
【プロップテックの衝撃】4661
デジタルベースキャピタル代表、桜井駿(しゅん)氏の心に響く言葉より…
“Software is eating the world," (ソフトウェアが世界を飲み込む) Netscapeの開発者で、ベンチャー投資家として知られるMaro Andreessen氏が2011年に発した言葉だ。
あれから10年が経ち、この予言は見事に的中した。
Amazon、Apple、 Facebook、Uber、Airbnb、Netflixなどあらゆるサービスが誕生し、リアル世界を飲み込んでいった。
これらの企業は時にプラットフォーマーと呼ばれ、世界中に事業を展開する巨大な企業へと成長した。
ソフトウエアはあらゆる産業を飲み込んでいったが、残っていたのが不動産、実業が存在する真に「リアルな産業」だった。
ベンチャー投資家をはじめITのプロたちは当初、このリアルな産業へのスタートアップの展開を避けていた。
なぜなら、スタートアップは、テクノロジーを用いて、 いわば指数関数的な急成長を遂げることを求められているからだ。
実物の 不動産を扱うには多額の資金を必要とし時間もかかる。
スケール(拡大) することは難しいと考えられていた。
さらに、ITビジネスの鉄則は「持たない」 経営であり、在庫や従業員 などを多くもつ必要があるビジネスは、スタートアップから離れた存在と して見られていた。
しかし、数十兆円、数百兆円という巨大な不動産、建設市場を前にして、ついにスタートアップの波が訪れた。
目の前の膨大な機会に対し、最後のイノベーションの地といわんばかりに、2017年に10兆円ファンドを組成したソフトバンクビジョンファンドを筆頭に多くのマネーがこのリアルな産業に流れ込んだ。
わずか数年での出来事である。米国、中国の資本市場の厚みがもたらす膨大なマネーにより、Andreessen氏が予見した世界のフィナーレを遂に迎えつつあるのだ。
「Fintechで起こったことが我々の身にも起こるのではないか」 そういった声が不動産をはじめとする非金融の業界から急速に聞こえ始めたのが2017年ごろだ。
国内の市場規模46兆円(法人企業統計より)の不動産という巨大な市場に、スタートアップによる変革の波が押し寄せている。
PropTech(プロップテック)とは、Property(土地、建物) × Technology(技術)を掛け合わせた造語である。
分かりやすく言えば、Fintech(フィンテック)の不動産版だ。
Fintech、すなわちFinance (金融) × Technologyは、金融、お金領域でのイノベーションを指す。
Fintechのような「〇〇× Technology (XTech)」は、農業 (AgriTech)、 食 (FoodTech)、医療(MedTech)などさまざまな分野に波及し、中でもFintechは一大旋風を世界中で巻き起こした。
お金はほぼ全ての人々に関係し、金融業界の市場規模は各国でも大き い。
実は、PropTech はその Fintechのインパクトを超える「ネクスト Fintech」と期待されているのだ。
「Software Is Eating The World(ソフトウエアが世界を食い尽くす)」
米Netscape Communications社の創業者の一人、Marc Andree が2011年に残した言葉だ。
その後、多くのスタートアップたちがさまざまな産業でイノベーションを起こしている。
小売、音楽、広告、金融...。
氏が予想した未来は現実のものとなり、テクノロジー、スタートアップによる変革に直面していない業界はほとんどないと言っていい。
そんな中、ソフトウエアが食い尽くす領域として残された数少ない領域が不動産、リアル市場であり、あらゆる産業のイノベーションが進む中で、「ネクストFintech」と期待される巨大市場がPropTechとして動き出した。
PropTech とは、Property、つまりは土地や不動産と、いった財産を対象としたイノベーションをさし、それは大きく二つの形態に分類することができる。
●テクノロジーを活用して個人、法人向けに不動産関連サービスを提供する
●テクノロジーを活用したツール、ソリューションを不動産関連事業者に提供する
PropTechは、日本語では不動産テックと呼ばれる。不動産テックと聞 くと「VR(仮想現実)による部屋の内見サービス」といったものを思い浮かべるかもしれない。
海外においても、もともとはReal Estate Techという呼び名が一般的で、基本的には不動産事業者向けにその業務をサポートする製品、サービスを提供するスタートアップを「不動産テック業」と呼ぶことが多かった。
それが2017年ころになるとPropTechという呼び名に変わり、グローバルにおいてはPropTech の呼び名が市民権を得て、一般的となった。
これは単なる言葉遊びではなく、重要で本質的な意味がある。
PropTechとは、不動産事業者に限らず、私たち一般の個人や、企業など、全ての利用者を起点にしてPropertyの領域を最適化、あるいは再定義しようとする試みである。
別の言い方をすれば、エンドユーザを起点にして土地や建物に焦点を当て、人々の生活や働き方に、より高い付加価値や利便性をもたらそうとする試みがPropTechと言える。
その結果、海外ではPropTechを捉える際に、Fintechはもちろん、ConTech(建設テック) 、CREtech(企業不動産、商業不動産テック)、 スマートシティ、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)という不動産に隣接するキーワードと共に議論されることが多い。
不動産、建設、金融、物流、自動車といった巨大な産業たちが 合流、あるいは融合を開始しているからこそ、その市場規模のインパクトか ら PropTechはネクスト Fintechと呼ばれているのである。
『プロップテックの衝撃』日経BP
https://amzn.to/35V53Ky
本書の中に「PropTechの2種類の型」について、こんなことが書いてある。
『一つは、スタートアップ自らがITを活用し、エンドユーザーである個人や法人向けに不動産関連サービスを提供する「プレーヤー型」だ。
典型例の一つには、世界150都市840拠点以上でフレキシブルオフィスを展開するWe Workがある。
業態としてはオフィス床を賃貸し個人・法人向けにサブリースする不動産会社で、自社をデジタル企業と位置付けている。
もう一つは、不動産事業や向けにITツールを提供する「サポーター型」だ。
不動産事業者などを対象に、業務の効率化をサポートする製品やサービスを提供する。
2012年に米国で設立されたVTSは、不動産オーナー、管理者向けの不動産クラウドサービスを38ヵ国で展開している。
同サービスを利用すれば、管理レポートの発行や入居者募集のためのリスティングなどを簡単に行える。
日本においても、プレーヤー型の成長の足音はすぐそこまで来ている。
2020年に米国で上場した、オンラインによる不動産買い取り再販を展開するOpendoorは、2014年の設立ながら、時価総額約1.5兆円、売上2500億円規模に成長している。
これは日本の不動産業で言えば、三菱地所、三井不動産、住友不動産に次ぐ4番目の時価総額である。
2014年に設立された買い取り再販のみを行う会社が、あっという間に日本国内でトップ3に迫る規模に成長しているのだ。』
この失われた30年の間に、日本の企業が負け、ほとんどがGAFAのサービスに取って代わられてしまった。
今、その波が最後の砦と思われていたこのプロップテックにも押し寄せている。
不動産業界に限らず、オールド産業であればあるほど、テクノロジーを取り入れたとき、その企業は輝き、他社との差は大きくつく。
というより、大企業であろうと老舗企業であろうと、テクノロジーを使いこなせない企業は、衰退の道を歩むしかなくなる。
プロップテックの動向に注目したい。
■メルマガの登録はこちらから
http://hitonokokoro.com/
■「人の心に灯をともす」のfacebookページです♪
http://www.facebook.com/hitonokokoro
■【人の心に灯をともす】のブログはこちら
http://ameblo.jp/hiroo117/
■Twitterはこちらから
https://twitter.com/hiroo117
デジタルベースキャピタル代表、桜井駿(しゅん)氏の心に響く言葉より…
“Software is eating the world," (ソフトウェアが世界を飲み込む) Netscapeの開発者で、ベンチャー投資家として知られるMaro Andreessen氏が2011年に発した言葉だ。
あれから10年が経ち、この予言は見事に的中した。
Amazon、Apple、 Facebook、Uber、Airbnb、Netflixなどあらゆるサービスが誕生し、リアル世界を飲み込んでいった。
これらの企業は時にプラットフォーマーと呼ばれ、世界中に事業を展開する巨大な企業へと成長した。
ソフトウエアはあらゆる産業を飲み込んでいったが、残っていたのが不動産、実業が存在する真に「リアルな産業」だった。
ベンチャー投資家をはじめITのプロたちは当初、このリアルな産業へのスタートアップの展開を避けていた。
なぜなら、スタートアップは、テクノロジーを用いて、 いわば指数関数的な急成長を遂げることを求められているからだ。
実物の 不動産を扱うには多額の資金を必要とし時間もかかる。
スケール(拡大) することは難しいと考えられていた。
さらに、ITビジネスの鉄則は「持たない」 経営であり、在庫や従業員 などを多くもつ必要があるビジネスは、スタートアップから離れた存在と して見られていた。
しかし、数十兆円、数百兆円という巨大な不動産、建設市場を前にして、ついにスタートアップの波が訪れた。
目の前の膨大な機会に対し、最後のイノベーションの地といわんばかりに、2017年に10兆円ファンドを組成したソフトバンクビジョンファンドを筆頭に多くのマネーがこのリアルな産業に流れ込んだ。
わずか数年での出来事である。米国、中国の資本市場の厚みがもたらす膨大なマネーにより、Andreessen氏が予見した世界のフィナーレを遂に迎えつつあるのだ。
「Fintechで起こったことが我々の身にも起こるのではないか」 そういった声が不動産をはじめとする非金融の業界から急速に聞こえ始めたのが2017年ごろだ。
国内の市場規模46兆円(法人企業統計より)の不動産という巨大な市場に、スタートアップによる変革の波が押し寄せている。
PropTech(プロップテック)とは、Property(土地、建物) × Technology(技術)を掛け合わせた造語である。
分かりやすく言えば、Fintech(フィンテック)の不動産版だ。
Fintech、すなわちFinance (金融) × Technologyは、金融、お金領域でのイノベーションを指す。
Fintechのような「〇〇× Technology (XTech)」は、農業 (AgriTech)、 食 (FoodTech)、医療(MedTech)などさまざまな分野に波及し、中でもFintechは一大旋風を世界中で巻き起こした。
お金はほぼ全ての人々に関係し、金融業界の市場規模は各国でも大き い。
実は、PropTech はその Fintechのインパクトを超える「ネクスト Fintech」と期待されているのだ。
「Software Is Eating The World(ソフトウエアが世界を食い尽くす)」
米Netscape Communications社の創業者の一人、Marc Andree が2011年に残した言葉だ。
その後、多くのスタートアップたちがさまざまな産業でイノベーションを起こしている。
小売、音楽、広告、金融...。
氏が予想した未来は現実のものとなり、テクノロジー、スタートアップによる変革に直面していない業界はほとんどないと言っていい。
そんな中、ソフトウエアが食い尽くす領域として残された数少ない領域が不動産、リアル市場であり、あらゆる産業のイノベーションが進む中で、「ネクストFintech」と期待される巨大市場がPropTechとして動き出した。
PropTech とは、Property、つまりは土地や不動産と、いった財産を対象としたイノベーションをさし、それは大きく二つの形態に分類することができる。
●テクノロジーを活用して個人、法人向けに不動産関連サービスを提供する
●テクノロジーを活用したツール、ソリューションを不動産関連事業者に提供する
PropTechは、日本語では不動産テックと呼ばれる。不動産テックと聞 くと「VR(仮想現実)による部屋の内見サービス」といったものを思い浮かべるかもしれない。
海外においても、もともとはReal Estate Techという呼び名が一般的で、基本的には不動産事業者向けにその業務をサポートする製品、サービスを提供するスタートアップを「不動産テック業」と呼ぶことが多かった。
それが2017年ころになるとPropTechという呼び名に変わり、グローバルにおいてはPropTech の呼び名が市民権を得て、一般的となった。
これは単なる言葉遊びではなく、重要で本質的な意味がある。
PropTechとは、不動産事業者に限らず、私たち一般の個人や、企業など、全ての利用者を起点にしてPropertyの領域を最適化、あるいは再定義しようとする試みである。
別の言い方をすれば、エンドユーザを起点にして土地や建物に焦点を当て、人々の生活や働き方に、より高い付加価値や利便性をもたらそうとする試みがPropTechと言える。
その結果、海外ではPropTechを捉える際に、Fintechはもちろん、ConTech(建設テック) 、CREtech(企業不動産、商業不動産テック)、 スマートシティ、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)という不動産に隣接するキーワードと共に議論されることが多い。
不動産、建設、金融、物流、自動車といった巨大な産業たちが 合流、あるいは融合を開始しているからこそ、その市場規模のインパクトか ら PropTechはネクスト Fintechと呼ばれているのである。
『プロップテックの衝撃』日経BP
https://amzn.to/35V53Ky
本書の中に「PropTechの2種類の型」について、こんなことが書いてある。
『一つは、スタートアップ自らがITを活用し、エンドユーザーである個人や法人向けに不動産関連サービスを提供する「プレーヤー型」だ。
典型例の一つには、世界150都市840拠点以上でフレキシブルオフィスを展開するWe Workがある。
業態としてはオフィス床を賃貸し個人・法人向けにサブリースする不動産会社で、自社をデジタル企業と位置付けている。
もう一つは、不動産事業や向けにITツールを提供する「サポーター型」だ。
不動産事業者などを対象に、業務の効率化をサポートする製品やサービスを提供する。
2012年に米国で設立されたVTSは、不動産オーナー、管理者向けの不動産クラウドサービスを38ヵ国で展開している。
同サービスを利用すれば、管理レポートの発行や入居者募集のためのリスティングなどを簡単に行える。
日本においても、プレーヤー型の成長の足音はすぐそこまで来ている。
2020年に米国で上場した、オンラインによる不動産買い取り再販を展開するOpendoorは、2014年の設立ながら、時価総額約1.5兆円、売上2500億円規模に成長している。
これは日本の不動産業で言えば、三菱地所、三井不動産、住友不動産に次ぐ4番目の時価総額である。
2014年に設立された買い取り再販のみを行う会社が、あっという間に日本国内でトップ3に迫る規模に成長しているのだ。』
この失われた30年の間に、日本の企業が負け、ほとんどがGAFAのサービスに取って代わられてしまった。
今、その波が最後の砦と思われていたこのプロップテックにも押し寄せている。
不動産業界に限らず、オールド産業であればあるほど、テクノロジーを取り入れたとき、その企業は輝き、他社との差は大きくつく。
というより、大企業であろうと老舗企業であろうと、テクノロジーを使いこなせない企業は、衰退の道を歩むしかなくなる。
プロップテックの動向に注目したい。
■メルマガの登録はこちらから
http://hitonokokoro.com/
■「人の心に灯をともす」のfacebookページです♪
http://www.facebook.com/hitonokokoro
■【人の心に灯をともす】のブログはこちら
http://ameblo.jp/hiroo117/
■Twitterはこちらから
https://twitter.com/hiroo117