプを接続する少し高価なケーブルも買いました。 組み合わせを変えて、同じSACDで音質の違いをチェックして見たのですが、私の様な凡庸な人間でも、違いがハッキリ分かりました。 音質はソフトだけでは決まりません。

【音の記録機器の歴史】
 エジソンが円筒形蓄音機の特許を取得したので、特許逃れのために円盤形のレコードの特許を出した人がいました。 円筒形よりも円盤形の方が、量産性、収納性、中央にラベルを貼るスペースが設けられるなどの長所が有ったので、円盤形レコードが主流になりました。

 戦後に磁気テープが一般にも発売されて、音楽の録音に使用される様になりました。 クラシック音楽では1950年頃から、磁気テープを用いて収録し始めました。 これが、マスターテープです。 レーベル各社に大切に保管されて来ました。

 ソニーとオランダの企業・フィリップス(PHILIPS)が、音楽ソフトのCDとSACDの規格を作りました。 当時、この2社はオーディオ機器の分野では有力企業でした。 フィリップスはオーディオ機器には力を入れなくなって、2014年にオーディオ部門を売却してしまいました。

 ハイレゾ(High-Resolution Audio)とは、CDよりも解像度(Resolution)が高いと言う意味です。 大雑把な言い方をすると、サンプリング周波数がCDの44.1kHz以上になっていたらハイレゾです。  日本では2014年頃に日本オーディオ協会がハイレゾの基準を定めて、 2018年からハイレゾ機器の基準(サンプリング周波数が96kHz、量子化ビット数が24bit)を規定しています。 SACDは日本オーディオ協会のハイレゾ基準よりも高解像度ですが、協会がDSD(1bit)方式を除外しているので、ハイレゾと呼べません。

★ 1877年 :エジソンが円筒型蓄音機を発明
★ 1887年 :円盤形のレコードを発明
★ 1948年 :LP盤レコードを発売
★ 1951年 :磁気テープ装置が発売される→→音楽の録音にも利用される様になる。
★  1958年  :ステレオレコード発売
★  1970年  :4チャンネルレコード発売(直ぐに、廃れてしまいました。)
★ 1982年 :CDが発売された。
★ 1999年 :SACDが発売された。
★ 2014年 :ハイレゾ基準発表

【デジタルソフトの高音質の目安】
 現在・市販されている音楽のデジタルソフトは、CD、SACD、とハイレゾの3種類です。高音質の目安はサンプリング周波数とダイナミックレンジの値で判断出来ます。 楽器の数が少なく、一定の音量で演奏されるポップスや演歌などでは、CDで十分ではないか?と思います。 逆にオーケストラーが演奏した曲には高音質のソフトが威力を発揮します。

サンプリング周波数 : 録音する周波数の範囲の事です。 人間の可聴周波数は20Hz~20kHzですが、その範囲を超える周波数でも人間は何か?感じる様で、マニヤは「音の奥行きが広がる」と表現します。

ダイナミックレンジ : 収録する音の大きさの事です。 CDのダイナミックレンジは96dBで、SACDは120dB以上ですから、SACDの方が大きな音まで忠実に録音するのです。 旅客機のジェットエンジンの排気口から数メートルの騒音が120dB程です。

★ CD   :サンプリング=44.1kHz、 再生=5Hz~20kHz
★ SACD :サンプリング=2.8224MHz、 再生=0Hz~100kHz
★ ハイレゾ :サンプリング=44.1kHz以上、再生=40kHz以上

【高音質のCD】
 現在、種々のCDが発売されています。 DVD Audio DiscはBlu-ray Discに音楽を入れた物で、現在は発売されていません。中古のDVD Audio Discとそれ用のプレーヤなどが入手可能です。

 MQA-CDはCDプレーヤでも聞けますが、MQA-CD対応と表記されているプレーヤに掛ければハイレゾとして楽しめます。

 XRCD、SHM-CD及びUHQCDは一般のCDプレーヤ用です。 SACDでも反射膜の素材に透明性の高いポリカーボネート樹脂(スーパー・ハイ・マテリアル=SHM)を使用した物が有ります。私の経験では、少し音質が良くなる様に思います。 (グレードの高いプレーヤーではSHMにしても差が出ないかも?)

◎ SACD :専用プレイヤーが必要
◎ DVD Audio Disc :専用プレイヤーが必要・・・現在は生産されていない。
▲ CD :
△ XRCD :CDプレイヤーに対応・・・マスターテープの音をデジタル化する技術等々を改善
△ SHM-CD :CDプレイヤーに対応・・・反射膜の素材の変更
△ UHQCD :CDプレイヤーに対応・・・反射膜の素材の変更
▽ MQA-CD  ;普通のCDプレイヤーでも再生可能、MQA対応機器を用いたらハイレゾとして楽しめます。

【SACD】
 スーパー・オーディオCD(SACD)は、単なるCDの改良技術では有りません。 当時としては、革新的な技術だったと思います。 「SACDは、いずれは消えていく」と言われる方がいますが、私も、「将来はハイレゾの時代になって、SACDは忘れ去られる!」と予想しています。 然し、現在では最高の音質を出せる技術です。

 前述の様に、CDとSACDの規格はソニーとフィリップスが相談して決めました。 CDの直径を決める時、「記録データー容量、即ち・録音時間を何十分にするか?」、2社はベートーヴェンの第9交響曲が入る約70分として、ディスクの直径を120mmに決めました。 12インチ(305mm)のLPは、片面で最大25分が限界です。

  CDは記録層が1層ですが、SACDは2層に出来ます。日本で販売されているのは、次の①と②がほとんどです。

① シングルレイヤ :HD層(SACD層)のみ
② デュアルレイヤー :ハイブリッド盤=HD層+CD層
③ デュアルレイヤー :HD層+HD層

 CDの記録データ容量は780MBですが、HD層(SACD層)は1層当たり(CDの6倍の)4.7GBで、HD層を2層にすると9.4GBになります。

 CDの録音時間は最大74分、SACDのHD層(SACD層)は109分です。 HD層を2層にしたら218分(3.6時間)も録音出来る事になります。 オペラの曲は長いですが、HD・2層のSACDならほとんど2枚に収まります。

 SACDには海賊版を防止する(著作権を保護する)ために、コピーを妨害するプログラムが入っています。 それで、SACDレコーダーは市販されていないのです。

(余談 :ナイチンゲールの鳴き声) レスピ-ギが(私の好きな)ローマ三部作と言う交響詩を残してくれました。 そして、私は小澤征爾がNHK交響楽団(N響)の指揮者だった頃からのファンです。 1977年に小澤征爾がボストン交響楽団を指揮してローマ三部作を録音しました。 ユニバーサル ミュージックが2012年にシングルレイヤのSACDを発売したので、私は直ぐに買いました。

 『ローマの松』にはナイチンゲールの鳴き声が入っているはずなのに、聴き直しても入っていませんでした。 暫くして、「ナイチンゲールの鳴き声を入れ忘れたので、交換します」と連絡が有りました。 マスターテープの音を、単純にデジタル化しているのでは無い事が分かりました。

(余談 :罅割れたSACD) 私はカラヤンの1960年代と70年代の演奏が好きです。 2012年にカラヤン指揮/ドイツ製のSACDハイブリッド・ベートーヴェン交響曲全集(ディスク6枚)を購入しました。 私は、DENON製のグレードの違うSACDプレーヤーを2台持っています。 グレードの低い方のプレーヤーでは、再生が途中で止まる等々、旨く再生出来ませんでした。 (もう1台のプレーヤーでは問題有りませんでした。)

 ディスクを見ると、どのディスクにも小さな罅割れが沢山有りました。ユニバーサル ミュージックに相談すると、「チェックするから、送って下さい」と言うのです。 「少し問題が有ったから、代品を送ります」と言うレター付きで、新品を送ってくれました。 然し、小さな罅割れは沢山有り、ディスクの1枚は演奏が途中で停止しました。

 DENONに相談すると、「本体(ディスク駆動/読み取り部)を取り替えたら、多分問題が解決するでしょう」との事だったので、送りました。 リーズナブルな価格で取り替えてくれました。 問題のディスクも再生出来る様になりました。

 「高価なプレーヤーは、ディスクに小さな罅割れが有ったり、汚れが付着していてもカバーする機能が設けられているのだ」と学ぶ事が出来ました。 問題のディスクはドイツ製でしたが、「ドイツでは多分、グレードの高いプレーヤーが主流の為に、罅割れは問題にならなかったのか?」と想像しました。

(余談 :エソテリックのSACDソフト) ティアックの子会社に、オーディオマニア向けの高級機器を製造販売するエソテリック社が有ります。 2007年頃からハイブリッドSACDソフトを発売をしています。エソテリックのSACDソフトを、HMV、タワーレコードやamazonが取り扱っていなかったので、私は2012年まで気付きませんでした。 どれも、素晴らしい音質のソフトです。 2012年以降に発売された、オペラとジャズ以外のSACDソフトは殆ど購入しています。

 エソテリックのSACDソフトを聴くと、「マスターテープの音をデジタル化してSACDを作るには、マスタリングエンジニアに、音楽に関する憧憬と豊かな感性が要求される!」と痛感します。同じマスターテープを使用しても、マスタリングエンジニアの技量によって、かなり違った音楽になる様に、私には思われます。

 長くエソテリックのマスタリングエンジニアを担当された杉本一家氏は、残念ながら2019年10月に逝去されました。

【ブルーレイディスク(Blu-ray Disc)】
 ブルーレイは映像の記録/再生で主として使用されています。 一時期、オーディオ・CDとしてソフトとプレーヤなどが発売されていました。

 ブルーレイディスクでは4層まで可能ですが、市販されている映像用のディスクは2層が主流です。 ソニーが4層で128GBのディスクを発売しています。 1層の記録データ容量は25GBも有るのに、音楽用から撤退したのはCD層を付けられ無かったので、SACDの様にハイブリッド盤が作れ無かったための様です。

【NHKの5.1chサラウンド放送】
 近年、NHKは5.1chのサラウンド放送を始めましたが、各チャンネルの音声信号は15kHz以上をカットしているので、ハイレゾとしては楽しめません。 前述の様に、CDの再生周波数は5Hz~20kHzで、ハイレゾは40kHz以上です。 (NHKのステレオ放送は20kHz以上をカットしています。)

 オーディオファンにとっては、NHKの5.1chサラウンド放送の音質は満足出来ないと思われます。 特に、交響曲、協奏曲やオペラの様なオーケストラーが演奏する曲のファンは、「不満だ!」と思います。 NHKが、音声をハイレゾ基準並みにしたら、オペラファンの支持が得られるでしょう!

4Kテレビには『AACデコーダー/アンプ』を搭載したものと、搭載してない物が売られています。 非搭載の場合は『AACデコーダー/アンプ』と、簡易スピーカーの『サラウンドバー』を購入したら、5.1chの音は聞けます。

音と騒音 (その4)

2021-03-06 12:32:26 | 
【はじめに】
 今回が、『音と騒音』についての最終稿です。

 4年程前に技術屋を卒業して、別の人生を送ろうと決心しました。 自宅で保管していた専門書と論文を全て処分したのです。 それらの資料が有ったら、もう少しは良い内容になったと思います。 記憶を頼りにして書きました。

 私が学生だった1960代の後半には、振動や騒音を研究している大学の先生は非常に少なかったと思います。 私は、振動と騒音について、大学では殆ど勉強しませんでした。入社して直ぐに、振動と騒音を研究していた先輩と親しくなって、騒音について勉強を始めました。当時、日本には本格的に騒音に関する研究をしている方は、10人ほどしかいませんでした。 その後・この分野の研究者がドンドン増えて、学研的な研究だけで無く、実用的な研究も盛んに行われています。

 音と騒音について書こうと思い立ったのは、私が管理している賃貸マンションの住人から、騒音のクレームが来た為でした。 あれから、2か月ほど経ちましたが何も言って来ません。「慣れてくれたか!?」と安心しています。

【弦楽器の音】
 ギターやバイオリンなどの弦楽器で音が出るメカニズムの詳細は『ギターで音の出るしくみ』( https://pub.nikkan.co.jp/uploads/book/pdf_file54cf01004edc1.pdf )で検索して見て下さい。分かり易く解説されています。

 弦楽器には響胴が必ず付いています。 弦が振動して音の元を出しますが、弦の音は小さく迫力が有りません。 弦の振動が響胴に伝わり、響胴を構成する『板』が振動して、大きな音を発生しています。

 ピアノも弦楽器の一種ですから、板(響板など)が振動して音を大きくしていると思われます。 我が家のピアノはアップライトピアノですが、妻は『屋根』の上に重い物を置きます。『屋根』も音を出しているのでは? そうだったら、耳の良い方が聞いたら、音が悪くなっているのでは?と思います。

 ギターやバイオリンの響胴の表側には、穴が開いています。 人間は口から音を出すので、 「ギターやバイオリンも響胴内部で空気が振動して、穴から大きな音を出している」と誤解される方がおられます。 間違いです! 穴の役目は、響胴の表と裏の板の固有振動数を違える事です。

(余談) 弦楽器を所有されていたら、面白い実験が出来るでしょう! 響板に重い物を載せたり、くっ付けると音が変わると思われます。 響板が罅割れても音が変わると思います。弦を緩めたらどうなるか?

【ポンプの音】
 ポンプには色々なタイプが有り、それぞれに特徴(長所/欠点)が有ります。私は10種類以上のポンプを選定して、装置に組み込みました。 ポンプが出す騒音が問題になった事もあります。

 運転中のポンプの近くに立っても、殆どのケースでは騒音は小さいです。 問題になるのは配管と液体を伝わる音です。 配管を振動させたり、タンクで音を発生させたりします。 単に配管が振動する時は、配管の固定位置を増やしたら、多くのケースで振動が収まります。 (配管の固有振動数を変えた事になります。)

 最悪の場合は消音器とジャバラ管を、配管の途中に挿入する必要が有ります。 液体を伝わる音(振動)を消音器で、配管を伝わる振動を(消音器の前後に)ジャバラ管を接続して低下させます。 私は『音と騒音(その2)』の【位相と逆位相】に述べた様に、逆位相音を発生させる消音器を設計した事が有ります。

【無響室と残響室】
 壁や天井などで音が反射しない様に工夫した部屋を『無響室』、逆に反射率を高くしたのを『残響室』と呼びます。 私の会社には、大きなコンクリート造の建物を仕切って無響室と残響室が設けられていました。 何回か、そこで実験した事があります。

 無響室の中は、文字通りの「静寂の世界」です。 人類が生きて来た世界には、無響室の様な静寂は存在しません。 人間の脳は、人類が経験したことが無い環境では異常になる様です。  私は、長くいると気分が悪くなってしまいまし。「吐き気がする」と言う人もいました。 反射音が殆ど無いので、対面して話すか、耳元で話すか、でないと会話出来ませんでした。 私達の日常生活では、反射音は極めて重要なのです!

 映画館とコンサートホールでは、音響の面で設計思想が違います。 コンサートホールは音が適度に響く様に、映画館の方は役者のセリフを聞き取り易くするために残響を抑えているのです。コンサートホールの壁や天井を可動式にして、一部を簡単に取り替えられる様に作ったら、指揮者、演奏者や歌手の好みに合う様に反響率を調節する事が出来ると思います。

 そんなホールでクラシックの曲を演奏したら、指揮者は恍惚の世界に入って指揮棒を振ると思われます。 きっと、素晴らしい演奏が出来るでしょう!

【音の計測機器の進歩】
 私は、1972年頃から振動や騒音の計測を始めました。 出張して測定するケースが多かったので、マイクロフォン(マイク)、振動ピックアップ(振動センサー)、(オープンリール)テープレコーダーを持ってい行きました。重かったのですが、時々・オシロスコープも持参しました。

 帰社後に高速フーリエ変換器(FFTアナライザー)で、どんな周波数の振動や音が発生していたのか分析しました。

 会社にはFFTアナライザーが1台だけ有りました。独身者用の150リットルの冷蔵庫ほどの大きさでした。 丈夫なキャスターが付いていたので、ポータブル・タイプ(?)と言っていました。重かったので車に乗せる時は苦労しました。 価格は大卒新入社員の100カ月分ほどしたと記憶しています。 (現在は、20万円ほどで・手で持ち運べる高性能なFFTが購入出来ます。)

(余談 :音の計測器の歴史) 波形を表示するオシロスコープは、1837年にドイツ人のブラウンが発明しました。(テレビに使用されていたブラウン管は、彼の名前に因んで命名されました。) その後、オシロスコープは進歩して、現在では、パソコンに入れるソフトが発売されています。 Windows10用のフリーソフト(無料ソフト)も有る様です。

 音や振動の研究/検討に不可欠なFFTアナライザイー(高速フーリエ変換器 :FFT)は1965年頃から販売される様になりました。 ドンドン進歩して、小型化/軽量化し、価格も低下しました。

 機械/部品の固有振動数の計測が必要な事があります。 機械に加速度センサーを取り付けて、インパルスハンマーから出ているコードをFFTに接続します。 ハンマーを叩くと、「今叩いた!」と言う信号が出て、FFTが計測を始める仕組みになっています。1970年頃のFFTには学習機能が無かったので、計測者が叩く強さを一定になる様に練習をする必要が有りました。 結構熟練が必要で、難しかったです。

(余談 :松下幸之助とFFTアナライザー) 松下幸之助はFFTアナライザーの発展に貢献しました。 興味の有る方は、2020年8月8日に投稿した私のブログ『社会人になってからの勉強(その4)』を読んで下さい。

(余談 :政治家は勉強して下さい。) 計測器や測定器は、工業技術を発展させるためだけで無く、国家の安全保障の面でも非常に重要です。 現在・この分野では、日本に優れた技術/製品が沢山有ります。 政治家は勉強して、メーカーを支援すべきです。

 (株)ミツトヨは測定器の会社ですが、第二次世界大戦の末期の1944年に、国は宇都宮市の郊外にミツトヨの工場を疎開させました。軍需産業にミツトヨの製品が不可欠だったからです。 政治家達はミツトヨの工場見学会に、是非とも参加して欲しいです! 世界的な製品を作っています!

(余談 :急激に世の中は変化します。) 私が社会人になった時は、共産圏輸出規制(ココム:COCOM)が有り、1994年からは通常兵器及び関連汎用品・技術の輸出管理に関するワッセナー・アレンジメント(新ココム)が出来て、FFTアナライザーは規制の対象に入っていたと思います。

 1998年頃に、私は製紙機械メーカーで働いていました。ベトナム・唯一の本格的製紙工場から設備診断の依頼が来たので、FFTアナライザーを持ち込もうと計画したのですが、新ココムの規制で、手続きが難しそうだったので、断念しました。

 当時、中国ではFFTアナライザーを販売していませんでしたが、1998年にRIGOL(蘇州普源精電科技)を設立して、今ではRIGOL製のFFTアナライザーが沢山日本で使用されている様です。 私が最後に買ったFFTアナライザーの50%以下の価格で売っています。

【静か過ぎたら!】
 静寂の世界は良さそうに思えますが、静か過ぎると人間は、小さな音が気になって、勉強や仕事に集中出来無くなるそうです。 これを『逆騒音』と呼びます。

 静寂の対策は、小さな騒音を人為的に流せば良いのです。これを「サウンドマスキング」と呼びます。 サウンドマスキング対策をした部屋で『密談』すると、隣の部屋では密談の内容を聞き取るのが難しくなる様です。 『音と騒音(その2)』に書きました『ホワイトノイズ』と同じ様な効果が得られます。

 「過ぎたるは及ばざるが如し」と言いますね!

【笑い話】
 とんでもなく酒癖の悪い男がいました。 彼は日本酒しか飲まず、宴会では何時も・意識が朦朧となるまで飲むのです。もう40歳代でしたが、仕事は半人前で、職場の嫌われ者でした。

 「一升瓶から注ぐ音で、残量が分かる」と彼は自慢するので、宴会で実験したのです。隣の部屋で、残量の異なる一升瓶からグラスに注ぎました。 ほぼ、ピッタリ残量を当てました。

 栓を抜いて直ぐだったら一升瓶もウイスキーのボトルも、「トクトク」と良い音を出します。 でも、直ぐに、音は小さくなります。 彼の耳は驚くほど感度が良いのです。 皆さんも、一度試して見て下さい。

★★来週の予定★★
 音と騒音について書いていたら、オーディオについて書きたくなりました。来週はオーディオの歴史と、私の未来予想について書こうと計画しています。