津市大谷町、津駅西口の大川幼稚園の前にある、
「大師山密蔵院」という真言宗御室派のお寺です。伊勢西国三十三カ所第十六番霊場です。
本尊は十一面千手観世音菩薩で、上の画像の本堂に安置されています。
大川幼稚園の向かいに、参道があり、
石階段の上に朱塗りの山門があります。
大川幼稚園とは反対の、山手通りから入ることも出来ます。
こちらは画像のように、坂道の参道になっています。

(本堂右に建つ恵音院本堂には文殊菩薩を安置している)
津藩2代藩主藤堂高次公がこちらの山頂に白山妙理大権現を祀り、祈願所としたのが始まりで、
寛文年中(1661~73)に、高次公が朴心法師にこの山を与えて、密蔵院を創建させたということです。
昭和20年の津空襲で焼失しましたが、戦後に、本堂、山門を再建、
昭和55年には裏山境内に白山妙理大権現堂を新築しました。
密蔵院では、年4回(1、3、9、12月の21日)、
「大数珠操り」という珍しい行事が行われます。
「百万遍数珠繰り」ともいわれ、数十人が輪になって座り、般若心経を唱えながら大数珠を廻して祈念します。
12月21日の早朝、護摩法会の準備が行われていました。
本堂には、「大数珠操り」に使われる大数珠(球がビリヤードの玉くらいの大きさ)が置かれていて、
つい見とれてしまって写真を撮るのを忘れてしまいました。
本堂の前には、向かって右に不動明王、左に毘沙門天の石仏が建っています。
木像の不動明王は見たことがありますが、石仏の不動明王は珍しいと思いました。

(水子地蔵)
上の画像の水子地蔵から、お寺の裏山へ通じる坂道があります。
裏山には、白山妙理大権現のお堂があります。
その他にも、石造物や小さなお堂がいっぱいあり、なかなか興味深いところです。
稲荷さんもありました。
何故か、江戸時代の道標もありました。
上部が欠けてしまっていて残念ですが、
「左さんくうへ(参宮街道へ)右けふみち(京都へ)」と刻まれていたようです。
つまり、元々は大川幼稚園のあたりにこの道標が建っていて、
左(津駅方向)に行くと伊勢街道を経て伊勢へ、
右(一身田方向)に行くと伊勢別街道を経て東海道へ、
ということを参拝者に示していたのでしょうね。
津駅の裏にこんな立派なお寺があるとは知りませんでした。
石仏や五輪塔の好きな人なら、十分に楽しめる場所です。