時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

過去最大の軍事費-とまらない軍拡の裏で (62→7000)

2015-12-22 23:35:57 | 軍拡
来年度の日本の軍事費が前年度より740億円増え、5兆500億円に達する見込みだとわかった。
http://jp.sputniknews.com/japan/20151222/1356060.html#ixzz3v3ryLrEf

この軍拡の裏で同時進行しているのが思いやり予算の増加である。
そもそも、思いやり予算は1978年に基地で勤務する従業員の給与支払いを一部負担する形で始まった。
その後、対象は住宅費、光熱費、水道費、滑走路等の建設費と拡大の一途を辿った。

結果、90年代後半には3000億近くまで膨張し、現在、7000億を越えている

62→7000億

物価の上昇を考慮に入れても、凄まじい勢いで負担が増えていることがわかるだろう。
赤旗の山田秀明記者は次のように述べている。

「9月19日に安倍政権・与党が強行した戦争法の成立で、
“日本の軍事分担が増したので、せめて『思いやり予算』を減額させてほしい”―。
 これが財政審の卑屈な要求でした。ところが、この要求ですら米側に突っぱねられて屈服
 減額どころか、今後5年間にわたり増額を受け入れてしまったのです。

 米国の同盟国でこれだけの財政支援をしている国は日本以外にありません。
 これでは、日本本土や沖縄への米軍駐留の戦略的な意義が失われても、
「日本がカネを負担してくれる」というそれだけの理由で米軍は居座り続けるでしょう。」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-12-17/2015121702_02_1.html

2009年、沖縄米軍基地問題について鳩山由紀夫首相(当時)が
どれだけコンタクトを取ろうと奔走しても、頑として応じようとしなかったことを思い出す。

対話をしようとすらせず、ひたすら無視し続け、移設を進めようとする態度を見て、
私は、これまで自分が抱いていたオバマ像が完全に間違いだったことに気がついた。

どれだけ親米的態度を取って尽くしても、
思いやり予算をどれだけ増やしても、
アメリカ合衆国は日本政府を金づる程度にしか受け止めていない。


他方で、思いやり予算の増額はアメリカが直接に要求したものではない。

思いやり予算の拡大は、日米軍事同盟、
より正確に言えば米日主従同盟の共同軍事演習と連動して不可避に生じる現象である。


イランラジオのヴァガーリー解説員の説明を以下に抜粋する。

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アメリカと日本の共同演習

アメリカと日本の共同演習が、伊丹駐屯地で始まりました。
この演習は日本とアメリカの軍隊6500人が参加しています。

軍事関係者は、この演習の実施の目的を、
サイバー攻撃への対策と一部の地域諸国のミサイルからの防衛だとしました。
日本の中谷防衛大臣とアメリカのケネディ駐日大使は、この共同演習を視察しました。

ケネディ大使は、日米の軍事・安全保障協力を非常に重要なものだとし、
その重要性を説明する中で、オーストラリアなどいくつかの国際オブザーバーが
この演習を監視すると強調しました。

この演習の実施は、軍事・安全保障協力の拡大に向けた両国の努力を物語っています。

安倍総理大臣は、最近のアメリカのオバマ大統領との会談で、
「日本はアメリカと更なる協力を行うだろう。軍事分野での協力がその最も重要な協力だ
としました。

これに関して、日本はカリフォルニア州での銃撃事件後、
テロ対策におけるアメリカとの協力に向けた用意を表明しました。
アメリカの国防安全保障協力局もまた、最近の報告の中で、日本にアメリカ軍が
広く利用している無人偵察機グローバルホーク3機を売却することを明らかにしました。

日本によるこの偵察機の購入は、国外での自衛隊の駐留を認める安保関連法の可決後、
自衛隊の建て直しに向けた日本の計画の枠内で行われています。

アメリカはおよそ4ヶ月前にも、
オスプレイ5機を売却する総額3億3300万ドルの契約を締結しました。


日本の防衛省は、以前、オスプレイと先進型ホークアイの購入を考えていると表明していました。
アメリカと日本の軍事協力の拡大の一方で、日本の防衛大臣は最近、
「日本はアメリカによる弾道ミサイル防衛システムの配備を検討している」と述べました。

西側の同盟国との軍事協力の拡大にむけた日本政府の努力と時を同じくして、
日本の政府筋は、2016年の同国の防衛予算を5兆円に拡大する決定を明らかにしています。

この報告によれば、日本の来年度の予算には、
沖縄の普天間基地移設に関する予算も含まれるということです。
2012年12月の安倍政権誕生から4年連続で軍事予算は増加しています。

(http://japanese.irib.ir/news/commentaries/item/60566)
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「共同」軍事演習ではあるが、決して「対等」軍事演習ではない。

軍事演習の拡大と強化が続く限り、その費用の多くは日本が負担するものになる。
加えて、日本の軍備もアメリカ製品を買わされるようになってくる。

大手学習塾で「オリジナルテキスト」を買わされることに似ている。
無論、オスプレイが好例だが、その戦闘機の性能や安全性は二の次にされてしまう。


「防衛費」は「軍事費」ではない。これは国を守るためのお金では決してない。
 特定の国の政府や企業の喉を潤すために貢がれるものだ。

ここで、周辺諸国の対米関係に目を移してみよう。以下の記事は半年前に書かれたものだが、
未だに、というよりも日本の軍拡が止まらない今だからこそ一読の価値があると思われる。


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台湾という名の「てこ」、米国にとっては未だ活用効果あり

台湾の野党、民主進歩党の蔡 英文(さい えいぶん)主席が米国で手厚い歓迎を受けたことは、
米国は台湾問題を利用して中国へ作用を及ぼす「てこ」をキープしようとしていることを示している。

ここ最近、米国と台湾の間ではこうした軍事面での積極的なコンタクトが図られているが、
これは米国には台湾の安全の保証人としての役割を捨てる気はないことを示している。

蔡 英文氏は、台湾の大統領候補としては
史上初めて、米国務省の建物内で直接に米外交官らと会談を行った。


しかも、この会談を直々に執り行ったのは、
ジョン・ケリー国務長官に次ぐナンバー2の人物であるトニー・ブリンケン国務副長官だった。

中国が、来年1月に予定されている台湾大統領選挙で中国国民党への
支持に傾いていることを考慮すると、野党、民主進歩党の蔡 英文氏の受け入れが
これ見よがしに高いレベルで実施されたのは、米国側からの政治的歩みだと捉えることができる。

というのも、蔡 英文氏が主席を務める民主進歩党は
中国との余計な急接近には反対する立場をとっていることから、
米国は台湾と中国の国益が固く一致することにはあまり関心を抱いていない。

米国は、台湾問題を長期にわたって未解決に維持する現状維持をよしとしている

米国側にとってはこれは、
近い将来、米国は台湾の安全の保証人の立場を演じ続けることを意味する。

中国抑止の可能性が低まったことに関連し、
米国は台湾の軍事的要求を満たしている自らの役割を強調しようとしている。
まさにこの要因から米台湾の軍人らの間の軍事コンタクトの拡大が図られているのだ。

2014年末に米国のペリー級フリゲート艦4隻、3億7千ドルの米国への供給が承認された。

2015年は米台湾の合同演習、合同トレーニングがいくつか予定されており、
この中には台湾で「心理作戦および情報戦争」に取り組む
米軍部隊のラインでも同様の演習、トレーニングが行われる。

双方の関係にとってはかなり稀有なアプローチとなったのは、
ハリー・ハリス海軍大将が米軍太平洋司令官に就任するセレモニーの席に、
台湾の 厳徳友(ヤン・ゼフ)参謀本部長が参列していたことだ。

それまでは米国マスコミ報道にもあったように、台湾の軍人の代表は
ハワイでの海軍パラシュート作戦を記念したシンポジウムに参加したことはあった。

シンポジウムは太平洋司令部によって行われていたが、
今までは台湾の代表がこうした類の行事に参加したことは吹聴されてはこなかった。

仮に台湾向けの米国の軍事供給量が
以前より少なくなるとしても、やはり重要な象徴的な意味は持ち続ける。

こうした努力を受け取るのは中国や台湾のみならず、この地域における米国の連合国も同じだ。
南シナ海の状況が緊張化することを背景に、
米国は台湾関係においては路線維持にますます大きなアクセントを置いており、
まさにこれによってアジア太平洋地域における米国の連合国らに重要なシグナルが送られている。

米国の地域安全保障を維持する能力に対して疑問が高まるなかで、
連合国らには米国が「自分たちを捨てることはない」との確信を抱かせねばならない。
こうした場面で台湾は長年にわたる米国との軍事関係もあって目立った例として使うには好都合なのである。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/opinion/20150618/467327.html#ixzz3v42W0eau

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安部晋三をはじめ、多くの右翼は「中国の脅威」を叫ぶが、何のことはない。
実際には「アメリカにとっての中国の脅威」なのである。


相手国の安全などこれっぽっちも考えていないことは、
韓国の米軍基地において、密かに細菌兵器が開発されていたことからもわかるだろう。


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今年5月、烏山(オサン)基地で中東呼吸器症候群(MERS)コロナウィルスの実験が
「初めて行われた」という米軍が表した声明は、韓国の世論をすっかり混乱させた。

これを物語るのは17日(木曜)に米韓軍間合同検査委員会が表した結果だった。

合同委員会の委員長を務めるチャン・ギョンス少将の声明によれば、
コロナウィルスおよび腺ペストの非活性サンプルは危険な細菌を発見し、
特定するという人員訓練のために用いられたもので、こうした訓練が行われるのは
烏山基地ではすでに16回目で、それまではソウル中心部の龍山(ヨンサン)基地で行われていた。


両国の軍部は韓国に持ち込まれたバクテリアは
「人体にいかなる害も一切与えなかった」という声明を表したが、
ロシア人軍事専門家のウラジーミル・エヴセーエフ氏は、こうした完全な機密状況で
このような演習を行うという事実自体が危惧感を招かないわけにはいかないとして、
次のように語っている。


米国防省はかなり前から世界中を実験室にして、
 マスコミの注意を惹かずに、どこであろうとも細菌兵器の実験を行ってきている。


 このため韓国で行われた『演習』はありうる細菌の脅威に対抗するというよりも、
 北朝鮮に対して使用しうる細菌兵器の製造のためという可能性は十分にある。

 もしそうであるならば、米国はこの分野で効力を持つ条約に歴然と違反している。
 国の領域の外で細菌兵器を製造しようという米国の計画は、最も入念な分析を必要としている。
 
 米国は、ロシアが同様の兵器を開発しているとして、これをしょっちゅう非難しているが、
 実はこの開発を行っているのは米国のほうであることを確証する事実が
 ますます露呈するようになってきた。」

米国が韓国にコロナウィールスを送りつけたことが発覚すると、北朝鮮の国連大使は今年夏、
これは朝鮮半島で戦争が勃発した際に北朝鮮に対して生物兵器を使う目的があるのだろうとして
米国を非難する声明を表している。こうした開発がまずは細菌が領内に存在する韓国にとって
明らかな危険を伴う
にもかかわらず、このテーマには未だに十分な注意がむけられていない。

現在米国は、近いうちにも韓国領内の米軍配備についての合意に変更が加えられ、
そこに危険な細菌物質の運搬、その扱い、安全な無害化についての通知プロセスの
明確な記載がなされるようになるとして韓国をなだめようとしている。だが不測の事態の保証はない。

また「北の脅威」が去った後、
細菌兵器の分野での米軍の実験結果がどう使われるのかについても、誰も何も言っていないのだ。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/opinion/20151222/1354460.html#ixzz3v49ZNkFj
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こうしてみると、日本・韓国・台湾、そして今回紹介しなかったフィリピンは、
アメリカと言う王将を守るために捨て駒にされる歩や金のようなものだ。

日本と韓国の小競り合いなど、しょせんは、どちらが飛車か銀かの争いにすぎず、
両国がアメリカの指示に従い、団結して棒銀戦法を忠実に実行する点では変わりはない。


以上、国際関係から日本の軍拡と思いやり予算の拡大について論じたが、まとめると、

①日本の軍拡はアメリカとの共同軍事演習の増加・強化と連動している。
②その負担およびアメリカ製の軍備購入の半強制が軍事費拡大の要因である。
③そのため、日本にとって、その演習や平気が本当に必要かどうかは二の次にされる。
④他国も同様に、その国の軍拡は防衛上の必然性ではなくアメリカの戦略に基づいたものである。

その解決策としては

①反基地運動を多国的なものに変化させなければならない。
 現在の運動は、どれも自国の基地に限定されており、他国の反基地運動に参加したりはしない。
 
 アメリカのアジア外交における戦略そのものが変わらない限り、
 基地に関する問題は解消されない。

②日米同盟における両国関係の非対称性を強調し、中道右派を転向させることが必要。
 具体的には、沖縄の翁長県知事のような人間を反対派に変化させ、味方を増やすべきだ。

 つまるところ、民主主義とは如何に反対派を裏切らせるかを競うゲームなのだから。

③アジアだけでなくヨーロッパや中東・アフリカにおける問題と一括して考える。
 例えば、ウクライナのキエフ政権に対する経済援助と軍事支援と結び付けて考察する。
 
 こうして、アメリカの国際戦略そのもの、あるいはアメリカに留まらず、
 フランスやイギリスを含めた旧宗主国の旧植民地国の干渉に対して抗う姿勢を見につける。

 つまり、特定の国や人物を個人攻撃するような卑小な運動に終わらせず、
 帝国主義や植民地主義そのものへの否定と廃絶を目指す大きな運動へと展開させる。

 あまり風呂敷を広げるのも問題だが、少なくとも視野を広げ、
 世界史の視点から沖縄の基地や日本の軍拡について考えなくてはならないだろう。
 そのためには、非欧米圏の逆サイドから焦点を当てた記事を読むことが要されるはずだ。

一発ネタ

2015-12-22 22:02:13 | 浅学なる道(コラム)
人気ユーチューバー・はじめしゃちょーが謝罪 
「ニベアクリームでお風呂作ってみた」動画に批判殺到



ユーチューバーのはじめしゃちょーが12月17日、
炎上していた「ニベア風呂」動画について、自身のチャンネル内で謝罪しました。

【炎上していた「ニベア風呂」動画】


●「ニベアクリーム100個で風呂」で炎上

はじめしゃちょーと言えば、YouTubeのテレビCM
「好きなことで、生きていく」シリーズにも出演していた人気ユーチューバー。

しかし、12月15日に投稿した「ニベアクリームでお風呂作ってみた Nivea creme bath」
という動画が炎上。「これはふざけすぎ」「ニベアの無駄使い」など、
多くの批判が寄せられる形となっていました。

動画の内容は、「肌荒れがひどいので、ニベアクリームを100個使った
“ニベア風呂”に入ってみた」というもの。動画内ではニベアクリーム100個を順に開封し、
浴槽へ叩きつけたり、口に入れる、全身に塗りたくるといった様子が収められていました。

結局、動画は2日間で140万回以上再生されたものの、
コメント欄は「不快派」と「擁護派」が入り乱れて大荒れ状態に。


●「今後もスタンスは変えない」と宣言

こうした流れを受けて、はじめしゃちょーは12月17日、
「ニベア風呂と今後について」と題した動画を投稿。「ニベア風呂」動画について
振り返りつつ「不快に思った人はいると思うのでそこは謝ります」と謝罪しました。


ただ、「昔から大量買いはやってた」「コーラ風呂を作った時はこんなに批判されなかった」と、
なぜ今回に限って荒れたのか、逆に視聴者に質問を投げかける場面も。
「もったいない」という意見については、「ニベア風呂を作りたかったからやった」
「目的がちゃんとあってやっているから、それは無駄遣いではない」と反論しました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151217-00000118-it_nlab-sci













シャルリーエブド事件再考

2015-12-22 00:23:55 | 欧米
先月に起きたパリの同時多発テロ事件は容疑者がすでに殺害されており、
ダーイシュ(イスラム国、IS)の声明があったことから、恐らく同組織の犯行と見られている。

しかし、冷静に考えれば、手柄の横取りというのは十分有り得るし、
この事件をきっかけにフランス国内の市民監視やシリアへの空爆が強化されたわけで、
どうも腑に落ちないというか、何か肝心な情報が手元に入ってきていない感触を得る。


今年の1月に発生したシャルリーエブド紙襲撃事件においても、
容疑者は警察に殺害されており、真実を知るものが誰もいない状況でテロの脅威が叫ばれていた。

そこで今一度、シャルリーエブド事件を読み直してみたいと思う。


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〈ニュースの窓〉浮上する陰謀説/シャルリー・エブド襲撃事件

パリで起きたシャルリー・エブド紙襲撃事件は残酷な「イスラム過激派によるテロ」として、
「表現の自由を守る西側」と対峙された。だが、数々の重大な疑問が浮上している。


公式報道による事件の概要

1月7日、パリ市内にある風刺週刊誌を発行しているシャルリー・エブド本社に
覆面をした複数の武装した犯人が襲撃し、警官2人や編集長、風刺漫画の担当者や
コラム執筆者ら合わせて12人を殺害、9日には別の襲撃犯がユダヤ系スーパーマーケットで
人質をとって立てこもり4人が犠牲となり、襲撃犯は計3人が射殺されたとされる事件が発生した。

犯人は自動小銃AK-47で武装し、相当な軍事訓練を受けたプロのようだったと報じられた。
フランス政府は「表現の自由」、「団結」を叫び、断固テロとたたかうことを宣言、
世界からは約40カ国の指導者、政府高官らが終結し「デモ行進」した。

数多い矛盾と疑問点

だが、不審な点や疑問は数多い。第一に、2人の犯人が使用したとされる車には
彼等の身分証明書が残されていたという点だ。とうてい「プロ」がやることではない。
9.11事件で無傷のパスポートが倒壊したビルの残骸の中から見つかったことを思い起こさせる。
また、車を運転したとされる18歳の少年が完璧なアリバイがあるとして
自首した事実を欧米メディアのほとんどが報じなかった。少年は事件とは無関係だった。

第二に、本事件の捜査を担当した司法警察の幹部が不可解な「自殺」を遂げた。
だが、この重大なニュースを主要メディアは報道しなかった。
警察当局は彼が「鬱病」あるいは「燃え尽き症候群」を患っていたと説明した。
そんな人物を事件の根幹に関わる捜査の責任者に任命するはずがない。

第三は、襲撃犯が路上でロシア製の自動小銃AK-47で2人の警官を射殺したとされる
現場の様子を鮮明に捉えた動画にある。当局もメディアも、路上に横たわっている
1人の警官に「犯人」が駆け寄りながら「とどめを刺す」一発を頭に撃ったと発表した。

だが、ユーチューブに載った初期の動画を観ると、明らかに銃弾は当たっていないし、
数十センチも離れた路面から白い煙が出ているのがはっきりわかる。空砲である。

もしも破壊力の強い実弾が至近距離で頭に命中すれば吹っ飛ぶか、大量の血が出る。
しかし、実際は一滴も血が出ていない。また、もう1人の死んだはずの警官は
こっそりスマホをポケットから取り出して「自分撮り」してまた動きを止めている。

この動画を観て不審に思ったあるフリージャーナリストは、
現場にはないはずの大量の「血痕」のようなものが「残され」、
囲いがしてあると伝えながら、不自然さを強調した。また、その動画は後にほぼ抹消された。

一部残っているものは編集されていて、「射殺された」瞬間が「残酷」だとしてぼかしが入っている。

最後に、世界のリーダーたちが何十万人もの「怒れるデモ隊」の先頭に立ってスクラムを組んで
行進しているように見える場面があるが、実際には彼等の後ろには誰もいなかった。
完全な演出だったのである。ドイツのメディアが暴露して判明した。

http://chosonsinbo.com/jp/2015/02/sinbo-j_150223-2/
(朝鮮新報2月21日の記事より)
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今になって思えば、シャルリーエブド事件では、事件の真相解明、つまり、
誰がなぜ、どのように計画を練ったものなのかを解明することよりも、
この事件を政治や軍事に最大限に利用することのほうが優先されてしまった
のではないだろうか。

本来なら事件の背景として存在する欧米内でのムスリム差別や
シリア・イラクをはじめとする旧植民地国に対する旧宗主国の軍事・政治干渉についても
内外の研究者を交えて、きちんと議論を重ね、特に後者については戒めるべきだった。

そのツケが数ヵ月後の今になって回ってきている気がする。
先の地方選挙における国民戦線の健闘は、その良い象徴と言えるだろう。

すなわち、シャルリーエブド事件を通じて
フランス国内に蔓延するイスラモフォビアを撲滅する機会があったはずなのに、
これといった対策が練られなかった結果、極右政党の大幅な躍進を許してしまった。

「暴力の根底には社会の差別がある」という重大な命題を見逃してしまった。
 このことは大いに反省してしかるべきだし、今からでも遅くはないはずだと思われる。


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真の自由

年始から衝撃のニュースが世界を駆け巡った。
フランスの新聞社「シャルリ・エブド」襲撃により、17人の犠牲者が出た。
言論を暴力で弾圧し、人々を殺害した残虐行為に怒りを禁じえない

▼事件後、フランスでは「言論の自由」を守るデモが拡散。
 しかし、イスラム教関連施設に対する襲撃が相次ぎ、イスラム寄りの発言が
「テロ擁護」として抑圧されている。極右政党が支持率を大きく伸ばす一方、
 ドイツなどではイスラム社会との融和や難民の受け入れ拡大を求めるデモも行われているという

▼同紙は14日、事件後初めて発売した紙面の表紙にイスラム教の預言者・ムハンマドの風刺画を描いた。
 欧州メディアの多くがこのことを報じつつも、風刺画自体の掲載は見送った。
 暴力には反対するが、相手を傷つける風刺にも反対する姿勢だ

▼短絡的で偏重な風刺は人種差別を助長する。
 同紙の風刺画の中には、中傷、侮辱、嘲笑にしか感じ取れない下劣な作品も少なからずあった。
 言論に、人を傷つけ、貶める自由など認められない

▼一国の指導者へのテロをテーマにした映画が外交関係よりも重んじられ、
「朝鮮人を殺せ」という暴言が警察の保護の下に白昼堂々叫ばれる、
 そんな無分別な「自由」を盾に、異民族、異文化、異教徒に
 自分たちの価値観を押し付ける傲慢さを看過できない。
 違いを認める寛容、相手を思いやる尊重こそが憎悪の連鎖を断ち、自由を守ることになる。

http://chosonsinbo.com/jp/2015/01/il-480/
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上の文章は朝鮮新報のコラムから引用したものだが、
シャルリーエブド事件を単に向こう側の問題として片付けてしまうのではなく、
こちら側の問題(言論の自由の名の下、差別が看過される問題)として扱った良い記事だと思う。

デイリーNKおよび同紙編集長の高英起氏によれば、朝鮮新報は北朝鮮の別働隊であり、
北朝鮮当局が総連本部、朝鮮新報本社、同紙記者との綿密な打ち合わせの上で記事を作成するそうだ。
(http://dailynk.jp/archives/32149/2)

「これらの記事はいずれも、記者個人の自由な裁量で書かれているわけではない。
 北朝鮮当局と朝鮮総連本部、朝鮮新報本社、現地記者が綿密な打ち合わせの上で
 作成しているのであり、言わば北朝鮮の準公式メッセージなのだ。」(by高英起氏)


高氏本人は
「今年1月にフランスの週刊新聞シャルリー・エブドが襲撃された際には、
 なぜかテロリストよりも米国を猛非難する記事を掲載した」と否定的に評価しているが、
仮に朝鮮新報の記事が北朝鮮政府、総連本部にチェックされ、準公式メッセージとして
発信されているとすれば、なかなか北朝鮮は本質を突く能力を持っていると評せざるを得ない。