ブルーシャムロック

此処はtomohiroのオリジナル小説サイトです。
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人は、退出下さい。

そのスピードで_2

2010-11-20 18:35:58 | 信・どんど晴れ
「徳之島か・・・。鹿児島と沖縄に挟まれた場所にあるぐらいしか認識できないな。」
礼美はそうつぶやいた。
「まあ、彼女にとっては必要な場所かもしれない。關東はそこまで甘くないから。」
そんなことを言いながら、礼美は自分の住んでいるアパートの部屋でつぶやいた。
彼女の持っているAudioからは、hip popともハウスともとれないような
クラブあたりで持てはやされそうな音楽が流れている。
「松本さん、こういうの聞いてもきょとんとしていたな。彼女が好きな音楽って
たしかビジュアル系のArtistだっけ・・・。」
松本という女性はそれだけ田舎ものだったのか・・・。長崎市内出身の礼美だって
同じかもと考えた・・。でも、後輩の石川出身の高槻久留美も洋楽は全く解らなかった。
秋田出身の横手とか言う女性は、結構こういうのおもしろがっていたかな・・・。
音楽は1970年代のr&bに成っていた。
「不思議な音楽ですねぇ・・・。」
松本佳奈の言葉は忘れられない。
つづく
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そのスピードで_1

2010-11-20 18:34:54 | 信・どんど晴れ
「宇品さん、松本佳奈って今、徳之島とかいう島にいるのね。」
東岡礼美はすこし、冷たい感じで宇品という姓の女性をみた。
「ええ。この土地の老舗Ryokanで仲居の仕事をしているらしいです。」
と、宇品は答えた。
「松本さんとしては、悔しかったのかもしれない。あまり関東に住んでいる人に
近況を伝えないのだから。」
冷めかかったコーヒーを飲みながら後輩で尚且つ同じ放送局に勤務している女性を見た。
「まあ、まっつぁん的に今の仕事はアルバイト感覚で關東でまた仕事を見つけることを考えていた
みたいだから・・・。かつてのclassmateとしては。」
宇品の表情は笑いながら、複雑さをたたえていた。
東岡礼美は現在横浜のLocalfm局でパーソナリティをしている。
彼女の豊富な音楽の知識が認められて、ラジオ局に入局がすんなり決まった。
その、Assistantとして宇品がいるのだが、宇品は話題になっている松本佳奈
と学生時代は同じ學校・同じ学部のクラスメートであった。
東岡礼美の方は、松本佳奈が関東で住んでいたアパートのRoommate、
高槻久留美の先輩にあたる。
そのアパートが一種のSaloonとして入り浸っているうちに宇品と東岡は、知り合うようになり
大学の違いを超えて同じラジオ局に入局という事であった。
「まっつぁんは、ただ、島がにくくて溜まらないという事だけで上京したみたいだからな。」
宇品はため息をついた。
「そんな人もいるのよ・・・。ところで宇品さんパーソナリティピン立ちおめでとう。」
礼美は、後輩に目配せをした。
「まあ、東岡氏の次というのが、皮肉ですがね。」
宇品は乾いた笑いを礼美に向けた。
「まあ、いいのよ。」
礼美は少し寂しそうともとれる表情だった。
つづく

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