日毎の糧

聖書全巻を朝ごとに1章づつ通読し、学び、黙想しそこから与えられた霊想録である。

彼らの上に君臨する王の権能

2012-01-15 | Weblog
 サムエル記上8章 

  9節「今は彼らの声に従いなさい。ただし、彼らにはっきり警告し、彼らの上に君臨する王の権能を教えておきなさい」(新共同訳)。

  1節「サムエルは年老い、イスラエルのために裁きを行う者として息子たちを任命した」。新しい王制国家の誕生であるが、そのきっかけは士師であり指導者であるサムエルの老齢から来ている。彼は二人の息子をその後継者に任命したが、彼らは父の道を歩まず、不正な利益を求め賄賂を取って裁きを曲げた(2~3節)。エリの息子と同じようである(2章)。イスラエルの長老は全員集まって、サムエルに息子たちが士師として相応しくないことを告げ、今こそ他の国々のように裁きを行う王を立てて下さいと願い出た(4~5節)。二人の息子がサムエル亡き後、不正な士師として立つことを回避しようとしたのである。
  6節「裁きを行う王を与えよとの彼らの言い分は、サムエルの目には悪と映った。そこでサムエルは主に祈った」。彼らの高慢さと安直な解決を求める危険と、主なる神がイスラエルの唯一の王なる支配者であることを拒否し忘れさせることを感じたからである。しかし神は彼らの要求を退けなかった。そして王として君臨する権能を教えるようにと伝えた(7~9節)。
  王政を敷くとはどのようなものかを以下八項目列挙する。①あなたたちの息子を徴用する。戦車兵や騎兵にして王の戦車の前を走らせる(11節)。②千人隊長、五十人隊長として任命し、王の為に耕作や刈り入れに従事し、あるいは武器や戦車の用具を造らせる(12節)。③あなたたちの娘を徴用し、香料作り、料理女、パン焼き女にする(13節)。④あなたたちの最上の畑、ぶどう畑、オリーブ畑を没収し、家臣に分け与える(14節)。⑤あなたたちの穀物とぶどうの十分の一を徴収し、重臣や家臣に分け与える(15節)。⑥あなたたちの奴隷、女奴隷、若者のうちのすぐれた者や、ろばを徴用し、王のために働かせる(16節)。⑦あなたたちの羊の十分の一を徴収する。こうして、⑧あなたたちは王の奴隷となる(17節)。
  18節「その日あなたたちは、自分が選んだ王のゆえに、泣き叫ぶ。しかし、主はその日、あなたたちに答えてはくださらない」。それにもかかわらず民はサムエルの声に聞き従わず「我々にはどうしても王が必要なのです」と主張した。そして他のすべての国民と同じように王が裁きを行い、陣頭に立って進み、戦かうと言った(19~20節)。サムエルは民の言葉をことごとく聞き、主の耳に入れた(21節)。やがてイスラエルの歴史には暴君的な王が登場するが、これはその予告となるのである。

  新約聖書にも王の存在を否定していないが、それは義と公平の神に服する限りに於いてであることを明確にしている(ローマの信徒への手紙13章1~4節)。