メカニック日記

メカニックです。仕事ネタから感じた事思った事など気まぐれに更新していきます…

トラブルシュート…

2016-12-01 23:01:26 | 日野
まずはエンジンチェックランプが点灯した…とのXZUデュトロ。


入庫時はチェックランプは点灯してませんでしたが…

履歴を確認してみると…


P0045… VNT系統

フリーズフレームも確認。





このデータを見る限りでは今回の故障コードを検出した時は走行時では無く始動直後だという事が分かります。
VNTの目標開度も7%という事からこの時点で既にフェイルセーフに入ってると思われます。


今現在はチェックランプは点灯していませんが一応アクティブテストからVNTの作動を点検。
1度故障履歴を消去してから再度テスト。
ECUが指示する目標開度に対して実際のVNT開度を点検します…
まずは指示値41%…


実開度も41%で問題ナシ…
更に目標開度を50%に。


すると実開度は43%…
この時点で7%の誤差が…

更に目標を60%にするも…


実開度はほとんど変わらず44%…
誤差は広がり16%…

指示値を70%にした途端、いきなり実開度が7%に落ちこみ…
それ以降制御不能に。


どれだけ指示値を上げようが、目標開度自体が7%固定…


フェイルセーフに入った為でしょう。
こうなるとエンジンは吹けなくなります…

自己診断をしてみると…


ですよね〜
予想通りです。

今回はアクティブテスト中に不具合が発生…
始めに確認したフリーズデータでも始動直後に発生…

今度は走行時に不具合が発生するか⁉︎を確認する為、データのログを取りながら試運転してみます。


結果的に15分程走行しましたがチェックランプは点灯せず…
試運転から戻り記録していたデータログを確認。


走行時は目標開度に対して実開度の追従も良好で、ブースト圧と比較してみてもキチンと作動している事が分かります。

その後エンジンを1度停止して数秒後に再始動すると…
IGOFF→IGON→クランキング→始動までの数秒の間に下の画像でも分かる様に一瞬目標開度が7%になり、その後復帰するも再度7%に落ち込み実開度との差が出来た後、チェックランプが点灯してます…


となると始動時にVNT目標開度と実開度にギャップが生じる事によるチェックランプ点灯…と判断出来るかと思います。

なので原因はVNTコントローラの瞬間的なバグか通信不良…はたまたリニア制御不良か…

原因は分かってはいましたが…

やっぱりVNTコントローラです。


ただし今回のケースは1度キーオフで数十秒待ってECUとの通信を切ったあとに再度エンジン始動すると正常復帰するんですよね…

もちろん過去履歴としては残りますが、走行時に不具合が発生する事は無かったので復帰すればフェイルセーフが入る事も無く走行には全く問題ありません。

VNTコントローラを交換すれば完治しますが、単品設定が無いので、お値段はターボASSYの35万…
それに加えガスケットなどの同時交換部品やLLCなどを含めると部品だけで約40万…

年式と走行距離から考えると修理するかどうかは微妙なところで…

選択肢としては多少面倒ではありますが、始動時にチェックランプなどが点灯した時は1度キーオフで数十秒待ってECUとの通信を切った後、再度始動でチェックランプが消えれば走行には支障は無いでしょうから…
そうやって騙し騙し使う事も可能でしょう…

それともお金をかけてバシッと直すか。


とりあえずお客様と相談です…





お次もデュトロ…
コレもBDG-XZUです。

今度はエンジンが吹けず加速していかない…との事。

チェックランプは点いて無いらしいので、とりあえず引き取る事に。

で、乗って帰ってくる時に症状を確認。

3〜4速40km/hあたりから明らかに吹けず加速していかず…
5〜6速でも失速…
というよりブーストがかかってない様子で…

と思ったら今度は普通に吹けるようになったりと…


その後すぐに吹けない原因は判明。
排気ブレーキを作動させた後に如実に吹けなくなるので…
コレはシャッターバルブがイタズラしてる可能性が高いなぁ…という事で会社に戻り早速点検…

アクティブテストでシャッターバルブを強制的に作動させるとキチンと閉まるけど解除した後もシャッターバルブが閉じたままで開かない…

吹けない原因はコレで間違いないでしょう…
問題はシャッターバルブが悪いのか…ソレノイドが悪いのか…
それともECUからの信号不良か…
故障コードがない事からハーネスの断線は無いだろうと判断。

まずは信号を調べる事に。
診断機、マルチテスターを接続してアクティブテストからシャッターバルブを強制的に作動させた時のソレノイドの電圧変化とシャッターバルブの動作を確認。

シャッターバルブ作動状態

動画でも分かるとおり、電圧がかかりソレノイドに通電されるとシャッターバルブが作動しますが、その後電圧が下がってもシャッターバルブが閉じたまま…
その後ゆっく〜りと開きました…
コレ決してスローモーション加工してる訳じゃないですよ…笑
とりあえずECUからの信号はちゃんと変化するので問題無し。

話はズレますが…
この車は24V車両なんですがソレノイドの作動電圧は12Vなんですよ…
以前ウチのメカニックI氏はその事を調べもせずに車が24Vだから…といってソレノイドに直接24Vを接続したんですよ…しかもECU側からのコネクタを差したままで…
もうどうなったか分かる方は分かりますよね…笑
当然、ソレノイドはパンク…更にECUもパンク。
この車は確かECUからソレノイド間には保護回路が無かったんですよ…
もうね…直してんだか壊してんだか…どっちだよ‼︎て事がありました。
このI氏はビックリする様な事を平気でやるんですよ…
バッテリー上がりの車にブースターケーブルをプラスとマイナスを逆接して全ヒューズ飛ばしたり…
つい先日も新品のラジエーターホースにボンド塗って取り付けて、走行時にホースがすっぽ抜けて危うくエンジンを壊しかけた事も…

この仕事を10年以上やっててそのレベルですからね…

まあ愚痴はこの辺りにしておきます。笑



今度はシャッターバルブの単体点検を…
マイティバックを取り付けてバルブの作動テストをするも動作は問題ナシ…


となるとソレノイドかな⁉︎

という事でソレノイド側にもバキュームメーターを取り付けて単体点検。


診断機のアクティブテストからエキブレの強制駆動をオンにするとキチンと負圧状態になりその後OFFですぐに正圧に戻ります…
ソレノイドの作動音もちゃんとしてます。

あれ⁇

どっちも悪くない…⁉︎

このクラスの排気ブレーキは作動に負圧を利用しており…
通常は排気ブレーキ非作動時はシャッターバルブのチャンバー内は正圧(大気圧)状態で、排気ブレーキ作動時はソレノイドに通電してソレノイド内のバルブを開きバキュームポンプが作り出した負圧でチャンバー内も負圧にします。
その結果チャンバーと繋がったロッドが引かれてシャッターバルブが閉じる仕組み。

シャッターバルブが閉じない…とかの症状だったらチャンバー内で負圧漏れを起こしてる可能性があったりしますが…
今回は逆でシャッターバルブが開かない…という事なので正圧状態にならない…と判断出来るので怪しいのはやはりソレノイドバルブ内の正圧負圧を切り替えるバルブ…という事になります。

なので…



ソレノイドを交換。


交換後の作動


シャッターバルブが開かない症状も無事に改善されました…
試運転にて問題無く吹け上がるので完了です。



後で外したソレノイドを分解してみると…




原因が判明。
スポンジ状のフィルターが劣化してボロボロになり経路に詰まってます…


なるほど…コレでゆっっく〜り開く訳ですね…笑


納得です。







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V36スカイライン…

2016-12-01 00:53:56 | 日産
2007年式のV36型スカイライン…


通常のV36スカイラインとは違い、1957年に初代スカイラインが発売されてからちょうど50年目を記念して発売された特別仕様のスカイラインです…

専用のレッドレザーシートに…
スカイライン50周年を記念するステッチが。



更にシリアルナンバー付…



特別感はありますね…笑

外観を見ただけでとても大事に乗られている事が分かるんですが…
そんなスカイラインも走行7万キロを越えてそろそろ色々な所に不具合が出だす頃…

オーナーさんは日頃エンジンルームを見ては気になっていた水漏れなどの修理に加え、これからも永く乗る為にまずはエンジン周りの予防整備を希望して入庫となりました。
今後、足廻りなどシャシーにも手を入れていく…との事。

エンジンはVQ25HR…
因みにHRってハイレスポンスの頭文字で、VQとなってますが従来のVQ25DEとは基本設計から違うほど改良されてるんです。


やっぱりエンジンは縦置きV型エンジンが1番カッコイイですね…
左右対象のレイアウトでバランスも良いですし…


早速、作業を。
まずはスパークプラグの交換から…
V型エンジンなので多少手間がかかります。




使うプラグはNGKのpremiumRX…
このプレミアムRXの電極はイリジウムではなくルテニウムという更に希少⁉︎な金属を使用しており過酷な状況下でも抜群の着火性を誇っております。


最近は日産車なんかでも14mmの細いタイプのプラグが多く採用されてますが…
多くのプラグは締め付けがトルク締めでは無く指定の回転で締め付けるようになってますよね…
1/2、3/4、2/3回転など、中には1/16…なんてタイプもあったりとか。
また新品時と再使用時で違ったり…

そんな微妙な角度締めにも角度計付のトルクレンチが役に立ちます…
1度単位の精度でキッチリ締める事が可能です。



問題の水漏れはラジエータのアッパーホースから…


アッパーホースとロアホースは交換。




更にベルトやエアーエレメントも交換。


新旧比較…


エンジンオイルやオイルエレメントなども交換して冷却水の交換。


最近の車にはエア抜きに気を使います…
この車にもラジエーターとヒーターホースに2箇所エア抜きプラグがあります。
それだけ冷却経路が複雑なんでしょう…


このエンジンもエアが噛むと流水音がするので、エアはキッチリ抜きましょう…

更にATF交換の為、ホースを接続して…


暖機しつつ診断機で水温を確認しながらのATF交換。




ビフォーを撮り忘れましたが最終的にこのくらいでO.Kにします…



後はカバー類を取り付けて試運転。



エンジンも良い音してますね…
加速時なんかも室内に程よいエンジン音が入ってきます。
依頼時にマニュアルモード時にたまにシフトダウンしない…という症状が出るので調べて欲しい。と言われており、試運転の結果症状は出ませんでしたが、故障コードを確認してみると…


スイッチ系統の故障コードが入っておりますが…

オーナーさんにも伝えてもう少し様子を見る事に…



試運転も終わり後は冷間時に冷却水の量を確認して完了です。







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