前にお話ししたけれど、ひとり暮らしをしている仲良しのお爺さんがいる
昔は周辺に田畑が広がっていたそうだけれど、電車の音が聞こえ
反対側に背伸びすれば見えるところに道路が走り お爺さんのお家の他に
田畑はすっかりなくなっていつしか 小綺麗な別荘が並ぶ別荘地になったらしい
奥さんは数年前に亡くなって、近くの保養所に夫婦で住み込みの管理人をしている娘さんがいて
時々訪れて身の回りの様子をみて気遣いをしているようだけれど
今のところ、田畑も荒らさず 何でもひとりでやっている
お孫さんも複数いるようだけれど、それぞれ就職したり 進学で上京したりで
帰って来た時に訪ねて来るくらいの年齢らしい
敬老の日の似顔絵が何枚か、壁にかかっている
広い敷地に沢山の花木や、食べるには充分すぎる野菜やお米も作っていて
周辺の別荘や 訪ねて来る人に毎年当てにもされているらしい
ボクが通りかかると 縁側で胡坐をかいて老眼鏡に虫メガネ・・
熱心に何か読んでいる顔を上げて
「 おっ まだ撃たれなかったか・・こっちに来い 芋でもやろう・・ 」と 手招きしてくれる
このお爺さんと話をしていると 軽井沢がどんなふうに別荘地になって行ったか
地元の人の暮らしぶりや、どんな人がどんな風に別荘に来たか・・昔はどんなものを食べていたか
会うたびに知らない話が聞けて楽しくて仕方がない
新聞や本は丁寧に読んで、定時のニュースは欠かさない様なので
巷がどうなっているのかもよく知っているし
なんだかんだと声を掛けたり、訪ねて来る人も少なくないようだ
この縁側に居ると テレビ番組の 「 ポツンと一軒家 」みたいだけれど
それは このお爺さんのお庭が広くて屋敷森に囲まれているから・・
その 広~いお庭の向こう側の小道を別荘地に向かって、外車が入って行くのが見える
お爺さんも、このお家も、いつまでもこのままいてほしいよ・・