池上彰さんを脅迫容疑、無職男を逮捕
「抹殺しなければならない」とメール
合法詐欺師の池上彰氏に殺害予告のメールを
送った男性が逮捕されたようである。
殺害予告という行為自体は噴飯物だが、
池上氏が嘘をついていることは間違いではない。
映像でチラリ(1~2秒くらい?)と見えたのだが
どうもウクライナ情勢についての同氏の説明が不服だったらしい。
https://www.mainichi.jp/feature/maisho/etc/about/pdf/ikegami.pdf
2014年3月27日付の毎日小学生新聞に掲載された
池上氏の記事を見ながら検討してみよう。
この記事の冒頭では
住民がロシアへの帰属を宣言、
これをロシアが承認「してしまった」と説明されているが
記事の最後では
「ロシアが派兵して併合した」と別のことが語られている。
この時点ですでに
同氏の説明が矛盾していることがわかるが、
気になる点を以下、3点挙げてみたい。
①クリミア半島→× クリミア自治共和国→〇
まず気になるのが記事では一貫して
「クリミア半島」と説明されており、
冷戦終結後から存在する
クリミア自治共和国という小国家について一切、触れていないことだ。
-----------------------------------------------------
ロシアもこれを支援する構えを見せたが、
当時ロシアはチェチェンの独立を阻止するために 軍事弾圧をしていたのに、
ウクライナからのクリミア独立をそそのかすのでは立場が矛盾すると非難され、
結局この時もクリミア共和国を正式に承認することはせず、
95年3月にウクライナはクリミアへの武力介入を構えを見せつつ、
大統領と独自憲法を廃止させ、クリミアはウクライナの統治下に戻った。
クリミアはウクライナ国内の自治共和国となり、
98年12月にウクライナ政府の承認で新たな憲法が制定された。
ロシアがクリミアに関心を示すのは、
なにも「ロシア人が多いから」ではない。
クリミアには
地中海に睨みを利かせる黒海艦隊の母港が存在するからだ。
ソ連解体で黒海艦隊は
ウクライナ海軍とロシア海軍で分割することになったが、
その具体的な条件についてはなかなかまとまらず、交渉が続いていた。
結局、クリミア半島の海軍基地はロシアが20年間使用できることになり、
基地使用料や艦隊分割にあたってウクライナから艦船を購入する費用は、
ロシア がウクライナへ供給した天然ガスの債務で帳消しとなった。
つまりロシアは現金を払わずに
クリミアの基地と艦隊を手にすることができたわけだが、
クリミア独立にロシアが支援をちらつかせることは、
交渉を有利に進めるためのカードになった。
~中略~
94年の大統領選に敗れたバハロフは、
政界を引退して本業の地理学教授として大学の学長などを務めている。
一方で大統領を失職させられたメシコフは、
その後ロシアへ渡りモスクワで大学教授をしていたが、
2011年にクリミアへ戻り、
独立憲法復活のための住民投票の実施を呼び掛けたところ、
ウクライナ政府から強制退去を命じられている。
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Lake/2917/syometsu/crimea.html
-----------------------------------------------------
出来れば全文を読んでもらいたいが、
要所だけ抜き出して説明すると
冷戦終結直後から同地域では独立運動が続いており、
14年のウクライナからの離脱もこの流れに沿ったものであった。
-----------------------------------------------------
2013年11月、首都キエフで、所謂「マイダン」が始まり、
クリミアは、これに抗議の反応を示した。
セヴァストーポリでは実際すぐに、EUへの統合に反対し、
関税同盟に賛成する「69番書簡」が現れ、町を代表する人々がこれに署名した。
その後、組織されたのが社会運動体「レスプーブリカ(共和国)」である。
2014年2月、キエフで国家クーデターが起こった。
セヴァストーポリとクリミアは、
そうしたできた自称ウクライナ当局の合法性を認めなかった。
セヴァストーポリの中心広場、
ナヒーモフ提督広場では2月23日(ロシアにおける祖国防衛者の日)、
集会が開かれ、自分達の市長としてアレクセイ・チャルィ氏を選出した。
同じく23日の夕方、義勇軍の組織が開始され、
クリミア北部境界線防衛のために、セヴァストーポリの特務部隊「ベルクート」が前面に出た。
彼らは前日「民族主義のウイルス」が蔓延したキエフから戻ったばかりだった。
こうして、まさに「祖国防衛者の日」、クリミアではロシアの春が始まったのだ。
ウクライナ軍は、サバイバルを図り,
軍人達は、参謀本部やセヴァストーポリ郊外のベリベク軍事飛行場に立てこもった。
キエフからは、武装したナショナリストで満員の「友情列車」を送るとの脅迫があった。
集会に参加していた一般の人々は日一日と増えて行ったが、
ロシアが今後どういった措置をとるのか、
知らなかったし確信を持って知ることはできなかった。しかし彼らは信じていた。
セヴァストーポリに続き、シンフェローポリでも26日、集会が開かれた。
そして27日、クリミア最高会議の建物に、ロシアの三色旗が翻ったのだった。
続きを読む: https://jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/2015_03_17/283374969/
-----------------------------------------------------
以上のようにクリミア自治共和国の離反は
EUへの統合の動きを巡る数か月間の対立を背景に
引き起こされたもので、通常なら「内戦」と表現されるものである。
ウクライナ本国が推し進める
公共料金の値上げ、社会福祉の縮小、
国内炭鉱の閉山および外国産石炭の輸入といった
新自由主義的な中央政府の政策を否とはねつけるものだった。
池上氏の記述ではこの点に関する説明が一切ない。
----------------------------------------------------
ウクライナ南東諸地域党の党大会がハリコフで行われ、
議員たちは、キエフに憲法秩序が回復されない間は、
クリミア自治共和国およびセヴァストーポリが全権力を握る、
との提案を支持した。
続きを読む: https://jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/2014_02_22/129049289/
----------------------------------------------------
カナダからのケベック独立。
スペインにおけるカタルーニャ独立運動。
イギリスのウェールズ分離運動。
中国と台湾との相克。
ウクライナとクリミアも
このような本国と国家内国家との対立として
描かれるはずのものだが、なぜか同氏はこの点は無視する。
---------------------------------------------------
ウクライナのクリミア自治共和国議会は、
同自治共和国の今後を決める全クリミア住民投票を実施することを決めた。
クリミア議会議長団の住民向けメッセージには次のように記されている。
「ウクライナは完全なるカオス、専制、経済的崩壊に落ち込もうとしている。
こうした状況を受け、クリミア最高議会は、クリミアの命運について全責任を引き受ける」
「全クリミア国民投票の実施によって自治共和国のステータスを向上させ、
その権力を増大させることによってのみ、自治共和国は外部からの圧力や指導なしに、
自らの力によって、自治共和国の命運を定めることが出来ると確信している」
続きを読む: https://jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/2014_02_27/129237633/
---------------------------------------------------
このようにクリミア自治共和国の独立は
地方政府による公式の宣言だった。
池上氏が説明するような形のない世論ではない。
よって、通常ならば
クリミア自治共和国議会が独立を宣言したが、
これをロシア連邦が承認した
と書くべきところである。
池上氏は、あたかも自治共和国など
存在しないかのように説明をするので、
この問題が
元々はロシア帝国の領土であり、
スラブ系民族が多く暮らすクリミア自治共和国が
ウクライナとロシア、どちらの国家に属するかを巡って
起きた争いだとは気づかないのではないだろうか?
②国民の反対運動→× 武装組織の蜂起→〇
池上氏は「国民の反対運動」の結果、
反ロシア政権が誕生したと説明しているが、
実際には、上のような国粋主義者を先頭にした
武相組織の蜂起によって政権は崩壊した。
この時点では大統領職は空位であり、
「新政権」であるポロシェンコ政権は5月に誕生することになる。
この暫定政権は選挙によるものでもなかったし、
住民投票によって承認もされていない。
つまり、武力革命あるいはクーデターと呼ばれるものだったのだが、
池上氏はなぜか国民の総意による民主的な運動であったかのように
ぼかして表現している。
そのため、この時点で国内が
政治的に分裂状態だったことが読者には伝わってこない。
ウクライナの一般的国民のファッション(池上視点)
③そもそもロシアは軍を派遣していない
----------------------------------------------------
2月26日、ロシア大統領および最高指揮官である
ウラジーミル・プーチンの命令により、
西部軍管区および中央軍管区では黒海地域での大規模軍事演習が始まった。
ドミトリー・ペスコフ大統領報道官は、
「大規模な抜き打ち演習である。」としており、
約15万人の将兵、90機の航空機、120機以上のヘリコプター、
約880台の戦車、80隻の艦艇が参加している。
続きを読む: https://jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/2014_02_27/129219105/
----------------------------------------------------
----------------------------------------------------
ロシア上院におけるロシア大統領公式代表である
グリゴリイ・カラスィン外務次官は、マスコミ取材に対し
「ウクライナでロシア連邦軍を利用する事に上院は同意したが、
これは、大統領によってすぐにその権利が行使されるであろうことを
意味するものではない」と伝えた。
続きを読む: https://jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/2014_03_01/129306849/
----------------------------------------------------
時系列順に並べると
クリミア自治共和国、ウクライナからの独立を決意
住民投票の実施を宣言
↓
ロシア政府、自軍の派遣を決定
となっており、
池上の「軍を送って占領した」という説は時間的に成り立たない。
このロシア軍の占領という妄想はどこから来たのだろうか。
----------------------------------------------------
クリミアは、黒海に突き出た半島部に位置する
ウクライナの余り大きくない一地域で、現在、革命的な暴力の波の渦中にある。
現地の秩序を維持しているのは住民達自身で、
警察が、住民らによる自衛団を援助している。
最高会議の建物の前には、再び何千もの人々が集まり、
男性達は、自衛団への入団署名を行っている。
一方議会では、議員達が、新たな政府を準備中だ。
こうしたすべての事は、ウクライナの首都キエフで
権力を奪取した勢力の側からの強力な圧力という条件下で生じており、
クリミア議会のほぼすべての議員達、そして彼らの子供達にまで、脅迫電話がかけられた。
暴力によるシナリオを許さないため、自衛団は、
クリミア最高会議を自らのコントロール下に置き、内部に立てこもった。
現在中に入れるのは、議員達のみである。
シンフェローポリ空港も昨夜、
どこの所属か明らかでない軍服を着た人々によりコントロール下に置かれた。
おそらく彼らも、クリミア自衛団のメンバーであると思われる。
彼らは、自分達の目的は、
外部からの戦闘員のクリミア入りを防ぐ事にあるとしている。
続きを読む: https://jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/2014_03_01/129286472/
----------------------------------------------------
----------------------------------------------------
シンフェローポリ、セヴァストーポリ、ケリチ、
エフパトリヤの住民たちは、ロシア国旗やロシアのアンドレイ海軍旗を掲げ、
クリミア半島のステータスをめぐる住民投票の実施を要求している。
多くの人々が、クリミアのロシアへの編入、
ないしは独立への願いを、公言している。
「マイダン」のシンパを公言する人の姿は、クリミアには見つけることが出来ない。
一方、マイダンによって退位させられたヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領も、
人気を得ているとはいえない。
クリミアでは公然と、彼は裏切り者であると非難されている。
民衆はすでに新たな指導者の擁立に動いている。
中でも特に著名な人物は、セヴァストーポリ新市長アレクセイ・チャールィイ氏だ。
同時並行で、新たな自治機構の創設も進められている。
自衛部隊、「ロシア・ブロック」というグループ、
その他の組織がミーティングに参加し、治安の維持にあたりつつ、
重要拠点への通路を閉鎖している。そうした勢力のひとつに、
上に述べた「礼儀正しい人々」も含まれる。
クリミア自衛部隊および地元「ベルクート」は、
<「マイダン」政府>内務省のアヴァコフ大臣の解散命令に従わず、
右翼セクター武闘派その他ウルトラナショナリストらの攻撃に備え、
クリミアの防備に当たっている。
続きを読む: https://jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/2014_03_01/129292066/
----------------------------------------------------
恐らく、2月末にクリミアに出現した武装集団のことを指しているらしい。
この武装集団がロシア軍だという証拠はないし、
ベルクート部隊という特務部隊と共にキエフから来たらしいから
軍あるいは警察から流れてきた過激派ではないかと私は考えている。
繰り返すが、この時点でロシアは軍を派遣していないし、
半島内に前から駐屯していたロシア軍も軍事演習こそしているが、
直接、ウクライナ軍に対して何らかの攻撃をしていない。
池上氏の説は、武装集団はロシアの覆面兵に違いない、
ロシア軍が各地を占領したに違いないという思い込みを
前提にしたもので、妄想の範疇を越えないと言えるだろう。
以上、検討を行ってみたが、
端的に言えば、彼の記事は、通常なら内戦として書くべきものを
占領として描いているので矛盾や間違い、妄想が非常に多い。
例えば、記事ではプーチン大統領が
軍事的懸念から占領したのだと説明されているが、
そのような思惑をいったい、どうやって知りえたのだろうか?
公式の場では独立を支援する形を取っているし、
ロシア軍の派遣を決定した際にも地元住民の安全確保のため
と語っている。
どこぞの評論家や新聞記事の「意見」を
「事実」として歪めて書いている印象を受ける。
軍事的思惑から干渉した「に違いない」が
軍事的思惑から干渉したとすり替えて説明がされている。
武装集団も同様で
ロシア軍「と思わしき」武装集団が「各施設」を「占拠」ではなくて
ロシア軍が各地を「占領」したのだと説明をする。
このように自己の主張を通すために事実をねつ造する人物が
これから時事問題を勉強しようとする純真無垢な児童に
ニュースを解説して聞かせるのは甚だ恐怖ではないだろうか?
今回紹介した記事がその辺の新聞記事あるいは
Wikipediaの内容をパッチワークして書いたのかどうか私は知らない。
だが、少なくとも彼が以前からクリミアでは激しい独立運動が展開されていた
という歴史に対して無知であることは確かだろう。
このようなジャーナリストの風上にもおけない人間に
義憤を覚えたのであれば、殺害予告などせずに
徹底的に言論を通じて、彼の間違いを暴露すべきだった。
問題の男性は2ちゃんねるにも書き込みをしていて
それらを読む限りではふざけているようにしか見えなかった。
なぜキエフの武装蜂起は「国民の反対運動」と表現され、
クリミアの独立運動は「ロシア軍の占領」と書かれるのか。
この疑問を叩きつけるだけでも意義はあるはずだ。
(私は池上がこのような的外れで
結果的に出鱈目な内容を書いてしまうのは
①ウクライナ中央政府・日本政府の見解をなぞっただけだから
②ロシアの侵略戦争だという認識を前提に論を展開しているから
③国家内の対立を国家間の争いとして
無理やり解釈する悪癖があるから
ではないかと考えている。
そういう意味では、
沖縄の基地反対運動を中国や北朝鮮の工作員による
日本政府転覆運動と解釈するネトウヨと大差ないレベルである。
つまり、陰謀論以上の何物でもない)
「抹殺しなければならない」とメール
合法詐欺師の池上彰氏に殺害予告のメールを
送った男性が逮捕されたようである。
殺害予告という行為自体は噴飯物だが、
池上氏が嘘をついていることは間違いではない。
映像でチラリ(1~2秒くらい?)と見えたのだが
どうもウクライナ情勢についての同氏の説明が不服だったらしい。
https://www.mainichi.jp/feature/maisho/etc/about/pdf/ikegami.pdf
2014年3月27日付の毎日小学生新聞に掲載された
池上氏の記事を見ながら検討してみよう。
この記事の冒頭では
住民がロシアへの帰属を宣言、
これをロシアが承認「してしまった」と説明されているが
記事の最後では
「ロシアが派兵して併合した」と別のことが語られている。
この時点ですでに
同氏の説明が矛盾していることがわかるが、
気になる点を以下、3点挙げてみたい。
①クリミア半島→× クリミア自治共和国→〇
まず気になるのが記事では一貫して
「クリミア半島」と説明されており、
冷戦終結後から存在する
クリミア自治共和国という小国家について一切、触れていないことだ。
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ロシアもこれを支援する構えを見せたが、
当時ロシアはチェチェンの独立を阻止するために 軍事弾圧をしていたのに、
ウクライナからのクリミア独立をそそのかすのでは立場が矛盾すると非難され、
結局この時もクリミア共和国を正式に承認することはせず、
95年3月にウクライナはクリミアへの武力介入を構えを見せつつ、
大統領と独自憲法を廃止させ、クリミアはウクライナの統治下に戻った。
クリミアはウクライナ国内の自治共和国となり、
98年12月にウクライナ政府の承認で新たな憲法が制定された。
ロシアがクリミアに関心を示すのは、
なにも「ロシア人が多いから」ではない。
クリミアには
地中海に睨みを利かせる黒海艦隊の母港が存在するからだ。
ソ連解体で黒海艦隊は
ウクライナ海軍とロシア海軍で分割することになったが、
その具体的な条件についてはなかなかまとまらず、交渉が続いていた。
結局、クリミア半島の海軍基地はロシアが20年間使用できることになり、
基地使用料や艦隊分割にあたってウクライナから艦船を購入する費用は、
ロシア がウクライナへ供給した天然ガスの債務で帳消しとなった。
つまりロシアは現金を払わずに
クリミアの基地と艦隊を手にすることができたわけだが、
クリミア独立にロシアが支援をちらつかせることは、
交渉を有利に進めるためのカードになった。
~中略~
94年の大統領選に敗れたバハロフは、
政界を引退して本業の地理学教授として大学の学長などを務めている。
一方で大統領を失職させられたメシコフは、
その後ロシアへ渡りモスクワで大学教授をしていたが、
2011年にクリミアへ戻り、
独立憲法復活のための住民投票の実施を呼び掛けたところ、
ウクライナ政府から強制退去を命じられている。
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Lake/2917/syometsu/crimea.html
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出来れば全文を読んでもらいたいが、
要所だけ抜き出して説明すると
冷戦終結直後から同地域では独立運動が続いており、
14年のウクライナからの離脱もこの流れに沿ったものであった。
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2013年11月、首都キエフで、所謂「マイダン」が始まり、
クリミアは、これに抗議の反応を示した。
セヴァストーポリでは実際すぐに、EUへの統合に反対し、
関税同盟に賛成する「69番書簡」が現れ、町を代表する人々がこれに署名した。
その後、組織されたのが社会運動体「レスプーブリカ(共和国)」である。
2014年2月、キエフで国家クーデターが起こった。
セヴァストーポリとクリミアは、
そうしたできた自称ウクライナ当局の合法性を認めなかった。
セヴァストーポリの中心広場、
ナヒーモフ提督広場では2月23日(ロシアにおける祖国防衛者の日)、
集会が開かれ、自分達の市長としてアレクセイ・チャルィ氏を選出した。
同じく23日の夕方、義勇軍の組織が開始され、
クリミア北部境界線防衛のために、セヴァストーポリの特務部隊「ベルクート」が前面に出た。
彼らは前日「民族主義のウイルス」が蔓延したキエフから戻ったばかりだった。
こうして、まさに「祖国防衛者の日」、クリミアではロシアの春が始まったのだ。
ウクライナ軍は、サバイバルを図り,
軍人達は、参謀本部やセヴァストーポリ郊外のベリベク軍事飛行場に立てこもった。
キエフからは、武装したナショナリストで満員の「友情列車」を送るとの脅迫があった。
集会に参加していた一般の人々は日一日と増えて行ったが、
ロシアが今後どういった措置をとるのか、
知らなかったし確信を持って知ることはできなかった。しかし彼らは信じていた。
セヴァストーポリに続き、シンフェローポリでも26日、集会が開かれた。
そして27日、クリミア最高会議の建物に、ロシアの三色旗が翻ったのだった。
続きを読む: https://jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/2015_03_17/283374969/
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以上のようにクリミア自治共和国の離反は
EUへの統合の動きを巡る数か月間の対立を背景に
引き起こされたもので、通常なら「内戦」と表現されるものである。
ウクライナ本国が推し進める
公共料金の値上げ、社会福祉の縮小、
国内炭鉱の閉山および外国産石炭の輸入といった
新自由主義的な中央政府の政策を否とはねつけるものだった。
池上氏の記述ではこの点に関する説明が一切ない。
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ウクライナ南東諸地域党の党大会がハリコフで行われ、
議員たちは、キエフに憲法秩序が回復されない間は、
クリミア自治共和国およびセヴァストーポリが全権力を握る、
との提案を支持した。
続きを読む: https://jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/2014_02_22/129049289/
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カナダからのケベック独立。
スペインにおけるカタルーニャ独立運動。
イギリスのウェールズ分離運動。
中国と台湾との相克。
ウクライナとクリミアも
このような本国と国家内国家との対立として
描かれるはずのものだが、なぜか同氏はこの点は無視する。
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ウクライナのクリミア自治共和国議会は、
同自治共和国の今後を決める全クリミア住民投票を実施することを決めた。
クリミア議会議長団の住民向けメッセージには次のように記されている。
「ウクライナは完全なるカオス、専制、経済的崩壊に落ち込もうとしている。
こうした状況を受け、クリミア最高議会は、クリミアの命運について全責任を引き受ける」
「全クリミア国民投票の実施によって自治共和国のステータスを向上させ、
その権力を増大させることによってのみ、自治共和国は外部からの圧力や指導なしに、
自らの力によって、自治共和国の命運を定めることが出来ると確信している」
続きを読む: https://jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/2014_02_27/129237633/
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このようにクリミア自治共和国の独立は
地方政府による公式の宣言だった。
池上氏が説明するような形のない世論ではない。
よって、通常ならば
クリミア自治共和国議会が独立を宣言したが、
これをロシア連邦が承認した
と書くべきところである。
池上氏は、あたかも自治共和国など
存在しないかのように説明をするので、
この問題が
元々はロシア帝国の領土であり、
スラブ系民族が多く暮らすクリミア自治共和国が
ウクライナとロシア、どちらの国家に属するかを巡って
起きた争いだとは気づかないのではないだろうか?
②国民の反対運動→× 武装組織の蜂起→〇
池上氏は「国民の反対運動」の結果、
反ロシア政権が誕生したと説明しているが、
実際には、上のような国粋主義者を先頭にした
武相組織の蜂起によって政権は崩壊した。
この時点では大統領職は空位であり、
「新政権」であるポロシェンコ政権は5月に誕生することになる。
この暫定政権は選挙によるものでもなかったし、
住民投票によって承認もされていない。
つまり、武力革命あるいはクーデターと呼ばれるものだったのだが、
池上氏はなぜか国民の総意による民主的な運動であったかのように
ぼかして表現している。
そのため、この時点で国内が
政治的に分裂状態だったことが読者には伝わってこない。
ウクライナの一般的国民のファッション(池上視点)
③そもそもロシアは軍を派遣していない
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2月26日、ロシア大統領および最高指揮官である
ウラジーミル・プーチンの命令により、
西部軍管区および中央軍管区では黒海地域での大規模軍事演習が始まった。
ドミトリー・ペスコフ大統領報道官は、
「大規模な抜き打ち演習である。」としており、
約15万人の将兵、90機の航空機、120機以上のヘリコプター、
約880台の戦車、80隻の艦艇が参加している。
続きを読む: https://jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/2014_02_27/129219105/
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ロシア上院におけるロシア大統領公式代表である
グリゴリイ・カラスィン外務次官は、マスコミ取材に対し
「ウクライナでロシア連邦軍を利用する事に上院は同意したが、
これは、大統領によってすぐにその権利が行使されるであろうことを
意味するものではない」と伝えた。
続きを読む: https://jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/2014_03_01/129306849/
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時系列順に並べると
クリミア自治共和国、ウクライナからの独立を決意
住民投票の実施を宣言
↓
ロシア政府、自軍の派遣を決定
となっており、
池上の「軍を送って占領した」という説は時間的に成り立たない。
このロシア軍の占領という妄想はどこから来たのだろうか。
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クリミアは、黒海に突き出た半島部に位置する
ウクライナの余り大きくない一地域で、現在、革命的な暴力の波の渦中にある。
現地の秩序を維持しているのは住民達自身で、
警察が、住民らによる自衛団を援助している。
最高会議の建物の前には、再び何千もの人々が集まり、
男性達は、自衛団への入団署名を行っている。
一方議会では、議員達が、新たな政府を準備中だ。
こうしたすべての事は、ウクライナの首都キエフで
権力を奪取した勢力の側からの強力な圧力という条件下で生じており、
クリミア議会のほぼすべての議員達、そして彼らの子供達にまで、脅迫電話がかけられた。
暴力によるシナリオを許さないため、自衛団は、
クリミア最高会議を自らのコントロール下に置き、内部に立てこもった。
現在中に入れるのは、議員達のみである。
シンフェローポリ空港も昨夜、
どこの所属か明らかでない軍服を着た人々によりコントロール下に置かれた。
おそらく彼らも、クリミア自衛団のメンバーであると思われる。
彼らは、自分達の目的は、
外部からの戦闘員のクリミア入りを防ぐ事にあるとしている。
続きを読む: https://jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/2014_03_01/129286472/
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シンフェローポリ、セヴァストーポリ、ケリチ、
エフパトリヤの住民たちは、ロシア国旗やロシアのアンドレイ海軍旗を掲げ、
クリミア半島のステータスをめぐる住民投票の実施を要求している。
多くの人々が、クリミアのロシアへの編入、
ないしは独立への願いを、公言している。
「マイダン」のシンパを公言する人の姿は、クリミアには見つけることが出来ない。
一方、マイダンによって退位させられたヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領も、
人気を得ているとはいえない。
クリミアでは公然と、彼は裏切り者であると非難されている。
民衆はすでに新たな指導者の擁立に動いている。
中でも特に著名な人物は、セヴァストーポリ新市長アレクセイ・チャールィイ氏だ。
同時並行で、新たな自治機構の創設も進められている。
自衛部隊、「ロシア・ブロック」というグループ、
その他の組織がミーティングに参加し、治安の維持にあたりつつ、
重要拠点への通路を閉鎖している。そうした勢力のひとつに、
上に述べた「礼儀正しい人々」も含まれる。
クリミア自衛部隊および地元「ベルクート」は、
<「マイダン」政府>内務省のアヴァコフ大臣の解散命令に従わず、
右翼セクター武闘派その他ウルトラナショナリストらの攻撃に備え、
クリミアの防備に当たっている。
続きを読む: https://jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/2014_03_01/129292066/
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恐らく、2月末にクリミアに出現した武装集団のことを指しているらしい。
この武装集団がロシア軍だという証拠はないし、
ベルクート部隊という特務部隊と共にキエフから来たらしいから
軍あるいは警察から流れてきた過激派ではないかと私は考えている。
繰り返すが、この時点でロシアは軍を派遣していないし、
半島内に前から駐屯していたロシア軍も軍事演習こそしているが、
直接、ウクライナ軍に対して何らかの攻撃をしていない。
池上氏の説は、武装集団はロシアの覆面兵に違いない、
ロシア軍が各地を占領したに違いないという思い込みを
前提にしたもので、妄想の範疇を越えないと言えるだろう。
以上、検討を行ってみたが、
端的に言えば、彼の記事は、通常なら内戦として書くべきものを
占領として描いているので矛盾や間違い、妄想が非常に多い。
例えば、記事ではプーチン大統領が
軍事的懸念から占領したのだと説明されているが、
そのような思惑をいったい、どうやって知りえたのだろうか?
公式の場では独立を支援する形を取っているし、
ロシア軍の派遣を決定した際にも地元住民の安全確保のため
と語っている。
どこぞの評論家や新聞記事の「意見」を
「事実」として歪めて書いている印象を受ける。
軍事的思惑から干渉した「に違いない」が
軍事的思惑から干渉したとすり替えて説明がされている。
武装集団も同様で
ロシア軍「と思わしき」武装集団が「各施設」を「占拠」ではなくて
ロシア軍が各地を「占領」したのだと説明をする。
このように自己の主張を通すために事実をねつ造する人物が
これから時事問題を勉強しようとする純真無垢な児童に
ニュースを解説して聞かせるのは甚だ恐怖ではないだろうか?
今回紹介した記事がその辺の新聞記事あるいは
Wikipediaの内容をパッチワークして書いたのかどうか私は知らない。
だが、少なくとも彼が以前からクリミアでは激しい独立運動が展開されていた
という歴史に対して無知であることは確かだろう。
このようなジャーナリストの風上にもおけない人間に
義憤を覚えたのであれば、殺害予告などせずに
徹底的に言論を通じて、彼の間違いを暴露すべきだった。
問題の男性は2ちゃんねるにも書き込みをしていて
それらを読む限りではふざけているようにしか見えなかった。
なぜキエフの武装蜂起は「国民の反対運動」と表現され、
クリミアの独立運動は「ロシア軍の占領」と書かれるのか。
この疑問を叩きつけるだけでも意義はあるはずだ。
(私は池上がこのような的外れで
結果的に出鱈目な内容を書いてしまうのは
①ウクライナ中央政府・日本政府の見解をなぞっただけだから
②ロシアの侵略戦争だという認識を前提に論を展開しているから
③国家内の対立を国家間の争いとして
無理やり解釈する悪癖があるから
ではないかと考えている。
そういう意味では、
沖縄の基地反対運動を中国や北朝鮮の工作員による
日本政府転覆運動と解釈するネトウヨと大差ないレベルである。
つまり、陰謀論以上の何物でもない)