いつもお読み頂きありがとうございます。
今日は小麦が安全ではないという話題が出ていたので、今後の農業の問題を取り上げたいと思います。
今、日本が参加するのかしないのかで揺れているTPPのことを絡めて・・・。
TPPとは何かといいますと、
環太平洋戦略的経済連携協定(Trans-Pacific Partnership、またはTrans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)は、環太平洋地域の国々による経済の自由化を目的とした多角的な経済連携協定 (EPA)である。原協定は、2005年6月3日にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国間で調印し、2006年5月28日に発効した。2011年現在、アメリカ、オーストラリア、マレーシア、ベトナム、ペルーが加盟交渉国として、原加盟国との拡大交渉会合に加わっている。9か国による交渉は、2011年11月12日に大枠合意に至り、2012年内の最終妥結を目指している。日本の野田総理大臣は、2011年11月11日に「交渉参加に向けて関係国との協議に入る」と表明したが、拡大交渉会合への参加は許可されず、交渉会合中の情報共有や協議には応じない方針が明らかにされている。
環太平洋経済協定、環太平洋連携協定、環太平洋経済連携協定、環太平洋パートナーシップ協定ともいう。
農業協同組合新聞より
四日市市議会議員かとう清助氏より
TPPラウンドスケジュール年開催月回開催国
2010年3月第1回 オーストラリア - アメリカなど4か国が参加表明
TPPの諸問題とは、金融、保険、農業、、多岐にわたってありますが、
中でもとりわけ問題視されているのは食です。
TPPに加盟すると、農業も自由化することになり、必然的に安い外国製の農産物が入って来ます。
ただそれだけなら問題は経済的なことに尽きますし、消費者から見れば安く製品が入ることで一見良さそうですらありますが、
しかしながら遺伝子組み換え食品が多量に流れてくることになり、今それが懸念事項となっているのです。
特にモンサント社という遺伝子組み換えの農産物を扱う会社が既にアメリカ国内でも問題を起こしており、日本は決して二の舞にはなりたくないのです。何があったかといいますと、この会社はトウモロコシ、菜種、綿の種子を遺伝子組み換え種子にし、そして契約により、次年度もモンサントの種子を買わねばならないというもの。アメリカでは自家採取した農家が契約違反だということでモンサントに次々と訴えられています。
種苗会社としては大変合理的ですが、農家はたまったものではありません。
更に除草剤もセットになっています。
「ラウンドアップ」という大変キツイ除草剤に耐えうるものがモンサントの種です。
ラウンドアップは植物の成長に必要なアミノ酸の生成まで抑えてしまいます。そこでこれがかかった植物は全て枯れてしまうことになります。
そこでこのラウンドアップに耐性をつけてやったのがモンサントの種なのです。
この農薬により、農民の健康被害は勿論、土の中のミミズまで死んでしまいます。
また、虫が来ようものなら食べた虫も死んでしまう、という成分をこの種子から育った苗は持っています。
こんなものを食べて大丈夫でしょうか?
グリーンピースが問題点をまとめていますので紹介します。(強調は筆者)
●農業の機械化、大規模化を必要とするため、小規模農家の経営を不能にし、多くの農民が土地を失って、都市のスラムで貧民化する。
●単一作物の広大な栽培によって生物多様性を失わせる。
●セットになって使用される除草剤によって野草や、水鳥などを死滅させ、場合によっては周辺住民にも健康被害を与える。(流産多発など)
●一旦遺伝子組換え作物の栽培が導入されてしまうと、花粉による交雑が始まり、それを除去することは永遠に不可能になる。
●遺伝子組換え作物によって在来種の畑が汚染されてしまった場合でも、モンサント社は補償したり謝罪したりするどころか「特許権侵害」によってその在来種の農家を訴える。
●交雑によって、在来種の農家は自分が植えた覚えもない遺伝子組換え作物を栽培していることにされてしまい、特許料を支払わされる。
●特許契約や「密告」、「守秘義務」などの制度によって、農家は真実を語れなくなり、また、お互い疑心暗鬼になって、農村コミュニティーが破壊される。
日本でもしこれが導入されたら・・・
●日本の農家はモンサント社の奴隷と化し、自分の栽培したい品種を栽培する自由を失う。
●日本人は自分の食べたい品種の食べものを選ぶという権利「食料主権」を失う。
昨年、モンサント社およびシンジェンタ社、ダウケミカル社が遺伝子組換え作物の菜種、とうもろこし、綿の第1種使用(=開放圃場での商業栽培など)を農水省に申請しました。
http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/nouan/110523.html
遺伝子組換え作物市場をほぼ独走してきたモンサント社は、これまで南米アメリカ、ヨーロッパなどで、数々の重大な、取り返しのつかない問題を引き起こしてきました。
1901年にアメリカのイリノイ州で設立されたこの会社はサッカリンやPCB、ダイオキシンなどを製造、垂れ流しをして多くの家畜や住民に被害を与えてきた企業です。
平成16年12月には農水省のHPに既にモンサント社やノバルティス・シード(名称改めシンジェンタ・シード)などの大豆、てんさい、トウモロコシ、じゃがいも、わたが「安全審査性の手続きを経た食品一覧」として掲載されています。ノバルティス・ファーマ株式会社はインフルエンザのワクチンでも有名です。
http://www.maff.go.jp/j/jas/kaigi/pdf/kyodo_no22_shiryo_sanko_2-4.pdf
しかしながら、既に導入された国ではその害があらわになり、訴訟も起きています。
通常、モンサント社の訴訟といえば、自家採取を行った農家に対してモンサント社が訴えを起こすというものですが、今年2月にとうとうフランスで農民の勝訴となりました。・・・といっても訴えた彼はその農薬によって障害者になってしまったのですが・・・。
米モンサントの除草剤訴訟、原告勝利で賠償命令 フランス
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この件は今年2月13日にフランスでモンサント社に対して有罪判決が出されました。
穀物栽培農家のポール・フランソワさんが、2004年にモンサント社の除草剤・ラッソ「Lasso」を吸引した後、記憶喪失、頭痛、言語障害などの神経障害を被ったというものです。
下記に15日にAFPから出された記事を紹介します。
【2月15日 AFP】
農作業中に除草剤を吸入したために健康を害したとして、米バイオテクノロジー企業大手モンサントを相手取り、フランスの農業従事者が2004年に損害賠償を求めた裁判で、仏リヨン地裁は13日、原告の主張を認め、賠償請求を認める判決を下した。世界的な影響を与える可能性のある判決となった。
判決は「モンサントのラッソー乳剤(除草剤)を吸引した原告ポール・フランソワ氏(47)の健康被害について、モンサントには責任があり、損害賠償を全額支払う必要がある」とした。
原告の弁護士フランソワ・ラフォルグ氏は「この判決は、各国の農業従事者に関わるものだ」と述べた。
穀物農家を営むフランソワ氏は2004年、モンサント製の除草剤を使用した際に誤って吸引してしまい、吐き気、吃音、めまい、頭痛、筋肉痛などの症状が表れ、以降1年間は仕事に復帰できなかった。
カナダ、英国、ベルギーではすでに使用が禁止されていた2007年まで、フランスではラッソー乳剤が市場に出回っていた。この点についてもモンサントは指摘・非難されている。
モンサントはまた、有害物質の含有および吸引した際の人体へのリスク、さらにはマスクの着用といった防護策についても、ラベルへの記載を怠っていたとされる。
ただの農薬の訴訟ではありません。
これは、巨大権力にフランスがノーを突き付けた大変大きな事件です。
また、カナダでも拒否されています。
モンサント遺伝子組み換え種子を拒否するカナダ農民 Democracy Now !
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この動画のコメントには生協からのコメントも入っています。
やや古い2005年の記事になりますが、アメリカでの実例もご紹介します。
AP通信 2005年01月17日
米モンサント社は1999年、大豆農家を営むホーマン・マクファーリングさんを訴えた。同社技術を不当に使用したとして、多額の支払いを求めるものだ。マクファーリングさんは何をしたのか? 収穫した大豆の一部を取っておき、次のシーズンに種として植えた――つまり、大昔から続いてきた農業の慣行に従っただけの行為を、モンサント社の「種子警察」は不当と判断したのだ。
(中略)
モンサント社によると、同社は毎年、農家が同社の種を不正使用しているとの「情報」を500件ほど調査し、多くの場合、訴訟に持ち込む前に和解しているという。モンサント社が自社の商品を不正使用から守るこのやり方は、エンターテインメント業界が音楽や映画、ビデオゲームを違法にデジタル配信する人々を訴える手法とほぼ同じだ。モンサント社は情報の調査にあたって、農家どうしを対立させ、小さな町に私立探偵を送り込んで、友人や仕事の取引先のことをあれこれと聞き出す。
(中略)
モンサント社が種の不正利用に対して取っている調査戦術が、一部の農業コミュニティーに不安と疑念の種をまいているとして、同社のやり方を批判する声もある。
モンサント、遺伝子組み換え作物「不正使用」で農家を次々と提訴 - WIRED.jpより
なお、大変詳しく全ての項目について書かれているサイトがありますのでご紹介します。
安田節子氏によりやすだせつこ.comです。
部分的に抜粋致します。
遺伝子組み替え飼料、あるいは食品を摂取した場合にどの程度DNAが残留するかのデータはありますか
従来、食品およびエサに含まれるDNAは胃腸から吸収されないと信じられていましたが、最近の研究によればネズミにエサを与えた場合、M13細菌からのDNAが、排泄物・白血球・脾臓・肝臓などの細胞から、エサを与えてかなりの間隔をおいてから、比較的長い断片として検出されました。(Doerfler et al.,1997; Schubbert et al.,)
そのDNAを妊娠中のネズミに与えた場合、胎児及び新生児のさまざまな臓器に残留が認められました。(Doerfler and Schubbert 1998)
農水省や厚生省の説明では、「組換え飼料、食品を摂取しても家畜・人の体内で消化液によって完全に分解されるから安全」と決めつけてきたわけですが、本来は上記のような実験をたくさん積み重ねて確認してからの話であろうと思います。(2001/6/21)
遺伝子組み替え食品として、実際に日本では具体的にどのような商品があるのでしょうか?
ダイズ製品やコーン製品、ポテト製品、ナタネ油などが主に出まわっています。
- ダイズ:ダイズ油、豆腐、味噌、醤油、ダイズ蛋白など
- コーン:コーンオイル、コーンスナック、ケーキミックス、コーンスターチ、コーンフレーク、水飴、異性化糖など
- ポテト:ポテトチップス、マッシュポテトの粉、冷凍ポテト、フレンチフライ
などです。 (2001/10/9)
モンサント社はクリントン政権と結びつき、世界に進出しました。
しかしながら、各国で反対に合い始めていることから、日本には入って欲しくありません。
福島の件で土壌改良にモンサント社が菜種種子を贈るという話も出ているのですが、わが国には必要ありません。
日本政府や政治家は、TPPには断固反対し日本の食卓を守って頂きたい!
今日もお読み頂きありがとうございました。