グルコサミン関連のサプリは、全て効果がない詐欺商品!!
市場からグルコサミン関連のサプリが次々と消えているワケ!!
実は「ひざ痛」に効果なし…?
週刊現代
テレビCMでもよく見かける「あのサプリ」。
実はその一部が、ひっそりと、国の定める「機能性表示食品」から外れていた。
効果に疑義を突きつける論文も出ている。いつも飲んでいるあなた、必読です。
決定的な論文が出た
「いま、グルコサミン関連のサプリが次々と市場から消え、一部の商品からは『機能性表示食品』の表示が消えています」(専門誌記者)
サプリメント業界を揺るがす「事件」が起きている。
昨年半ば以降、複数の企業が、「グルコサミン」関連のサプリについて、消費者庁に提出していた「機能性表示食品」の届け出を、次々と撤回しているのだ。
つまり、「このサプリには効果がある」という「看板」を降ろしたのである。
グルコサミンと言えば、テレビCMや新聞広告でおなじみ。軟骨の減りを予防すると謳われており、ひざの痛みに悩む高齢者のあいだでは、最も売れているサプリと言っても過言ではない。
だが、そのグルコサミンのサプリの一部が、「機能性表示食品」を名乗れなくなった。
撤回された商品の数は、確認できた限りでも19に上る。何が起きたのか。
実はかねてより、医師や科学者からは、グルコサミンの効果を疑問視する声が上がっていた。
「科学的に考えれば、グルコサミンを経口摂取して、軟骨が磨り減りにくくなるなんてことは断じてありません」
そう語るのは、千葉大学名誉教授の山本啓一氏である。
「ひざの軟骨には、クッションの役割を果たす『ヒアルロン酸』や『コンドロイチン硫酸』が含まれており、『軟骨細胞』がこうしたクッションを作り出す際にグルコサミンを使います。
そのため、グルコサミンのサプリが軟骨を維持すると考えられてきました。
しかし軟骨細胞は、細胞の『内部』で作ったグルコサミンを使っている。
グルコサミンを口から摂取しても、それがそのままの形で軟骨細胞の『内部』に届くことはありえません。
実際、'10年にはグルコサミンの効果を否定する論文が提出され、'12年の米国リウマチ学会でもひざの関節炎を予防する効果がないと報告がなされています」(山本氏)
そしてついに昨年7月、ダメ押しのように、グルコサミンの効果を完膚なきまでに否定する論文が出た。
東京大学名誉教授で、現在、公益財団法人「食の安全・安心財団」の理事長を務める唐木英明氏が解説する。
「BMJ(ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル)という世界的に権威のある専門誌に掲載されたものです。
これは、'94~'14年のあいだ、関節炎の人を対象にグルコサミンを使って行われた治療試験のうち、比較可能なものを集めて解析したシステマティックレビュー(SR)と呼ばれるもの。
RCT(二重盲検法)という信頼性の高い方法で行われた21の論文を選んで分析した結果、どの年齢、性別、痛みの程度、関節炎の程度の患者に対しても、効果はありませんでした。
つまり、グルコサミンは、どんな患者に対しても効果がないことが医学的に証明されたのです」
消費者庁の「疑義」
今回の「撤回騒動」は、こうしてグルコサミンの効果が科学的・医学的に否定されていく潮流の中で起きた「事件」だった。
では、そもそも届け出が撤回された「機能性表示食品制度」とは、どのようなものなのか。
混同しやすいが、テレビCMなどでよく取り上げられる「特定保健用食品」=「トクホ」とは別物。
トクホは、有効性、安全性などの科学的根拠を消費者庁が厳格に審査し、許可を与える。
機能性表示食品は、それに比べて認定が容易だ。
消費者庁の機能性表示食品制度の担当者が解説する。
機能性表示食品は、事業者が自身の責任のもとで、成分の効果を証明した論文など科学的根拠を届け出ます。
消費者庁は、書類の形式がガイドラインに沿ったものかをチェック。
それが適正ならば、その内容を公表し、事業者は『機能性表示食品』として販売することができます。
消費者庁が事前に有効性などを審査することはありません。
この制度は'15年に始まった。グルコサミンの関連サプリでは30以上の商品の届け出がなされ、販売会社は「運動や歩行などにおける軟骨成分の過剰な分解を抑える」などの効果があると主張してきた。
Photo by GettyImages
だが、昨年5月以降、企業は「届け出」を次々撤回。
サプリの効果についての「科学的根拠」を取り下げ、「機能性表示食品」の表示はひっそりと消えていたのだ。
前述の通り、消費者庁は、効果の根拠について届け出の際には判断しないことになっている。
しかし、今回の撤回について消費者庁は、届け出が受理された「後」に、提出書類の「確認」を行っていたようだ。
「マグマグルコサミン」の届け出を撤回した日本薬品開発の商品開発担当者が言う。
昨年の夏頃、消費者庁から電話がありました。
先方は明言しませんでしたが、届け出について自主的な改善を求められていると考えました。
そこで弊社は、効果について実験している論文を精査する『研究レビュー』の見直しのため、届け出を撤回することにしたのです
。現在、再提出の準備をしていますが、時期は見通せません」
それでも売られている
サプリメント「グルコサミン潤」の届け出を撤回したハートテックの広報担当者も言う。
「弊社は、メーカーから製品を仕入れて販売していますが、そのメーカーに消費者庁から連絡があったそうで、届け出を撤回しました。
前出の消費者庁の担当者が言う。
個別の事例については控えさせていただきますが、届け出後に、適正な内容であるかどうかチェックを行う運用は行っています。
疑義が生じた場合には、事業者に確認を行います。
こちらから『撤回せよ』と迫るものではなく、あくまでそれを行うのは事業者です。
では、届け出を撤回した事業者には、どのような問題があったのか。ひとつは、効果があるとされる成分の「名称」の問題である。
効果がある成分の名称を「グルコサミン」としていた事業者が、それを正式名称である「グルコサミン塩酸塩」と変更する必要があり、撤回したというのだ。
しかし、問題のあった部分がそれだけかというと、そうではなさそうだ。前出の唐木氏によれば、グルコサミンの効果を証明する「論文」そのものに問題があった可能性が高い。
提出された論文では、「RCT」という、信頼性の高い方法が用いられていなかったのである。つまり、そもそも拠って立つところの論文の信憑性が極めて低かったことが明らかなのだ。
現在のところ、どの企業も、届け出を「いったん撤回をする」という姿勢で、再度の提出を目指していることが窺われるが、長いところでは撤回から10ヵ月ほどが経つものの、再提出はできていない。
では、撤回した各社は商品をどうしているのか。
「届け出を撤回した製品は、現在販売はしておりません」(甲陽ケミカルの広報担当者)
「届け出を撤回しておりますので、機能性表示食品ではなく、通常の商品として販売しています」(オリヒロプランデュの広報担当者)
「『グルコサミン』という商品は、機能性表示食品としての販売を中止しています。現在は通常の商品として販売しています」(山田養蜂場の文化広報室の担当者)
中には「機能性」の表示がなくなっても、それに気づかず、これまでと同様、習慣として飲み続ける人もいるかもしれない。
下の表は、届け出を撤回した後も、同じ名前で販売し続けている商品の一覧だ。
一方で、グルコサミン関連のサプリの届け出を継続している企業もある。
こうした企業は、昨年7月にBMJに発表された論文などグルコサミンの効果を否定する論文についてどのように考えているのか。
サントリーウエルネスの広報担当者は、論文の存在は把握しているとしたうえでこう述べた。
「弊社商品は、グルコサミン単体ではなく、グルコサミン塩酸塩、コンドロイチン硫酸、ケルセチン配糖体の3成分配合効果による機能性を目指した商品です。
アサヒグループHDの広報部門の担当者はこう説明する。
「『グルコサミン』に関する論文は多数投稿されており、弊社がその科学的な意義について見解を述べる立場ではないと判断しております」
サプリは「気休め」
前出の唐木氏はこう述べる。
機能性表示食品を全否定はしませんが、グルコサミンのように医学的に根拠が失われたものについては、真剣に議論される必要があります。
でないと、この国において、科学の信頼性が否定されることになりかねません。
武蔵国分寺公園クリニック院長の名郷直樹氏は、サプリ業界について嘆息しつつこう話す。
サプリメントに、もし効果が出れば、それは『医薬品』に分類されてしまいます。
サプリメントはその性質上、効果が薄かったり、期待できないものが多い。
にもかかわらず、著名人がテレビCMに出て『体験談』を語って、あたかも効果があるかのように宣伝しているものもあります。
それならば、バランスのいい食事で栄養を摂ったほうがずっといい。
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こうした実情がありながら、サプリ市場は拡大の一途をたどり、企業は荒稼ぎをしている。
マーケティング会社のインテージの調査によれば、'15年の健康食品・サプリメント市場は、前年比2.9%増の1兆5785億円(推計)だ。
内閣府に設置された「消費者委員会」が'12年に行った調査によれば、60~70代の実に32.2%が「ほぼ毎日利用」し、26.9%が「たまに利用」している。
サプリは気休め程度のもの――。
そう思って飲む分にはかまわないが、あまり効果を期待しすぎると痛い目を見ることになる。
「週刊現代」2018年4月7日号より
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