共産党は党員に対して党の見解を順守するように定める民主集中制
という制度を採用している。これは数回(時には数十回)にも及ぶ
議論を重ねた上で決定された事項は守りましょう、守らなければ
厳罰に処しますというもので、反共主義者はこれを嬉々として攻撃
するのだが、結果として個人として問題がある人間でも党員である間は
割とまともな意見が言えるようになる長所もあったりする。
さて、今回とりあげる松竹伸幸氏は以前は共産党の護憲派議員として
活躍したのだが、ある時期を境に党とのブレが生じ、結果的に
事実上の除籍にあっている方である。以下の引用は彼が議員だった時の
党の紹介文である。
-------------------------------------------------------
日本の平和は軍事偏重では保たれない、アジアの平和の流れに合流すべきだ―
松竹さんは、この立場から、非核・非同盟の外交政策を積極的に提唱。
昨年2月、沖縄基地問題で世界への「訴え」を発表したときも、
何回も沖縄を訪れて、被害者の話を聞き、中心的な役割をはたしました。
ttp://matinofuruhonya.blog.fc2.com/blog-entry-399.html
--------------------------------------------------------
なんのことはない、これは共産党が以前から一貫して主張してきた
ことであって、別に松竹が初めて唱えたことではない。
で、この松竹氏、今は憲法論や外交論を巡って党と対立し、
今年からかもがわ出版の編集長になっているそうなのだが、
彼が現在さかんに主張しているのは軍の容認である。
普通は除籍されることで組織に左右されない自由な意見が
述べられるはずなのだが、どういうわけだか共産党の除名に
あった人間は軒並み右傾化する。
軽い程度なら無関心という形での、保守派へ対する無言のエールで
済んでいるが、セクハラでクビにされた超カッコ悪い爺さんの
筆坂氏に至っては産経新聞に登場して改憲論をのたまっている有様である。
松竹氏も共産党と疎遠になったならば今こそ、
尖閣諸島や北方領土が日本の領土だというのは無理があるとハッキリ
言ってやればいいのに、領土を守るためには自衛隊が必要だと
なんだか共産党と仲が悪くなるのも納得だなーと思う主張をしている。
はっきり言って、「自衛」といいつつ実際には「軍隊」であるから
ヤバいんだという話なのに、自分の国は自分で守るといった
本末転倒な話をしていて、要するに「自衛隊」という名の軍隊を
彼は必要なものだと語っているのである。
こういう右にも左にも喜ばれそうな内容を書いて
その実、右傾化するという姑息な戦法は伊勢崎氏のそれに似ていて
実に利口だと思う。筆者は前々からこの方の領土論はおかしいと
思っていたので、こんな人が党にいるのは汚点だよなと考えていたのだが、
今は党と無関係らしいので、すごく安心した。
ただ、かもがわ出版で編集長を務めているとのことなので、
この方の場合は自発的に離党したようだが、同時代社のように
犬猿の仲になり、せっかく良書を多く出版しているかもがわ出版が
ただの反共左翼出版に変貌してしまわないかと少々不安でもある。
最後に彼の主張に対する、ある松竹ファンのコメントを
引用して、反共(=戦後)左翼の問題点にふれていきたい。
-----------------------------------------------
私の愛読しているブログの一つ「超左翼おじさんの挑戦」は、
ブログ主の松竹さんがかもがわ書店の編集長に就任されることから、
その役割を終え、新たな冒険の旅に出ることとなりました。
とても参考になるブログでした。
今後一層のご活躍を期待しております。
その「超左翼」のお名前の通り、
いわゆる「左翼」の範疇に納まろうとしない姿勢に常に共感していました。
左翼であれば増税には反対しなければならない。
左翼であれば戦争には反対しなければならない。
左翼であれば領土なんて関係ないとうそぶかなければならない。
左翼であれば自衛隊は廃止と叫ばなければならない。
そういう思い込みや貧困な哲学をいかにして克服すればよいのか。
そのヒントは左翼の豊かな言葉のなかにこそある!
それを地でいく貴重なブログでした。
ttp://wa2zoo.blog8.fc2.com/blog-entry-540.html
---------------------------------------------------------------------
とまぁ、こんな文章なのだが、はっきりいって
増税反対、戦争反対、自衛隊廃止を主張するのが
左翼のアイデンティティというか存在理由ではないのか?
増税に反対せず、戦争に反対せず、自衛隊にも意見しないなら
わざわざ劣勢の左翼に与さず右翼になればいいではないか。
というか、そういう左翼は左翼ともはや呼べないのではないのだろうか?
実際、こういう軍隊の必要性を語る人間は
自分の立場を「リベラル」というずいぶんと曖昧な言葉で粉飾している。
何度も言っているが、こういう右翼と大差ない意見しかいわない
左翼というのは、右翼にとって恰好の攻撃の的であり、
右翼の主張を正当化させる駒にしかならない。いい加減気づけよと思う。
私は、北朝鮮(より正確にいえば総連)や共産党のような
左翼にすらバッシングされているマイノリティの側に立って
意見を掲げることこそが本来の左翼だと考えている。
今の日本の出版社で左翼らしい左翼は高文研やスペース伽耶、
新日本出版社、大月書店、昭和堂、桜井書店、自治体研究所、
かもがわ出版、学習の友社等々といったところで、数が少なくなっている。
こうして列挙すると結構あるように見えるが、平凡社とか筑摩書房、
みすず書房、お茶の水書房、岩波書店といった高名な学術出版社すら
軒並み反共左翼なのだから、本当に現在の日本で大衆に抗う意見を
述べる度胸のあるマスメディアは絶滅危惧種なのである。
戦前の治安維持法の時代から
この国において朝鮮人と共産主義者は徹底的に弾圧を受けてきた。
それは国家だけでなく大衆がこぞって参加した差別だった。
このシステムが戦後の冷戦体制で克服されずに今日まで来ている。
だから、左翼と称している連中も基本的にはこの二者については
本当に冷たい言葉を平然と浴びせてきている。
結局のところ、彼らは自分のことしか考えていないのだから
本質としては右翼と大差ない。信仰対象が異なるだけだ。
こういう国家主義的な左翼が同じく国家主義的な右翼と
手を取り合っているのが現状の日本であり、そういう有様の中、
上記の出版社は本当に頑張っていると思う。その中の一つに
松竹氏が高いポジションの職に就いたのは正直ショックで、
また貴重な出版社がつぶれてしまったなと思ってしまった。
という制度を採用している。これは数回(時には数十回)にも及ぶ
議論を重ねた上で決定された事項は守りましょう、守らなければ
厳罰に処しますというもので、反共主義者はこれを嬉々として攻撃
するのだが、結果として個人として問題がある人間でも党員である間は
割とまともな意見が言えるようになる長所もあったりする。
さて、今回とりあげる松竹伸幸氏は以前は共産党の護憲派議員として
活躍したのだが、ある時期を境に党とのブレが生じ、結果的に
事実上の除籍にあっている方である。以下の引用は彼が議員だった時の
党の紹介文である。
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日本の平和は軍事偏重では保たれない、アジアの平和の流れに合流すべきだ―
松竹さんは、この立場から、非核・非同盟の外交政策を積極的に提唱。
昨年2月、沖縄基地問題で世界への「訴え」を発表したときも、
何回も沖縄を訪れて、被害者の話を聞き、中心的な役割をはたしました。
ttp://matinofuruhonya.blog.fc2.com/blog-entry-399.html
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なんのことはない、これは共産党が以前から一貫して主張してきた
ことであって、別に松竹が初めて唱えたことではない。
で、この松竹氏、今は憲法論や外交論を巡って党と対立し、
今年からかもがわ出版の編集長になっているそうなのだが、
彼が現在さかんに主張しているのは軍の容認である。
普通は除籍されることで組織に左右されない自由な意見が
述べられるはずなのだが、どういうわけだか共産党の除名に
あった人間は軒並み右傾化する。
軽い程度なら無関心という形での、保守派へ対する無言のエールで
済んでいるが、セクハラでクビにされた超カッコ悪い爺さんの
筆坂氏に至っては産経新聞に登場して改憲論をのたまっている有様である。
松竹氏も共産党と疎遠になったならば今こそ、
尖閣諸島や北方領土が日本の領土だというのは無理があるとハッキリ
言ってやればいいのに、領土を守るためには自衛隊が必要だと
なんだか共産党と仲が悪くなるのも納得だなーと思う主張をしている。
はっきり言って、「自衛」といいつつ実際には「軍隊」であるから
ヤバいんだという話なのに、自分の国は自分で守るといった
本末転倒な話をしていて、要するに「自衛隊」という名の軍隊を
彼は必要なものだと語っているのである。
こういう右にも左にも喜ばれそうな内容を書いて
その実、右傾化するという姑息な戦法は伊勢崎氏のそれに似ていて
実に利口だと思う。筆者は前々からこの方の領土論はおかしいと
思っていたので、こんな人が党にいるのは汚点だよなと考えていたのだが、
今は党と無関係らしいので、すごく安心した。
ただ、かもがわ出版で編集長を務めているとのことなので、
この方の場合は自発的に離党したようだが、同時代社のように
犬猿の仲になり、せっかく良書を多く出版しているかもがわ出版が
ただの反共左翼出版に変貌してしまわないかと少々不安でもある。
最後に彼の主張に対する、ある松竹ファンのコメントを
引用して、反共(=戦後)左翼の問題点にふれていきたい。
-----------------------------------------------
私の愛読しているブログの一つ「超左翼おじさんの挑戦」は、
ブログ主の松竹さんがかもがわ書店の編集長に就任されることから、
その役割を終え、新たな冒険の旅に出ることとなりました。
とても参考になるブログでした。
今後一層のご活躍を期待しております。
その「超左翼」のお名前の通り、
いわゆる「左翼」の範疇に納まろうとしない姿勢に常に共感していました。
左翼であれば増税には反対しなければならない。
左翼であれば戦争には反対しなければならない。
左翼であれば領土なんて関係ないとうそぶかなければならない。
左翼であれば自衛隊は廃止と叫ばなければならない。
そういう思い込みや貧困な哲学をいかにして克服すればよいのか。
そのヒントは左翼の豊かな言葉のなかにこそある!
それを地でいく貴重なブログでした。
ttp://wa2zoo.blog8.fc2.com/blog-entry-540.html
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とまぁ、こんな文章なのだが、はっきりいって
増税反対、戦争反対、自衛隊廃止を主張するのが
左翼のアイデンティティというか存在理由ではないのか?
増税に反対せず、戦争に反対せず、自衛隊にも意見しないなら
わざわざ劣勢の左翼に与さず右翼になればいいではないか。
というか、そういう左翼は左翼ともはや呼べないのではないのだろうか?
実際、こういう軍隊の必要性を語る人間は
自分の立場を「リベラル」というずいぶんと曖昧な言葉で粉飾している。
何度も言っているが、こういう右翼と大差ない意見しかいわない
左翼というのは、右翼にとって恰好の攻撃の的であり、
右翼の主張を正当化させる駒にしかならない。いい加減気づけよと思う。
私は、北朝鮮(より正確にいえば総連)や共産党のような
左翼にすらバッシングされているマイノリティの側に立って
意見を掲げることこそが本来の左翼だと考えている。
今の日本の出版社で左翼らしい左翼は高文研やスペース伽耶、
新日本出版社、大月書店、昭和堂、桜井書店、自治体研究所、
かもがわ出版、学習の友社等々といったところで、数が少なくなっている。
こうして列挙すると結構あるように見えるが、平凡社とか筑摩書房、
みすず書房、お茶の水書房、岩波書店といった高名な学術出版社すら
軒並み反共左翼なのだから、本当に現在の日本で大衆に抗う意見を
述べる度胸のあるマスメディアは絶滅危惧種なのである。
戦前の治安維持法の時代から
この国において朝鮮人と共産主義者は徹底的に弾圧を受けてきた。
それは国家だけでなく大衆がこぞって参加した差別だった。
このシステムが戦後の冷戦体制で克服されずに今日まで来ている。
だから、左翼と称している連中も基本的にはこの二者については
本当に冷たい言葉を平然と浴びせてきている。
結局のところ、彼らは自分のことしか考えていないのだから
本質としては右翼と大差ない。信仰対象が異なるだけだ。
こういう国家主義的な左翼が同じく国家主義的な右翼と
手を取り合っているのが現状の日本であり、そういう有様の中、
上記の出版社は本当に頑張っていると思う。その中の一つに
松竹氏が高いポジションの職に就いたのは正直ショックで、
また貴重な出版社がつぶれてしまったなと思ってしまった。