サムエル記上22章
5節「預言者ガドが、『要害にとどまらず、ユダの地に出て行きなさい』と言ったので、ダビデはハレトの森に移って行った」(新共同訳)
1節「ダビデはそこを出て、アドラムの洞窟に難を避けた。それを聞いた彼の兄弟や父の家の者は皆、彼のもとに下って来た」。アドラムには南ユダの丘陵地帯に石灰岩で出来た大きな洞窟(要害)があったと言われる。難を逃れたこの洞窟に家族一同と、困窮者や不満を抱く者ら400人の者が集まった。一つのダビデ集団が発生したのである(2節)。彼は取敢えず両親を先祖の地モアブのミズパにいる王に託した(3~4節)。その後預言者ガドによる神の託宣で、ダビデとその集団はユダの地ハレトの森に移って行った(5~6節)。神の言葉に忠実なダビデの一面をここに見る。この行動を知ったサウルはギブアにある丘に立ち、家臣の王に対する忠誠心に疑義を抱いて詰問した。それは一団となって王に背き、ヨナタンとダビデが契約を結んでも知らせず、息子がダビデを王に刃向かわせ、ねらわせても、憂慮もせず耳に入れもしないと言うのである(7~8節)。ところが家臣の一人エドム人ドエグがサウルの傍に立って、祭司アヒメレクの許にダビデが来て、彼のために主に託宣を求め、食糧を渡し、ゴリアトの剣を与えた事柄を垣間見たと告げた(9~10節)。これは21章5~8節に出ている事柄である。サウルは祭司アヒメレクと、ノブで祭司職にある父の家の者をすべて呼び出した。彼らは皆、王のもとに来た。そして何故エッサイの息子と組んで王に背き、刃向かい命をねらうようなことをしたかと詰問した(11~13節)。
14節「アヒメレクは王に答えた。『あなたの家臣の中に、ダビデほど忠実な者がいるでしょうか。ダビデは王様の婿、近衛の長、あなたの家で重んじられている者ではありませんか』」。そして僕(しもべ)と父の家の者に罪をきせないでください、僕は事の大小を問わず、何も知らなかったと弁明した。しかし王は死罪だと言って、傍らに立つ近衛兵に命じが、王の家臣は誰も、その手を下して主の祭司を討とうとはしなかった(15~17節)。アヒメレクの適切なダビデの人物を表す言葉を殺意で否定する処に、サウルの王失格が浮かび上がる。ここでエドム人ドエグに命じたので、亜麻布のエフォドを身に着けた祭司ら八十五人を討った。更に祭司の町ノブを襲い、男女、子供も乳飲み子もまた牛やろば羊もみな剣にかけた(18~19節)。祭司一族を根絶することは、イスラエル共同体を否定し神に背を向けることになる。
20節「アヒトブの子アヒメレクの息子が一人、難を免れた。アビアタルという名で、彼はダビデのもとに逃れた」。アビアタルから、サウルが祭司アヒメレクの一族と祭司の町ノブの人々を殺した事をダビデは聞いた時、エドム人ドエグが居合わせ、サウルに報告することを予想していたのに、何の手立てしなかったこと、その為に祭司の家の者の命を奪わせた責任を深く感じたのだった。そして「わたしの許にいれば命は奪われず安全だった」と悔いている(21~23節)。アビアタルの保護は、この後彼の祭司としての働きにつながっていくことになる(23章9~12節、サムエル記下15章)。
人は誰も神への背信の罪を除かれねばならない(詩32篇1~2節)。
5節「預言者ガドが、『要害にとどまらず、ユダの地に出て行きなさい』と言ったので、ダビデはハレトの森に移って行った」(新共同訳)
1節「ダビデはそこを出て、アドラムの洞窟に難を避けた。それを聞いた彼の兄弟や父の家の者は皆、彼のもとに下って来た」。アドラムには南ユダの丘陵地帯に石灰岩で出来た大きな洞窟(要害)があったと言われる。難を逃れたこの洞窟に家族一同と、困窮者や不満を抱く者ら400人の者が集まった。一つのダビデ集団が発生したのである(2節)。彼は取敢えず両親を先祖の地モアブのミズパにいる王に託した(3~4節)。その後預言者ガドによる神の託宣で、ダビデとその集団はユダの地ハレトの森に移って行った(5~6節)。神の言葉に忠実なダビデの一面をここに見る。この行動を知ったサウルはギブアにある丘に立ち、家臣の王に対する忠誠心に疑義を抱いて詰問した。それは一団となって王に背き、ヨナタンとダビデが契約を結んでも知らせず、息子がダビデを王に刃向かわせ、ねらわせても、憂慮もせず耳に入れもしないと言うのである(7~8節)。ところが家臣の一人エドム人ドエグがサウルの傍に立って、祭司アヒメレクの許にダビデが来て、彼のために主に託宣を求め、食糧を渡し、ゴリアトの剣を与えた事柄を垣間見たと告げた(9~10節)。これは21章5~8節に出ている事柄である。サウルは祭司アヒメレクと、ノブで祭司職にある父の家の者をすべて呼び出した。彼らは皆、王のもとに来た。そして何故エッサイの息子と組んで王に背き、刃向かい命をねらうようなことをしたかと詰問した(11~13節)。
14節「アヒメレクは王に答えた。『あなたの家臣の中に、ダビデほど忠実な者がいるでしょうか。ダビデは王様の婿、近衛の長、あなたの家で重んじられている者ではありませんか』」。そして僕(しもべ)と父の家の者に罪をきせないでください、僕は事の大小を問わず、何も知らなかったと弁明した。しかし王は死罪だと言って、傍らに立つ近衛兵に命じが、王の家臣は誰も、その手を下して主の祭司を討とうとはしなかった(15~17節)。アヒメレクの適切なダビデの人物を表す言葉を殺意で否定する処に、サウルの王失格が浮かび上がる。ここでエドム人ドエグに命じたので、亜麻布のエフォドを身に着けた祭司ら八十五人を討った。更に祭司の町ノブを襲い、男女、子供も乳飲み子もまた牛やろば羊もみな剣にかけた(18~19節)。祭司一族を根絶することは、イスラエル共同体を否定し神に背を向けることになる。
20節「アヒトブの子アヒメレクの息子が一人、難を免れた。アビアタルという名で、彼はダビデのもとに逃れた」。アビアタルから、サウルが祭司アヒメレクの一族と祭司の町ノブの人々を殺した事をダビデは聞いた時、エドム人ドエグが居合わせ、サウルに報告することを予想していたのに、何の手立てしなかったこと、その為に祭司の家の者の命を奪わせた責任を深く感じたのだった。そして「わたしの許にいれば命は奪われず安全だった」と悔いている(21~23節)。アビアタルの保護は、この後彼の祭司としての働きにつながっていくことになる(23章9~12節、サムエル記下15章)。
人は誰も神への背信の罪を除かれねばならない(詩32篇1~2節)。