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フレディー・グリーン(g)のサイド・ギターの謎。

2020-07-26 00:34:09 | 音楽夜話(ジャズ)
フレディー・グリーン(g)のサイド・ギターの謎。


ビッグ・バンドのジャズに興味を持ったのは、ずいぶん後になってからでした。
カウント・ベイシ-楽団のギタリスト、フレディー・グリーンの名前を知ったのも
かなり後からでした。


そのギタリストの奏法も独特で、ビッグ・バンドの中でのリズム・セクションに
位置していて、決して表に出ない。しかしながら、その表に出ないことで、逆に
脚光を浴びたりしていました。そんなギタリストが、フレディー・グリーンでした。


彼は生涯一リズム・ギタリストでした。自分のリーダー・アルバムでさえ、シングル・ノート
(単音でのアドリブ)を取ることをせず、リズム・ギターで、リーダー・アルバムにしました。
どうして短音を弾かずに、コードだけで一生音楽家生活を過ごしたか・・・。


自分の仮説ですが、それはどうもギターのセッティングにあるのではないかと思ったりしました。
彼はボディーの大きなギターを使い、太い弦を張り、大きな音が出せるよう、弦高をあげて
音量を稼ぐようにしたのではないかと。ビッグ・バンドの音量に負けないために、マイクで音を拾い、
会場に流していたようですが、昔のPAなど今に比べればあてになりません。
ギター・アンプもコンサート会場ではあてにならないでしょうし。
そのような彼独自のセッティングの中で、やれることも限られていたのではないでしょうか。


当時のビッグバンドのほかのギタリストの逸話はわかりません。どんなリズム・セクションで
やっていたのか、今度調べてみようかとも思いますが・・・。


そのために、弦高が高くて太い弦なら、シングル・ノートで、もしかの速弾きなどは、かなりギタリスト
泣かせですし、そこまでする必要があるかというと、バンドの中でのアレンジでは、ダンスの伴奏
などであったなら、当時、ギターに凝ったアレンジなどしないのではないかと思われます。
そのような中で、彼のプレイが熟成したのではないかと思います。彼の伴奏は3つの音で和音が構成され
鳴らされる、独特なものでした。それでそれ以外は消音されるので、独特なギターサウンドが生まれました。


セッティングから、コード中心になり単音で旋律を弾くことがなくても、自分の楽器生命があることで
彼の存在意義はありました。そのようなセッティングは今日必要ないことから、彼の後進はいないのでは
ないかと思います。現在では電気的処理で、彼のような音が出せたりするのだと思います。
そんなことをトリビュートした、バッキー・ピザレリ(g)氏が考えさせてくれました。


彼は、ワン・アンド・オンリーのフレディー・グリーンの奏法をコピーしながらも、自分なりの単音での
アドリブや、コードでのアドリブも曲の中に入れています。フレディーはそこまでは、多分楽器の
セッティング上やりませんでしたし、その必要がなかったのではないかと思います。
そして自らのリーダーアルバムでも、その必要がなかったのではないかと思いました。
なかなか面白いアルバムでした。



5 for Freddie: Bucky's Tribute to Freddie Green 
Up in the Blues
https://www.youtube.com/watch?v=Ct563ZQwsyo
バッキーは途中まではリズム・ギターに徹していますが、2’24”あたりから
コードを動かして、曲に弾みを付けています。

5 for Freddie: Bucky's Tribute to Freddie Green
Centerpiece
https://www.youtube.com/watch?v=rweVTmhdz10&list=RDrweVTmhdz10&start_radio=1&t=0
バッキーは2'46"あたりからシングル・ノートでのアドリブ 3’19”あたりからのコードでの
アドリブなど、変化をつけています。

Freddie Green - Mr. Rhythm (1956) (Full Album)
https://www.youtube.com/watch?v=INYf-iDBEq4
Up in the Bluesも入っているので、聴き比べてみてください。

Herb Ellis And Freddie Green ‎– Rhythm Willie ( Full Album )
https://www.youtube.com/watch?v=lfgcgupbIb4
エリスがリード、グリーンはサイドギターに徹しています。

参考資料フレディー・グリーンの所有楽器
http://www.freddiegreen.org/instruments/guitarphotos.html


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