ブルーシャムロック

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甲と乙と

2011-10-03 16:46:16 | 信・どんど晴れ
神奈川県に存在する三浦金沢公立大学経済学部に所属する高槻久留美。
彼女の友人は沼津出身の麗だけではない。
会津出身の甲と乙なる人間が居る。
筆者からのMetaphaseであるが甲と乙は彼女たちのコードネームである。
「なるほど。るーむめいが秋田の出身か。もう一人の奄美大島って・・。」
甲は、一瞬首をかしげた。
「沖繩の近くの島。」
と一言言う。奄美出身のルームメイト曰く、關東では奄美は知名度がないのかなと思った。
「奄美というと奄美の黒兎の居るところだっけ。鼠みたいな。」
ともう一人の乙が言う。
「そうそう。でも、わたしあんまり生物には関心がないからルームメイトに言われなければ。」
と久留実は恐縮した顔を見せる。
「私は歴史の方が好きだったが、乙は生物とか明るくてね。」
甲はそう述べる。
「そうか・・・。私も経済学部に居るけれども古典とか歴史は好きだよ。」
久留実はそう述べた。
會津と言えば未だに長州との確執を彼女は考えた。
「もし、歴史が許すならば長州に軍事侵攻も辞さない。東北独立国が成立するならば
私はそうしたいな。」
甲はそうつぶやいた。
「なるほど・・・。」
久留実は一瞬考え首を縦に振る。
「會津の人間としては、長州に對する考えはいろいろあるがね。しかし甲は極端すぎる。」
乙は軽く言い放つ。
「歴史に対して軽く考える人間はそうかもしれないね。」
甲は言い返す。
「それにしてもまじめっぽい漫才だねぇ。」
久留実は軽く笑った。
「漫才か・・・。」
甲は複雑に、乙は笑って
久留実に応対している。甲と乙ふたりの印象的な立場を表しているのかもしれない。
「あ、何か気になることがあるの?」
甲は久留実がテーブルに置いた本に目が行った。
「うん。なんだか・・・。」
甲は、苦い物を口にしたようだった。
「私の石川の実家は古美術とか扱っているから多少は茶頭などに関心があるのよ。」
と久留実が言った矢先、甲は利休七哲の項目に目が行き、
「利休七哲ってだれか分かる?」
と久留実に述べた。
「確か、古田織部か細川忠興じゃなかったっけ?」
と、久留実は易々と回答した。
「違う。ほかに蒲生氏郷がいるでしょ。彼は私の出身地である会津若松を作った人なんだよ。」
と甲は自信満々に本を閉じた。
「えっ。確か幕末の松平容保の先祖の家じゃないの?」
久留実は答えた。
「いや。松平公は跡から入ってきた。」
甲は言う。
久留実は、歴史に詳しい自負があるものの、松平家以前の人が居たことに考え事を
していた。
「私も蒲生氏郷は知っている。でも會津に・・。」
そう言いながら、ペットボトルのお茶に口をつけた。
「あ、そうだ。麗さん跡から此處に來るらしい。會津鐵道を見に行きたいんで
市立図書館でその資料を借りてきてからなんだと。」
乙が述べた。
歴史の話をしていたのと違う空気が流れた。
end


コメント
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