5月2日、北朝鮮のメディア、労働新聞は次のような論評を掲載した。
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【平壌5月2日発朝鮮中央通信】
日本の執権者がシリアに対する米国の先制攻撃の報が伝わると、
待っていたかのように朝鮮半島の危機説を先頭に立って鼓吹している。
閣僚らも彼を真似て連日、朝鮮半島の危機説を流している。
2日付の「労働新聞」は署名入りの論評で、朝鮮半島の危機説をけん伝している日本の下心は
これを口実にして今まで試みてきた憲法修正を促し、
「自衛隊」の海外派兵にさらに拍車をかけようとするところにあると暴いた。
また、朝鮮半島で戦争が起こることを契機にして
米国から新しい軍需物資注文を受けて、危機に苦しんでいる経済を刺激して
過去の朝鮮戦争時のように黄金の夕立を味わってみようとするところにあると暴露した。
論評は、朝鮮半島で戦争が起こればわれわれを害しようとする者はもちろん、
その後押しをする者も無事でないとし、次のように強調した。
もし、朝鮮半島で核戦争が起こる場合、
米軍の兵站基地、発進基地、出撃基地となっている日本が真っ先に放射能雲で覆われるであろう。
今、日本が本当に自国の利益を考えるなら、
朝鮮半島問題の平和的解決のために努めてこそ当然である。
日本は、世界で初の被爆国として核災難がどんなものかを誰よりもよく知っている。
日本の当局者らは、朝鮮半島でいったん戦争が起これば最大の被害を受けるのは
まさに、日本であるということをはっきり認識して分別のある行動を取るべきである。---
http://www.rodong.rep.kp/en/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2017-05-04-0003
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傍線まで引いて強調したが、この論評の趣旨は
日本政府に対して軍事ではなく外交による解決に尽力せよと問いかけるものだ。
1・日本の脅威を煽る動きは改憲・海外派兵を目論んだものである。
2・仮に戦争が勃発した場合、日本も核の被害から免れることが出来ない。
3・核の被害がどれだけ甚大であるか、被爆国である日本はどの国よりも熟知しているはず。
4・脅威を煽るのではなく、平和的解決へと方向を転換すべきだ。
こういった内容であるが、この文章を日本のメディアが報道するとどうなるのだろうか?
時事通信社の記事を読んでみよう。
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「日本が放射能雲に覆われる」=有事の核攻撃示唆-北朝鮮紙
【ソウル時事】北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞(電子版)は2日付の論評で、
朝鮮半島で核戦争が起きた場合、
「米軍の兵たん、発進、出撃基地になっている日本が真っ先に(核爆発による)放射能雲で覆われる」
と警告し、日本に対する核攻撃を示唆した。
論評は、米朝の緊張が高まる中、日本が「米国の核戦争騒動で漁夫の利を得ようとしている」と非難。
海上自衛隊と米空母「カール・ビンソン」の訓練などを批判し、
「米国の侵略策動に追従しながら無事と考えるのは愚かだ」と強調した。
(2017/05/02-16:24)
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赤文字や太文字で強調した部分が完全に抜け落ちている。
これでは北朝鮮からのメッセージが伝わらない。さながら、戦前の検閲のようである。
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自衛隊の米艦防護や共同訓練は明らかな憲法違反だ!
北朝鮮危機に乗じて安倍政権が進める憲法破壊
朝鮮半島の緊迫はこれまでも何度もあったが、
北朝鮮の標的はもっぱら米国にのみ向けられていた。
過去には、北朝鮮高官が日本に対して、
非公式に「我々の標的は米国であり、日本は関係ない」と伝えていたことが報じられたこともある。
ところが、安倍首相がトランプの姿勢に全面的賛同を示すと、
北朝鮮は一変し、日本への攻撃を口にするようになった。
さらに、自衛隊のカールビンソンとの共同訓練や米艦防護が明らかになると、その態度はエスカレート。
朝鮮労働党の機関誌「労働新聞」は2日付の論評で、
日本を「米国の核戦争騒動で漁夫の利を得ようとしている」
「米国の侵略策動に追従しながら無事と考えるのは愚かだ」と警告し、
「米軍の兵站、発進、出撃基地になっている日本が真っ先に放射能雲で覆われる」と、
日本に対する核攻撃まで示唆しはじめた。
ようするに、安倍政権によって、日本が米朝戦争に巻き込まれる可能性が高まり、
日本国民の生命や財産が脅かされる危険性が増しているのだ。
(http://lite-ra.com/2017/05/post-3130_2.html)
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リベラルを標榜しているはずのリテラの記事でも、
「日本に対する核攻撃を示唆しはじめた」と伝えている。
もし、朝鮮半島で核戦争が起こる場合、
米軍の兵站基地、発進基地、出撃基地となっている日本が真っ先に放射能雲で覆われるであろう。
↓
今、日本が本当に自国の利益を考えるなら、
朝鮮半島問題の平和的解決のために努めてこそ当然である。
以上の流れが切断され「日本が~覆われる」の部分のみを切り取り、
北朝鮮は日本を核攻撃することを検討し始めたと喧伝する。
これを誤報と呼ばず、何と呼べばいいのだろう。
(そして「脅威を煽るのは日本の軍拡のため」という指摘は書かれていないかのように扱われる)
朝鮮中央通信は日本語でも読むことが可能であり、労働新聞も英語で読むことが出来る。
問題の記事を執筆した人間は、きちんと確認を取ったのだろうか?
北朝鮮は、どちらかといえば、自分たちの意思を直接的に表現する国である。
この国ほど何を求めているかがわかりやすい国はないとさえ思う。
だが、せっかく発信されたメッセージもマスメディアによって媒介される過程で検閲・編集され、
歪められた形で市民の目に届く。結果、悪の帝国北朝鮮のイメージが闊歩するようになる。
アジアや中東を主とする海外メディアや原資料をチェックし、多角的に情報を俯瞰する。
このようなメディア・リテラシーが今ほど求められている時代はない。
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【平壌5月2日発朝鮮中央通信】
日本の執権者がシリアに対する米国の先制攻撃の報が伝わると、
待っていたかのように朝鮮半島の危機説を先頭に立って鼓吹している。
閣僚らも彼を真似て連日、朝鮮半島の危機説を流している。
2日付の「労働新聞」は署名入りの論評で、朝鮮半島の危機説をけん伝している日本の下心は
これを口実にして今まで試みてきた憲法修正を促し、
「自衛隊」の海外派兵にさらに拍車をかけようとするところにあると暴いた。
また、朝鮮半島で戦争が起こることを契機にして
米国から新しい軍需物資注文を受けて、危機に苦しんでいる経済を刺激して
過去の朝鮮戦争時のように黄金の夕立を味わってみようとするところにあると暴露した。
論評は、朝鮮半島で戦争が起こればわれわれを害しようとする者はもちろん、
その後押しをする者も無事でないとし、次のように強調した。
もし、朝鮮半島で核戦争が起こる場合、
米軍の兵站基地、発進基地、出撃基地となっている日本が真っ先に放射能雲で覆われるであろう。
今、日本が本当に自国の利益を考えるなら、
朝鮮半島問題の平和的解決のために努めてこそ当然である。
日本は、世界で初の被爆国として核災難がどんなものかを誰よりもよく知っている。
日本の当局者らは、朝鮮半島でいったん戦争が起これば最大の被害を受けるのは
まさに、日本であるということをはっきり認識して分別のある行動を取るべきである。---
http://www.rodong.rep.kp/en/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2017-05-04-0003
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傍線まで引いて強調したが、この論評の趣旨は
日本政府に対して軍事ではなく外交による解決に尽力せよと問いかけるものだ。
1・日本の脅威を煽る動きは改憲・海外派兵を目論んだものである。
2・仮に戦争が勃発した場合、日本も核の被害から免れることが出来ない。
3・核の被害がどれだけ甚大であるか、被爆国である日本はどの国よりも熟知しているはず。
4・脅威を煽るのではなく、平和的解決へと方向を転換すべきだ。
こういった内容であるが、この文章を日本のメディアが報道するとどうなるのだろうか?
時事通信社の記事を読んでみよう。
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「日本が放射能雲に覆われる」=有事の核攻撃示唆-北朝鮮紙
【ソウル時事】北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞(電子版)は2日付の論評で、
朝鮮半島で核戦争が起きた場合、
「米軍の兵たん、発進、出撃基地になっている日本が真っ先に(核爆発による)放射能雲で覆われる」
と警告し、日本に対する核攻撃を示唆した。
論評は、米朝の緊張が高まる中、日本が「米国の核戦争騒動で漁夫の利を得ようとしている」と非難。
海上自衛隊と米空母「カール・ビンソン」の訓練などを批判し、
「米国の侵略策動に追従しながら無事と考えるのは愚かだ」と強調した。
(2017/05/02-16:24)
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赤文字や太文字で強調した部分が完全に抜け落ちている。
これでは北朝鮮からのメッセージが伝わらない。さながら、戦前の検閲のようである。
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自衛隊の米艦防護や共同訓練は明らかな憲法違反だ!
北朝鮮危機に乗じて安倍政権が進める憲法破壊
朝鮮半島の緊迫はこれまでも何度もあったが、
北朝鮮の標的はもっぱら米国にのみ向けられていた。
過去には、北朝鮮高官が日本に対して、
非公式に「我々の標的は米国であり、日本は関係ない」と伝えていたことが報じられたこともある。
ところが、安倍首相がトランプの姿勢に全面的賛同を示すと、
北朝鮮は一変し、日本への攻撃を口にするようになった。
さらに、自衛隊のカールビンソンとの共同訓練や米艦防護が明らかになると、その態度はエスカレート。
朝鮮労働党の機関誌「労働新聞」は2日付の論評で、
日本を「米国の核戦争騒動で漁夫の利を得ようとしている」
「米国の侵略策動に追従しながら無事と考えるのは愚かだ」と警告し、
「米軍の兵站、発進、出撃基地になっている日本が真っ先に放射能雲で覆われる」と、
日本に対する核攻撃まで示唆しはじめた。
ようするに、安倍政権によって、日本が米朝戦争に巻き込まれる可能性が高まり、
日本国民の生命や財産が脅かされる危険性が増しているのだ。
(http://lite-ra.com/2017/05/post-3130_2.html)
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リベラルを標榜しているはずのリテラの記事でも、
「日本に対する核攻撃を示唆しはじめた」と伝えている。
もし、朝鮮半島で核戦争が起こる場合、
米軍の兵站基地、発進基地、出撃基地となっている日本が真っ先に放射能雲で覆われるであろう。
↓
今、日本が本当に自国の利益を考えるなら、
朝鮮半島問題の平和的解決のために努めてこそ当然である。
以上の流れが切断され「日本が~覆われる」の部分のみを切り取り、
北朝鮮は日本を核攻撃することを検討し始めたと喧伝する。
これを誤報と呼ばず、何と呼べばいいのだろう。
(そして「脅威を煽るのは日本の軍拡のため」という指摘は書かれていないかのように扱われる)
朝鮮中央通信は日本語でも読むことが可能であり、労働新聞も英語で読むことが出来る。
問題の記事を執筆した人間は、きちんと確認を取ったのだろうか?
北朝鮮は、どちらかといえば、自分たちの意思を直接的に表現する国である。
この国ほど何を求めているかがわかりやすい国はないとさえ思う。
だが、せっかく発信されたメッセージもマスメディアによって媒介される過程で検閲・編集され、
歪められた形で市民の目に届く。結果、悪の帝国北朝鮮のイメージが闊歩するようになる。
アジアや中東を主とする海外メディアや原資料をチェックし、多角的に情報を俯瞰する。
このようなメディア・リテラシーが今ほど求められている時代はない。