43歳になったアガサ・クリスティーさんの1933年の作品『晩餐会の13人』からの引用:
「この文章がいつ読者に読まれるかわからないので、ここですこし説明の言葉をはさむ必要がある。わたしはこれまでにいろいろな型の帽子を見てきた。クロッシェハットは顔をすっかり隠してしまうので、女友達の顔を見分けるのをあきらめなければならない。前に傾いた帽子、頭の後ろにふわりとのった帽子、ベレー帽、そのほかたくさんのスタイルがあった。この年の6月に流行の帽子は、スープ皿をさかさにしたような形で、片耳の上にかぶせて、その反対側の顔を髪は人目にさらしておくのである」
重要な登場人物が顔の左側を隠す為に帽子を買ったということがポワロと帽子屋の会話で明かされた後に続く文章だ。
スープ皿をさかさにしたような帽子でグッと斜めに被っている帽子というのを探して一番ちかいのがこの左側の帽子。小さめのつばで斜めに被る帽子は1930年代の帽子と言っても過言ではない。上のソックモンキーの帽子も雰囲気。ついでにほかの帽子もみてみましょう。
(左)19世紀末の帽子のリバイバルで1930年頃に流行った頭の前のほうに乗せて被る(右)頭の後ろにふわりとのった帽子とはこんな感じの帽子でしょうか。これは1931年の流行
1920年代中頃のベレー帽。とてもエレガント。珍しく20年代のベレーだけど1920年代といったらネコも杓子もクロッシェ帽子という時代。
本の裏表紙に載っていたクロッシェ帽子をかぶったアガサクリスティさん。帽子の流行に敏感だったと思われるクリスティさんが1930年代になってもクロッシェを被っていたとは思えないのでこの写真は『晩餐会の13人』以前のものと推理。
*出典 創元推理文庫 HATS Clarkson Potter Hats & Bonnets collector book
*OMAKE*
*OMAKEにいつもフレンチブルドッグのサラ店長がイラストで登場よ。illustration by Maggie McCoy*
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