
【学ばないと頑固になる】5816
齋藤孝氏の心に響く言葉より…
「君子は重からざれば則(すなわ)ち威(い)あらず。学べば則ち固(こ)ならず。忠信を主とし、己に如(し)かざる者を友とすること無かれ。過(あやま)てば則ち改むるに憚(はばか)ること勿(な)かれ」
《現代語訳》
先生がいわれた。「君子は中身のある重厚さがなければ、威厳がない。学べば、すなわち頑固でなくなる。内から出たまごころである忠と、嘘をつかない信を生き方の中心にし、自分より劣った者を友人にはしないように。もし自分に過失があれば、ぐずぐずしないで改めなさい」
ここでは、「学べば即ち固ならず」と、「己に如かざる者を友とすること勿かれ」というふたつのフレーズに注目しましょう。
「固」は、頑固という意味で、「頑固」というのは、ひとつの考えに凝り固まった人のことです。ですから、学ぶと何かよくなるのかというと、頑固ではなく、柔らかくなるということです。
学ぶと柔らかくなるのですから、逆にいえば、学ばないと、だんだん頑固になっていってしまうということです。終生、学び続けなければならないと孔子が説くのは、年齢とともにだんだんエスカレートしていく頑固さを取り去っていかなければならないということです。
頑(かたくな)で、ものの道理がわからないことを「頑迷(がんめい)」といいますが、そういう在り方を改め、柔らかくしていく効果が学ぶことにはあるのです。私が見たところ、非常に頑な人は対話がうまく成り立ちません。こちらのいうことはまったく聞いてくれず、自分の考えだけをいい続ける人は、もはや学ぶことを止めてしまった人だといえるでしょう。以上のように、「固」というのは、孔子にとってよくないことです。強いというイメージではなく、開かれていないイメージです。
また、次の「己に如かざる者を友とする無かれ」は、「自分よりも劣った者を友人にはしないように」という厳しい言葉です。冷たい言葉に聞こえるかも知れませんが、考えてみれば、受験勉強をがんばって、よりレベルの高い学校に行きたいと思う人たちも同じです。
レベルの高い学校に行って、レベルの高い人たちと交われば、それが自然といい環境になって、自分も向上心を持つようになるだろう。そう思うから、よりレベルの高い学校を目指すわけです。そのように、上を目指す人は自然と自分より優れた人と交わりたいと思うものです。ですから、「自分よりも劣った者を友人にはしない」というのは、友だちを差別するという意味でいっているのではないのです。
メジャーリーグに行って野球がしたいと思った大谷翔平選手も日本の野球を馬鹿にしているわけではなく、よりレベルの高い環境で自分の力を試してみたいという向上心があるということです。
『齋藤孝式“学ぶ”ための教科書』辰巳出版
https://q.bmd.jp/91/119/3139/393
頑固な人、頭が固い人の反対は、頭が柔らかい人。
■頑固な人、頭が固い人の特徴は・・・
1.ひとつの視点から考える、一面的な思考に陥りやすい。
2.現状を変えようとしないで、現状を維持しようとする。
3.居心地のいい「コンフォートゾーン」から抜け出さない。
4.変化を嫌い、新しいことを拒否する。
■頭が柔らかい人の特徴は・・・
1.色々な視点で見ることができる、多面的思考ができる柔軟な人。
2.常に現状を変えようとする、現状打破の姿勢を持っている。
3.コンフォートゾーンにいることを嫌い、新しいところやアウェイに行くことを恐れない。
4.変化を好み、新しいことに常に挑戦している。
つまり、頭が柔らかい人は、常に学び続けているが、頭が固い人は、学びをやめた人ということだ。
「学ばないと頑固になる」という言葉を胸に刻みたい。