「恵美子の奴空港に柾樹と婚約者を迎えに行ったようだな。」
恵美子の夫である新一は、佳奈につぶやいた。
「そうですねぇ。濱かぁ。また戻りたいなぁ。」
佳奈は羨ましそうに口を開いた物の、こわばった新一の表情を見て訂正した。
「濱は柾樹と婚約者のものなんだよ。お前は加賀美屋の為に尽くしてくれ。」
また始まった。新一や女将はいつもこれだ。
佳奈はそういう風に考えて20分位した跡、
車のエンジン音が聞こえた。
「ここが加賀美屋の正門になるんですよ。」
恵美子の声である。
婚約者の女性は不思議そうに眺めていたようである。
恵美子はこれは島津藩の頃からの門構えだと説明していたようだった。
続いて女将の甥である柾樹、そして婚約者の女性が現れた。
彼らが通り過ぎるとき、佳奈は一礼した。
「徳之島と加賀美屋にようこそ。」
と甥と婚約者に添えた。
通り過ぎる恵美子は、
婚約者の女性に
「夏美さん、ご実家が濱でケーキ屋を営んでいらっしゃるんですか?
小田原に帰ったら、濱のご実家のおかしを食べたいですね。」
と言っているのが佳奈には聞こえた。まるで未来の配偶者である
柾樹が影が薄いぐらいにだ。
「恵美子さん、ここと島を出る準備ができたのかな。」
と佳奈は新一につぶやいた。
「しかし、あの女の子と柾樹の婚約記念パーティーの筈だけれども
何で恵美子が出しゃばるんだ?」
と新一もいぶかしがった。
その跡の恵美子と夏美という女性の運命を誰も知らなかった。
つづく
恵美子の夫である新一は、佳奈につぶやいた。
「そうですねぇ。濱かぁ。また戻りたいなぁ。」
佳奈は羨ましそうに口を開いた物の、こわばった新一の表情を見て訂正した。
「濱は柾樹と婚約者のものなんだよ。お前は加賀美屋の為に尽くしてくれ。」
また始まった。新一や女将はいつもこれだ。
佳奈はそういう風に考えて20分位した跡、
車のエンジン音が聞こえた。
「ここが加賀美屋の正門になるんですよ。」
恵美子の声である。
婚約者の女性は不思議そうに眺めていたようである。
恵美子はこれは島津藩の頃からの門構えだと説明していたようだった。
続いて女将の甥である柾樹、そして婚約者の女性が現れた。
彼らが通り過ぎるとき、佳奈は一礼した。
「徳之島と加賀美屋にようこそ。」
と甥と婚約者に添えた。
通り過ぎる恵美子は、
婚約者の女性に
「夏美さん、ご実家が濱でケーキ屋を営んでいらっしゃるんですか?
小田原に帰ったら、濱のご実家のおかしを食べたいですね。」
と言っているのが佳奈には聞こえた。まるで未来の配偶者である
柾樹が影が薄いぐらいにだ。
「恵美子さん、ここと島を出る準備ができたのかな。」
と佳奈は新一につぶやいた。
「しかし、あの女の子と柾樹の婚約記念パーティーの筈だけれども
何で恵美子が出しゃばるんだ?」
と新一もいぶかしがった。
その跡の恵美子と夏美という女性の運命を誰も知らなかった。
つづく