時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

日米韓の北朝鮮ミサイル実験に対する茶番

2016-05-01 00:28:09 | 北朝鮮
一昨日頃から北朝鮮の弾道ミサイル発射実験に対して、日米韓各政府から非難の声が挙がっている。

------------------------------------------------------
日本政府は、北朝鮮に対し、弾道ミサイル技術を使用した
あらゆる行動を禁止した国連安全保障理事会決議の遂行を求めてゆく考えだ。

金曜日、岸田外相は、中国公式訪問を前に行われた東京での記者会見で、こうした立場を明らかにした。


北朝鮮の核ミサイルプログラムに関する問題は、
岸田外相と中国指導部との交渉において重要なテーマになると見られている。

岸田外相は「北朝鮮によるミサイル発射は受け入れられない。
米韓と協力し、我々は、北朝鮮に対し、自制と国連安全保障理事会決議の遂行を求めてゆく」と述べた。

また外相は「現在日本政府は、どのような状況になっても、
それに向けた準備をしており、北朝鮮の行動に関する情報を詳しく収集し分析している」と付け加えた。

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は、ウォンサン港付近で、
移動型弾道ミサイル「ムスダン」2発(射程2500から4000キロと見られる)を発射したが、
打上げは失敗に終わった。ミサイルは、数秒飛行した後、レーダーから姿が消えた。

http://jp.sputniknews.com/asia/20160429/2047137.html
------------------------------------------------------

一言でいえば、これは茶番以外の何物でもない。

なぜ言い切れるのか?
それを知るためには、この前後で北朝鮮が何を提言していたのかを把握する必要がある。



------------------------------------------------
北朝鮮、核実験停止の条件を示す

2016年04月24日

米国と韓国が軍事演習を停止すれば北朝鮮は核実験を停止する。
北朝鮮外相イ・スヨン氏が述べた。AP通信が土曜報じた。


朝鮮半島での核軍事演習を停止してほしい。
 そうすれば私たちも核実験を停止する
」という。


国には抑止手段としての核兵器を持つ権利があり、それが制裁に左右されることはない、
と大臣は強調。核兵器の開発は米国に促されたことだ、と改めて述べた。

これは西側メディアが北朝鮮の閣僚に行った最初のインタビューであるという。


http://jp.sputniknews.com/world/20160424/2017820.html
------------------------------------------------

何のことはない。米韓合同軍事演習を中止してくれれば、
核実験を停止すると北朝鮮のほうから提案されていた
のである。一週間も前から。



では、この提案に対してアメリカと韓国はどのような態度を取ったのだろうか?
次の記事を読んでみよう。



----------------------------------------------
韓国、核実験停止に向けた北朝鮮の提案を拒否



韓国が、核実験の停止に関する北朝鮮の提案と条件を拒否しました。

北朝鮮のリ・スンヨン外務大臣は、23日土曜、アメリカ・ニューヨークで、
北朝鮮は米韓合同軍事演習の実施を停止する場合、核実験を停止する用意があるとしました。

韓国・ヨンハプ通信によりますと、韓国統一省のチョン・ジュンヒ報道官は25日月曜、
北朝鮮の核実験停止の条件は、
北朝鮮への制裁行使に向けた各国の努力を逸脱させるため提案されたとしました。

アメリカのオバマ大統領も、
アメリカ政府は北朝鮮の提案を真に受けておらず、北朝鮮の態度の改善が良作だ」と語りました。

韓国国防省の報道官も、25日、
「北朝鮮は5度目の核実験を軍の創設記念日にあわせて行う可能性がある。
 このため、韓国の全軍と政府は警戒態勢を取っている」としました。

北朝鮮は1月6日、2006年から4度目にあたる、水爆実験と称する核実験を行いました。
北朝鮮はまた、核弾頭を小型化し、それを弾道ミサイルに取り付ける技術を獲得したとしています。

http://parstoday.com/ja/news/world-i6859
----------------------------------------------

北朝鮮の条件自体は10年以上前から何度も提示されているものだ。
その都度、韓国とアメリカは北朝鮮の無条件の非核化を要求し、拒絶している。


要するに、非核化に向けての協議は今すぐ始められるのに、
それを毎回、「信用ならない」と言って、話すら聞こうとせず、
軍事威嚇と経済制裁を続けているのはどこの国だということだ。


(ちなみに、信用云々を言えば、そもそもアメリカが約束通りに
 発電用の原子炉建設を認めてくれれば北朝鮮が核を持つこともなかった)


北朝鮮「朝鮮半島での核軍事演習を停止してほしい。
 そうすれば私たちも核実験を停止する


韓国「制裁行使に向けた各国の努力を逸脱させようとしている」
アメリカ「北朝鮮の態度の改善が良作だ」




北朝鮮「演習を中止しないならこのまま核実験を続ける」
韓国&北朝鮮「貴様ぁあああああああっっ‼」



~その後の米韓両大統領のコメント~

朴槿恵「北朝鮮が新たな核実験を行った場合、北朝鮮には未来がない!」



オバマ
「北朝鮮は予測不可能!
 金正恩氏はかなり無責任‼」







話し合いに応じないくせに、向こうが諦めて目には目にをと応戦すると大騒ぎする。
これを茶番と言わずに何と言えば良いのだろうか?


このような米韓の武力と経済力にまかせた強硬策こそが朝鮮半島を不安定にさせている。

イランラジオ改め、ParsTodayのガッファーリー解説員の論説を以下に紹介しよう。

--------------------------------------------------------------
北朝鮮のミサイル実験

北朝鮮が、潜水艦発射弾道ミサイルの実験は大きな成功だとしました。

ガッファーリー解説員

韓国の情報筋が認めている報告によれば、
北朝鮮は23日土曜、日本海の海上で、潜水艦発射弾道ミサイルを発射しました。

この行為は、韓国の深刻な懸念を招いています。
北朝鮮のキムジョンウン第一書記は、
「弾道ミサイル実験の成功は、北朝鮮海軍の作戦能力の強化を大幅に促すものとなる」
と語りました。

フランスとイギリスは、アメリカと共に、北朝鮮に対する制裁の強化を求めました。
フランス外務省の報道官は、声明の中で、「もし北朝鮮の行動が事実であれば、
それは国連安保理決議への違反と見なされ、同国に対してさらに厳しい制裁を行使する必要がある」
としました。

イギリスも、アメリカに遅れを取るまいと、
北朝鮮の行動を強く非難し、それを地域の情勢を不安定にするためのものだとしています。


イギリスのハモンド外務大臣はこれについて、
「イギリス政府は、国連やEUを通じて、北朝鮮に厳しい反応を示すための行動を取るだろう」
と語りました。

一部の政治アナリストは、
「北朝鮮は、潜水艦発射弾道ミサイルの実験により、
アメリカを筆頭とする世界の資本主義勢力の脅迫、警告、制裁を恐れていないことを示した」
と語っています。北朝鮮は、一連の厳しい制裁を前に、その立場を変更すると見られていました。
そしてそれは、アメリカと、アジアやヨーロッパのその同盟国にとって好ましい状況をなるはずでした。

北朝鮮は、以前に何度も、アメリカの脅迫や不当な要求が、北朝鮮の核保有を招いたと語ってきました。

現在も北朝鮮は、アメリカによるアジアでの軍事拡張主義や敵対政策が
アジアを最も危機的な地域にしていると考えています。北朝鮮の政治家によれば、アメリカは、
帝国主義の教えにより、完全にアメリカの利益、北朝鮮の損害になるような協定を結ぼうとしています。

実際、北朝鮮は、世界におけるアメリカの軍事的な覇権主義、
不当な要求、野蛮な行動を証明する必要はありません。


アメリカは、1901年から2007年までの間に、
世界の65カ国を攻撃し、自分たちを世界の警察だと考えています。

しかし、地域や世界の世論は、しばらく前から、
アメリカが博愛主義と人権擁護を口実にした干渉政策により、
他国への軍事的、非軍事的な介入を正当化している
ことを知っています。

北朝鮮の高官は、もし北朝鮮が常に脅威や敵対に晒されれば、
南北朝鮮だけでなく、世界にとって、悲劇的な結果を招くことになるとしています。

そのため、もしアメリカが、地域に平和と安定を確立しようとしているのなら、
その第一歩は、アメリカ自身が敵対政策や軍事演習をやめることです。


中立的な立場のアナリストは皆、アメリカと韓国の定例軍事演習の中止は、
緊張緩和と対話に向けた歩みになると考えています。その場合、明らかに北朝鮮も、
同じ方法によってそれに応えなければなりません。アメリカが、北朝鮮は
協議の前に核活動を停止すべきだという主張を繰り返すのなら、対立が続くことになるでしょう。

http://parstoday.com/ja/news/world-i6808
-----------------------------------------------


「中立的な立場のアナリストは皆、アメリカと韓国の定例軍事演習の中止は、
 緊張緩和と対話に向けた歩みになると考えています。」

つまり、双方が危険行為を自粛することをロシア・中国・イラン・北朝鮮、
いわゆるアメリカの経済制裁や軍事力に威嚇の被害にあっている国は求めている。

これに対して、アメリカや韓国の戦争屋たちはどう反応しているのだろうか?
問うまでもない。


韓国大統領:北朝鮮が新たな核実験を行った場合、北朝鮮には「未来がない」

オバマ大統領-北朝鮮は予測不可能、金正恩氏はかなり無責任


協議の意志を一切持たず、武力による威嚇を続け、経済制裁という名の妨害工作に固執する。

別に無視するのは構わないが、話し合いに応じないくせに自分のことは棚に上げ、
「未来がない」「予測不可能」「無責任」と相手を罵倒することだけは勘弁願いたい。


重要なのは、こういう動きに侵略トリオの構成メンバーであるイギリスとフランスも同調していることだ。
この三カ国は、冷戦以降、ことごとく各地の紛争地域に直接的間接的介入を行ってきた。

特にアメリカとイギリスは、ユーゴ・アフガン・イラク・リビアと冷戦終結後、多くの国を滅ぼしてきた。

北朝鮮はアメリカやイギリスを滅ぼせないが、アメリカとイギリスにはそれが出来る。
この点を忘れてほしくはないし、北朝鮮の高官はこのことを意識している。


こういう前後の流れを一切伝えず、
北朝鮮が弾道ミサイルを発射したという事実だけを報道するのはおかしいと思う。

少なくとも、対話を求めているのは北朝鮮であって、
それを無視しているのはアメリカと韓国だ
という肝心の点がうやむやになり、
逆に「国際社会は北朝鮮を説得し続けているのに北朝鮮は聞く耳を持たない」
というストーリーをお茶の間に流し、何も知らない国民を騙すのは良くないことだと思う。


戦時の日本も政府にとって都合の良い記事ばかり量産されて、
何も知らない国民は日本は勝ち続けていると勘違いしたまま敗戦を迎えた。

またしても歴史は繰り返されるのだろうか?一度目は悲劇として。二度目は喜劇として。


最新の画像もっと見る