防衛省は沖縄や九州地方を中心に、陸上自衛隊と海上自衛隊の計4施設で司令部の地下化を2028年度までに進め、航空自衛隊基地5か所で電磁パルス攻撃対策を25年度までに行う方向で調整に入った。
住民が避難するシェルターは、台湾に近い沖縄県・先島諸島で優先的に整備する計画だ。
複数の政府関係者が明らかにした。台湾有事などを見据え、自衛隊施設の防護能力を高める狙いがある。
新たに司令部の地下化を進めるのは、陸自の那覇駐屯地(沖縄県)と与那国駐屯地(同)、健軍駐屯地(熊本県)、海自の舞鶴地方総監部(京都府)。
いずれも部隊や艦船を派遣、指揮するための重要拠点となっており、敵の攻撃を受けた際でも機能を維持させる必要があると判断した。
特に那覇と与那国は、中国が軍事的圧力を強める台湾と近接していることを考慮した。
電磁パルス攻撃は、上空で核を爆発させ、強力な電磁波によってあらゆる電子機器を使えなくするもので、中国や北朝鮮が開発を進めているとされる。
電磁波で管制レーダーが無力化されると、戦闘機が離着陸できなくなるため、「電源フィルター」と呼ばれる防護装置を設置するなどの対策を進める予定だ。新田原(宮崎県)を手始めに、築城(福岡県)、千歳(北海道)、府中(東京都)、那覇(沖縄県)の各基地が対象となる。
16日に閣議決定された新たな国家安全保障戦略では、防衛力の抜本的強化の一環として、「主要な防衛施設の 強靱 化」が明記された。
政府は地下化などに必要な経費として、来年度当初予算案に約364億円を計上している。今後順次、現地の調査などを進める予定だ。
一方、シェルター整備に関しては、与那国島と石垣島で、政府が新たに土地を取得し、平時は自衛隊が訓練などに使い、有事に住民避難に活用できる施設の整備を進めることを検討している。
宮古島では、体育館などの公共施設の地下にシェルターを建設するため、沖縄県宮古島市に対して国が補助を行う案が出ている。
軍用ドローンを無力化する「高出力マイクロ波」兵器を配備!!
防衛省は来年度から、敵の軍用無人機(ドローン)を無力化できる「高出力マイクロ波」(HPM)兵器の研究開発に本格的に乗り出す。現代戦で戦局を左右する電磁波領域に対応した装備や技術を導入し、防衛力を高める狙いがある。
マイクロ波は電子レンジで食品を加熱する時などに使われる電波だ。
これを応用して強力なマイクロ波をビーム状に照射することで、ドローン内部の電子制御システムなどを故障させる。
中国やロシアが開発に力を入れるドローンは小型化が進み、高性能化している。
飛来の予測が難しく、低空飛行の場合はレーダーなどで捉えにくいため、発見が遅れがちだ。多数で襲撃する「飽和攻撃」も想定されることから、瞬時に同時対処する能力が必要になる。
電磁力を使って弾を発射するレールガンとは?
日本経済新聞によると、防衛省はミサイル防衛の立て直しに乗り出すために、電磁力で砲弾を発射してミサイルを迎撃する技術を中核に据える計画を発表したようだ。
以前にもこのサイトで紹介した、中国などが研究を進める変則軌道で飛ぶ極超音速兵器を打ち落とせるようにするためだという。
相手の発射基地まで届く長射程ミサイルなどの開発とあわせ、2025年までに体制を刷新する予定だ。
では、レールガンについて詳しく説明すると、火薬を使わずに電磁力の原理で弾を高速で撃つ技術であり、電気を通しやすい素材で作ったレールの間に弾を置き、電流と磁界を発生させて発射する技術を使った兵器である。
磁場のなかで電気を流すと力が発生する「フレミングの法則」で弾を動かすものであり、モーターや発電機など身近に使われる技術が基礎になっている。
その特徴は、
1 電磁力の原理で迎撃弾を高速発射できる
2 弾丸が小さく、探知・迎撃が困難
3 電流の強弱で弾丸の速度を操作可能
4 連射が可能
5 安価
但し、発射するためには大きな電力が必要であり、より少ない電力で弾丸を飛ばすための工夫が必要となってくる。
さらに、電気を通しやすく頑丈な素材の開発も必要となってくる。
なぜ日本が最先端なのか?
元々レールガン開発は、日本に先駆けて各国で行われていたが、その最先端を走っていたアメリカが実用化まであと一歩の2021年6月にレールガンの開発中止を発表した。
一方、日本のレールガン開発はと言うと、1980年代から行われていたのだが、軍事的目的ではなく現在のJAXAによる宇宙船開発のために研究されていたのだ。
兵器としての開発には出遅れたのだが、本格的な開発に2016年から参入したにも関わらず、アメリカでも克服が困難だった「アーク放電」という問題をあっさりと克服して、レールガン開発の先頭を走ることになったということだ。
これも宇宙船開発時代からの地道な努力が役立っていることは言うまでもない。
このレールガンには、ロシアと中国と言った国が難色を示しており、 彼らが開発してきた極超音速兵器を無力化する恐れがあるからだという。
どちらにしても日本国民としては、戦争が抑止され、国を防衛するための「レールガン」であることを願うばかりである。
そして射程2000キロの電磁波兵器「ガメラ」が中國を睨む!!
放射線リスクのない「世界初」の核融合、日米チームが実証
核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LHD)で放射線リスクのない核融合を実現した
核融合科学研究所(NIFS、岐阜県土岐市)、核融合スタートアップの米TAE Technologies(TAEテクノロジーズ)と共同で、放射線リスクのない核融合を世界で初めて実証したと発表した。
核融合燃料に軽水素(プロチウム、pまたは1H)とホウ素11(11B)を使うことで、人体に有害な放射性物質を排出しない核融合反応を実証した。
核融合科学研究所とTAEテクノロジーズの研究チームが実施した実証実験では、核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LHD)を使用した。
磁場で閉じ込めた高温のプラズマの中で軽水素とホウ素11を核融合させ、反応によって生成した高エネルギーヘリウムを検出することで核融合反応を確認した。
軽水素とホウ素11は「先進的核融合燃料」と呼ばれ、これらを使った核融合反応の実証は世界で初めてという。
今回の反応では中性子を生成しない。生成される高エネルギーヘリウムはすぐに無害化する
実験は2022年2月に実施していた。詳細な分析を経た後、2023年2月21日に科学雑誌Nature Communications(ネイチャーコミュニケーションズ)に研究成果が掲載された。
今回の実証で燃料として使った軽水素とホウ素11は放射性物質ではなく、反応で中性子も生成しないので安全性が高いとされる。
生成物として高エネルギーヘリウムがアルファ線として生成するものの、すぐに無害化するためヘリウムガスとして核融合炉から安全に排気できるという。