月明かりに桜は白く…君を抱く
眠り始めた街の片隅に鍵を掛けて
まだ少し肌寒い夜を抱いて帰路を辿る
取り残されたネオンを足早に横切る
アスファルトに響く靴音に思わず息を詰める
他人の欲と愛憎の足かせですごす
チープな空間で偽りだらけの波に流される
居場所のない街のただ消化されていく日常は
折り畳まれるように規則正しく繰り返されて…
どこまでも繋がる空の真ん中…見上げると
時を見下ろす月がぼんやりと夜の桜を照らす
車のライトに時折り儚く溶けて沈む
街路樹の桜は幻の夢心地に擦り切れていく
声を潜めて眠れない夜に蹲って
寒さと闇を何層にも羽織って時間を渡る
流れ行く星の瞬きにしがみつくように願い
跡形もない思いの残像を断ち切るように燃やす
人はエゴイズムをかざして万物を制する
中毒化した便利と引き換えに未来には目を瞑る
ある日遠く離れた街が理不尽に灯りを奪われて
自然のあるがままと共に生きた街が消えても
どこまでも繋がる空の真ん中…見上げると
時を見下ろす月がぼんやりと夜の桜を照らす
闇が深々と紺青(今生)を飲み込むほどに
月明かりに照らされる桜は力強く白く君を抱く
この地球が…宇宙が…人間のためにあると勘違いしたまま
溢れ返った退廃を当たり前のように続ける
その場限りの痛みと、引き継がれていく痛みを
同じ天秤で計る愚かな人々を正当化して
この世界の全てがあるがままから始まって
天も地も草木も寄り添いながら生きたいと叫ぶ
瓦礫の世界は自分勝手な欲にまみれた文明を
中和するために生まれたわけじゃないと
世界を生き抜く術と力を持つ者を、天は選び
未来への希望を託したのでしょうか
世界の全ての生きる権利を尊ぶ者を、天は選び
世界の歩むべき道を指し示したのでしょうか
闇が深々と紺青(今生)を飲み込むほどに
月明かりに照らされる桜は力強く白く君を抱く
どうぞ泣かないで悲しみに浚われないでと
月明かりに照らされる桜は力強く白く君を抱く
万物のあるべき姿と寄り添い生きてきた人々が
今、錆びた世界と星の命を動かしている
いつも来てくれてありがとう。お帰りの際は下の左のネコちゃんと、
その他のお好きなジャンルをポチッとして頂けたら嬉しいです。
追記
被災地はまだまだ大きな余震が続いています。
今尚たくさんの被災者が避難所生活を強いられています。
先日も大きな余震により命を落としてしまった人がいて悔やまれてなりませんでした。
辛うじて残った建物がいつまた崩れるやも知れず、
再び大きな津波が押し寄せて来るやも知れず…、
地域によっては原発事故による放射能汚染にも見舞われ…。
なのにその場所に今すぐにでも戻り復興をしようとしている人々を見て、
私は素直に頑張れと言えなくて、自分の中の違和感を処理できずにいました。
世の中には被災地や被災者に送るエールが溢れているというのに、
私の中では励ましの言葉が気持ちと結びつかず、心から頑張ってと言えない、
そして詩が書けない状態が実は続いていました。
先祖代々の教訓を持ちながらも過去に大きな津波で被災した村が、
その時の村長の判断によって高台に新しい村を復興し、
その後の更に大きな津波の被害から難を逃れた地域があるそうです。
(今回の被災地ではないようですが。)
今回もそのように、今後極力被害を小さく留められそうな高台に、
新しい生活圏を造り一日も早く普通に仕事で支えられる生活を送り、
子供たちの教育が成り立つ場所を開始することは出来ないものだろうか。
決して、故郷を捨てろと言っているのではありません。
被害にあった場所の復興を諦めた方がいいと言っているのではありません。
ただ、あの場所に今すぐ同じ復興をするのは、
前へ進む、頑張るというのとは違うと思うのです。
そこに住む人こそがその場所をよく知っているに違いないのだから、
被災地の復旧は将来的に考え含め、過去以上に最良な生活圏を作る案を、
そこに住む人々自らが国に要求して、あの村の村長のように動いてもいいと思います。
今現在も含め、将来子孫が夢と希望を持って幸福な生活を営んでいけるような街を、
信頼できる自分たちの指導者と共に創造し、逆に国に提示してもいいと思います。
それほど国だけでなく被災者だけでなく皆が知恵と力を合わせ、
そして世界の力を借りて乗り越えなければならない、人類の危機だと思います。
苦境を耐え忍び、立ち上がり、立ち向かう東北の底力のベクトルを
今後の子孫の未来も含め考えた方向にきちんと向けることが、
先祖から引き継いだものを継続するためにも必要な、
今、被災地の人々に与えられている使命だと思うのです。
そのための支援や税金なら生活を削ってでも協力します。
腹の底から、そして心からエールを送れると思います。
たくさんの小さな一歩もそれを集結させた大きな一歩も支えます。
失われたたくさんの命が報われる未来を
将来ある若者や子供たちが夢と希望をもって送れる未来を願います。
今、世界中が日本の被災地と被災者に、世界がこれから歩むべき道を重ね見て、
自国の在り方を模索しているように思います。
それは日本が世界にも稀な、美しい半面過酷でもある四季という自然の中に生き、
自然に密着して歴史を作ってきた国であるが故に、
その計り知れない生きる力に希望を見出そうとしているからだと思います。
今回の被災地の人々こそが今後の地球の未来を変えることのできる、
本来あるべき姿、人間が自然と共に生きる術を実行して来た人達だと思います。
逆に言えば、ここの人達にしか出来ないことなのではないかとも思うのです。
そして世界有数の技術と頭脳を持つ文明国、日本だからこそきっと出来るとも思います。