驚愕!!あなたの臓器と血管はプラスチックに汚染されている!!
社会の何もかもが人間の生存を脅かしている!!
プラスチックごみが細分化された「マイクロプラスチック」の脅威。
世界中の最新研究によって明らかになったのは、人体に侵入したマイクロプラスチックが心臓発作や脳卒中を引き起こし、死亡リスクを上げる恐れがあると示唆されていること。
そればかりか乳がんや子宮内膜症、精子数の減少や死産、流産といった重篤な症状をもたらす可能性も指摘されていることなど、マイクロプラスチックが健康を害する危険性を指摘する記事には大きな反響が集まった。
今回はその汚染から身を守る方法を、最新のデータと専門家への取材によって明らかにしていく──。
根菜や海藻など和食中心の献立を
まず知っておくべきは、汚染物質がどんな経路で私たちの体内に入ってくるかということ。
そもそもマイクロプラスチックとは、捨てられたプラスチックが紫外線や大気中の酸素により劣化し、微細化されて作られる。
やがて海に流れ着き、魚や貝などがエサと間違えて食べて体内に蓄積され、それらを人間が食することで体内が汚染される。
さらに身近な汚染経路が「プラスチック製容器」だ。
「ペットボトルのプラスチックが劣化すると、中身の飲料にマイクロプラスチックが混入します。また、プラスチック製の食品保存容器を電子レンジにかけると熱によってプラスチックが溶け出し、1平方センチメートルから420万個のマイクロプラスチックが放出されるとの報告があります。
汚染から少しでも身を守るためにはペットボトルの利用を控え、コンビニ弁当などを電子レンジで温める際はレンジ対応の陶器に移し替えること。カップ麺は避けるべきでしょう」
水道水などあらゆる場所から検出されているため、心配な場合は検査という手段もある。
株式会社食環境衛生研究所は、2019年から「飲料水」や「食塩」などを対象にマイクロプラスチックの混入を調べている。
「検体をフィルターでろ過することでマイクロプラスチックの混入を確認します。量に加え、プラスチックの種類まで判別することができます」
これまでマイクロプラスチックは体内に入っても吸収されず、便や尿として排出されると考えられてきた。
だが前述したように近年の研究では、より微小なマイクロプラスチックが内臓や血管にとどまり、“悪さ”をする可能性が指摘された。
それを効率よく体外に排出する研究を進めているのが、東海大学海洋学部水産学科准教授の清水宗茂さんだ。
清水さんは、ラットにマイクロプラスチックを混入したエサに、さまざまな成分を混ぜたものを与え、食後のラットの糞を調べて、各成分がマイクロプラスチックの排出にどれほど影響したかを調べた。
その結果、最も多くマイクロプラスチックを排出する働きが強かったのが「難消化性食素材」が混ざったエサだった。
「難消化性食素材は人間の消化酵素では分解されにくい成分であり、かつ食べても安全な物質であることから、トクホなどに用いられています。その代表例が食物繊維。実際に実験で食物繊維を混ぜたエサを食べたラットは、糞中のマイクロプラスチック量が最も多かった。食物繊維のなかでも、カニやエビから作られる『キトサン』は、マイクロプラスチックを排出させる能力が特に高いと考えられます」
なぜ食物繊維が有効なのか。
「人工消化液にマイクロプラスチックと食物繊維を入れて実験すると、両者は凝集する性質があることがわかりました。おそらく、消化が難しい食物繊維とマイクロプラスチックが腸内でくっついて、そのまま便として排出されるのでしょう。もともと食物繊維には、肉などに含まれる余分な脂と一体化して便として排出する作用があります。マイクロプラスチックの性質は脂に近いので結合しやすいのかもしれません」
大切な命を守るためには、毎日の食生活で第6の栄養素といわれる食物繊維を摂取して、汚染物質を体外に排出することが肝要だ。
「根菜や海藻など、和食には多くの食物繊維が含まれているので、和食中心の献立を意識してできれば3食とも食物繊維を摂りたい。食事をする際は最初に食物繊維を摂ることで、糖や脂の吸収を穏やかにするだけでなく、効率的にマイクロプラスチックを排出することが期待できます」
清水さんはキトサンなどの難消化性食素材を用いて、体内に取り込んだマイクロプラスチックを排出する次世代型食品の開発をめざしているという。
不織布マスクは吸い込むリスク増
マイクロプラスチックが入り込むのは食品の中だけではない。
早稲田大学創造理工学部教授の大河内博さんは、大気中に浮遊するマイクロプラスチックの問題を指摘する。
「特に交通量が多い道路沿いはタイヤや道路塗料などの摩耗粉塵が多い。肥料を被覆する『マイクロカプセル』や農業用マルチフィルム、ベランダなど屋外に放置されたプラ製品、人工芝や衣服なども大気中マイクロプラスチックの発生源になるうえ、中国で発生したマイクロプラスチックが越境大気汚染物質として日本に運ばれてくる可能性もあります」
特に大気中マイクロプラスチックは、人体に深刻なダメージを与える恐れがあると大河内さんは続ける
「食べ物や飲み物で摂取したマイクロプラスチックはある程度は自然に体外に排出されますが、呼吸によって肺の奥(肺胞)まで吸い込んだものはなかなか排出されません。食べ物や飲み物はプラスチックに接触していないものを選べますが、空気中のマイクロプラスチックは目に見えないので危ないと思わない。そのうえ人は1日2万回以上呼吸するので、プラスチックを“吸う”リスクは“食べる”や“飲む”を上回ります」
みえ呼吸嚥下リハビリクリニック院長の井上登太さんは「喘息」と「喫煙」がリスクを増大させると語る。
「喘息持ちの人と喫煙者は肺胞や気管支にある繊毛の機能が弱く、肺に入った異物を排出する力が弱い。そうした人がマイクロプラスチックを吸い込むと、肺内にとどまりやすいと考えられます。喘息がある人は薬で炎症を抑え、喫煙者は何よりも禁煙することが望ましい」
取り込むリスクを最大限に減らしたうえで、危険なプラスチックを「吸わない」ためにはどうすればいいか。
すぐに思いつくのはマスクの着用だが、高田さんは「不織布マスクはNG」と語る。
「不織布マスク自体にマイクロプラスチックが含まれるので、着用しているだけでそれらを吸い込むリスクがあります。そのため私は外出する際はコットンの布マスクを使用しています」
気をつけるべきは外出中だけではない。「屋外」よりも「屋内」の方が危険だと高田さんは話す。
「最新の研究によれば、屋外より屋内の方が呼吸によって取り込むマイクロプラスチック微粒子の数が多かった。洋服や絨毯などの化学繊維、合成洗剤や柔軟剤などを包むマイクロカプセルなど、室内には多様なマイクロプラスチックが浮遊していることがその理由だと考えられます」
米ボストン在住の内科医・大西睦子さんは、除去するために「毎日の家事」がポイントと指摘する。
「マイクロプラスチックは部屋の片隅のほこりと混ざって空気中を漂うことが多い。小さな粒子を捕集するHEPAフィルター付きの掃除機を使ってこまめに掃除をすることが大事です。洗濯機にもマイクロファイバーをキャッチするフィルターを取りつけましょう」
大河内さんは「植物」に期待を寄せる。
「私たちの研究では、植物の葉がかなりの量のマイクロプラスチックを捕捉することがわかりました。
例えば道路に面した家なら、道路側から空気が家の中に直接入らないよう植栽すれば、室内へのマイクロプラスチックの侵入を防げます。
ただし、ベランダにプラスチックのプランターを放置するのはNGです。
劣化してマイクロプラスチックとなり、飛散したり、家の中に入ってくる恐れがあります」
あらゆる手段を駆使してマイクロプラスチックをシャットアウトしつつ、プラスチックのハンガーや洗濯ばさみはステンレス製に変えるなどして「脱プラスチック」をめざしたい。
その際「プラ」の種類にも注意して選ぶべし。
プラスチックには「ポリプロピレン(PP)」「ポリスチレン(PS)」「ポリエチレン(PE)」などがある。
「このうち、ストローやプリンカップなどに使われるポリプロピレンと、発泡スチロールや食品用トレーなどに使われるポリスチレンは特に劣化しやすく、生殖に悪影響のある添加剤も多く入っているので、なるべく使用しないことが大切です。プラの種類はパッケージに記されています」(高田さん)
マイクロプラスチックに対峙するべく、できることから始めたい。
※女性セブン2024年6月20日号
マイクロプラスチックとは?
1.マイクロプラスチックとは
マイクロプラスチックとは、直径が5mm以下のプラスチックのことです。したがって、マイクロと名前が付いているものの、マイクロメートル(1マイクロメートル=0.001mm)サイズのプラスチックだけのことを意味しておらず、1mm程度から5mmまで肉眼で見える範囲のものも存在します。
現在では肉眼で確認できないナノメートル(1ナノメートル=0.001マイクロメートル)サイズのプラスチックである「ナノプラスチック」も問題の一つとして着目されつつあります。
(1)マイクロプラスチックは2種類に分類される
マイクロプラスチックは、5mm以下のサイズになるまでのプロセスの違いにより、大きく2種類に分けられます。
①一次的マイクロプラスチック
生産される段階から、すでにサイズが5mm以下であるプラスチックのことを一次的マイクロプラスチックといいます。
例えば洗顔料や化粧品などのスクラブ剤(マイクロビーズを含む)は、ある程度の硬さ・弾性・吸着性などが必要となり、マイクロプラスチックが利用されていることがあります。
また、プラスチック製品の原料として使われる樹脂ペレットなども、一次的マイクロプラスチックに含まれます。
②二次的マイクロプラスチック
二次的マイクロプラスチックとは、外的要因によって5mm以下になったプラスチックのことです。
ここでいう外的要因とは、主に風や波などの物理的な影響や、紫外線や温度など化学的な影響があります。
プラスチックが海へ流入する際、あるいは海に流入した後に、数年から数百年かけてマイクロプラスチックになると考えられています。
以下は、プラスチックの主な種類と二次的マイクロプラスチックへのなりやすさをまとめたものです。
プラスチックの種類 | 二次的マイクロプラスチックへのなりやすさ※ | 製品例 |
---|---|---|
ポリエチレン | ◯(なりやすい) | レジ袋 |
ポリプロピレン | ◯(なりやすい) | ストロー |
ポリスチレン | ◎(非常になりやすい) | 食品トレー、発泡スチロールの箱 |
ポリ塩化ビニル | △(なりにくい) | ホース |
ポリエチレンテレフタレート | △(なりにくい) | ペットボトル |
アクリル樹脂 | △(なりにくい) | 水槽、定規 |
※プラスチックの種類が同じでも、製品によって二次的マイクロプラスチックになりやすいもの・なりにくいものがあります。
(2)マイクロプラスチック問題とは
マイクロプラスチック問題とは、マイクロプラスチックが海へと流入することで引き起こされる諸問題のことを指します。
いまやマイクロプラスチック問題は、何十年ものあいだ人間の生活を脅かす存在になっています。
海に存在するマイクロプラスチックは、河川・下水・大気などさまざまな発生源から流入したもの、あるいは海で直接発生したものです。
これはプラスチックが多くの製品に利用され、あらゆる場所から海に流出する可能性があることを示しています。
プラスチックは、分子構造の特性により高い強度を出せること、加工が容易であること、何よりも安価に製造できることから、1950年代から2000年代にかけて大量に生産されてきました。
特に人口やGDPの増加にともない、2000年ごろまではプラスチックの生産も増え続けていましたが、近年では減少傾向にあります。
近年の調査で、海に流入したマイクロプラスチックは、海の表層を漂ったり、海岸に漂着したりを繰り返しながらも、最終的には海底へ沈むことがわかってきました。
海洋マイクロプラスチックは回収・除去が難しく、海底に蓄積した大量のマイクロプラスチックは長期的に人類に悪影響をおよぼす恐れがあります。
(3)マイクロプラスチックとSDGsとの関連性
マイクロプラスチックは主に三つの持続可能な開発目標(SDGs)と深く関連しています。
最も関連が深いものは目標14「海の豊かさを守ろう」です。
この目標のターゲットにある「2025年までに、海洋堆積物や富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する」はマイクロプラスチックを指しているといっても過言ではなく、プラスチック削減が目標14の直接のゴールとなっています。
次に関連が深いのは、目標12「つくる責任、つかう責任」です。
製品としてのプラスチックは加工が容易なため、安く大量につくれるメリットがあります。
そのため、今でも多くの製品でプラスチックが利用されています。
製品のなかでプラスチックの使用を控えたり、代わりに再生プラスチックを利用したりすることで、廃棄されるプラスチック量を削減し、海へ流れるプラスチックを減らすことが目標12の達成につながります。
そして見落としがちなのが、目標6「安全な水とトイレを世界中に」です。
各家庭で利用されているプラスチックは、意図せず下水を通じて海に流れ出ている可能性があります。
例えば、衣類に使用されているプラスチックは経年劣化により、洗濯するだけで繊維が下水に流れ込むと考えられています。
目標6を達成するためには、洗濯ネットの利用や洗濯機のフィルターのこまめな掃除によってマイクロプラスチックの流出を防止することが大切です。
2.マイクロプラスチックが与える影響・問題
近年、マイクロプラスチックが与える影響への懸念が広がっています。
プラスチックはさまざまな製品に利用されていますが、劣化にともなう分子構造の変化によって意図しないものを吸着したり、溶出させたりする恐れがあります。
PCB(ポリ塩化ビフェニル)やダイオキシンなどの有害物質を吸着することもあり、そうなればプラスチックの安全性が危ぶまれる可能性があります。
また、プラスチックの微細化が進むことで、海洋生物や人間の口に入る恐れを高めてしまいます。
ここでは、マイクロプラスチックが海洋生物や人体に与える影響を詳しく解説します。
(1)マイクロプラスチックが海洋生物に与える影響
マイクロプラスチックが海洋生物に与える影響は、プラスチックの種類や生物種によってさまざまです。
2020年時点では、427種類の魚でプラスチックの摂食が確認されています。
マイクロプラスチックを摂取した魚は、消化機能に炎症反応が起きるなど物理的な影響を受けるほか、繁殖力や生存率が低下することが報告されています。
さらに、マイクロプラスチックに吸着した有害物質が海洋生物の体内で蓄積される可能性があり、その影響が懸念されています。
例えば、PCBでは目やにや爪の色素沈着などから、座瘡様皮疹(ざそうようひしん)、爪の変形、さらにはまぶたや関節の腫れなどが報告されています。
座瘡様皮疹とは
にきびのような皮疹やかゆみ、ヒリヒリするような痛みをともなう症状のこと
このような海洋生物への影響は生態系ピラミッドのあらゆる種で確認されており、個々の個体への影響にとどまっていない状況が明らかになってきています。
(2)マイクロプラスチックが人体に与える影響
マイクロプラスチックが人体に与える影響は大きく二つ考えられます。
一つ目が、呼吸を通じた直接的な影響です。マイクロプラスチックは水のみならず、大気中でも確認されており、呼吸で体内に入ることでぜんそくなど呼吸器障害が引き起こされる恐れがあると考えられています。
もう一つは、魚などを介した間接的なマイクロプラスチックの摂取です。
マイクロプラスチックは人体からも検出されており、人間が摂取していることは間違いありません。
これまでは摂取されてもその大半は排泄(はいせつ)されていると考えられていましたが、劣化プラスチックなどが人体に与える影響はまだまだ不確かなのが現状です。
一方で、マイクロプラスチックに吸着している有害物質による影響はこれまでの研究で明らかになっています。
例えばPCBやダイオキシンであれば、発がんの誘発や免疫機能の低下、生殖機能障害などを引き起こす可能性があります。
3.注目が集まる「生分解性プラスチック」とは
生分解性プラスチックとは、微生物により分子レベルまで分解できるプラスチックのことです。
通常のプラスチックは、微生物によって分解されない、あるいは分解までに数十年から数百年を要します。
一方で生分解性プラスチックは、最終的に水と二酸化炭素(CO2)に完全に分解されます。生分解性プラスチックは大まかに微生物系・化学合成系・天然系などに分けられ、混在して使用されている場合もあります。
また、再生可能なバイオマス原料を用いたバイオマスプラスチックがクリーンなプラスチックとして注目されていますが、バイオマスプラスチックには生分解性があるものと、生分解性がないものがあります。
生分解性プラスチックの主要な用途としては「農業・土木資材」「食品残渣(生ごみ)収集袋」「食品容器包装」などがあります(参照:生分解性プラスチック入門|日本バイオプラスチック協会)。
生分解性プラスチックのメリットは次のとおりです。
● 微生物により分解されることで、自然に戻れる
● 廃棄物処理を合理化させられる
● カーボンニュートラル(生分解性バイオマスプラスチックの場合)
● 石油資源の利用抑制(生分解性バイオマスプラスチックの場合)