解体工事は予算オーバーとなってしまういろいろな問題を経験しましたが
今回の2023年10月1日からは、桁違いの大問題となる場合があります
2023年10月1日から、建て替えや解体工事などについて
悩ましい問題が生じています。
この1年は調査を義務付けてきた
外壁塗料にアスベストが含まれているかどうかという問題です。
もし含まれていたら、大変面倒な手間と費用を掛けて
処分しないといけないのです。
それが2023年10月1日から、確実な処理対応とその証明を
義務付けられるのです。
問題は、その費用です。
屋根材のスレート材料にアスベストが含まれていた場合は、
(よくあります)
10万円とか20万円とかのアップで済むのでまあ許容範囲でした。
ところが、外壁塗料にアスベストが含まてていた場合、
全て手でその塗料を剥がし、散乱しないように特殊な機械で吸い込みながら
の作業になるのです。
作業者も大変な装備で吸引しないようにします。
そのために余分に係る費用は、いくらか?
30坪の木造2階建ての解体で、見積もりを取ったら
「外壁塗料にアスベストが含まれていた場合は
約250万円のアップとなります。」と2社に言われました。
あくまでアップ額です。解体費用とは別にです。
30坪の木造2階建ての解体は、かなり高くなったといっても
通常の条件だと200万円(消費税10%)程度の予算で考えています。
それが250万円加算だと、なんと450万円になるのです。
ある大手の解体屋さんがこの1年で解体した家で調べたところ
その確率は2割を超えたそうです。
本日からは、外壁塗料にアスベストが含まれていた場合
その金額を支払わないと解体ができないのです。
ただでさえ、建築工事費が高騰しています。
アイアンショック、ウッドショック、原油高騰、円安で
コロナ前と比べると、工事費は5割くらい上がっています。
工事費が、5割ですよ!
木材価格は安定してきましたが、全体として下がる気配はありません。
いずれ、運送業界と同じように人件費の賃金問題、労働条件問題が出るでしょう。
職人さんの手間賃は、何十年と上がっていませんし、
残業という概念も週休2日制の概念も、現状はほぼないからです。
しかし、ここで不思議に思うのが2004年まで認定していた材料に
アスベストが含まれているからといって、
その多額な撤去処分費用を全て個人の責任に押し付けるのは、
どうかと思うのです。
なぜ、マスコミもみんな沈黙しているのか、不思議です。
これが医療問題なら、政府がその費用を全額負担していますよね。
排気ガス規制でも、車を廃棄するか使うなとはなりませんよね。
建築業界だけです。いつも軽く見られているのは。
補助金もないのです。
防火サッシ問題でもそうでした。
公的な機関、ほぼ役所と同類といえる機関が
強制的に防火性能を高い検査料や認定料を取って
認定、使用を承認しておきながら、
後で
「やっぱり性能を満たしていなかったから、メーカーは交換が必要」
となり大問題になったのです。
建物に既に付けられた防火サッシを全て交換するのに
どれだけの費用が掛かるか、
それをメーカーが全額負担って有り得ないですよね。
私の事務所にも調査に来ました。
いつ、どこに何軒使ったかと。
これは、最終的に各メーカーが大反対してうやむやになりました。
理不尽すぎますから。
しかし、認定を受けた住宅用の防火サッシが存在しない
ため設計に落とし込めないという大変困った時期もありました。
ちなみに外壁塗料は、下塗り塗料もありますし
2006年くらいまでは、現場で使われていた可能性があるそうです。
まだ17年しか経っていません。
それ以前に建てられた住宅が、どれだけ残っているか。
とんでもない戸数です。
それでなくても、新築工事やリフォーム工事の費用が上がって
予算が足りない、苦しいという連続です。
政府が進めている省エネで性能の良い、耐震強度も強い住宅になるのに
解体工事でさらに追い打ちを掛けないで欲しいです。
空き家問題の解消にも足枷になります。
本日の申請から、この問題が拡がってきて
みなさんのために国土交通省が動いてくれることを願っています。
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