PB-FC7Jレンジャーがエンジン不調で入庫。
エンジンはJ07E…
ドライバーさんに症状を聞くとどうやらアイドリングが安定しない…との事。
とりあえず症状を確認する為エンジンを始動。
エンジンをしばらくアイドリングさせておくとハンチングし始めました…
動画1
その時のデータは…
動画2
動画3
動画2では実コモンレール圧が安定していないのが分かると思います。
更に動画3では表示項目を増やしインジェクターの補正値も表示していますが燃圧が10MPa台から40MPa台まで乱高下しており、それに連動してメイン噴射量も安定しておりません…
更に補正も常に入るような状態。
グラフで見るとこんな感じ…
アイドリング状態なのにポンプの制御電流や実コモンレール圧が波打ってます。
また目標圧に対して実燃圧が大きくズレてます。
基本的に燃圧が安定しない場合の原因はSCVが濃厚で、J型エンジンなどでは特に多いトラブルです。
SCV不良の場合、サプライポンプ系の故障コードが入る事もありますが、何も入らない事も…
ちなみに今回のケースも故障コードは無し。
で、早速SCVを交換する事に。
このタイプのSCVは在庫として常に常備してるのでドライバーさんが待ってる間に修理出来ます。
エンジンタイプによっては何もバラさなくても可能なタイプもありますが、今回は少々バラす必要があります。
このエンジンのSCVはフューエルエレメントケース真下にあり、ケースかインテークダクトのどちらかを外さないと取り外せません…
インテークを外すとなると作業上冷却水も出てしまうのでエレメントケースの方が得策ですね…
また、作業的にフューエルエレメントも交換するので尚更です。
まずはケース内の燃料を抜きつつケースの取り外し…
SCVがお目見え…
ゴミや埃の侵入は極力避ける必要があります…
取り外す前に周りをパーツクリーナ&エアブローで掃除してから取り外します。
さっさと新品を組み付けていきます。
SCVとはSuction Control Valveの略なんですがサクション…という名前からも分かるとおり、燃料を吸込む量をコントロールしてるバルブです。
このタイプのサプライポンプは吸い込む量で燃圧をコントロールしてるので、SCVが不調になると燃圧の不安定に繋がります。
その為SCVでは物凄い精密な制御がされております。
私が知ってるだけでもメーカーは十数回の形状変更や改良をしており…
それだけ精度と耐久性のバランスが難しいという事でしょう…
で、SCVの取り付けが済んだら
エレメントケースも洗浄して取り付けます。
旧フューエルフィルターはまずまずの汚れです…
新品のフューエルフィルターを付け、各パイプも規定トルクで取り付け…
更に燃料のエア抜きを行い交換作業は完了です…
で、SCVの交換作業後は機差学習が必要です…
エンジンを始動して冷却水と燃料の温度を通常時の温度まで暖機します。
冷却水は60℃以上、燃温は30℃以上…
新品のSCVでも学習前のデータでは目標燃圧に対して実燃圧が大きくかけ離れてる事が分かると思います…
これはECUが以前のSCVの学習値のまま制御してるからでせっかくSCVを換えても機差学習をしないとまるで意味がありません。
で、学習を行います…
その後エンジンを始動して各データを確認。
動画4
目標燃圧に実燃圧がピッタリ追従しています…
更にサプライポンプの機差学習フラグが完了になっている事を確認…
補正値も良好です…
後は各部の燃料漏れなどが無いか…しっかり確認。
フェンダーやサイドカバーも取り付けて全ての作業が完了です。
ドライバーさんも早く直ったので喜んで帰っていきました…